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株式会社ファンケル|個人情報入力フォーム・FAQシステムと連携したチャット窓口を構築、顧客一人ひとりが望む手段で最高のCXを提供する
チャット運用の自走化を実現し、情報更新時間⅓に短縮

株式会社ファンケルは、2024年1月より有人チャット「MOBI AGENT(モビエージェント®)」、チャットボット「MOBI BOT(モビボット®)」を導入し、個人情報入力フォーム及びFAQシステムと連携したお問い合わせシステムを構築することにより、LINE公式アカウントやWebチャット上で、本人特定と個々の顧客要望に応じた手続き対応や問い合わせの自動化を実現しています。
導入の背景、運用方法や導入効果、今後の展望などについて、カスタマーサービス本部 カスタマーサービス戦略部 原園 早由里氏、川崎 純子氏にお話を伺いました。
※上部写真:(左から)モビルス 柏原、ファンケル 寺下氏、小田氏、川崎氏、原園氏、佐野氏
※インタビュー実施日:2024年10月30日

課題
- 化粧品やサプリメントなど定期便利用が多く、変更・停止手続きはマイページ(Web)と電話での手続きを推奨していたが、パスワード忘れなどログインできない顧客からの問い合わせが多く、電話に集中してしまう課題を抱えていた。
- 情報更新に時間を要することによる情報鮮度の低下を防ぐこと、FAQとチャットボットの連携によりチャネルごとの個別管理を無くすこと、メンテナンスに必要なデータを自由に抽出できる環境にすること、安全な環境下での個人特定を実施すること、を目標にリプレイスを検討していた。
施策
- カスタマーサポート専用LINE公式アカウントを開設し、問い合わせ導線を改善。
- 「MOBI AGENT」「MOBI BOT」を導入し、個人情報入力フォーム及びFAQシステムと連携したお問い合わせシステムを構築。
効果
- LINE公式アカウント・Webサイトのチャット上で本人特定と個々の顧客要望に応じた手続きが可能に。
- 自社でチャットボットのシナリオ更新や追加ができ、必要なタイミングで情報の即時アップデートができ、情報の更新時間を1/3に短縮。
- FAQシステムとの連携、WebとLINEの共通管理により業務負担を軽減。
- 管理画面で集計や分析ができ、効果や課題の検証に必要なデータを取得できるようになったことで、運用・メンテンナンスの質が向上。
目次
情報鮮度、データの集計・分析、チャネルごとの個別管理、個人情報の課題を解消し、チャット運用の自走化を実現
ーはじめに、担当されている業務内容について教えてください。
原園氏:私たちが所属するカスタマーサービス戦略部は、カスタマーサービス本部の取りまとめ役として、お客さまの体験価値を高めること、業務を効率化していくための施策を立案し、管理や運用の調整を行っています。

ー弊社サービスを導入する前に、直面していた主要な課題は何でしたか?それらの課題に対して検討した、または実施した解決策を教えてください。また、弊社の製品を選定された理由もお聞かせいただけますか。
原園氏:化粧品やサプリメントなど定期便利用が多く、変更・停止手続きはWebのマイページと電話での手続きを推奨していました。マイページに入る際にログイン情報が必要なため、パスワード忘れなどログインできないお客さまからのお問い合わせが多く、電話に問い合わせが集中してしまう課題を抱えていました。
2020年より有人チャットの対応を開始し、利用率を高めたいことや、社内からのチャット改善の要望などを受け、チャットツールとしてあるべき姿を検討していました。その中で、情報更新に時間を要することによる情報鮮度の低下を防ぐこと、FAQとチャットボットの連携を実施しチャネルごとの個別管理を無くすこと、メンテナンスに必要なデータを自由に抽出できる環境にすること、安全な環境下で個人特定を実施できること、を目指していました。
目標を実現できる機能があり、自社で情報更新ができることを選定基準としてチャットツールのリプレイスの検討を進めていました。
モビルスさんの製品を選んだ理由は、チャット運用の自走化ができることを始め、挙げていた課題をすべて解消できる見通しが立ったことです。仕様面でも問題ない上、コスト面でも他社と大きく変わらなかった点も後押しとなりました。また、将来的にはオペレーター支援AI「MooA®(ムーア)」との連携もできることも理由の一つです。
「MOBI AGENT」と「MOBI BOT」を導入し、個人情報入力フォーム及びFAQシステムと連携したチャットの問い合わせシステムを開発してもらいました。これにより、LINE公式アカウントやWebチャットで、トークルームに個人情報を残さずに本人特定ができるようになり、情報の更新も共通管理でき業務負荷も削減できています。

自動化完結が全てではない、適切なタイミングで有人チャットに接続できることが大事、顧客に寄り沿ったシナリオ設計
ー通販化粧品、健康食品市場は共に拡大の一途をたどっています。サービス検討時に、化粧品やサプリメントの通信販売大手であるファンケルさまにて、意識された業界背景や競合他社との差別化ポイントをお教えください。
原園氏:ファンケルの創業理念でもある「不」の解消を実現するために、「安心・安全」というお客さまが抱いているイメージを損なわないよう、商品はもちろん情報も正しく届ける責任があると従業員全員が意識しています。カスタマーサポートでお客さまと接する際にも、ファンケルだから安心・安全だと信頼を寄せてくださっていることを身に染みて感じています。だからこそ、より早く正確に情報を提供できることを大切にし、お客さまの期待に応えるよう日々取り組んでいます。今回のリプレイス時も、正しい情報をタイムリーに届けることが可能なツールであること、個人情報を適法に扱えることを重視していました。
カスタマーサービスでは、「お客さま一人ひとりに最高の体験価値(CX)を提供すること」をビジョンに掲げています。さまざまなコンタクト手段がある中で、電話が良いお客さまには電話で、チャットを選ばれたお客さまにはチャットで、それぞれ最高の体験の提供を実現できるよう意識しています。

川崎氏:他の通販会社はノンボイス比率を高めることや電話対応を削減することを目標に掲げているところも増えていますが、弊社はお客さまが求めるチャネルで対応することを最も重視しているため、チャネルを増やしてもノンボイスだけにするということは考えていません。お客さまが望む手段でお問い合わせできるように、最後まで電話窓口を残していきます。
ーチャットの設計・開発の際に、お客さまへの対応で特に配慮された点を教えてください。
原園氏:特に配慮した点は、お客さまの立場に沿ったシナリオ設計です。チャットボットのシナリオは選択肢も限られるので、全ての回答が用意できているわけではありません。ニッチな質問や個人情報が必要な問い合わせは個別対応できるよう、有人チャットへの接続をこまめに提示するようにしています。他社のチャットを使っていると、有人チャットにつながらない仕様のところも多いと感じています。自動化で完結することが全てではなく、個別対応が必要なのであれば、適切なタイミングで有人に接続できることは、意識した点です。
FAQ連携・LINEとWebの共通管理で情報更新時間⅓に短縮、データの可視化で効果測定や課題分析が可能に
ー弊社サービスを導入してからカスタマーサポートの業務効率や生産性にはどのような変化がありましたか?また、顧客満足度や従業員満足度への影響もございましたら教えてください。
原園氏:FAQとの連携・LINEとWebチャットの情報更新を共通管理できるようになったこと、ベンダーへ依頼せず自分たちで即時更新ができるようになったことが一番大きな効果です。情報更新にかかる時間は1/3ほどに短縮できています。
社会的に大きな問題となった原料に関するニュースが出た際も、すぐFAQに関連情報を追記し、お客さまが確認できるよう対応しました。総アクセス数の約4割が該当QAの閲覧になるなど、お客さまの関心が高いニュースだったため、緊急事態にもすぐ対応できたことで、お客さまの不安を少しでも解消することができるよう、情報掲載ができて良かったと安堵しました。
また、シナリオや小窓の設定場所により着信先を変更できるので、直接窓口担当に着信させることで一次受けをして担当窓口へ転送する手間が省け、お客さまをお待たせすることがなくなったことも良かった点です。
以前は、効果測定に必要なデータを取ることができませんでしたが、リプレイス後は管理画面から集計・分析が可能になり、効果測定や課題の分析に着手し始めることができています。現状把握のための数値を自社で即時取得できるようになり、生産性への効果を見える化できる環境になったことは大きな効果です。今後、チャットの利用件数や対応時間の削減など、効果や課題が見えてくると考えています。
従業員満足度の点では、オペレーターから「使いやすくなった」という声をよく聞きます。「MOBI AGENT」のグループ設定、着信設定、定型文メモが特に役立っています。オペレーターの負荷軽減をよく考えられていて、現場の視点に立って作っているのだろうなと感じました。
ーカスタマイズ開発についても導入効果をお教えいただけますか。
原園氏:お問い合わせ内容の7割近くは顧客特定が必要な内容です。会社の方針としてチャットのトークルームに個人情報を残せないため、個人情報の入力フォームなどの開発がなければ、チャットでの対応範囲を狭めないといけませんでした。カスタマイズ開発でチャットと個人情報の入力フォームを連携したことで、電話誘導が必要とされていた個人情報の特定が必要な問い合わせを、チャットで対応完了できていることでの効果があったと言えます。

電話かデジタルどちらが優先ではなく、顧客が選んだチャネルでの問い合わせで、満足いく対応、感動体験を提供していく
ー弊社のセールスやカスタマーサクセスのサポートがどのように役立ちましたか?満足している点、満足していない点があれば教えてください。
川崎氏:導入支援プランのほか、あんしんサポートの二つのメニューを導入しています。導入時のシナリオ設計など、導入後の自走を踏まえた構成にしてもらえたことが良かったです。運用開始後も、チャットボットのシナリオ作成について詳しい方にサポートいただけるので、とても質問しやすいです。画像などを用いて細かく回答してくださり、大変助かっています。カスタマーサクセス担当の方のサポートがとてもきめ細かく、常駐してほしいと思うほどです。
ー現在の課題やこれから解決していきたいことをお教えください。
原園氏:今年は問い合わせが生じる根本原因の解決にもチャレンジしています。問い合わせが減らないお客さまの困りごとが解消されない原因は、チャットやFAQにあるだけでなく、別に原因があるかもしれません。ツールで提示している情報が原因か、仕組みや商品など別の原因があるのか見極めて、どちらも対応して改善していこうと取り組んでいます。
ー今後のKPI目標や計画、カスタマーサポートの方針や戦略について教えてください。
原園氏:カスタマーサポート専用のLINE公式アカウントを開設したことで、チャットの入口として活用できていますが、LINEの特性を活かせていないことが課題だと認識しています。今後は、個人情報入力フォームと当社のCRMとのAPI連携を進めて、LINEの特性を活かしていきたいと考えています。また、「MooA」の導入では、VOC(Voice of Custmer)の活用のしやすさなどに期待しています。
カスタマーサポートで共通認識を持って取り組んでいるテーマは、お客さまと多く、深く、広くつながることです。電話かデジタル、どちらが優先ということではなく、お客さまが選択したチャネルでのお問い合わせで、満足いただく対応をし、感動体験を与えられることをカスタマーサポートの方針として今後も取り組んでまいります。
ー今後のさらなる取り組みに向け、引き続き尽力してまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました!
当事例のサービス紹介
ご導入いただいたサービスの資料はこちらからご覧いただけます。
有人チャットシステム「MOBI AGENT(モビエージェント®)」は、回答支援機能や生成AIによる後処理業務(ACW)の短縮、個人情報への配慮、ダッシュボード機能など、オペレーターに優しい支援機能が充実したチャットサポートシステムです。
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