SBI生命保険株式会社(以下「SBI生命」)は、2021年10月よりAI電話自動応答システム(ボイスボット)「MOBI VOICE(モビボイス®)」を導入し、RPAと連携することで、生命保険料控除証明書の再発行手続きにおいて、受付から処理完了まで完全自動化を実現しています。
運用開始から2年半が経ち、運用面や導入効果の変化、今後の展望などについて、お客様サービス部 部長 田畠 茂晃氏、お客様サービス部 お客様コンタクトセンター課 スペシャリスト 土屋 貴美子氏、お客様サービス部 お客様コンタクトセンター課 課長補佐 江崎 和博氏にお話を伺いました。
※上部写真:(左から)SBI生命 田畠氏、江崎氏、土屋氏、モビルス 小川
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事業内容 | 生命保険業 |
用途 | ・生命保険料控除証明書の再発行の電話受付の自動化 (自動受付専用ダイヤルを設置し、夜間・土日祝の営業時間外も受付) ・自動受付したデータをRPAに連携し、発送手続きまで自動化 |
導入時期 | 2021年10月 |
■導入製品
※記事中の肩書や内容はインタビュー当時(2024年6月5日)のものです。
■課題
- 年末調整、確定申告前は、生命保険料控除証明書発行の再発行の問い合わせが増加。オペレーターの負荷が高く、通常よりも人員を増員・研修する必要があり、時間やコスト面で負担が大きかった。
■施策
- MOBI VOICEとRPAを組み合わせて使うことにより、生命保険料控除証明書の再発行手続きを完全自動化。
- MOBI VOICEであふれ呼の自動応答受付、営業時間外の自動応答受付なども行う。
■効果
- 24時間365日生命保険料控除証明書の再発行受付が可能になり、オペレーターの負荷軽減、繁忙期の増員人数や研修時間の削減を実現。
- 受付から発送までの時間が短縮され、再発行に関する苦情や不満がゼロになった。
- 再発行手続き対応の処理時間を約70%、年間約300時間(2人月)削減。
- 顧客満足度と従業員満足度の好循環につながる。
■目次
利用件数は導入時の2.6倍に。シンプルな運用で効果を出す
ーはじめに、担当されている業務内容について教えてください。
田畠氏:オペレーション部門(新契約、保全、給付金保険金、事務企画)全体の業務管理を担っており、お客様コンタクトセンター課の課長も兼務しています。
土屋氏:主に電話業務に係る年間スケジュール、タスク実施と進捗管理を行うほか、オペレーション部門である、お客様サービス部内の業務サポートなどを担当しています。
江崎氏:電話業務におけるシステム企画導入、保守対応、業務改善、SV・オペレーターの業務と働く環境サポートなどを行っています。オペレーターが対応しきれない難しい案件については、自ら電話対応をすることもあります。
ー生命保険料控除証明書の再発行受付の自動化を開始され、約2年半ほど経過しました。現在において解決できたこと、まだ解決できていないことを教えてください。
土屋氏:MOBI VOICE導入により解決できたことは、当初の目的である24時間・365日稼働を実現し、コールセンターが多忙な時期もお客さまが好きな時間に電話をかけ、生命保険料控除証明書の再発行受付ができるようになった点です。
オペレーターの負荷を軽減でき、人が対応すべきところに時間を割けるようになったことで、従業員がやりがいをもって業務に取り組むことができる環境の整備にもつながっています。
自動化できる項目を増やせないか考えていますが、個人情報が必要だったり複雑な手続きが多いため、なかなか適切な項目がなく模索中です。
ー現在の弊社サービスの運用状況について教えてください。
土屋氏:当社は毎年9月下旬から10月にかけて、契約者さま宛にご契約内容のお知らせと生命保険料控除証明書を発送していますが、毎年、年末調整の時期が近づく11月以降、生命保険料控除証明書の再発行の申し出の繁忙期となるため、MOBI VOICEが大活躍してくれています。2021年の導入当初は大々的に告知をしていなかったにも関わらず600件ほど入電がありました。今もホームページや送付するご案内文への掲載のみの告知ですが、利用件数は年々増加し、2023年度の発送件数は導入年度と比較して2.6倍に増加しています。
田畠氏:運用にも慣れ安定的な活用ができているので、今年度は、 ホームページでの告知拡大、AmazonのAlexaからの通知を活用するなど、お客さまへの告知を増やしていく予定です。
ー運用においての変化点を教えてください。
土屋氏:生命保険料控除証明書の再発行と同時に、Webで住所変更をされるお客さまからの申し出も多くなりました。住所変更の処理日により、変更前の住所に控除証明書の発送となるケースがあるので、変更後の住所への発送が可能となるようにデータのダウンロードの日時を調整、変更して運用方法を改善いたしました。
単独のシステム処理ではこのような配慮は不要ですが、当社はダウンロードのデータをRPAにて基幹システムへ自動エントリーをしているので、処理件数が増加するとさまざまなパターンが発生し、弊害がおこることも忘れてはならないと実感しました。
江崎氏:MOBI VOICEに関しては大きな変更点はなく、運用できています。特別な運用改善は行っていませんが、導入当初と比べて聞き起こしをする件数が大幅に減っています。音声認識精度の向上や、お客さまに音声自動応答が浸透してきて慣れてきたことが背景にあるかと思います。
田畠氏:MOBI VOICEはシンプルな運用が出来る点がとても良いです。運用を大きく変えなくても問題なく、メンテナンスの負荷が高くなくスムーズな活用ができることで、我々が使いやすく、お客さまも使いやすいため利用が伸びているのだと考えています。
1件あたりの処理時間約7割短縮で、年間約300時間の削減
ー前回インタビュー時(2022年2月)よりカスタマーサポートの業務効率が向上されたことや改善されたことはございますか?また、生産性における変化があれば教えてください。
江崎氏:2022年4月から、お客さまサービスの向上と業務効率化を実現することを目的に、お客さまサービスの基盤となるコールセンターシステムを刷新し稼働を開始しています。新たなコールセンターシステムは、これまでコールセンターで使⽤していた複数のシステムをひとつに集約し、コールセンター専⽤のシステムとして構築したものです。
これにより、オペレーターは電話の応答から⼊電後の各種対応をひとつのシステムで完結することが可能となり、コールセンター業務が⼤幅に効率化しています。通話後の平均後処理時間が1通話、約2分30秒であったのが、約1分削減されました。
土屋氏:MOBI VOICE導入により、後処理まで含めた再発行受付の1件あたりの対応処理時間は、約26分から約7分30秒に短縮できました。
1件あたりの処理時間が約7割削減されたことにより、大まかですが2023年度のMOBI VOICE着信数1,033件で概算すると約300時間(2人月)が削減されたことになります。2人分の人件費が削減されていて、ROIの観点でも費用対効果を出せています。
電話応対評価で三つ星を受賞。CSとESの好循環を生み出す組織作り
ーカスタマーサポートにおける弊社サービスは、どのぐらい顧客満足度の向上に影響を与えましたか?
土屋氏:生命保険料控除証明書の再発行に関する苦情はゼロになりました。以前は電話で受付けて作業して発行するので送付までに3営業日ほど要していたため、時間がかかると苦情が多く寄せられていたのが課題でした。MOBI VOICE導入後は受付の翌営業日に発行できるようになり、遅いという苦情はなくなりました。また、以前は速達による郵送コストも相当ありましたが、翌営業日の発送が可能になり、その必要もなくなったことからコスト削減にもつながっています。
ーカスタマーサポートにおける弊社サービスはどのぐらい従業員満足度の向上に影響を与えましたか?
土屋氏:SBI生命では、かねてより、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の好循環を実現させることを目標に、従業員がやりがいをもって業務に取り組むことができる環境を整備しております。MOVI VOICE導入後、2022年度より従業員満足度の調査(アンケート)を専門業者に依頼して、可視化しました。結果、株式会社プロシードが運営する「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD」において最優秀賞を受賞し、日本で最も幸福度の高いカスタマーセンターとして評価されました。2023年度も2年連続の受賞となっております。
また、HDI-Japanが実施するHDI格付けベンチマーククオリティ格付けにおいても、三つ星を獲得することができました。
1ヵ月間の応対履歴から40件ほど提出して審査をしてもらうのですが、単に適切な応対をしているかだけでなく、先を読んでお客さまが何を求めているかを把握したり、寄り添った対応をしているかが審査の観点です。初参加で三つ星を獲得できるのはめずらしいとのことであり、みんな驚きましたが、クオリティーが高いことが実証されてとてもうれしかったです。こちらの格付けも2年連続の受賞となっております。
コールセンターは、当たり前のように存在して当たり前のように苦情を受ける場所という働き手にとってネガティブなイメージを持たれがちなので、三つ星を獲得できたことは良いチャンスだと捉えています。社内でも社長自らオペレーターを交えた懇親会を開催したり、社内報でも取り上げられたりして、従業員のモチベーションアップにつながっています。
従業員満足度が上がることで応対品質もさらに良くなり、結果としてお客さまの満足度も向上すると考えています。
田畠氏:オペレーターが安心して仕事ができることを重要視し、ROIやKPIの数値的な面はオペレーターの目に触れないようにするなど、無理に生産性を追うことがないようにしています。数値的な目標は一部のマネージャーだけが見えるようにし、従業員の満足度・安心感につなげていきたいという考えです。オペレーターには対応時間を気にせず、お客さまに向き合って丁寧に接することを伝え、「1件、1件丁寧に、対応時間は気にしない!笑顔で対応しよう!」を合言葉に業務を行っています。
2021年からコールセンターの改革を行い、システム改善だけでなく、仕事を楽しむことができる雰囲気作りを重要視してきました。一人ひとりのオペレーターの応対の素晴らしさを共有できる取り組みや、表彰制度などを行っています。
江崎氏:共有の方法としては、コールセンターシステムの履歴にお客さまからもらった感謝の言葉を入力してもらい、その中で、最も優れた感謝の言葉をもらった人を選定して毎月MVPとして発表し、ささやかながらプレゼントを贈呈しています。感謝の言葉も以前は月に数件しかありませんでしたが、今では月間200件も集まるようになりました。
ー今後の計画や、カスタマーサポートの方針について教えてください。
田畠氏:お客さまに向き合ったお客さまのためのサービスを提供し続けていきたいです。最新のAIを活用したサービスを生み出していくことも考えていますが、AIと人のバランスを考えながら、SBI生命ならではの心のこもったAI活用を行っていきます。
KPIやリアルタイムでの人員配置の見直しなど、コールのデータ活用を進めていく必要性も感じています。お客さま接点の改善を進め、お客さまが本当に必要としているサービスを見極めながら新たな一手に着手していきたいと考えています。
ー顧客満足と従業員満足の好循環を生み出す御社のカスタマーサポートを支援できるよう、引き続き尽力して参ります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
いかがだったでしょうか?今回は、SBI生命保険株式会社さまのMOBI VOICE導入から2年経過後の状況をご紹介しました。 自動化してオペレーターの負荷を軽減したいが、お客さまの利便性を損ないたくないとお悩みの方は多いのではないでしょうか。 コールセンターが多忙な時期でも待たせることなく受付ができるようになり、オペレーターの負荷を軽減でき、人が対応すべきところに時間を割けるようになった、顧客満足度と従業員満足度の両方を向上できた好事例でもあります。 導入時の事例紹介はこちらをご確認ください。 より詳しい課題背景や解決の具体策などに興味があるお客さまは、お気軽にこちらよりお問い合わせください。デモ画面を実際にお見せしながらご紹介します。
当事例のサービス紹介資料
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ボイスボット「MOBI VOICE」
モビルスの「MOBI VOICE」は、わずか5分で、電話対応を自動化する AI電話自動応答システムです。機能、使い方、ご利用シーン、導入事例などを紹介資料に掲載しています。
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