コールセンター(コンタクトセンター)における応対品質とは?評価指標・低下の原因と改善法
投稿日:2026年1月30日 | 更新日:2026年1月30日
コールセンター(コンタクトセンター)における応対品質は、顧客体験(CX)を左右し、企業のブランドイメージや売上にも影響を与える重要な要素です。問い合わせ内容の高度化・複雑化、人材不足・離職率増加による品質ばらつき、SNS・口コミ時代におけるリスク増大、といった背景から応対品質は現場レベルの問題ではなく、企業全体で管理すべき重要指標として注目されています。
本記事では、コールセンターにおける応対品質の基本から、重視される理由や評価指標(KPI)、応対品質が低下する原因や向上・改善策、さらにAIによる音声解析やAIエージェントなどDX・システムを活用して応対品質の改善を行う方法まで詳しく解説します。
<目次>
- コールセンターにおける「応対品質」とは?
- 「応対品質」が重要視されている理由とは?
- 「応対品質」を測る評価指標(KPI)とは?
- 「応対品質」が低下する主な原因とは?
- 「応対品質」を向上・改善する方法とは?
- AI時代の「応対品質」改善におけるDX・システムの活用方法とは?
コールセンターにおける「応対品質」とは?
まず、コールセンターにおける応対品質の定義と企業に与える影響について見ていきましょう。

定義
コールセンターにおける応対品質とは、単に「丁寧に話す」「敬語が正しい」といった表面的な要素だけを指すものではありません。顧客の状況や意図を正しく理解し、適切な情報提供や解決策を提示できているか、という一連の対応プロセス全体の質を意味します。
声のトーンや言葉遣いに加え、ヒアリング力・判断力・説明力など複合的な要素で構成されるのが特徴です。つまり応対品質とは、顧客体験(CX)を左右する総合的なコミュニケーション品質と言えます。
応対品質が企業価値に与える影響
応対品質は、顧客が企業をどう評価するかに直結する重要な要素です。問い合わせ対応は、顧客にとって「企業と直接接点を持つ数少ない機会」であり、その印象がブランドイメージを大きく左右します。
応対品質が高ければ信頼感や安心感が醸成され、継続利用やロイヤルティ向上につながります。一方で品質が低い場合、不満や不信感が蓄積し、解約・悪評拡散といった企業価値の毀損を招くリスクもあります。
「応対品質」が重要視されている理由とは?
応対品質は、「問い合わせ内容の高度化・複雑化」「人材不足・離職率増加による品質ばらつき」「SNS・口コミ時代におけるリスク増大」といった背景から、近年益々重要視されています。
問い合わせ内容の高度化・複雑化
近年、コールセンターに寄せられる問い合わせは、単純なFAQ(よくある質問)対応から、複数サービスを横断する高度な相談へと変化しています。
商品・契約・システムが複雑化する中で、オペレーターには高い理解力と判断力が求められます。表面的なマニュアル対応では解決できないケースが増えており、応対品質の差が顧客体験に直結しやすくなっています。この背景から、応対品質の重要性はこれまで以上に高まっていると言えます。
人材不足・離職率増加による品質ばらつき
コールセンター業界では慢性的な人材不足や高い離職率が課題となっており、経験値やスキルにばらつきが生じやすい状況です。新人オペレーターが増えるほど、応対品質の均一化が難しくなり、対応レベルの差が顧客に伝わりやすくなります。
そのため、個人の力量に依存しない「安定した応対品質」を維持することが、組織的な課題として強く意識されるようになっています。
SNS・口コミ時代におけるリスク増大
SNSや口コミサイトの普及により、コールセンターでの対応は簡単に外部へ共有される時代になりました。たった一度の不適切な対応が、企業イメージを大きく損なう恐れもあります。特に炎上リスクの観点では、応対品質の低下は経営リスクそのものといっても過言ではありません。
こうした背景から、応対品質は現場レベルの問題ではなく、企業全体で管理すべき重要指標として注目されています。
「応対品質」を測る評価指標(KPI)とは?
応対品質を測る評価指標は、主に以下の三つです。
・AHT(平均処理時間)
・FCR(一次解決率)
・CSAT(顧客満足度)
AHT(平均処理時間)
AHT(Average Handling Time)は、一件の問い合わせに対してオペレーターが対応を開始してから終了するまでの平均時間を示す指標です。
業務効率を測るうえで重要なKPIですが、AHTの短縮だけを目的にすると応対が雑になるリスクもあります。応対品質の観点では、「適切な時間で、過不足なく解決できているか」を見ることが重要です。AHTは単体で評価するのではなく、解決率や満足度と組み合わせて分析することが必要です。
FCR(一次解決率)
FCR(First Call Resolution)は、最初の問い合わせ対応で問題が解決した割合を示す指標です。
応対品質が高いほど、顧客の要望を正確に把握し、その場で解決できるためFCRは高くなる傾向があります。FCRが低い場合、説明不足や認識のズレ、知識不足などが原因となっているケースが多く、応対品質の課題を発見する重要なヒントになります。再問い合わせ削減の観点からも、非常に重要なKPIです。
CSAT(顧客満足度)
CSAT(Customer Satisfaction)は、応対後のアンケートなどを通じて顧客満足度を数値化する指標です。
オペレーターの態度や説明のわかりやすさ、解決スピードなど、応対品質の結果がダイレクトに反映されやすい特徴があります。一方で、感情や期待値の影響を受けやすいため、単発の数値だけで判断せず、推移や他指標との相関を見ることが重要です。
「応対品質」が低下する主な原因とは?
応対品質が低下する主な原因として、以下の四つがあります。
・オペレーターのスキルの属人化
・マニュアル・ナレッジの形骸化
・忙しさによる応対の機械化
・評価が現場にフィードバックされていない
一つずつ見ていきましょう。

オペレーターのスキルの属人化
応対スキルが一部のベテランに依存している状態では、品質のばらつきが生じやすくなります。教育内容が体系化されていない場合、新人は「見て覚える」「個人の工夫に任される」状況になりがちです。その結果、同じ問い合わせでも対応レベルに差が出てしまい、全体として応対品質が安定しなくなります。
マニュアル・ナレッジの形骸化
マニュアルやFAQが更新されず、実態と乖離しているケースも応対品質低下の大きな要因です。情報が探しにくい、内容が古いといった状態では、オペレーターは自己判断に頼らざるを得ません。結果として回答にばらつきが生まれ、顧客に不安や不信感を与えてしまう恐れがあります。
忙しさによる応対の機械化
応答件数が多く余裕がない状況では、オペレーターは「早く終わらせる」ことを優先しがちになります。その結果、顧客の話を十分に聞かず、定型文的な対応になってしまうことがあります。こうした応対は一見効率的に見えても、顧客満足度や解決率の低下を招き、結果的に再問い合わせ増加につながってしまいます。
評価が現場にフィードバックされていない
KPIを計測していても、その結果がオペレーターに適切にフィードバックされていないケースは少なくありません。評価が「管理のためだけ」に使われると、改善行動につながらず形骸化します。応対品質を向上させるには、評価結果を成長につなげる仕組みづくりが不可欠です。
「応対品質」を向上・改善する方法とは?
では、応対品質を向上・改善するためにはどんな方法があるでしょうか。主に以下の方法が挙げられます。
・オペレーターの教育・育成
・トークスクリプトの充実
・画一的な応対フローの設計
・フィードバック文化の定着
・クレーム・VOCの有効活用
一つずつ解説します。

オペレーターの教育・育成
応対品質を安定させるためには、属人的な経験頼みではなく、体系化された教育設計が欠かせません。基礎的なコミュニケーションスキルに加え、ヒアリングの型や課題整理のフレームを共有することで、対応レベルの底上げが可能になります。
OJT(On-the-Job Training:職場内訓練)だけでなく、定期的な研修やロールプレイングを組み合わせることで、実践力の定着を図ることが重要です。
トークスクリプトの充実
トークスクリプトは、オペレーターが「何を、どの順番で、どう伝えるか」を明確にするための重要なツールです。適切に設計されたスクリプトがあれば、経験の浅いオペレーターでも一定水準の応対品質を保つことができます。
重要なのは、読み上げるための台本ではなく、ヒアリングの観点や説明の型を示す「ガイド」として設計することです。想定質問や分岐パターンを整理することで、対応の抜け漏れや説明不足を防ぎ、解決率と顧客満足度の向上につながります。
画一的な応対フローの設計
誰が対応しても一定水準の品質を担保するには、標準化された応対フローの整備が不可欠です。受付から課題特定、解決、クロージングまでの流れを明確にすることで、対応の抜け漏れを防げます。フローが明確になることで、新人でも迷わず対応でき、結果として顧客体験の均一化を実現できます。
QA(品質保証)制度の導入・見直し
QA(Quality Assurance:品質保証)制度は、応対品質を可視化し改善につなげるための重要な仕組みです。評価項目は「守れているか」だけでなく、「顧客視点で価値があるか」を意識して設計する必要があります。また、減点方式だけでなく良い対応を評価する仕組みを取り入れることで、現場の納得感とモチベーション向上も期待できます。
フィードバック文化の定着
評価結果をオペレーターの成長につなげるには、継続的なフィードバックが欠かせません。一方的な指摘ではなく、改善点と良かった点をセットで伝えることが重要です。定期的な1on1やチーム単位での振り返りを行うことで、応対品質を「個人の責任」ではなく「組織の文化」として定着させることができます。
クレーム・VOCの有効活用
クレームやVOC(顧客の声)は、応対品質改善の貴重なヒントです。ネガティブな声を単なる問題として処理するのではなく、原因分析と再発防止に活かす姿勢が重要です。VOCを蓄積・分析することで、マニュアル改善や教育内容の見直しなど、具体的な品質向上施策へとつなげることができます。
AI時代の「応対品質」改善におけるDX・システムの活用方法とは?
AIによる音声解析やAIエージェントの活用などDX・システムを導入することで、応対品質の改善をより効率的・効果的に進めることが可能です。ここでは「CTI・CRM連携による情報の一元化」「ナレッジ管理ツールの活用」「チャットボット・有人連携による品質最適化」「AI音声解析による品質評価」「AIエージェントによるオペレーター支援」について、解説します。

CTI・CRM連携による情報の一元化
CTI(コンピューターと電話システムを統合・連携させる技術)とCRM(顧客管理)システムを連携させることで、着信と同時に顧客情報や過去の問い合わせ履歴を把握できるようになります。
これにより、何度も同じ説明を求める必要がなくなり、スムーズな応対が可能です。情報不足によるストレスを減らすことは、顧客満足度だけでなくオペレーターの負荷軽減にも直結します。
ナレッジ管理ツールの活用
ナレッジ管理ツールを導入することで、必要な情報を素早く検索・参照できる環境を整えられます。
属人化しがちな知識を組織全体で共有することで、応対品質のばらつきを抑えることが可能です。検索性や更新性を重視した設計にすることで、現場で「使われるナレッジ」として定着します。
モビルスが提供するオペレーション支援AI「MooA®(ムーア)」に搭載されている「MooA KnowledgeBase®(ムーア ナレッジベース)」機能は、生成AIを活用しFAQ(よくある質問)やマニュアルなどのナレッジを自動で更新・最適化が可能です。応対ログや既存FAQ、マニュアルなどを照合し、生成AIがナレッジの更新・追加を自動で行う「ナレッジ突合」機能により、現場で「使われるナレッジ」の作成・管理を支援します。
チャットボット・有人連携による品質最適化
チャットボットと有人対応を適切に組み合わせることで、オペレーターは高度な対応に集中できます。定型的な問い合わせは自動化し、判断が必要なケースのみ有人に引き継ぐ設計が重要です。これにより対応負荷が分散され、結果として有人対応の応対品質向上につながります。
AI音声解析による品質評価
AIによる音声解析を活用することで、通話内容を自動でテキスト化・分析し、応対品質を客観的に評価できるようになります。これまで人手では難しかった全通話チェックが可能になり、評価の属人化や抜け漏れを防ぐことが可能です。
話速・沈黙時間・感情トーン・NGワードなどを定量的に可視化することで、改善点を具体的に把握できる点が大きなメリットです。QA担当の負荷軽減と、より公平で再現性のある品質評価を両立できます。
AIエージェントによるオペレーター支援
AIエージェントは、オペレーターの応対をリアルタイムで支援する新しい仕組みとして注目されています。通話内容を解析しながら、適切な回答候補や確認事項、次に聞くべき質問を提示することで、応対品質の底上げが可能です。特に経験の浅いオペレーターにとっては「その場でのナビゲーション役」として機能し、判断ミスや説明不足を防げます。
また、生成AIを活用したAIエージェント型ボイスボットの実運用も始まっています。定型的な質問を思考なく繰り返し聞き取るのみの従来のボイスボットと異なり、間違いや疑問点を聞き返したり、複数同時に聞き取ったり、より人に近い柔軟な対応が可能です。自動応答の範囲の拡大や、自動応答での完了率の向上も期待でき、オペレーターの対応負荷が軽減し、結果として応対品質の均一化と解決率の向上を同時に実現できます。
▽AIエージェント型ボイスボットを活用した事例です
地銀初※、横浜銀行が「AIエージェント型ボイスボット」導入”つながらない”課題を解消 繁忙期は月1,600件に上る証明書発行の電話受付を自動化、応対時間5割減へ
SBIいきいき少額短期保険株式会社|生成AIエージェント型のボイスボットで受付完結率70%超を実現
まとめ
コールセンターの応対品質は、CXを左右し、企業のブランドイメージや売上にも影響を与える要素として、現場レベルだけでなく企業全体で管理すべき重要な指標です。応対品質の向上・改善のためには、オペレーターの教育・育成、トークスクリプトや応対フローの設計、フィードバック文化の定着、クレーム・VOCの有効活用を行うことが基本です。併せて、ナレッジ管理ツール活用やチャットボットとの有人連携、AIによる音声解析の自動化やAIエージェントの導入などDX・システムの活用で、より効率的・効果的に応対品質を改善することが期待できます。本記事を参考に、応対品質の向上・改善につなげていただけますと幸いです。
本記事を執筆するモビルスでは、生成AIで応対業務をスマートにし応対品質の改善を促進させるオペレーション支援AI「MooA」をはじめ、コールセンター(コンタクトセンター)の顧客体験(CX)向上を通じて企業の競争力を高め、収益を最大化するための総合的な支援を提供しております。
AIチャットボットや自己解決を促すビジュアルIVRなど、顧客満足度につながる幅広いニーズに対応できるソリューションを開発提供しています。ぜひご相談ください。
オペレーション支援AI「MooA」紹介資料
MooA®(ムーア)は生成AIや独自のAI技術を取り入れた、オペレーターの応対業務の負担を軽減し、応対業務全体の短縮化とVOCの活用を促進するオペレーション支援AIです。チャットボットやボイスボットと連携しながら、応対中のオペレーターの回答業務を支援します。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。
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「MOBI VOICE(モビボイス®)」は電話の問い合わせ対応をAIで自動化するボイスボットシステムです。音声認識と生成AIで意図解釈・分類し、自動化を実現します。オペレーション支援AI「MooA®(ムーア)」と連携することで対応内容を要約し、そのままCRMなどに要約データを流すことでACWの削減も可能です。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。
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