損害保険ジャパン株式会社では、代理店向け営業支援アプリ「モバイル!SOMPO」に、モビルスが開発したチャット機能を導入しました。セキュリティ性の高いチャット機能をリリースしたことで、安全、かつ効率的にお客さまとコミュニケーションをとっていただけるようになり、代理店や営業店の業務効率化、さらには顧客満足度の向上に貢献できているそうです。
導入の背景、活用方法や効果、今後の展望について、DX推進部パーソナルライングループの赤尾氏、営業企画部企画グループの中谷氏にお話を伺いました。
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事業内容 | 損害保険事業 |
用途 | お客さまと代理店のコミュニケーションツールとして使用 |
導入時期 | 2022年9月 |
■導入製品
「モバイル!SOMPO」アプリ内とPCブラウザの「チャット機能」
※記事中の肩書や内容はインタビュー当時(2024年3月22日)のものです。
■課題
- 代理店とお客さまのコミュニケーションツールは、電話やFAX、メールが中心となっており、推奨できるコミュニケーションツールが少なかった。
- 契約手続きなど必要書類のやり取りを行う際、従来はFAXや郵送で対応しており、お客さまの負荷が高く、個人情報漏洩・紛失の観点でも課題があった。
■施策
- 代理店向け営業支援アプリ「モバイル!SOMPO」にチャット機能を導入。
■効果
- 安全に個人情報のやり取りができるセキュリティを兼ね備えたチャット機能上で、書類のやり取りができるようになり個人情報漏洩・紛失のリスクを払拭。
- お客さまはLINE上でチャット機能を利用できるため、アプリをダウンロードいただくなどの負担がなく、手軽にチャット機能をご利用可能。
- チャット機能を活用することによって最短1日で対応ができるようになり、契約時のリードタイムを短縮。
- 書面でのやり取りがなくなったことで印刷物が減少し、発送作業かつ郵送費を削減。
- お客さまが希望する連絡手段の多様化に対応でき、顧客満足度向上に寄与。
■目次
・代理店とお客さま間のコミュニケーションツールにチャットを導入し、業務効率UP&セキュリティ面でのリスクを払拭
・お客さまが希望する連絡手段の多様化に対応し、NPSが大幅改善
・代理店の声をもとに機能改修を実現、さらなる効果拡大へ
代理店とお客さま間のコミュニケーションツールにチャットを導入し、業務効率UP&セキュリティ面でのリスクを払拭
ーはじめに担当されている業務内容について教えてください。
赤尾氏:
2021年4月に新設されたDX推進部に所属しています。 全社員がデジタル活用を思考のベースとして捉えることで、お客さまや社内、そして社会に対して新たな価値や品質を創造する風土の醸成を目指しています。その中で私は、当社の代理店さんの業務を支援するモバイルアプリである「モバイル!SOMPO」をはじめとして、現場に近いデジタル施策の推進や開発に関与しています。
中谷氏:
営業部門を所管する営業企画部に所属しています。その中でも、主に国内マーケットにおける営業戦略の企画・立案・実行・管理を担うグループに所属しており、デジタル活用による代理店さんの業務の生産性・品質を飛躍的に向上させるとともに、すべてのお客さまへ均質で最高のサービスが提供できる仕組みの構築を目指し、当社のデジタル戦略の核となるツールである「モバイル!SOMPO」の推進を担当しています。
ー「モバイル!SOMPO」のチャット機能導入前の課題や背景を教えてください。
中谷氏:
これまで代理店さんとお客さま間のコミュニケーションツールは、電話やFAX、メールが中心で、セキュリティ面において安全にご利用いただけるツールを持ち合わせていませんでした。例えば、車を乗り換えた時の手続きには、車検証など必要な書類のやり取りが必要になりますが、従来はFAXや郵送といったお客さまにご負担をおかけする手段でしかやり取りができず、個人情報保護の観点も懸念となっていました。
ー「モバイル!SOMPO」のチャット機能導入で解決できたことを教えてください。
中谷氏:
「モバイル!SOMPO」のチャット機能をリリースしてからは、チャット上で書類のやり取りができるようになり、お客さまにご負担をおかけすることなくスピーディーに対応できるようになりました。
例えば、書類の提出をお客さまにご依頼した際、郵送の場合は手続き完了までに1~2週間ほどかかっていましたが、チャットができたことによって、最短1時間もかからずに対応ができるようになりました。代理店さんにおいては、契約の満期が近づくと更新のご案内や見積書を印刷し、お客さまへ郵送するという業務がありますが、チャット上でお客さまへ資料を送付できるようになったことで、印刷物が減少し発送作業も無くなり、さらには郵送費の削減にもつながっています。ある代理店さんでは、郵送費だけで年間20万円ほどの削減効果が出ているという声もありました。
他にも、チャット上でお客さまから問い合わせがあった場合、コンタクト開始から問い合わせ内容の解決までの所要時間が日数単位で大きく短縮されたという効果も出ており、お客さまと代理店さんの双方にとって非常に便利な機能だと感じています。
また、当社は金融機関ですので、安全に個人情報のやり取りができるセキュリティを兼ね備えたツールとしてチャット機能が必要でした。書類の手渡しやFAXでのやり取りでは個人情報漏洩や紛失のリスクがありましたが、チャット上でのやり取りができるようになったことで、お客さまにも、代理店さんにも安心してご利用いただける環境になったと思います。
ー現在の「モバイル!SOMPO」のチャット機能の運用状況について教えてください。
赤尾氏:
まず、「モバイル!SOMPO」アプリのダウンロード率は推奨している代理店さんの約半数、チャット開設数は13万件に上っています。チャット機能リリース当初の想定数を上回る数値となっており、利用が定着してきたと感じています。
アプリリリース後、実際に代理店さんに利用していただくまでには大変苦労しました。「モバイル!SOMPO」は、このアプリがないと代理店さんの業務ができないといったツールではないため、必要性を感じていただくことがとても難しかったです。しかし、本社企画・開発メンバーの中には営業店経験者も多く、代理店さんの働き方変革や業務改善につなげたいという思いが強くありました。営業店と連携しながら、研修や会議を実施してアプリの良さを伝えたり、代理店さんの声をもとに機能開発を続けていくといった風土の醸成を行ってきたことで、現在のアプリダウンロード率やチャット開設数が達成できたと考えています。
お客さまが希望する連絡手段の多様化に対応し、NPSが大幅改善
ー「モバイル!SOMPO」にチャット機能を導入してから、顧客満足度に変化はありましたか?
赤尾氏:
代理店さんごとにアンケートを行っており、NPS(ネット・プロモーター・スコア)※を計測しています。「モバイル!SOMPO」のチャット機能単体でアンケートを実施しているわけではないため、代理店さんごとに評価につながる要因は異なるものの、チャット機能の利用開始前後でスコアが10~20%改善された代理店さんも見られました。
特に若年層のお客さまはチャットの開設を喜ばれる方が多いそうです。従来は、日中はお仕事中でお電話をとりづらく、自身の仕事が終わった頃には代理店さんの営業時間が終了しており、いつまでたっても電話がつながらずにストレスを感じるといったケースもあったそうで、チャットでのコミュニケーションを提案すると大変喜ばれたという代理店さんの声も増えています。
ー「モバイル!SOMPO」のチャット機能に対して、代理店さんの反応はいかがでしたか。
中谷氏:
代理店さんが自主的に「モバイル!SOMPO」の研修を行うといった動きが各所で見られています。「モバイル!SOMPO」を利用することで、出先でも契約内容を確認できたり、チャット機能を活用してお客さまとすぐにやり取りができるといった点をメリットに感じていただけているようです。
例えば自然災害が発生した際、お電話や郵送でご連絡をすることが難しいお客さまであっても、スマートフォンは保有しており、一部の代理店さんではすぐにお見舞いのメッセージをお送りしたり、安否確認や保険請求のお手続のご相談などを行う際に活用されました。代理店さんからは「スマホさえあれば、すぐにつながることができた」という声があり、万が一の災害時にすぐに連絡が取れる点を評価していただき、お客さまにも安心してもらうことができたそうです。
赤尾氏:
また、チャット機能を使うことで書類のやり取りをした履歴が残るため、書類の送り忘れも防げるようになったというメリットもあるようです。
このように各代理店さんが自由な発想で様々な使い方をしてくれていることは非常に嬉しく思っています。
代理店の声をもとに機能改修を実現、さらなる効果拡大へ
ー今後の「モバイル!SOMPO」の方針や目標について教えてください。
赤尾氏:
これまではチャット機能を利用するためにはスマホへアプリをダウンロードすることが前提条件でしたが、会社貸与のスマホでは制限があり「アプリをダウンロードできない」という代理店さんも多く、スマホではなくPCでもチャット利用をしたいというニーズがありました。
これをもとに機能改修が行われ、2024年3月からはアプリからだけでなく、PCブラウザからもチャット開設が可能になりました。これまでチャット機能を利用できなかった代理店さんでも利用可能になるため、今後さらなる効果の拡大が見込まれています。
今後もお客さまと代理店さん間でのチャット機能の利用定着に向けて、さらなる活用推進を行っていきたいです。
中谷氏:
今後、よりお客さまに高品質なサービス・商品をお届けする手段の一つとして、「モバイル!SOMPO」を品質向上の柱にしようという方針が全社的に広まっている状況です。特にチャット機能というのはお客さまと繋がるツールの一つで、接点強化に寄与するツールだと認識しています。今後さらにチャット機能を活用いただく代理店さんとお客さまを増やしていくことで、結果的にお客さまに有益な情報やサービスを提供する柱になっていければと思います。
※NPS(ネット・プロモーター・スコア):顧客ロイヤリティを数値化する指標
ー活用の幅がどんどん広がっている「モバイル!SOMPO」、今後の活用が楽しみですね。本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。
いかがだったでしょうか?今回は損害保険ジャパンさまの効率的なコミュニケーションを実現することを目的としたチャットの導入事例をご紹介させていただきました。個人情報を多く取り扱う企業さまにとっては、コミュニケーションの利便性向上と漏洩リスクは頭を悩ませる大きな課題になってくるのではないでしょうか。より詳しい課題背景や解決の具体策などに興味があるお客様は、お気軽にこちらよりお問い合わせください。デモ画面を実際にお見せしながらご紹介いたします。