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簡単に自己紹介をさせていただきます。私はずっとソフトウェア畑で仕事をしてきました。オンラインデータベース分野でメーフレームからオープン系までです。ここ10年はクラウド、ビッグデータ、AIといった新しい技術を使ったソリューション事業の立ち上げに携わってきました。特に近年はAIチャットボットビジネスの立ち上げを行ってきまして、2年前の11月8日に「CHORDSHIP」という商品を発表して、非常に多くのお客様に使っていただいております。では始めさせていただきます。

倉知氏の講演|「チャットボットの活用は問合せの自動対応だけだと思っていませんか?」「チャットボット活用におけるAIとヒトの役割は何だと思いますか?」

ここに2つ質問があります。

「チャットボットの活用は、問い合わせの自動応答だけと思っていませんか?」
「チャットボットの活用におけるAIとヒトの役割は何だと思いますか?」

今日は、これらの質問に対して、実践例を交えながら紹介をしていきたいと思います。

AI、IoT、5Gといった技術によりインターネットはPCの利用からスマートフォンに変わってきました。PCとスマホで何が違うかというと、PCは自宅やオフィスでしか使えません。しかし、スマートフォンだと常時インターネットにつながっています。

従来だと電話・メールでのアナログのコミュニケーションでしたが、最近の若者は電話をしなくなってきました。コミュニケーションの手段としてLINEチャットを使っているわけです。ですから、企業の顧客応対も、スマホ・チャットの対応は必須であると考えます。

今年に入ってAIでデジタルシフトが加速しています。新しいことをやろうとすると企業の中で課題も多いのですが、役員直下で組織横断のイノベーション推進室のような組織を作って取り組む事例が増えてきています。

倉知氏の講演

ここから、最新のAIチャットボットの事例を紹介させていただきます。

デジタルシフトが進む中、チャットボットの活用で一番ポピュラーなのは、「問合わせの自動応答」でしょう。これは、回答精度の高さが重要となります。次に「受付業務の自動化」です。電話でいろいろなことを質問されますが、その質問情報を聞き出してシステムに入れて業務システムと連携します。3つ目は、「スマホアプリ連携」です。スマホのGPSやカメラを利用した例です。

これら3つについて、具体的な事例を紹介していきます。

最初の例は大手損保会社様です。昨年の12月に3つの保険商品の問合わせをチャット化(問合わせ自動化)されました。そして、今年10月には残り22商品のチャット化を完了させています。チャットを導入することによって、電話の着電率が減り、契約も伸びており、非常に効果があると評価をいただいております。

倉知氏の講演|大手損害保険会社の事例

旅行保険の問合わせ見積り画面をご覧下さい。バナーをクリックするとチャット画面にアバターの女性がいて質問を受け付けます。例えば、下の自由入力欄に「子供の申請」と入力しますと、子供に関係するFAQから回答を探して表示されます。

保険の見積りも見てみましょう。旅行保険は、期間と行き先、人数が分かれば見積もりができます。出発日と帰国日を入力すると日数を自動計算します。「どこへ行きますか?」と聞いて、旅行先を選ばせます。そして、一人で行くのであれば個人プランを選びます。この3点を選ぶだけで見積もりが出せます。

さらに推奨プランと他のプランとの比較もできるようになっています。この見積もり機能の利用は、平日よりも夜間休日の方が3対7の割合で多くなっています。利用機器はスマホが7割程度となっています。

次の例は富士通社内のチャットボットです。出張の旅費精算や転勤の手続きなど人事部門への問い合わせに利用しています。1年かけて約4,000件のFAQをチャット化しました。働き方改革が進む中で人事部門への問合せも増えています。しかし、人事部門が問合せ対応に忙殺されてブラック化してしまっては本末転倒です。

そこで、チャットボットを使って、人事部門への問合せを自動化しました。もともと、富士通社内ではFAQを見て分からない場合は窓口に電話してもらいましたが、1月からは電話の窓口を廃止して、チャットで聞いてもらう方針に全面的に切り替わります。

最後はスマホアプリと連携した事例です。これは10月から保険会社様で実際に稼働している例となります。

自動車保険のロードサービスを呼ぶ際、通常は電話をしますが、LINEでも受付をします。LINEだと、GPSを起動して地図が表示されますので、今いる場所をそのまま送信できます。また、事故の状況をカメラで撮影して送信してもらいます。旅行中ですと、現在地が分からなかったりしますがGPSを使えば簡単ですし、事故の状況もなども写真で送ってもらえば、言葉では伝わらない詳細も把握することができます。

ここからは、提案やプロトタイプ段階のものをご紹介させていただきます。

一つがRPAを使った事例です。RPAは画面から入力操作を自動的に行ってくれる便利なツールですが、入力データの準備が大変です。そこで、チャットボットが入力データを集めて、チャットボットがRPAにデータを渡して業務システムに自動的に入力させるようなこともやっております。

音声を活用する事例もあります。例えば、電話のオペレーターの方が復唱した音声を検出して画面入力を手助けします。実際にご覧下さい。

もう一つ、音声入力、音声合成、多言語対応などを組み合わせながら、人がやっている作業を大型タッチパネルに置き換えていこうとしています。

例えば、銀行に行った時に「どんなご用件ですか?」と聞かれて、受付番号を受取ったりします。そういった受付をタッチパネルで済ませることができます。

こういったデジタル技術を使って、自動受付、スマホ連携、外国語対応ができるので、省人化が可能となります。

ここからはAIとヒトとをつなぐ「融合スキル」をについてお話しします。AIとヒトをつないで融合するには、3つのポイントがあります。1点目は、ヒトだからできることと、AIの得意技があること。次に、AI化には現場の知見が絶対に必要だということ。そして、最後の砦はヒトであることです。

倉知氏の講演|ヒトだからできることと、AIの得意技

まず、ヒトの得意な点は、意思決定や調整をチームワークで仕事をすることでしょう。そして、例外対応やねぎらいや共感をタイミングよく表現します。一方、AIの得意なところは、量的対応力とスピードです。同じ処理を何回も繰り返せるし、一度覚えたら間違えません。それぞれの得意とする点を認識した上で、AIはヒトに置き換わるものではなく、人間の能力を補完するものとしてフロントのデジタル化をやっていきたいです。

また、現場の知見を十分に活かす必要があります。例えば、どのような対話の流れを設計するかは、実際にコンタクトセンターで電話の応対をやっている方々が一番よくご存じです。ですから従来の電話のコミュニケーションの難しいところ(痛点)をAI(チャットボット)を使うことによってどのように補うかが大切です。

より良いカスタマーエクスペリエンスを実現するためにAI化をすることは大切ですが、AI化した後の可視化、分析、改善成長させていくことも重要です。分析して改善成長させていくことはAIにはできません。やはりヒトがAIを育ててやる必要があります。

倉知氏の講演|AIチャットボット導入のポイント まとめ

まとめますと、AIチャットボットの導入においては、業務プロセスの自動化は段階的に検討し、現場の知見を持ったヒトがAIを育て改善成長サイクルを回していくことポイントになります。これを「AIとヒトをつなぐ“融合スキル”」と呼んでいます。

最後に、こうした事例を実現する富士通の「CHORDSHIP(コードシップ)」について簡単にご紹介させていただきます。「CHORDSHIP 」は、CHORD+RELATIONSHIPです。CHORD(コード)とは企業のお客様の琴線に触れてより良い環境を作っていこうとするものです。

倉知氏の講演|CHORDSHIP(コードシップ)

中核となるのはDigital AgentでSaaSのサービスです。そして実際に導入するにあたってのコンサルティングサービス、そして電話チャットオペレーターのBPOであるコミュニケーター等のサービスを提供しています。単なるソフトウェアの提供ではなく、コンタクトセンターへの適用におけるノウハウも含めて提供しています。

特徴は少ない教師データで高い正答率なので短期導入ができることです。利用部門でAIの成長が可能で運用が楽です。そしてAIとヒトの最適な分担を実現しています。

企業がチャットボットを利用する場合、公式回答はFAQです。ですから、ディープラーニング型の技術ではなく、FAQに対してAIで表現を吸収して当てにいく仕組みを開発して、少ない学習データで高い正答率を実現しています。

また、AIチューニングなかなか大変ですが、「CHORDSHIP」では、トークスクリプト、類義語辞書、FAQの3点でチューニングができます。

それからアバターも重要だと思います。アプリアバターがあることによって、親しみやすさを醸し出して本音を引き出します。当社はアバターもいくつか用意していますので選んで使っていただけます。

さらに、AIとヒトとのハイブリッド運用としてロボットが答えられなかった場合にシームレスに有人オペレーターに連携できる機能がありますし、AI導入に関する各種のコンサルティングサービスもご用意しております。

最後は、少し駆け足になってしまいました。これで以上です。

ご清聴ありがとうございました。