モビルスでは、「テクノロジーはコミュニケーションをどう変えていくのか」をテーマに【Communication Tech Conference2022】を2022年12月8日(木)~9日(金)2日間に分けて開催し、当日は合計約2000名を超える方にご視聴頂きました。 こちらのページでは、基調講演に登壇頂いた宮内謙氏の講演の一部の内容を要約しました 。
その他の登壇者の基調講演の要約は、こちらのページに公開しています。ぜひご覧ください。
新しいパラダイムの誕生
これまでのパラダイムとして2007年にスタートしたweb2があります。2007年はiPhone・ツイッター・AWSが出た面白い年で、スマホ・ソーシャル・クラウドという今後の10年を牽引していくものが偶然同じ年に誕生しました。そして2022年にはGAFAの時価総額は4社のみで日本のすべての上場企業の時価総額を超えました。
2007年から始まったweb2も、いまは成熟期を迎えています。なのでここから変化が起こります。新しいパラダイムが起こりつつあって、これがメタバース・Web3・AIです。
メタバース
定義はいろいろありますが、インターネットがアップデートされ「Internet 2.0」となるのが本質的に最も重要な変化です。これまでのインターネットはリアルが「主」・バーチャルが「従」でしたが、これからはバーチャルが「主」、リアルが「従」となってきます。その兆しはすでにあり、たとえばビットコインは、はじめてのバーチャルファーストなネイティブカレンシーです。NFTはバーチャルファーストなプラットフォーム、DAOはバーチャルファーストな組織の形、といえます。
Apple、ByteDance、SONYなど様々な企業がVRデバイスの開発・参入してきていますが、1億台の規模にいつ行くかがポイントで、それは2024年末だと思います。1億台というのはニンテンドースイッチと同じ規模なので、ニッチなガジェットではなくなるでしょう。それまであと2~3年です。
メタバースが広がるステージは3つあります。まず第一ステージは「ゲーム」としての1億台です。その次のステップで重要となるのは、「ビジネス/教育」現場での活用。そのつぎに「ポストスマホ」という段階になります。いまマイクロソフトやMetaもオフィスツールとしての普及にかなり力を入れています。また教育ツールとしてはどの科目においても大変活用できると考えます。またこれまでのスマホやクエストの使いやすさの進化を考えると、おおよそ2026年頃がVRグラス元年になるのではと考えています。
Web3
Web3は現在第4世代まできていて、昨年大きく話題となったNFTはデジタルデータに唯一性を与えるものです。それによりデジタルデータが価値を持つようになります。コレクタブルNFTの事例としては、Beeple, NBA Top Shot, ストリートファイターズ、Twitterの最初のツイートなどがあります。
また一点ものとしての使い方ではないものとして、ジェネレーティブNFTがあります。ジェネレーティブNFTの事例はCrypto Punks, Bored Ape Yacht Club , Azuki, Meta Samuraiがあります。
つづいては、メタバースNFTの事例です。これはメタバース空間上の土地を限定商品として購入できるものです。イメージとしてはセカンドライフに近いですが、セカンドライフの土地は限定ではありませんでした。この事例としては、THE SAND BOX, Decentralandなどがあります
またゲーム×NFTというジャンルもあります。これにより、Play to earn(ゲームをしながらお金を稼ぐ)というジャンルも出てきました。このようにさまざまなNFTのジャンルが出てきてこのなかでうまくいっているものも、時価総額がピークより落ちたものもあります。NFT2.0は終わって3.0に行きそうですが、ここではすさまじい勢いのアップデート、そこからのイノベーションが起こり続けています。
DAO
最後にDAOについて考えていきます。DAOは日本語では自律分散型組織と言います。DAOはあたらしい株式会社の形、バーチャルファストな組織の形のイメージです。DAOで重要なポイントは3つあります。DAOでもっとも大切なのは、ビジョンです。ビジョンに共感してできたコミュニティ、そしてコミュニティの発行する独自トークン、となるからです。最も成功しているDAOにイーサリアムがありますが、イーサリアムの創業者のビジョンに共感して、最初は7名から始まりました。ビジョンに共感し、参加者はそれぞれのできることをする中で、7人が2億人になり、イーサリアムの価値は20兆円となりました。またDAOで重要なのはインセンティブの民主化という点です。いままでの株式会社では資本関係に富が集中しますが、さきほどのイーサリウムはでは貢献した多くの人にインセンティブがありました。DAOで覚えておいてほしい点は、意思決定の分散化が重要なのではなく報酬の分散化、重要なのはビジョン・ビジョンに共感してできたコミュニティ・コミュニティが発行する独自トークン、これをみんなでやっていく、ということです。
web3時代は「参加する」といことが大きなキーワードです。ビジョンに共感して、参加し、みんなでコミュニティを大きくしていく。その結果コミュニティが大きくなりインセンティブにもつながる。この点がweb3時代の大きなポイントとなります。