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2026年のコンタクトセンター(コールセンター)はどう変わる?生成AIの活用は「点」から「線」へ、労働力不足やカスハラ対策への戦略的活用とは

投稿日:2026年2月24日 | 更新日:2026年2月25日

2026年1月27日、モビルス株式会社は「2025年の振り返りから読み解く、2026年の動向予測〜市場・顧客・生成AIから考える、これからのコンタクトセンター運営〜」をテーマに、オンラインセミナーを開催しました。 深刻化する採用難や賃金上昇、そして実用段階に入った生成AIの活用など、コンタクトセンター(コールセンター)が直面する課題と展望について、弊社執行役員の新谷が登壇し解説しました。当記事では、セミナー内容を抜粋して紹介します。

登壇者

モビルス株式会社
執行役員 セールスディビジョン長 新谷 宜彦

1989年に新卒で日本電信電話株式会社(NTT)に入社。入社以来長年にわたり通信システムの営業および開発業務に携わる。営業戦略部門において西日本エリア全域におけるマーケティング戦略策定業務に従事。その後、NTTマーケティングアクトProCXにおいて、コンタクトセンタービジネス等のBPO業務に関する西日本エリアの事業統括責任者を歴任。また、デジタルプラットフォーム開発プロジェクト責任者として、全社におけるAI・DX化を推進。2024年8月にモビルスに参画。コンタクトセンター業界のプロフェッショナルとして、セールス部門を統括。

<目次>


【2025年の振り返り】雇用環境の悪化が常態化。生成AIが「期待」から「必須」へ移行した年

雇用環境の悪化が常態化

2025年、コンタクトセンター(コールセンター)業界は、雇用環境について「賃金高騰・採用難が常態化し、共通認識として定着した年」となりました。

オペレーターの平均時給は1,500円時代に突入し、ノンボイス化の推進も含む「生産性の向上」や「呼量削減」に関する課題認識がより鮮明になり、生成AIによる業務プロセスの抜本的な効率化に対する期待が高まっています。

人工ビジネスの限界、BPO市場は踊り場へ突入

市場規模は1兆円超えを維持しているものの、人件費の上昇率が市場の成長率を上回る事態となっています。「実質的なマイナス成長」とも読み取れ、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場は極めて大きな潮目を迎えています。賃金高騰・採用難・顧客ニーズの変容等、社会情勢の変化によって「人工(にんく)ビジネス」いわゆる1人×単価というものの限界が鮮明化し、BPOビジネスは市場自体が「踊り場に突入している」現状と言えるでしょう。

こうした中でBPOベンダーは、生成AIを活用したビジネスへの進出など、従来の枠組みを越えて付加価値の高い事業領域への拡大に取り組むことが求められています。

応答率だけでなく「体験」の重視へ

コンタクトセンターの品質基準として重視するのは「つながりやすさ(応答率)」が圧倒的多数です。一方で、顧客は「解決に時間がかかる」「質問の意図を理解されない」「オペレーターの知識不足」といった課題解決までの体験も重視する傾向にあり、顧客体験(CX)向上への対応は欠かせないと言えます。

生成AI活用は「期待」から「必須」へ移行

2024年時点では約19%だった生成AIの活用率が、2025年には概念実証(PoC)を含めると63%のコンタクトセンターで活用が進む結果となりました 。モビルスではこれを「『活用の予定がない』は29%から3%と激減しており、活用の定着化、普及している結果」と分析しています。

生成AI活用への懸念点は、2024年と変わらず、ハルシネーション・個人情報保護・専門人材不足・費用対効果が上位でした。一方、課題に対する各センターの捉え方は、「ハルシネーション」は「嘘をつく」から「制御しきれていない」管理的な課題へ、個人情報は「現場の壁」から「企業統治の基盤」へ、人材は個人から組織的な「AI実装リテラシー(能力)の欠如」へ、コストは「採算を取る」から「投資としての正当性」へ、というように変化しています。

2025年は「期待の技術から現場で試す技術として移行した年」であり、生成AI活用は「必須」という認識が完全に定着したと言えます。


【2026年の展望】労働力は「希少資源」へ。カスタマーハラスメント(カスハラ)法整備と構造転換の年

2026年、コンタクトセンターを取り巻く環境はさらに激変します。

1. 「1,600円時代」の到来と労働力の希少資源化

最低賃金の上昇幅はさらに拡大し、オペレーターの時給も1,600円時代に突入することが見込まれます。これは、コンタクトセンターの労働力が希少資源化していることが、目に見えて取れる予測の現れと言えます。

2. カスハラ対策の義務化

2026年10月からは、改正労働施策推進法によりカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されます。法令で求められるのは「方針の明確化と周知」「相談窓口の設置」「対応マニュアルの整備」「従業員の保護、ケア」「再発防止策」の五点です。

多くの企業が準備を進め、枠組みや方向性は決めているものの、具体的な運用策に悩む現場も少なくありません。ここで期待されるのが生成AIの活用です。

<生成AIに期待されるカスハラ対応>

従来の課題 生成AI導入後の変化
監視体制 スーパーバイザー(SV)が複数通話を巡回(見落とし発生) 全通話をAIが常時監視・検知
判断基準 オペレータの判断・耐性に依存 客観的な基準による「組織的な対応」
事後処理 報告書作成に時間がかかる AIが数秒で証拠資料を作成
従業員満足度(ES) 「守られていない」という不安 「AIと組織が守る」という心理的安全

「全通話をAIが常時監視・検知することによって、漏れをなくす」「客観的な基準によって組織的な対応ができる」といった守りの活用について、モビルスは従業員満足度(ES)の観点から、生成AIの導入で常に会社は見守ってくれているという、従業員の心理的安全対策に活用することは重要と考えています。

3. BPOビジネスの二極化とCX市場の変化

BPO市場は、従来の「人数×単価」による労働集約型のビジネスモデル(人工ビジネス)が限界を迎え、成果報酬・コスト削減コミット型やBPaaS(Business Process as a Service)、AIハイブリッド(AI+高度専門人材)、CXコンサルティング一体型などといった「ソリューションビジネス」への転換がさらに進みます。

構造転換は、できるベンダーとできないベンダーが分かれてくる部分でありビジネスは「二極化」していくでしょう。ソリューションビジネスの先にCX市場があり、競合と競争、連携を進めてCX市場が形成されていくと予測されます。

4. コンタクトセンターは問題解決から価値創造の拠点へ

コンタクトセンターは、従来の「問題解決」を目的としたコストセンターから、企業価値を創出する「価値創造拠点」へと構造転換していきます。この構造変革における鍵は、次の三点に集約されます。

①体験の統合(マルチチャネルからオムニチャネル)

単にメールやチャットなど「窓口」を増やすだけでなく、顧客の「体験」を一貫させる「オムニチャネル化」により、分散したチャネルを統合した体験へと昇華させます。

②能動的アプローチ(リアクティブからプロアクティブ)

従来の受動的な体制から脱却し、データ活用を軸とした先読み型の「動くコンタクトセンター」への移行が求められます。

③AIとナレッジの自走循環(ナレッジ統合とエコサイクル)

生成AIの活用を前提とし、分断された情報をAIが自律的に循環させる仕組みを構築。これにより、提供価値の速度を最大化する「Time to Value」を具現化します。


生成AI活用のキーワードは「点から線へ」

2026年の生成AI活用は、単なる「ブーム」や「検証」を終え、啓蒙期から安定期へと移行するとみられます。モビルスが特に注目すべき三つの技術を紹介します。

① AIエージェントによるフル・トランザクション

これまでの一問一答のチャットボットではなく、後続の事務処理や手続きまで完結させる「AIエージェント」の普及です。なぜAIエージェントによるフル・トランザクションが大事なのでしょうか。たとえば損保会社では、入電の約3分の2は単なる質問ではなく、何らかの手続きや事務処理を伴うものです。「フロントだけを裁くというよりは、後続処理まで含めて自動化することが、より多くの生産性向上に結びつく」と述べ、顧客がリクエストした瞬間にその場で完結する体験がCXを劇的に向上させます。

② ゼロタッチACW(アフターコールワークの自動化)

ACW(平均後処理時間)を、人間が手を入れずとも完了させる「ゼロタッチACW」が2026年上期にブレイクすると予測しました。これを実現するのが、以下の三つの高度な技術です。

マルチリーズン・スキャン:問い合わせ内容をAIが分析し、コールリーズンごとにカテゴリに自動分類。一つの通話に含まれる複数の要件を正確に分類可能。
ダイナミック・サマリー:業務に特化した形式(フォーマット・必要事項・深度・トーン等)に併せて要約。
インテリジェントCRMマッピング:会話全体から必要な項目を発掘・抽出し、指定の項目・フォーマットで出力、手直し不要でCRM(顧客管理システム)に自動入力。

モビルスは「テキスト化やQA(質問と回答)ドラフト作成の点の技術」「点の技術をナレッジマネジメントや応対品質管理など、運用フロー上に乗せる線の活用」といったものを多くのコンタクトセンターが今試していて、これから実装が始まるのが2026年度と考えています。

③ トリアージボット

「生成AIのボットを活用したいというニーズは非常に高い」ものの、BtoC向けに直接AIが回答を生成すること(ハルシネーションのリスク)を懸念する企業はまだ多いのが現状です。 そこで先行して普及するのが、用件や個人情報を事前にヒアリングし、最適な窓口へ誘導する「トリアージボット」です。

「ハルシネーションという心配がなく、お客さまの言いたいことを深掘りして聞くことができる」「オペレーターの作業負荷や、顧客の待機というストレスから解放できる」といった効果が期待できます。「トリアージボット」は、今後間違いなくブレイクするソリューションと言えるでしょう。。

<関連記事>
生成AI活用の新機能「AIエージェント型ボイスボット」を提供開始、SBIいきいき少短に本導入決定 電話口で顧客一人ひとりに寄り添い、人が応対しているような自然な対話で用件を特定し受付完結

また、2025年の振り返りで触れた生成AI活用に伴う懸念点については、捉え方が変化しており、技術の高度化による改善・解決も進んでいます。完全な払拭には相応の期間を要するものの、テクノロジーによる制御と適切な運用ルールの確立により、実用上の課題は克服可能な水準へと移行しています。

<生成AI活用に伴う懸念点と解消法>

懸念点/リスク 解消法
ハルシネーション(虚偽回答) RAG(検索拡張生成)の高度化と
検証用AIによるガードレール
個人情報保護 個人情報の自動匿名化(PETs)
プライベートSLM(小規模言語モデル)
AI人材不足 ノーコードAIプラットフォーム
AIセルフチューニング
ROIの不透明感 ゼロタッチ運営
Agentic AI(事務完結型エージェント)
BPaaS


【まとめ】生成AI活用のために、取り組むべき三つのこと

最後に、セミナーでは生成AI活用のために、今すぐ着手すべき具体的なアクションを三点提案しました。

業務プロセスの可視化と工数把握

一つ目は「業務フローを見える化していく」ことです。関連部門を含めた業務の流れと、それぞれのプロセスにかかっている具体的な工数・時間を把握することが、AI導入の効果を測るための大前提となります。

中期ビジョンに基づく連続的な計画

二つ目は「生成AIの活用を中期計画ベースで考える」ことです。 単発の導入ではなく、システムフロー・業務フローに基づいた連続性のある計画を立ててマイルストーンを置き、現場の責任者を巻き込んだアジャイルな開発体制を構築することが重要です。

ナレッジ整備(最優先事項)

三つ目はモビルスが最も重要視をしている「ナレッジの整備」です。「AIを活かすも活かさないも実はナレッジ次第」であるためです。既存ナレッジの収集、断捨離、そしてAIが使いやすい形への構造化、さらには、ナレッジが陳腐化しないための運用ルールを定めることが不可欠です。


質疑応答:現場で活かすためのプロンプトとナレッジの壁

セミナーの後半では、参加者から多くの質問が寄せられました。抜粋してご紹介します。

Q: 業種による要約の違い(ダイナミック・サマリー)は自社で調整可能ですか?

基本的にはプロンプトエンジニアリングの中で必要な形態にする方法です。現在のプロンプトはかなり賢いため、相当なレベルまで作り込みができるため、業務フィッティングが可能です。初期段階はモビルスが作成しますが、必要であれば改修方法をレクチャーし現場で活かせるようにサポートします。

Q: ナレッジ整備の「壁」をどう乗り越えるべきでしょうか?

ナレッジ自体が決められたルールの中で作られておらず、管理する部門もバラバラになっているので、社内全体を統一した動きの中で整備していくことが必要になります。 最後は、人間が手を入れなければならない部分と仕分けた上で、一つのナレッジに仕上げていくことが必要になると考えています。

2026年、コンタクトセンターは「問題解決の場所」から「価値創造の拠点」へと進化を遂げるターニングポイントを迎えます。人手不足という逆風を、生成AIの活用などDX推進、そしてCX向上の力に変えていく必然性が求められています。

「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」を掲げるモビルスは、その伴走者として、これからもコンタクトセンター(コールセンター)のCX向上を通じて企業の競争力を高め、収益を最大化するための総合的な支援を提供してまいります。

生成AIで応対業務をスマートにし応対品質の改善を促進させるオペレーション支援AI「MooA」をはじめ、AIボイスボットやAIチャットボット、自己解決を促すビジュアルIVRなど、顧客満足度につながる幅広いニーズに対応できるソリューションを開発提供しています。ぜひご相談ください。

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