ペット保険シェアNo.1のアニコム損害保険株式会社(以下、アニコム損保)は、LINEを切り口に先進的な顧客サポートを提供する企業です。1週間近くかかる郵送での保険金請求をLINEで自動受付することで、顧客満足度の向上と工数削減の両立を実現しています。

また、有人チャット機能を用いてLINE上で獣医師とお客さまが直に会話できる「どうぶつホットライン」も好評です。ペットとの記念日写真を作れるコンテンツの配信などLINEでの様々な施策や、相互コミュニケーションを重視したSNSの運用などを背景に、LINE公式アカウントの友だち数は約60万人に上ります。

LINEを活用した施策の背景や効果、SNSの活用方法や今後の展望について、アニコム損害保険株式会社 経営企画部 広報企画課 課長 兵藤 未來氏、栗原 彩乃氏にお話を伺いました。

※上記写真:(左から) アニコム損害保険 兵藤氏、栗原氏

事業内容損害保険業
用途LINE上での保険金請求の自動受付・獣医師へのチャット相談
導入時期2017年5月

■導入製品

※記事中の肩書や内容はインタビュー当時(2024年3月15日)のものです。

■課題

・ペットの保険金直接請求は年間53万件。紙で郵送する請求方法は、大変な手間と工数がかかる。

■施策

・LINEで保険金請求を自動化

■効果

・最短3分で保険金請求が完了し、保険金振り込みまでの時間が短縮されたことによる顧客満足度の向上。

・紙で受付する対応工数を大幅に削減。

アニコムのLINE公式アカウント。LINE上でチャットボットの質問に答えるだけで、保険金請求が可能。極力入力の手間を省くため、選択式の質問になっている。

■目次

・月間2.5万人、直接請求の6割近くがLINEで請求
・友だち数600万人の気持ちを掴むLINE活用施策
・相互コミュニケーションを大切にしたSNS運用
・属性に応じた最適なコミュニケーションの実現へ

月間2.5万人、直接請求の6割近くがLINEで請求

アニコム損保では年間440万件の支払いをする中、88%が窓口請求ですが、保険証を無くした、忘れた、一部未対応病院の場合といった12%(年間53万件)は、直接請求です。「紙に印刷した上で記入し、必要書類を添付して郵送する」というお客さまの負担だけでなく、保険会社としても「届いた書類を確認した上で、入力し、書類も保管する」という手間とコストがかかっており、負担の多い直接請求の仕組みの改善が課題となっていました。

お客さま、アニコム損保、双方にかかる保険金請求の負担を減らすため、2017年からLINEを活用した保険金請求の仕組みを導入。利用者の多いLINE上で質問に沿って必要事項を入力するだけで、最短3分で保険金請求が可能になりました。

(左)LINEで保険金請求のイメージ。(右)従来のペーパーベースの請求フローでは、保険金請求書の用紙を印刷し、用紙に記入後、診療料金明細書を添えて郵送するという工程が必要だった。

開発・運用費等を踏まえて採算に合う割合として、LINE請求の目標利用率を15%と設定し運用を開始。結果的には、目標の利用数15%を運用開始後1年で達成しました。

「一度LINE請求を利用すると、紙の請求に戻ろうと思う方はなかなかいません」と兵藤氏が話す通り、開始後、利用率は年々増え、2024年2月には直接請求の60%近くをLINE請求が占め、月間2.5万人が利用するまでに至っています。

友だち数約60万人の気持ちを掴むLINE活用施策

アニコム損保のLINE公式アカウントの友だち数は、約60万人(2024年2月時点)です。月2回のコンテンツ配信で顧客接点を持つなど、保険金請求ができる利便性の高いアカウントに留まらず、コミュニケーションツールとして有効活用しています。

右肩上がりで利用者が増える有人チャット相談

その中でも、LINE上で獣医師に相談できる顧客向けサービス『どうぶつホットライン』はお客さまにも好評です。 

顧客向けのサービス『どうぶつホットライン』。アニコムグループに在籍している獣医師にLINEで相談ができる。

「保険料は高いと思ったけど、リアルタイムで相談できるから損じゃない」「先生の回答は納得できてすごい」といった声もSNSで寄せられ、相談件数は2020年の開始後から右肩上がりで増え続け、多い月だと2,500件にも上ります。

「どうぶつホットライン」利用者数の推移。右肩上がりで増え続けている。

『どうぶつホットライン』は当初、電話相談サービスも開設していましたが2021年に終了しています。ヘビーユーザーもいた反面、一部の限られた人にしか対応できないことを課題に感じ、同時対応も可能な有人チャット相談のみに移行しました。その後、「電話を復活してほしい」という大きなクレームはないそうです。

1週間で2.3万人の友だちを獲得した施策「#記念日から数えてみたら」

アニコム損保ではLINEの友だち獲得につながる企画も行っています。2024年3月8日の「ミモザの日」に向け、スペシャルコンテンツとして「#記念日から数えてみたら」の企画をLINEのメニューバーに表示し、「〇〇の日」に関連させた訴求施策として、一週間で23,000人の友だちを獲得する成果を出したそうです。施策内容と効果についてお話いただきました。

経営企画部 広報企画課 課長 兵藤 未來氏

「アニコム損保では2021年9月から、大切なペットとの日々を感じていただく企画「#記念日から数えてみたら」を行っています。アニコムのLINE公式アカウントを友だち追加し、必要な情報を送信するだけで、記念日から何日たったかを数えた『記念日画像』を制作することができる企画です。

ご契約者向けのメルマガのほか、InstagramやXで「3月8日はミモザの日です。アニコムのLINE公式アカウントでは『#記念日から数えてみたら』というお楽しみコンテンツを提供しています。ぜひ登録してください」と簡単な案内で呼びかけたところ、前日の3月7日に、お友だち数が前日比で14,000人も増えたのです。通常、1日で数百も増えることも稀なためとても驚きました。

メルマガ登録をしているご契約者さまの中にもLINEのお友だち登録をしていない方や、「記念日から数えてみたら」というコンテンツがあったことを知らない方もたくさんいらっしゃって、一日でのお友だち増加数としてはこれまでにないレベルでした。

実質追加費用は発生せずに、3月7日からの一週間で23,000人増えたので、スタンプ配信など広告を行う以上のお友だち数を獲得できました

「#記念日から数えてみたら」は、ペットとの大事な記念日から今日で何日たったかを知ることで、わが子と一緒に過ごしてきた日々に想いをはせ、これからのペットとの生活をより大切に過ごすきっかけにしてもらうことを目指している企画です。
https://www.anicom-sompo.co.jp/kinenbi/
メニューの「#記念日から数えてみたら」をクリックするとスタートします。写真を1枚送信するほか、「お名前」「数えたい日付」「記念日はいつ」の質問に答えると、自分だけの記念日画像が完成します。

LINEの友だち数の大幅増加だけでなく、Instagramでも「#記念日から数えてみたら」のハッシュタグを付けた投稿は20万件にも上り、大きなインパクトをもたらしています。栗原氏は「Instagramとの相性はもちろん良いです。ハッシュタグが付いているので、このタグを付けて投稿すれば良いんだと自発的に投稿してくださっています。その投稿を見て『最近流行っているようだから私も作ってみよう』と、どんどん投稿が増えていった結果です。しばらくタイムラインがミモザの黄色一色になっていました」と話します。

ブロック率の低下と、保険加入促進のメッセージ配信効果

友だち数の急激な増加の一方で、気になるのがブロック率です。兵藤氏によると、「2月29日以前は20%前後を行ったり来たりしていましたが、ミモザの日の施策を機にブロック率が下がったので、『#記念日から数えてみたら』のコンテンツの効果かと思っています」とのことで、顧客に寄り添った施策はブロック率の低下にも効果的だと言えます。

では、LINE公式アカウントからの保険加入についてはどうでしょうか。「保険加入への入口として、メニューバーに2つの商品のランディングページを載せています」と栗原氏は話します。

アニコム損害保険のLINE公式アカウントでは、隔週金曜日にメッセージ配信を行っており、ブランディングを目的とした内容が中心でしたが、先月初めて、商品プレゼントを切り口にした保険の申し込み促進キャンペーンの配信を行いました。

経営企画部 広報企画課 栗原 彩乃氏

栗原氏は「LINE上でのメッセージ配信は完全にブランディングに振り切り、保険色を出さない配信をしてきました。デジタルマーケティング部門の要望で保険商品のご案内の配信をすることになりましたが、今までとの方向性が違うため、ユーザーに刺さらないのではと思っていました。しかし、何もご案内していないときと比べて、配信したことでLINEからの保険加入数がとても増えたと担当から聞いています。ブランディング以外の配信が保険獲得につながりましたので、今後はブランドイメージを維持しながらも、時にはキャンペーンに併せてポップにご案内するのもいいかなと経験として思いました」と話し、このときのブロック率も「特別増えた感覚は全くない」とのことです。

相互コミュニケーションを大切にしたSNS運用

LINEの活用とともに力を入れているSNSは、「Instagram」と「X」です。SNSの運用について兵藤氏は、「Instagramはライフスタイルの提案や動物愛などマイルドな投稿、Xは現実味のある情報など、属性に応じて使い分け、ユーザーが必要とする情報を届けています。共通項は、相互コミュニケーションを大事にすることです」と話します。

Instagram、X、それぞれ専任担当をつけ、アニコム損保に関する投稿、UGC(User Generated Contents、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツ)へのコメントなど相互コミュニケーションを重視していると兵藤氏は説明します。

SNSでのコミュニケーションの一例。UGCに「いいね!」やコメント返信のやりとりを地道に行っている。

Instagramの担当をしている栗原氏に運用について聞きました。

「ユーザーの投稿を見ていると、アニコムに対して好意的に思ってくださっているような投稿が見受けられるので、毎日ピックアップしてリポストという形でコミュニケーションを取るようにしています。

リポストした後、我々の投稿自体に元の投稿者の方から『ありがとうございます』とコメントをいただいたり、第三者が『この子かわいいですね』などコメントくださったりします。投稿元の方が『紹介してもらいました』とストーリーズにあげてくれるなど、反応をいただくことが多いです。アニコムというアカウントがあるということが、こうしてじわじわ広がっているのではと想像しながら、期待を持っていつも取り組んでいます

SNSでの批判的な声も受け止めて、品質向上に役立てる

アニコム損保では、カスタマージャーニーに沿って顧客とのタッチポイントを設けています。LINEやSNSの活用はもちろん、保険加入やそのほか相談できるコールセンターの存在は、顧客との接点において重要な立ち位置を担っているとのことです。

SNSやコールセンターに寄せられる顧客の声は、好意的なものだけでなく中にはクレームなどもあります。そうした声は品質向上課に集約して苦情内容を把握し、原因と再発防止策を決めPDCAを回す運用を行っているそうです。

「これは創業者の考え方でもありますが、苦情をいただいたらそれは改善のチャンスととらえるところがあり、苦情をそのままにするのは絶対に良くない、改善していくべきだという会社としての考えがあります。『苦情を受け止めてどうしていくか』という企業文化の面からも絶対に避けてはいけないと思い対応しています」と兵藤氏が話すように、SNSでも批判的なコメント等への対応を適切に行っています。

アニコム損保の顧客とのタッチポイント。

属性に応じた最適なコミュニケーションの実現へ

最後に、LINE上の今後の施策についてお二人にお話いただきました。

栗原氏:
【#記念日から数えてみたら】の施策によって友だち数が増えたのは良いですが、増えたあと現状のメニュー表示だけでは新しく友だちになってくれた方に有効活用いただけないのではと感じています。例えばタブ分けをしてメニューを増やし、ご契約者向けと、ご契約者でないけど動物を飼っている方向けなど、友だち登録してくれた一人ひとりに沿うようなメニュー表示にしていきたいです。一人でも多くの方にご契約いただけるような施策を考えていきます。

兵藤氏:
メニューの切り分けは昔からやりたいと思っていました。「どうぶつホットライン」やLINEの保険金請求などのご契約者向けのコンテンツは表示していますが、「ご契約者でなくても、友だちになっているといろいろな情報をもらえる」ということも考慮して作っていきたいです。

メニューバーの工夫のほか、メッセージ配信の出し分けも行っていきたいです。例えば犬の飼い主様にはこのコンテンツ、猫の飼い主様にはこのコンテンツというように分けて配信することもやっていきたいと考えています。友だち登録してくれている方の属性をきちんと見ていき、求められていることに応じた最適なコミュニケーションを大事にしていきたいです。

当事例のサービス紹介資料

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