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西日本旅客鉄道株式会社|多言語チャット導入で外国語電話応対時間と比して24%削減、人員を増やさず新サービスに対応

大阪万博等で増えた外国人旅行者の忘れ物やQRコード予約のWEST QRの問い合わせ対応にチャットボットと有人チャットで対応

西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)は、インバウンドの訪日外国人旅行者向けの忘れ物とQRコード予約の「WEST QR」の二つの問い合わせサービスで、有人チャット「MOBI AGENT(モビエージェント®)」、チャットボット「MOBI BOT(モビボット®)」、「カスタマーサクセスメニュー」の「導入支援プラン」「あんしんサポート」を導入し、2025年2月よりチャットボットと有人チャットによる多言語対応の運用を開始しました。

導入の背景、運用方法や導入効果、今後の展望などについて、JR西日本 CS戦略部 CS推進室 箱崎 真理氏、JR西日本のお客様センターを運営する株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ 第1オペレーション事業部 忘れ物コンタクトセンター 永田 幸太氏にお話を伺いました。

※上部写真:(左から)JR西日本カスタマーリレーションズ 永田氏、JR西日本 箱崎氏、モビルス 平野
※記事中の肩書や内容はインタビュー当時(2025年4月10日)のものです。

企業プロフィール

事業内容
モビリティ業、流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業、その他
用途
忘れ物やWEST-QRの問い合わせにおける、チャットボットと有人チャットによる多言語対応
導入時期
2025年2月 (日本語の忘れ物チャットボット・有人チャット対応での導入は2024年5月)

導入サービス

課題

  • 訪日外国人旅行者数の増加に伴い、忘れ物をした外国人旅行者からの問い合わせが増加。
  • 従来は通訳者を介して電話で対応していたが、多くの時間を要し、応対業務の効率化が課題となっていた。
  • 今後さらに多くの外国人旅行者の来訪と、それに伴う忘れ物や切符購入に関する問い合わせの増加が予測され、迅速かつ多言語で対応できる体制の構築が求められていた。

施策

  • 忘れ物・WEST-QRの問い合わせ対応に、「MOBI AGENT」「MOBI BOT」を導入し、英語、中国語、韓国語の3カ国による外国語チャットボットを開始。
  • 営業時間内は、リアルタイム翻訳によりオペレーターがチャットで対応。

効果

  • 自動翻訳での有人チャット導入で多言語対応を強化。人員補充をすることなく多言語対応の新サービスに対応。
  • 忘れ物問い合わせの外国語電話応対時間に比して24%削減。
  • スムーズな多言語対応で利用者のチャットボット利用をサポートし、業務改善と利用者満足度の向上に貢献。

自動翻訳での有人チャット導入で多言語対応を強化、対応時間の削減・業務効率化の実現へ

ーはじめに、担当されている業務内容をお聞かせください。

箱崎氏:主な担当は、お客様センター業務とインバウンドです。お客様センターでは、主に高機能化施策を担当しており、多言語チャットボット導入に関する施策を担っています。


永田氏:忘れ物コンタクトセンターのスーパーバイザーとして、オペレーターの手上げ対応、二次対応を始め、今回の「忘れ物多言語チャットボット」導入では、必要な情報収集やヒアリング、チャットボットのシナリオや運用フロー構築などを行っています。

ー弊社サービスを導入する前に、直面していた主要な課題は何でしたか?それらの課題に対して検討した、または実施した解決策を教えてください。また、弊社の製品を選定された理由もお聞かせいただけますか。

永田氏:外国人旅行者数の増加に伴い、忘れ物の問い合わせが大幅に増加しており、今後さらなるご利用の増加が見込まれています。


これまで外国人旅行者からの問い合わせ対応は、通訳者を介した電話で行っていました。年間の問い合わせ件数は、電話で約4,700件(2024年度)です。忘れ物対応は「いつ・どこで・何を」の三点さえ押さえられると探すことができます。電話の場合、お客さまと通訳者とオペレーターの三者間通話で何往復もやり取りが発生するため、応対が完了するまでに多くの時間を要しており、業務の効率化の面も課題でした。


お客さまにとって忘れ物解決までのやり取りがよりスムーズになることを期待して、この度の「忘れ物多言語チャットボット」の導入に至りました。

▲忘れ物多言語チャットボットの画面。

モビルスのチャットシステムを選定した決め手は、チャットボット・有人チャットで唯一多言語機能が搭載されていた点です。チャットボットで、日本語の忘れ物のチャットボットと同様の応答シナリオの外国語表示や、有人チャットでの自動翻訳機能が可能になることで、お客さまは普段お使いの言語で問い合わせができ、オペレーターの外国語スキルによらない多言語対応ができる点に利点を感じました。


多言語チャットボット導入の前に、「忘れ物チャットボット」日本語版のリプレイス先として「MOBI AGENT」「MOBI BOT」を導入していました。リプレイスの選定基準として、将来的に万博やIR誘致などインバウンド対応が必要になることを見越して、多言語機能があることが最優先事項でした。その際の保守運用や開発対応の実績も含めて、接続の安定性が高く、サポート体制が充実している点や有人チャット連携もできる点なども後押しとなっています。

▲外国人旅行者向けの忘れ物対応の流れ
▲WEST QR(QRコード予約)での問い合わせの流れ

忘れ物の問い合わせ対応チャネルは、電話・チャット(ボットと有人)。チャットボットで忘れ物をした場所・時間・特徴などをヒアリングし、営業時間内(9:00〜20:00)は、オペレーターがリアルタイムでチャット対応を行い、情報を基に忘れ物データベースに登録。(WEST-QRに対応した多言語チャットボットでは、QR乗車サービスの利用開始にあたり、利用者がWebサイト内のチャットボットを通じて、利用前から利用中までの問い合わせを行うことが可能。営業時間内(8:00~22:00)。)

箱崎氏:新たにインバウンド向けにQRコードで乗車できるサービス「WEST QR」を開設するにあたり、ご利用前・ご利用中にお客さまからの問い合わせに迅速かつ多言語で対応できる体制を構築する必要があり、チャットボットの導入を決めました


QRコード予約は、利用者が海外のオンライン旅行サイトで購入した特急「はるか」の片道きっぷを、「WEST QR」ページまたはチケット購入者専用のWebサイトで登録・有効化し、スマートフォンに表示されたQRコードを改札の専用読み取り機にかざすことで、鉄道を利用できるサービスです。


これまでは専用のサイトでのご予約が必要で、発券の際には窓口や発券機に並んだり、操作が分からなかったり、切符自体の内容や使い方が難しいというお声があり、こうした点がなるべくシームレスにでき簡単に使えるように「WEST QR」のサービスを始めました。

▲JR西日本 CS戦略部 CS推進室 箱崎 真理氏

チャットボットでの問い合わせは、ご利用中に「今改札でQR乗車で入ろうとしたところ、どうにもならない」といった際の対応を想定しています。サービスご利用中のお客さまの困りごとをその場で解決するため、メールは不向きで電話は多言語対応が可能なオペレーターの確保が難しい状況の中、基本的には、お客さまご自身で困りごとの答えにたどり着くことができるチャットボットを、ご利用者が多い各言語で設定することで、困りごとを迅速に・多言語で解決できることを期待して導入しました。

▲「WEST QR」チャットボットの画面。利用者は英語、繁体字、簡体字、韓国語から言語の選択が可能。

外国人旅行者の忘れ物対応で外国語電話応対時間に比して24%削減、人員を増加せず新サービスに対応

ー導入後の効果を教えてください。

永田氏:忘れ物多言語チャットボットは、お客さまがご入力いただいた言語を自動的に翻訳してくれるため、担当者を選ばずオペレーター自身でスムーズなお客さま対応が可能になった点は、非常に助かっています。


利用者数も順調に伸びており、一日あたりのチャットボット問い合わせ受付数は10件前後、年間3,600件近くになる見込みです。将来的にはさらに増加が見込まれ、できる限りリアルタイムで対応し、お客さまのお困りごとを迅速に解決できるよう、チャットと電話の利用を促進したいと考えています。

▲株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ 第1オペレーション事業部 忘れ物コンタクトセンター 永田 幸太氏

元々日本語でのチャット対応の実績があるオペレーターなので、最初こそ少し戸惑う部分はありましたが、今は日本のお客さまとほぼ同じように対応できている状態です。


たまに尊敬語や謙譲語など、日本語特有の表現が意図しない翻訳になってしまうことがあります。例えば、日本のお客さま対応において、「JR西日本ではお品物を見つけることができませんでした」といった丁寧すぎる定型文で返信すると、翻訳の際に意味が正しく伝わらず、お客さまから「どういう意味ですか」と問い合わせを受けることがありました。


この点は運用でカバーできるため、定型文は「見つかりませんでした」など、端的な表現にとどめるようにしています。また、エンドユーザーであるお客さまに対しては、事前に「機械翻訳を使用しています」といった注意書きを表示するなど、スムーズな運用ができるよう工夫しています。


箱崎氏:サービス開始から二カ月ほどですが、「WEST QR」の問い合わせ対応も特に大きな混乱もなく、多くのお客さまが自動応答で解決していただいています。新サービスのため、既存のWEB予約サービスのメールでの問い合わせ件数と同じく一日30件ほどと予想しておりましたが、サービス開始直後から予想を大きく超え一日100件前後で推移しており、チャットボットを活用することで、お客さまが問い合わせをしやすい環境を整えられたのではないかと考えています。
また、多言語対応として新たにオペレーターを増員することなく、日本語対応のオペレーターで対応でき、大幅に人員を拡張することなく新規サービスの問い合わせ対応ができた点は大きな成果です。

ー弊社サービスを導入してからカスタマーサポートの業務効率や生産性にはどのような変化がありましたか?また、従業員満足度や顧客満足度についての変化もありましたら教えてください。

▲外国人旅行者向けの忘れ物問い合わせ手続きの流れ

オペレーターからは、「始めは不安もあったが、慣れてきてからは問題ない」と聞いています。チャットボットの導入にあたり、カスタマーサクセス担当の方にサポートいただく「あんしんサポート」も導入しました。当初はチャットボットの仕組みも分からないメンバーの集まりで、分からないことが分からない状態でしたが、カスタマーサクセス担当の方に基本から丁寧に教えていただき、定例会のほかBacklogで細かな疑問点もすぐに質問でき、非常に助かっています。おかげさまで、自分たちでシナリオを作り、運用を内製化することができ、安定したコンタクトセンター運営を実現できています


忘れ物チャットボットの放棄呼率※1は1%と低く、ほとんどのお客さまに途中で離脱することなく使っていただいています。お客さま満足度はチャット対応が終了した際にアンケートを取っており、5段階評価でほぼ4点か5点と高評価です。日中は日本人のお客さまも含めて問い合わせが増え、すぐつながらないと離脱してしまう方もおり、その場合は満足度評価が低くなることもあるので、運用でのカバーが必要だと考えています。


日本語版の忘れ物チャットボットに関しては、放棄呼が生じやすい日中の時間帯にも夜間と同じように受付から忘れ物管理システムへの取り込みまでできるようにシナリオを変更していく予定です。

※1 コンタクトセンター(コールセンター)でオペレーターに繋がる前に顧客が電話やチャットなどを切ってしまう割合のこと。


チャットでの解決率向上へ、人手不足の課題解消や窓口負担の軽減にも貢献したい

ー今後の展望について教えてください。

永田氏:忘れ物対応は、お客さまの品物を見つけることが最大のカスタマーサクセスにつながると思っています。今後、インバウンドのお客さまはさらなる増加が見込まれますので、受け入れ態勢を整えて快適にご利用いただけるようサポート面を充実していきたいと考えています。


箱崎氏:会社としても人手不足の課題もあり、窓口対応の負担軽減のためにも、「WEST QR」の割合を増やしていく方向性です。そのため、今後より多くのお客さまにご利用いただくことが見込まれますので、運用する中で集まったデータから離脱分析を行うなど利用状況を踏まえ、構成やシナリオ項目の見直しを図り、より迅速に簡単にお困りごとの解決に辿り着けるような、使いやすい構成に改善し、チャットボット・有人チャットあわせて解決率100%をめざしています。

ー今後さらに増える外国人旅行者のスムーズな問い合わせ対応をサポートできるよう、引き続き尽力してまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!

当事例のサービス紹介

ご導入いただいたサービスの資料はこちらからご覧いただけます。

有人チャットシステム「MOBI AGENT(モビエージェント®)」は、回答支援機能や生成AIによる後処理業務(ACW)の短縮、個人情報への配慮、ダッシュボード機能など、オペレーターに優しい支援機能が充実したチャットサポートシステムです。

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チャットボット「MOBI BOT(モビボット®)」は、7年連続国内売上シェアNo.1のチャットボットシステムです。AI、CRMやRPAなど外部システムと柔軟に連携でき、問い合わせ対応から手続き処理まで自動化できます。
※出典:株式会社アイ・ティ・アール 「ITR Market View:対話型AI・機械学習プラットフォーム市場 2024」

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