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<2019年12月30日→2022年1月21日更新→2024年1月30日更新>

顧客との円滑なコミュニケーションを図るために企業が利用しているチャットサポート。この記事では、チャットサポートの種類や導入するメリット、導入前に確認するべきポイントを解説していきます。


<目次>



チャットサポートとは

近年、企業は顧客との円滑なコミュニケーションを実現する動きが加速しており、その中でも注目されているのが、チャットサポートです。

従来のカスタマーサポートでは、電話やメールを利用した問い合わせ対応が一般的でしたが、これらの問い合わせ対応には「電話がすぐにつながらない」「メールの返信までに時間がかかる」等、顧客満足度に課題が潜んでいました。特に、突発的な問題や複雑な問い合わせに対して即座の対応が難しく、顧客が待たされることがしばしばありました。

こうした課題を対処するためにも、多くの企業がチャットサポートを導入し、活用しています。

チャットサポート(ノンボイスシフト)が求められるようになった背景

なぜ、チャットサポートが求められるようになったのでしょうか。業界の課題や、カスタマーサポートの仕事の特徴をもとに、チャットサポートが求められるようになった背景をご紹介します。

カスタマーサポートの人手不足

チャットサポートが求められるようになった背景の一つに、カスタマーサポートの人手不足が挙げられます。カスタマーサポートの人材不足は長年、業界全体の課題と言われていますが、その理由は、労働人口の減少に起因する採用難や、ストレスの多い業務内容に伴う離職率の増加です。

カスタマーサポート業務においては、日々同じ質問や苦情に対応することが求められ、モチベーションの低下や仕事への不満が生じやすくなっています。その結果、離職率が増加し、人手不足が生じています。

電話応対品質による顧客満足度の低下

電話応対において、「電話が一向に繋がらない」「オペレーターによる回答精度のばらつき」「保留で待たせてしまう」等は、顧客満足度の低下を招く要因となります。新商品の発売や、予約受付開始時期等、一時的な入電数が増加することにより、電話回線の容量が足りず、一向につながらない状況が発生します。

また、オペレーターの経験や知識不足により、回答できなかったり、質問から状況を把握できなかったりすることにより、オペレーターの回答にばらつきが発生します。

これらの結果、顧客満足度の低下につながります。

チャットサポートの種類

チャットサポートには3つの種類があり、機能面での特徴や違いをご紹介します。

有人対応型

チャットサポートの有人対応型は、専属のオペレーターが配置され、リアルタイムで顧客の疑問や問題に対応します。オペレーターによる柔軟な対応が可能で、個別のニーズに適したサポートを提供します。有人で対応をするため、顧客満足度が高い傾向にあります。

チャットボット型

チャットボット型は人の代わりにシステムが質問に対して回答をする方法となります。これにより、365日24時間顧客対応が可能となります。

チャットボットには、シナリオ型とAI搭載型の2つがあります。シナリオ型は事前に用意した選択肢をユーザーが選択をし、その選択肢によって導き出された質問に対して回答することが可能となります。

AI搭載型はユーザーがテキストで質問した文章をもとに回答を行うことが可能となります。学習データをもとに、ある程度自動で回答を導き出すことができます。

これにより、より広範囲な問い合わせに柔軟に対応可能していくことが可能になります。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、チャットボット型と有人対応型を併せ持つチャットボットとなります。チャットボットで対応できなかった問い合わせをオペレーターへ転送する仕組みとなります。

顧客満足度と業務効率化を両立させることが可能で、単純な質問にはボットが即座に回答し、複雑な問い合わせや個別対応が必要な問い合わせの場合にはオペレーターが担当します。チャットボットからオペレーターへの切り替えがいかにスムーズに移行できるかが重要です。


チャットサポートのメリット

チャットサポートの導入をするにあたり、どのようなメリットがあるのか考える方も多いのではないでしょうか。従来の顧客サポート対応手段である、電話やメールと比較してメリットをご紹介します。

電話と比べて短い時間でつながる

ある大手ECサイトの問い合わせページには、こんな風に書かれています。

回答までの待ち時間:「チャット」1分前後 「電話」30分以上 「メール」平均 3日。

チャットなら1分前後とは、驚異的な早さです。電話に対して、チャットの待ち時間がここまで短いのはなぜでしょうか?

電話と異なり、チャットサポートでは、顧客に返答してから、次に顧客からのレスポンスがあるまで、オペレーターは完全なフリータイムになるからです。そのため、顧客からの応答が遅い場合には、他の顧客のサポートが可能になります。

事実、チャットサポートでは、平均して同時並行的におよそ3人の顧客対応が実現できています。

サポートで扱う商品やサービスによっては、1対3以上、例えば5~6人の並行サポートが実現する事例もあります。最終的には、10人を目指しているという企業すらあるのです。

「ながら問い合わせ」をしやすい

電話サポートの場合、電車での移動中はかけられず、仕事中でも私用で席を外しづらいのが実情です。一方チャットサポートなら、電車ではスマホから、仕事中ならPCのウェブチャットから、気兼ねなく問い合わせができます。

つまり、チャットは何かをしながらの「ながら問い合わせ」をしやすいツールです。

モビルスの2021年の調査結果でも、チャットで問い合わせをしたことがある人のうち8割以上が、「チャットは便利」と答えています。

便利だと思う理由として、約3人に2人が「時間や場所を選ばず、自分の都合に合わせて問い合わせができる」(69.6%)ことを挙げています。

https://mobilus.co.jp/lab/chat-support/customer-support-survey/

電車の中から一度問い合わせ、乗り換え中はオフライン、次の電車に乗ってまた問い合わせを続ける。PCの操作について問い合わせ、オペレーターの案内を頼りにしばらく操作を行い、しばらくしてからまた質問を続ける。そんなイメージです。

その代わり、チャットサポートでは、顧客側も必ずしもオペレーターからの即時の返答を求めないのです。

このようなしくみが1対1で拘束し合う、電話サポートとの最大の違いです。

同時並行的に3名以上の顧客対応が可能なチャットサポート
問い合わせが重なると少し待たせることもあるが、同時並行的に3名以上の対応も可能

24時間365日対応を実現

チャットサポートを導入することで、有人オペレーターによるサポートとは異なり、24時間365日対応することが可能となります。夜間や休日でも問い合わせができるため、ユーザーの利便性を向上させることが可能です。

連絡・情報伝達ミスの防止

チャットサポートを実施する際に、顧客対応履歴をテキストで残すことができるため、社内での情報伝達漏れを防止することができます。また、電話の場合だと、通信環境により音声が聞き取れなかったり、曖昧な表現による意図を取り違えたりしますが、チャットボットを利用する場合はこのようなことも防止することが可能となります。


チャットサポートのデメリット

チャットサポートには3つのデメリットがあります。デメリットを確認してから導入可否を決定しましょう。

チャットを使いこなせない顧客も

ユーザーによってはうまくチャットを使いこなせない顧客もいます。ネットを使う習慣がない方はうまく操作ができない傾向があります。そのため、どんなユーザーに対しても使いやすい・直感的に操作しやすいインターフェースが重要になります。わかりやすいサポートページを設計することにより、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

従来のカスタマーサポートとは異なるスキルの人材育成・ナレッジ確保が必要

チャットサポートではテキストで、リアルタイムの対応が要求されます。そのため、テキストのやり取りから顧客の「課題・要望」を把握し、迅速に適切な回答を導き出す必要があります。顧客のニュアンスや感情を理解するのは難しく、誤解が生じる可能性がありますが、オペレーターのスキルアップが不可欠となります。これらのスキルを身につけることで、チャットサポートでも顧客満足度を向上させることが可能となります。


チャットサポートの導入方法

自社で開発する

自社でチャットサポートを開発する際、社内エンジニアによる自社開発が可能です。これにより自社の業務フローに合わせた柔軟なシステムを構築することが可能となります。しかし、一からプログラムを作成するにはユーザーのインターフェースの設計やセキュリティ対応等も検討する必要があるため、相応の時間と労力が必要となります。

ツールを導入する

既存のシステムを導入する場合、専門的な知識がなくても簡単に導入可能です。社内にエンジニアがいない場合でも、迅速かつ効果的にチャットサポートを利用開始することができます。短期間で導入・運用を始めたい場合はこちらを推奨します。既存のチャットサポートは使いやすいユーザーインターフェースや事前設定済みの機能を提供しているため、手軽に始めることができます。


チャットサポート導入前に確認するべきポイント

チャットサポートを導入しても失敗する企業はいくつかあります。せっかく導入したにも関わらず、失敗に終わってしまう、このようなことがないように、導入前に確認しておくべきポイントをご紹介します。

部署単位の課題ヒアリング

まずは社内の顧客対応担当者に現状の課題をヒアリングしましょう。これによって、チャットサポートに必要な機能やチャットサポートで対応するべき問い合わせ領域等が明確化しやすくなります。導入後の効果を最大化するためにも重要な点となります。

費用対効果の策定

ツール導入にかかるコストと、それによって解決される課題の釣り合いを検討する必要があります。初期費用や月額費用、それを対応する人件費と、人で対応した場合の解決策をもとに、比較をし、導入後の費用対効果を策定していきましょう。

担当者への教育や研修の実施

チャットサポートでは電話サービスとは異なり、テキストでの表現やタイピングスピードが求められます。テキストのやりとりから顧客課題を把握し、素早い策を回答する顧客対応が求められます。このため、高品質なチャットサポート提供するには、適切なコミュニケーション力やタイピングスキルを身につけるための研修が必要です。

複雑な内容への対応方法の検討

問い合わせ内容によって、チャットボット、有人チャット、または電話対応の使い分けが必要です。異なるコミュニケーション手段を適切に選択し、効果的なサポートを提供するためには、各手段の得意分野や弱点を考慮し、顧客のニーズに最適な対応を行う必要があります。

特定の情報や状況では自動化されたチャットボットが有効である一方で、複雑な問題や感情的な要素が絡む場合は有人チャットや電話対応が適しているかもしれません。使い分けの検討を通じて、より効率的で質の高い顧客サービスを実現することが期待されます。

まとめ

顧客との円滑なコミュニケーションを図るために、チャットサポートは効果的です。しかし、導入するメリットやデメリットがあり、把握しないで導入をすると失敗する可能性があります。

導入を検討する場合は、自社の課題が何か、チャットサポートを導入することで、課題を解決ができるかを見極めていきましょう。

チャットサポートを導入することで、自社の課題を解決できるかわからないという方や、どのチャットサポートが適切かわからないと疑問にお思いの方は、お気軽にモビルスにお問い合わせください。

下記より無料でダウンロードできます。ぜひご覧ください。

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細川
Webチャット、LINEチャットの他には、外国人顧客のサポートに最適なFacebook Messengerでのチャットサポートがあります。また、社内サポートには、SlackやTeamsを入り口にしたチャットボットやオペレーターチャットもあります。それぞれのチャネルの特性については、モビルスまでご相談ください。

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トランス・コスモスが運営する情報サイト「Cotra」
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