<2021年1月19日⇒2022年5月30日更新>

チャットボットを導入する際に、「全体呼量(電話がかかってくる量)の〇%を削減する」といった目標を設定してしまうと、効果が見えずらくなってしまいます。

チャットボットを導入すると、これまでコールが嫌で電話してこなかった顧客からの問い合わせや、冷やかしチャットが一時的に増えることが背景にあります。

トータルの呼量が増えてもボットがそれを自動で処理してくれればよく、またオペレーターチャットの効率が高ければ費用対効果=ROIは出てくるものです。

「チャットボットを入れたことで、入電削減できた!」と言えるためには、どの問い合わせ内容(コールリーズン)を、チャットボットで自動対応することにしたか、を明確にしておかないと分析しようがありません。

コールリーズン分析をして考える
コールリーズン分析から、最適なサポートチャネルを導き出す

コールリーズンごとに分解して、

「そもそもチャット対応に向いているのか?」
「オペレーターによる有人チャットが良いのか?」
「チャットボットで自動化が適してるのか?」

……とステップに従って考えていくことが大切です。

その積み上げで得た効果こそが「全体呼量の何%が削減できた」という結果に繋がるのです。

コールリーズンごとに考える

ここではオンライン通販の会社を例にステップを見ていきます。

①コールリーズンを問い合わせ件数の多い順番に並べる

コールリーズンを問い合わせ件数の多い順番に並べると、
①配送状況など注文内容の確認
②定期購入に関わる手続き
③ログインに関する問い合わせ
④製品に関する問い合わせ

この順番で多かったと仮定します。

実は結構多いのですが、「コールリーズンが取れていない」という企業さんがいます。その様な場合は、ホームページのFAQ検索結果順位などが参考になります。

②どのコールリーズンに取り組むかを見定める

すべてのコールリーズンがチャット対応に適しているわけではありません。
どのコールリーズンに取り組むかを考えていきます。

基本的には呼量の多いコールリーズンから検討を進めていくのですが、

例えば、②の「定期購入に関わる手続き」で「解約したい」という問い合わせは、コールセンターでオペレーターが丁寧にヒアリングするなど、人が電話で受ける方が、解約を防げる可能性が高まると考えられます。

こういったコールリーズンは、最初からチャット化対応のリストから外すという判断もあり得ます。

③コールリーズンごとに、オペレーションを分解する

各コールリーズンに関わる「オペレーション」を分解していくことで、どのコールリーズンを優先的に取り組んでいくのかを決めていきます。

コールリーズンごとに、オペレーションの流れに沿って最適なチャネルを選定する

順番は、
①コールオペレーション自体の効率アップができないか
(かかってくる電話の対応自体を効率化できないか?)

②ノンボイス化すべきコールリーズンか?
(ノンボイス化する事で顧客にメリットを提供できるか)

③ノンボイス対応を行う場合、チャットボットを利用して自動化出来ないか?

④さらに、顧客システムなどと連携し、個別対応を自動化できないか?
(RPA連携可能か、それともシステム開発が必要か?)

このように検討していきます。

いきなりチャットボットの導入を検討するのではなく、順番に沿って、それぞれの段階で、どのような施策が可能かを分析していくことがポイントです。

チャットボットやシステム連携などを進めるほど初期投資がかかる内容となり、それだけのROIのインパクトが出るかを見定めながらの導入をお勧めしています。

例えば①の配達状況確認で考えてみます。

ノンボイス化すべきコールリーズンか?  
注文番号をもとにドライバーを含めた配送状況の確認が必要なので、お待たせ時間も含めてチャット対応が理想的。

チャットボットを利用して自動化出来ないか?
個々の注文番号による確認が必要なため、システム連携を行わない限り自動化は無理。ただし、必ず聞かないといけない点は一律なので、初期ヒヤリングはボットで聞いておくことは可能。オペレーターチャットでの折り返し対応が理想的。

顧客システムなどと連携し、個別対応を自動化できないか?
現在のコール数ではシステム連携による全自動化はROIが出ないので、やらない。

まとめ

効果の見えるチャットボット導入には、コールリーズンごとに、ステップを踏んで検討していくが必要です。

下記のポイントに沿って検討してみてはいかがでしょうか。

①どのコールリーズンに取り組むかを見定める
②いきなるチャットボット導入を検討するのではなく、コールリーズンごとに、オペレーションを分解する
③【電話(見直し)→有人チャット(ノンボイス化)→チャットボット(自動化)→システム連携】の順番にオペレーションを分解し、打ち手を考える

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