PRESS RELEASE
プレスリリース
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2024年11月25日(月)10:00
【第5回 お客さま窓口の利用実態調査(2024)】カスハラ電話増加の要因? つながらない、待たされるが不満トップ、対応への不満で5割強が購入やめた経験 窓口への問い合わせ手段は6割がチャットやメール、電話は4割にとどまる 7割強が問い合わせでチャット利用の経験あり、60・70代以上でも6割が利用
〜チャット普及の一方で話が通じない自動応答や返信の遅さに不満。満足度向上・カスハラ対策のためにもつながる窓口の確立が急がれる~
コンタクトセンター向けCXソリューションを開発・提供するモビルス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:石井智宏)は、CX(顧客体験)向上を支援するテクノロジーの調査・普及を行う「 CX-Branding Tech. Lab」の取り組みとして、企業のお客さま窓口に問い合わせをしたことがある、全国の男女729人を対象に第5回目となる「お客さま窓口の利用実態調査2024」を実施しました。
調査の結果、従来はお客さま窓口への問い合わせ手段は電話が主流でしたが、現在は4割にとどまり、問い合わせフォームやメール、チャットなどの電話以外の手段が6割を占めている実態が明らかになりました。窓口への不満は「つながらない・待たされる」が4割で最多でした。また、窓口の対応に不満があり商品やサービスの購入・利用をやめたことがある人は5割を超え、窓口対応の重要性がうかがえます。
電話以外の問い合わせ手段が主流となる中、チャットを利用したことがある人は7割で、60代・70代以上においても6割と全年代で普及している実態が明らかになりました。手軽さやすぐに回答がもらえることを理由にチャット利用が普及する一方で、「回答が的を射ていない」「返信が遅い」といった不満も寄せられました。
お客さま窓口対応への不満は、売上の低迷や顧客満足度の低下につながりかねません。また、長時間の待ち時間や求めている回答が得られないチャット応答だと不満や苛立ちが募り、カスハラ問題にも発展する可能性があり、企業にとって対応の重要性が一層高まっています。
■ 調査サマリ
・3人に1人以上が日常的なコミュニケーションとしてチャットやアプリ通話を最もよく使う
・9割以上の人が問い合わせをする前に自己解決を試みる、うち7割以上はWebサイトで調べる
・お客さま窓口への問い合わせ手段として6割以上が電話以外のノンボイス(チャットやメールなど)を利用、60代・70代以上の高齢層も電話利用は半数以下に
・不満トップ3は「つながらない・待たされる」(40.9%)、「通話料・通信料がかかる」(35.9%)、「問い合わせ方法がわかりにくい」(31.8%)
・7割以上がチャットでの問い合わせ経験があり、60代・70代も6割以上で昨年から1割以上増加。業界別トップ3は通信・小売り・メーカー
・7割以上が「チャットは便利」と回答、10代・20代は9割以上、60代・70代以上も2人に1人以上に上る
・チャットの利点は「場所や時間を選ばない」が最多、60代・70代は「オペレーターにすぐつながり、待たされない」を重視
・チャットの利用意向は若年層で8割超え、高齢層も増加し約4割に。一方、AIに苛立つ声も有り
・窓口対応は「なるべく人に対応してほしい」が最多、約6割が購入や利用に影響した経験あり、うち5割以上が対応に不満で購入・利用をやめた経験あり
■ 年代別など詳細データを含む調査レポートを無料配布中です
調査結果の詳細は、下記よりダウンロードいただけます。
URL: https://mobilus.co.jp/lab/research/customer-support-report/
■ 調査背景
カスタマーハラスメント(カスハラ)の問題は、お客さまの声を直接受けるコンタクトセンター(コールセンター)でも深刻な課題です。コンタクトセンターに寄せられる電話は、商品・サービスへの疑問やクレームの場合も多く、電話越しだと強い口調でクレームを受けることもあり、オペレーターの負荷が高く離職率が高い原因にもなっています。
カスハラはなぜ起きてしまうのか。コンタクトセンターをはじめとしたお客さま窓口の利用動向を明らかにすることで、カスハラにつながる背景や解決方法を探り、消費者と企業のコミュニケーションの在り方を考える目的で調査を行いました。2019年に初めて実施し、今年で5回目の調査です。過去調査との比較を元に、この間での推移や最近の傾向も見ていきます。
■ 2024年の調査結果の詳細(抜粋)
(1)3人に1人以上が日常的なコミュニケーションとしてチャットやアプリ通話を最もよく使う
[図1-1]
[図1-2]
日常の家族や友人とのやりとりで最もよく使うコミュニケーション手段を聞いた質問では、「チャット(LINEやFacebookメッセンジャーなど)」(34.8%)が最も多く、「アプリ通話(LINEなど)」(31.0%)が続きました。固定電話は5.9%でしたが、チャットと同じく3人に1人以上がアプリでの通話を挙げており、音声でのコミュニケーションはなくならないことが伺えます[図1-1]。
年齢別の比較では、年代が下がるに連れ「メール」の割合が減少傾向にあります。70歳以上はチャットの割合が全体平均の約半分(17.2%)と低く、メール(31.2%)とアプリ通話(34.4%)の割合が高くなっています。10代(9.6%)、20代(8.5%)、30代(4.0%)ではビデオ通話の割合が全体平均より高く、若年層は普段から多様なコミュニケーション手段を取っていることがわかりました[図1-2]。
(2)9割以上の人が問い合わせをする前に自己解決を試みる、うち7割以上はWebサイトで調べる
[図2-1]
商品やサービスについて確認したい点やわからないことがあるとき、企業へ問い合わせをする前に、まずどんな行動をとるか聞いたところ、97.9%の人が問い合わせをする前に、Webサイトや手元の説明書などを使い自己解決を試みていることがわかりました。最も多い行動は「Webサイトで簡単に調べる(43.1%)」で、次いで「Webサイトでじっくり調べる(30.7%)」「手元の説明書で簡単に調べる(13.7%)」「手元の説明書でじっくり調べる(10.4%)」でした。7割以上の人が、まずはWebサイトで調べています。 [図2-1]
(3)お客さま窓口への問い合わせ手段として6割以上が電話以外のノンボイスを利用、60代・70代以上の高齢層も電話利用は半数以下に
[図3-1]
[図3-2]
お客さま窓口に問い合わせをする際に最もよく使う手段を聞いたところ、全体では「問い合わせフォーム(31.6%)」「メール(13.3%)」「チャット(14%)」「DM(2.2%)」となり、6割以上(61.1%)の方が電話以外のノンボイスを利用しており、ノンボイスでの問い合わせが浸透していることが伺えます[図3-1]。
年代別にみると、若年層の問い合わせ手段は分散傾向にあります。若年層での電話離れはやはり進んでいますが、意外にも60代、70歳以上も、電話は半数以下でした。2023年の調査では、70歳以上は電話が半数以上(55%)を占めていましたが、今回は43.8%と10%以上減少しました[図3-2]。
(4)不満トップ3は「つながらない・待たされる」(40.9%)、「通話料・通信料がかかる」(35.9%)、「問い合わせ方法がわかりにくい」(31.8%)
[図4-1]
[図4-2]
お客さま窓口に問い合わせをした際に不満に思ったことを聞いたところ、全体では、「つながらない・待たされる」(40.9%)が最多で、「通話料・通信料がかかる」(35.9%)「問い合わせ方法・問い合わせ先がわかりにくい」(31.8%)が続きました[図4-1]。9割以上は自己解決を試みても分からず窓口に問い合わせている状態のため[図3-1]、「早く解決したい」という感情が高まっている可能性があると推測されます。
2023年の調査と比較すると、「つながらない・待たされる」不満は変わらず多いですが、10代・20代は「返信が遅い・連絡がこない」が最多で、全体的に不満が分散している傾向にありました。問い合わせ手段が多様化する中で、電話以外の選択肢を利用する人が増え、つながらない課題だけでなく、適切な問い合わせ先を探しやすくする、チャット対応の素早い返信を可能にするといった多方面での対策が求められているようです[図4-2]。
(5)7割以上がチャットでの問い合わせ経験があり、高齢層も6割以上で昨年から1割強増加。業界別トップ3は通信・小売り・メーカー
[図5-1]
チャットで問い合わせをしたことがあるか聞いたところ、全体では7割以上(71.7%)に経験があることがわかりました。前回調査から3.7%増加しました。年代別にみると、若年層の利用経験が高いですが、60代(68.5%)、70歳以上(64.1%)と高齢層も6割以上に上りました。2023年の調査と比較すると、60代(57%→68.5%)、70歳以上(48%→64.1%)では、チャットでの問い合わせ経験者が10%以上増加し全年代で普及しはじめていることがうかがえます。
[図5-2]
[図5-3]
チャットで問い合わせをしたことがある523名に、チャットでの問い合わせをしたことがある業界について聞くと、2024年は全体でみると、通信(36.3%)、小売り/ネットショップ(31.5%)、メーカー(28.1%)が、2023年の調査と同じく業界トップ3となりました[図5-1]。
過去4回の調査と比較すると、2022年から2023年にかけては、金融、旅行、運送/交通などが伸長しており、例えばネット証券へのチャット問い合わせ増や、従来対面窓口がメインであった産業でもオンライン化が促進されるなど、アフターコロナでの企業と消費者の行動変容の様子が伺え、2024年も引き続きオンライン化の促進が継続されていることがわかります[図5-2]。
年代別で比べると、通信業界への問い合わせ経験は、70歳以上が最多(58.5%)となりました。どの年代も通信、小売り/ネットショップ、メーカーがトップ3となっていますが、若年層は多様な業種へのチャット問い合わせ経験があることがうかがえます[図5-3]。
(6)7割以上が「チャットは便利」と回答、10代・20代は9割以上、60代・70歳以上も2人に1人以上に上る
[図6-1]
[図6-2]
チャットで問い合わせをしたことがある523名に、「チャットでの問い合わせは便利だと思いますか?」と聞いたところ、77%の人が「便利」だと回答しました。2023年と比較すると4%増加しました。2022年は80%、2023年は73%、2024年は77%という結果から、「期待していたより使えない」時期を経て、期待値に実運用が近づいてきていることがうかがえます[図6-1]。
年代別にみると、10代、20代は95%以上、30代は約90%、若年層の方がチャットでの問い合わせの便利さを高く評価していますが、高年層でも60代55.2%、70歳以上61%と、2人に1人以上に上っています[図6-2]。
(7)チャットの利点は「場所や時間を選ばない」が最多、60代・70代は「オペレーターにすぐつながり、待たされない」を重視
[図7-1]
[図7-2]
チャットでの問い合わせは便利だと思うと回答した404名に理由を聞いたところ、「場所や時間を選ばず、自分の都合に合わせて問い合わせができる」がトップで50.5%でした。次に「オペレーターにすぐつながり、待たされない」(45%)「電話や対面と比べて気を使わなくて良いので楽」(37.9%)が続きました[図7-1]。
年代別にみると、50代(51.1%)、60代(58.3%)、70歳以上(64.0%)は「オペレーターにすぐつながり、待たされない」を重視している方が多いことが分かります。10代は「電話や対面と比べて気を遣わなくて良いので楽」(38.9%)が2番目に多く、20代は全項目が均衡しており、30代は「テキストとして記録に残すことができ見返しやすい」(48.8%)、「電話や対面と比べて気を遣わなくて良いので楽」(45.1%)が2番目3番目に多い結果でした[図6-2]。
(8)チャットの利用意向は若年層で8割超え、60代・70代も増加し約4割に。一方、AIに苛立つ声も有り
[図8-1]
[図8-2]
今後の問い合わせ手段としてチャットを使いたいか聞いたところ、全体の6割以上が利用意向を示しました。前回調査から5%増加です。年代別では、若年層である10代(82.7%)、20代(83.8%)、30代(73.8%)の若年層は他年代と比べてチャットを望む声が多い結果でした[図8-1]。年代が上がるに連れ利用意向は減少していますが、60代(39.4%)・70歳以上(42.2%)でも約4割が利用したいと答えています。2023年の調査と比べて、60代(34%→39.4%)、70代(28%→42.2%)の利用意向の増加がみられました[図8-2]。
[図8-3]
[図8-4]
お客さま窓口への問い合わせ手段としてチャットを利用したいと思う理由を聞いたところ、「時間や場所を選ばない」「他のことをしながら問い合わせができる」など、時間や場所を気にせず自分の都合に合わせて問い合わせできることや、「電話やメールと比べて待たされず、解決が早い」「写真も簡単に送れる」「文章にした方が伝えやすい」「文字の履歴が残る」など、解決の速さやテキストコミュニケーションならでの利点や、「緊張しない」「気を遣わなくて良い」「人と話さなくて良いのが楽」など、心理的ストレスが軽減されるといった声が寄せられました。「今はチャットで解決できる範囲は狭いけど、これから進化していくと思う」と、今後への期待の声も見られました[図8-3]。
一方で、「AIは回答が的を射ていないことが多い」「有人チャットだと良いがAIだと対応範囲も狭くてストレス」「解決せずオペレーターに直接問い合わせた。二度手間になった」など、回答精度の低さや、対応範囲の狭さ、解決せず手間が増えたという声や、「便利だが返事を待つ時間を含めると時間がかかる」「すぐに返信が欲しいのに時間がかかりすぎる」「十分対応できる体制になっていない」といった、返信の遅さや解決までに時間がかかることへの不満の声が多く寄せられました。また、「入力が面倒」「文章で説明するのが苦手」など、テキスト入力の手間や対応範囲に関する声も挙がっていました[図8-4]。
(9)窓口対応は「なるべく人に対応してほしい」が最多。約6割が購入や利用に影響した経験あり、うち5割以上が対応に不満で購入・利用をやめた経験あり
[図9-1]
問い合わせをする際に企業に求めることを聞くと、「なるべく人が対応してくれること」を重視する回答が23.0%で、最多となりました。次いで「夜間や早朝でも時間帯問わず問い合わせができること」(20.6%)、「Webサイトに情報が載っていること」(20.3%)となり、この3点で回答の6割以上を占めています。
問い合わせの手段では「電話など音声のやり取りで問い合わせができること」(14.3%)、「チャットなどテキストのやり取りで問い合わせができること」(12.5%)という結果で、電話かテキストかは、そこまで重視されていないようです。電話でなくチャットなどテキストコミュニケーションでも、人に対応してほしいと望む声が多いことがわかりました[図9-1]。
[図9-2]
お客さま窓口の対応によって、その企業の商品やサービスの購入や利用に影響したことがある人は約6割に上りました。影響したことがあると回答した430名に具体的な内容を聞くと、「対応に不満があり、その企業の商品やサービスの購入・利用をやめた(52.8%)」が最多で2人に1人以上に上りました。「対応に満足し、その企業の商品やサービスの購入・利用を継続している(37.0%)」と回答した人は約4割でした[図9-2]。
■ 調査結果の考察
本調査の結果から、お客さま窓口に対して「つながらない・待たされる」ことを不満に感じる人が最多で、4割以上に上ることがわかりました。9割以上の人が自分で調べて解決できなかった状態で問い合わせをしていることから、「困りごとがある・調べてもわからない・電話して待たされる」ため、電話がつながったときには不満が増していると想像できます。
電話がつながらないことへの対策として、企業ではチャットなど他の問い合わせ手段を増やす動きも広まっており、お客さま窓口へ問い合わせする際に電話ではなくノンボイス(チャットやメールなど)を最もよく使う人が6割以上に上ることがわかりました。チャットでの問い合わせ経験も7割以上と年々増加しており、60代・70歳以上の高齢層も6割以上と大幅に増加しました。
一方で、「AIは回答が的を射ていない」「チャットで解決せずオペレーターに問い合わせて二度手間になった」「チャットの返信が遅い」など不満の声も挙がっています。問い合わせをする際に企業に求めることは「なるべく人が対応してほしい」が最多(23.0%)であることからも、企業はチャットボットと有人チャットを組み合わせたチャットサポートや、生成AIを活用した自動化や業務効率化などで、つながらない・待たされる課題の解消を行い、人ならではの役割に集中できる運用が求められています。こうした対策を通して、カスハラ防止につながっていくことが期待できます。
また、お客さま窓口の対応は、商品購入や利用継続に直結することも明らかになりました。企業にとって、お客さま窓口の利便性を向上することは、カスハラ防止に役立つことはもちろん、企業のブランドイメージや収益向上においても重要な取り組みとして位置づけていくことが必要だと言えます。
(関連情報)これまでの発表したお客さま窓口の利用実態調査について
・第1回2019年1月19日発表 https://mobilus.co.jp/press-release/6308
・第2回2021年4月24日発表 https://mobilus.co.jp/press-release/27674
・第3回2022年2月28日発表 https://mobilus.co.jp/press-release/30075
・第4回2023年6月13日発表 https://mobilus.co.jp/press-release/35233
■ 調査結果概要
調査名:お客さま窓口の利用実態調査2024
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年8月14日~8月15日
調査対象:全国の15歳~70歳以上の男女729名
調査方法:Fastask(株式会社ジャストシステム提供)でインターネットアンケート調査を実施
有効回答数:729サンプル
調査企画:CX-Branding Tech. Lab(モビルス株式会社)
※事前調査(15歳~70歳以上の男女6,173名を対象)で、「あなたは、商品やサービスについて、疑問点などを企業に問い合わせをしたことがありますか?」の質問に「ある」と回答した人を対象に本調査を行いました。
※メディアの方向けにExcelの調査データをお渡しすることも可能です。広報までお問い合わせください。
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