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キヤノンマーケティングジャパングループは、世界中で幅広い事業を展開しているキヤノングループの一員として、日本国内のマーケティングやソリューションを提供しています。製品群やグループ会社は多岐にわたりますが、グループでのコンタクトセンター最適化を図るため、その第一歩として今回有人チャットを導入しました。

導入の背景や運用方法、今後の展望などについて、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コンタクトセンターマネジメント企画部 部長 糟谷氏、同部コンタクトセンターマネジメント企画課 課長 園田氏、チーフ 大内氏、キヤノンカスタマーサポート株式会社 センター推進部BtoC推進課 課長 小野氏、 米谷氏にお話を伺いました。

(インタビューは2022年8月4日に実施)

組織名     キヤノンマーケティングジャパン株式会社
事業内容   キヤノン製品および関連ソリューションの国内マーケティング
導入製品MOBI AGENT, MOBI BOT
用途· BtoC製品(カメラ・インクジェット・個人向けESET製品)のお客様お問い合せに有人チャットで対応
· 有人チャットでの対応完了後、二次対応としてチャットボットによる対応アンケートを実施
導入時期カメラ・インクジェット:2022年7月1日~
個人向けESET製品   :2022年7月4日~
左上より、
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コンタクトセンターマネジメント企画部 部長 糟谷氏、同部コンタクトセンターマネジメント企画課 課長 園田氏、チーフ 大内氏、
左下より、
キヤノンカスタマーサポート株式会社 センター推進部BtoC推進課 課長 小野氏、米谷氏、
モビルス営業メンバー

“デジタルシフト”と“「人」をよりプロフェッショナルに”。「攻めのコンタクトセンター」を目指す

―有人チャット導入を検討された背景について教えてください。

糟谷氏:

キヤノンマーケティングジャパンのコンタクトセンターマネジメント企画部ではグループのコンタクトセンター全体の最適化を職務としています。グループの中にコンタクトセンターが複数あり、これまでは各社でコンタクトセンターを立ち上げ、各々に業務を行う状況でした。数年前に、当部門が立ち上がり、グループのコンタクトセンターの最適化を図ることとなりました。

まず内向けにはキヤノングループとして同一品質標準の維持、またシステムについても可能な限り一元化を行うことに取り組んでいます。つぎに外向けには、グループとして「攻めのコンタクトセンター」を掲げ、どのようにお客様との顧客接点の利便性を高めるかについてグループ全体で取り組んでいます。

「攻めのコンタクトセンター」とは、デジタル化することだけではなく、「人」をよりプロフェッショナルにしていくことを目指しています。その上で、全体の事業貢献につなげたいと考えています。

キヤノンカスタマーサポートはグループ内では最も大きなコンタクトセンターですが、現在の顧客接点は一部メールの他、ほぼ電話となっています。顧客利便性を考えて、そのデジタルシフトの検討を当部門で行っています。

現在は電話が中心ですが、会社の中期計画としてデジタル比率50%を目指しています。今回、そのための第一弾として有人チャットを導入しました。将来的には有人チャットだけではなくチャットボットなどに広げる予定です。

―キヤノンカスタマーサポート様には、通常どのくらいのお問い合せがあるのでしょうか

小野氏:

BtoC推進課が担当しているコンスーマ製品の昨年1年間の実績では、全製品へのお問い合せに対する応答件数は、約77万件です。そのうち今回有人チャットを導入したインクジェットプリンタ、カメラ、個人向けESET製品の応対件数は約61万件で、全体のお問い合せの80%程度を占めています。

「現場が使いやすいUI」と「KPIのために精緻な集計機能の多さ」が決め手

―お問い合せ数はかなり多いですが、MOBIシリーズを導入された経緯や、検討の際に重視されたポイントについて教えてください。

園田氏:

「チャットを導入しよう」と決めてから、ベンダーのWebサイト等で情報収集を行っていました。元々ほかのベンダーで導入が決まっていたのですが、わたしたちが重視していた機能がそのベンダーにないことが分かり、再度検討し、モビルスを含めて何社かにご相談をし直しました。

最も重視したのは構築期間です。リリース時期を決めていたため、そこから大きくずれないことは大事なポイントでした。次にコスト、費用対効果、実現したい内容を機能が満たすかを検討しました。そこを確認し、やりたいことが実現可能と判断できたのがMOBIシリーズでした。

―「実現したい内容」とは、どのようなことがあるのでしょうか。

園田氏:

インターフェイスや入力機能が分かりやすく、現場が使いやすいという点です。

また現在は電話が主流であるものの、KPIを細かく設定しています。チャット製品だと他社製品は細かくKPIが集計出来ないことが多かったのですが、MOBIシリーズは精緻にKPIが設定可能とのことでしたので、決め手になりました。

小野氏:

他社製品になくMOBIシリーズで集計可能だったのが、まずは「同時対応人数」です。こちらは他社製品では集計出来ない指標でしたが、MOBIシリーズでは内包している仕組みがありました。また「平均対応時間」はダッシュボードが見やすく、現場側としては良かったポイントとなっています。「セッション放棄率」「稼働率」も他社製品では集計出来ませんでしたが、MOBIシリーズでは集計可能な項目としてあげられていました。

大内氏:

MOBIシリーズでは分類設定が複数階層で設定できるという点も他社にはない機能として魅力的でした。電話/メールと同じ分類設定を行い、受付チャネルごとの問い合わせ内容の違いを的確に捉えることができるため、具体的な改善施策の検討に有益です。今後チャットボットを展開するためにも非常に重要な情報となっています。

分類設定以外にも、MOBIシリーズでは非常に細かいログの取得が可能になっておりますので、チャット利用状況をしっかり分析しサービスの強化に活用していきたいと考えています。

導入後に「ここはこう違ったね」など設定変更が容易にできるのが魅力

―運用面で工夫されている点を教えてください。

園田氏:

体制面ではコンタクトセンターマネジメント企画課、BtoC推進課、キヤノンカスタマーサポートのインフラシステム担当部署で連携しながらシステム運用を行っています。このような規模のチャット導入は初めてだったので、日々試行錯誤をしながら「このような連絡をしなければいけないんだ」「このような確認をしなければいけないんだ」という運用ルールを今まさにつくっているところです。

米谷氏:

モビルスCSチームとは、バックログでいつでも連絡できる体制となっています。また文面のやりとりで理解が難しい時には、状況に応じてZOOM等での会話の場を設けてもらうことができるので、日々の運用では助かっています。

―運用を開始して、効果を感じている点や導入して良かった点はどのようなところでしょうか。

導入前後イメージ図

園田氏:

導入してから日が浅く、まだ十分な効果は実感できているわけではありません。ただ導入後、一切告知を行っていなかったのですが、導入初日から有人チャットを使ったお問い合せがありました。

そのような意味では「市場に対して受け入れられているツールである」という事が分かりました。今後はより効果を出すために、有人チャットで問い合せをした方のコールリーズンや、属性を分析することで、将来的にはチャットボットで自動対応できるようにしていきたいと思います。

小野氏:

また現場ではチャットをいれた事で、お問い合せチャネルのお客様ニーズは商品ごとに特徴がある事がより分かってきました。たとえば、ESETはパソコンに入っているソフトなのでパソコンでのチャットでお問い合せは来やすいです。一方、カメラはパソコンとは繋がないので、チャットお問い合せの設置個所は購入検討時など、そのような顧客接点に設置すべきかもしれないと現在検討をしています。

その点では、今回チャットをクラウドで導入し、導入後に「ここはこう違ったね」など設定変更の容易さ、すぐ修正ができるのは電話とは違ってやりやすいと感じています。

大内氏:

モビルス社には弊社が3年後5年後にどういう状態を目指していきたいかをお伝えしておりました。

導入一か月後に行った報告会では、モビルスCSチームから中期的ビジョンを踏まえた報告・提案をしていただきました。ここを目指すならまず1年後にはここを目指していきましょうといった具体的かつ参考になるアドバイスをいただくことができました。まだ手探り状態で進めている状況下で、今の課題に対してだけではなく、先を見越したサポートもしていただいており、非常に心強く感じています。

―導入後、チャットでのお問い合せはどのくらいありますか?またご利用頂いたお客様からの評価はいかがでしょうか。

園田氏:

導入初月の一か月間のお問い合せ件数は、インクジェットは想定通り、カメラは想定より少なく、ESETは想定より多いという結果でした。

それぞれの製品でweb小窓を設定しているURLは一つから開始しましたが、問い合わせ件数をチェックしながらweb小窓を設置するURLを増加していく予定です。

個人向けESET製品でのチャットサポート画面

また、お客様からの評価について、現在は有人チャット対応後に、ボットでアンケートを実施しています。

アンケートでは、「解決したかどうか」「満足度はどうか」を選択していただいています。「解決した」は8割、「非常に満足した」は6割で、「満足した」を含めると9割となっています。ここは当初想定していない指標でしたが、「結構満足していただけているんだ」という印象を受けています。

また解決しなかった場合でも「満足した」と回答されている方もいらっしゃいます。まだあまり細かくその理由を分析出来ていないので、今後アンケート機能を強化し、内容が探れるようにできると今後の展開や検討がしやすくなるのではと思います。

“人”は、より付加価値を提供できる領域へ

―今後の展開について教えてください

糟谷氏:

グループ全体のビジョンとしては、冒頭でもお伝えした通りデジタルシフトを実施し、ノンボイス比率50%にしていきたいと考えています。

デジタルシフトは、お客様の利便性向上はもちろん、コンタクトセンターの生産性向上をし、「”人”は、より付加価値を上げられる領域にリソースシフト」していきたいと考えていて、これが大きな目的です。

ですので、今回第一弾で有人チャットの導入をしましたが、そのほかのツールも今後導入し効率化をすすめ、将来的にはお客様の接点として本当に付加価値をあげるところに人を配置していきたいと考えています。

園田氏:

オペレータの人数次第でお問い合せの受付数も限られ、そうするとお客様の利便性も損なわれてしまいます。そのような意味でも自動化は推進していきたいです。今回の取り組みで、市場ではチャットが受け入れられているという事も分かったので、今後も注力していきたいと考えています。

また、これまで電話が中心だったので、デジタルに慣れているお客様の声を聞けていなかったのではないかとも思います。そのような方のお声を聞くために、我々にとっても新しい顧客層へのアプローチとして、有効なツールであると考えています。

―「人でないと出来ない部分」で、どのような領域に人を配置したいですか?

園田氏:

ロイヤルカスタマーなど手厚い対応が必要な方は、ある程度カテゴリーが決まっています。そのような方々には有人で丁寧に対応することで付加価値を提供していきたいと考えています。そうすることでカスタマーのロイヤル度が向上するのではと考えています。


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