<2022年11月30日→2024年7月12日更新>

WFM(ワークフォース・マネジメント)とは『人的資産(労働力)管理』のことを指します。コールセンターを運営する中で、人材不足や育成の課題を抱えながら、CX(顧客体験)を損なわず機会損失も防ぐ最適な人員配置をいかに実現するか、といった悩みを抱えている担当者は多いのではないでしょうか。

本記事では、WFMの実施方法や課題解決に向けたWFMツールの活用について解説しています。顧客サポートの品質を一定以上に保ちながら、コールセンターの人材配置や運用を最適化したいといった課題をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

WFM(ワークフォース・マネジメント)とは

WFM(ワークフォース・マネジメント)とは『人的資産(労働力)管理』のことを指します。企業のコールセンターでは、SV(スーパーバイザー)やオペレーターなどスタッフ(人的資産)を適切に配置することで顧客サポートの品質を一定以上に保ちながら、センターの人件費を「最適化」して管理(マネジメント)する必要があります。

「最適化」というのがポイントで、例えば「人件費を縮小するためにオペレーター人員数を必要最低限」にすれば良いのか?と言うとそうではなく「急激な呼量増加」の際には、顧客を電話・チャット上で「お待たせしてしまう」ことになるでしょう。その結果、CX(顧客体験)が損なわれ、顧客サポートの品質が下がってしまう事態につながります。

逆に、問い合わせ数の少ない時に必要数以上のオペレーターが電話やチャット対応をせず待機している状況だと、稼働率が下がり人件費の上では「機会損失」につながってしまいます。では、これらを両立するにはどうすればよいのでしょうか?

WFM(ワークフォース・マネジメント)の実施方法とは

「サポート品質」を保ちつつ「人件費」を最適化するためには、通常期と繁忙期それぞれの問い合わせ数を過去のデータを基に把握し、それぞれの時期に必要な人員数を配置する必要があります。

過去の「月・曜日・24時間のうちの時間帯」「春夏秋冬の季節需要」による問い合わせ数(呼量)変動には、それぞれある程度は一定の傾向があるかもしれません。ただ不定期になってしまう「自社の新製品などの発表、CM、メディアへのPR」あるいは「障害、インシデント」などについては、カスタマーサポート部門以外の変動要因も踏まえて広く情報収集し、人員計画を調整していく必要があります。

そして、これらの時間軸や原因となる事象を基にして、単純に「20人を何月何日の何時から何時に配置」とすれば良いわけでもありません。オペレーターにはそれぞれの「スキル」として対応できる問い合わせの種類(※たとえば製品Aは対応可能だが、製品Bは対応不可など)や、「習熟度」として時間帯あたりに対応できる問い合わせ数、対応できるチャネル(電話やチャット、メールフォームなど)にも個人差があります。

センターにおける人材マネジメント周辺の変数(例)

これらの変動要素に、コールセンター全オペレーターの勤怠状況、希望シフト、またはオペレーターを管理しながら有事にも対応するSVや管理者のリソースも踏まえて最適な配置をするのは、とても複雑で難しい業務でしょう。別コラムで触れた「コールセンターの人手不足の背景にある離職率の高さ」を鑑みると、対応業務や人材育成・管理の困難化が顕著になっています。

顧客ニーズに沿ってパーソナライズ化された対応や、問い合わせ窓口のマルチチャネル化によって「個人ごとに異なる対応」が求められる中、オペレーターに求められる「知識や対応スキル、対応方法」が複雑で専門的になっていると言えます。

複雑で専門的な対応ができるオペレーターを「育成・確保する」ことが難しくなっていることに加えて、オペレーターの育成や監督を行うSVの採用・育成も難しいため、オペレーターが十分に育たないばかりか定着もせず、その結果SVの負担も増してしまい、全体の改善サイクルを回すリソースが減ってしまうという「負のスパイラル」が起こる場合もあるのです。こうした背景から、全体最適を見越したマネジメントがやりづらくなっていることが伺えます。

WFM(ワークフォース・マネジメント)ツールを使うとできること

そこで、上記の解決に向けて「WFMツールを使うとできること」を具体的に整理してみたいと思います。

まずセンター運営側では、過去の問い合わせ数のデータを基に、想定問い合わせ数(呼量総数)や、最適な人員数と配置を予測して割り出すことができます。また、それら予測データを基に、時間帯や問い合わせ内容、対応スキルに応じたオペレーターのシフト調整、シフト管理をすることができます。各オペレーターは属性データ(姓名、連絡先、曜日ごとに可能なシフト、時給、過去の勤怠状況データ、顧客対応のスキルなど)を基に管理されているため、WFMツールをベースにしたセンターの運営設計ができるでしょう。

各ベンダーのWFMツールの種類によっては、シフトだけではなくセンターにおける各種管理業務(オペレーターへの座席の割り振り、離席or着席状況の管理、顧客対応状況の管理)やセンター内での情報共有ができるため、グループウェアや品質管理に類似した用途でも活用の幅が広がっているようです。

もしもオペレーター不足が発生しそうな時には、必要なスキルを備えた登録スタッフをWFMツール上でリストアップして、彼らに勤務を打診するための通知を一斉送信することもできたりします。

逆にオペレーター側では、自分が入れるシフトの登録をしたり、個人端末からシフト表を確認したりすることができます。運営側では特定の顧客対応時に必要な業務の知見などスキルの習得状況を整理把握することができるため、オペレーターの研修計画に転用されることもあるようです。

これらの意味では「運営側とオペレーターをつなぎ」ながら、「サポート品質」と「人件費」を両立させられるメリットがWFMツールにはあると言えるでしょう。

WFMツールでできること(例)

人員配置も、対応チャネルやコンタクトリーズン分析をふまえた「コールセンター全体設計」をしよう

WFMツールを用いて効率化するコールセンターの人員配置に際しては、有人チャットや電話窓口、またチャットボットやボイスボットなどのチャネルと、それらに寄せられる問い合わせの内容(コンタクトリーズン)の分析などを踏まえた、コールセンターの全体設計が欠かせません。

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