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自動車・オートバイの故障救済の手配を行う日本ロードサービス株式会社。2020年5月14日よりAI電話自動応答システム「mobiVoice」を導入、代表電話や物販関連の問い合わせ電話の一次対応に活用いただき、電話対応業務時間を約60%削減に成功されています。日本ロードサービス 専務取締役 筒井 達司氏、情報システム室 長田 英一氏に、運用方法や効果、今後の展望などについてお話を伺いました。

業種/事業内容/会社規模サービス業/自動車・オートバイの故障救済及びそれに付随する各種サービス
・24時間年中無休で自動車・オートバイの故障救援の手配・受付対応などを行うコールセンターの運用
・オリジナル会員制ロードサービスや関連製品の販売など
ツールAI電話自動応答システム「mobiVoice(モビボイス)」
https://mobilus.co.jp/voice
期間2020年5月17日~(取材は導入後4か月時点)
チャネル電話
用途・代表電話(問い合わせ全般)、事務局(資料請求、解約、その他)、物販商品(商品・注文に関する問い合わせ、その他)のお客さま窓口宛ての電話一次対応
・24時間「mobiVoice」に転送
目的・BCP対策としてコールセンターを含む従業員のテレワークへ移行できる体制を構築すること。
・呼量急増時にも応答率を下げないこと。
・電話対応の負荷軽減による、業務効率化を実現すること。
効果・電話対応時間を前年比約60%削減
・呼量増加時間帯または時期の一次対応を自動化で、やるべき業務に集中でき、生産性が向上
・代表電話の自動対応フローを築き、総務部門を中心にテレワークへ移行できる体制を構築。

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細川
導入時に発表したプレスリリースはこちらです
日本ロードサービス(JRS)が、代表電話にAI電話自動応答システム「mobiVoice」を採用
BCP対策としてコールセンターの在宅勤務化や、入電急増時に備えた取り組みを開始
https://mobilus.co.jp/press-release/22386

呼量増加の繁閑対応とテレワーク移行、BCP対策として電話対応の自動化を開始。

―導入時(2020年5月)に「mobiVoice」導入に至った背景をお話いただきました。

“利用者には個人だけでなく物流関連企業といった法人も多く、交通インフラ・物流の下支えとしての役割も担っていることから、非常事態でも事業を継続すべく、かねてからBCP(事業継続計画)対策として、コールセンターを含む従業員のテレワークへの移行や問合せが急増した際の体制構築を検討していました。
テレワークや入電急増時に備えた取組みの最初のステップとして、緊急性の低い代表電話や物販関連の問い合わせ電話から「mobiVoice」を導入し、一次対応自動化を開始しています。“

筒井氏:

そうですね。ロードサービスを扱うコールセンター業務は緊急度の高い問い合わせも多いので、まず代表電話や物販関連、事務局の電話一次対応を自動化するところから始めています。

代表電話は月末月初、カード事務局は更新案内送付後に入電が増えます。入電が急増した場合、担当だけでは対応しきれなくなるので、他部署の社員も一次対応として電話を受け折返しする旨を伝えます。それぞれ繁閑対策として、一次対応を自動化できないかと考えていました。

日本ロードサービスインタビューの模様
(左から)「mobiVoice」製品責任者 三谷、JRS 長田氏、JRS 筒井氏、モビルス営業 中野

―運用方法シーン、運用方法を教えてください。

長田氏:

代表電話、資料請求や解約受付を行うカード事務局、商品や注文に関する顧客窓口などの電話一次対応に活用しています。

「mobiVoice」でヒアリングし、テキスト化された回答をメールで受信し担当ごとに振り分けるようにしています。担当が問い合わせ内容を確認し、必要に応じて折返しや手続き処理など二次対応を進める流れです。対応漏れがないかの確認とナレッジ蓄積のため、これらの情報を顧客管理システムに登録しています。

簡単にシナリオを編集できるので、「分岐をつくりたい」「言い回しを変えたい」など、社内からの意見も聞きつつ、最初の一カ月はいろいろ試してコールフローを固めていきました。

日本ロードサービス「mobiVoice」活用の流れ

電話対応時間を約60%削減に成功。一次対応の自動化で不要な電話が減少。

―導入後の運用状況、効果はいかがですか?

筒井氏:

現在「mobiVoice」で一次対応をしている電話窓口の、6月~8月の月平均を見ると997件の一次対応を自動化できています。着信はあるが無言で何もお問い合わせ内容が入っていない場合もあります。997件のうち、お問い合わせ内容の回答がある件数は758件でした。

自動応答シナリオイメージ

お問い合わせ内容に回答があった758件のうち、二次対応として折返し電話が必要な件数は590件です。前年の同時期の入電件数(「mobiVoice」で対応している電話窓口のみの集計)の月平均は、1,437件でした。一件の対応時間を3分とすると、昨年は「4,311分」(1,437件×3分)電話対応に費やしていたのが、「mobiVoice」導入後は「1,770分」(590件×3分)と、電話対応の時間を58.9%削減出来ていると言えます。これはかなりの業務効率化に繋がっています。

mobiVoice導入で電話対応業務を58.8%削減

メッセージ入力有の758件の内訳は、カード事務局が500件、代表電話とその他物販関連を合わせて258件です。ちなみに、カード事務局宛ての電話は約93%がメッセージ有と必要な電話は用件を残す割合が高いことが分かりました。代表電話は約半分がメッセージなしで、メッセージありのもので折返しが必要な電話はさらに半分です。

代表電話など「mobiVoice」で対応している電話窓口の入電数を前年と比べると入電数自体も大幅に減少しています。営業電話など我々にとって必要ではない電話が「mobiVoice」導入によって減っていると仮説を立てています。

問い合わせ件数の推移、メッセージ有無の割合
(左)代表電話など「mobiVoice」で対応中の電話窓口の入電数を比較。
(右)お問い合わせ内容の回答(メッセージ)の有無の割合を比較。

繁忙期の業務負担削減で生産性を向上。在宅勤務可能な体制を構築できた。

長田氏:

代表電話は月末月初に集中するのですが、ほかの業務も多忙な時期なので電話対応で作業が中断することにストレスを抱えることもありました。また、月末月初以外でも、9時~10時に電話が集中していたり、処理作業中に電話がかかってきて中断することがなくなり、必要な業務に集中でき作業効率も上がったと感じています。二次対応をする際も問い合わせ内容を事前に把握した上なので、対応時間が短縮できるようになっています

電話番を置かなくてよくなったのは大きいです。これまでは各部門誰かが常に自席にいないといけませんでした。電話の受けが必要なくなった分、ほかの仕事に時間をさけるようになったので残業も減りました。

筒井氏:

代表電話の対応を自動化できたことで、コーポレート部門も在宅勤務がいつでも可能な体制にできました。

また、カード事務局ではこれまでは、電話受付担当と処理作業担当を分けて対応してたため効率がよくない場合がありました。「mobiVoice」の導入で、着信履歴を見に行く時間を決めて、電話対応と作業時間をコントロールできるようになりました。そのため、一人分くらいの工数削減、効率化ができたと聞いています。

―お客さまからの反応はいかがでしたか?

長田氏:

「なんで直接電話できないのか」というお声も多少あります。そこは、折返しをするタイミングや頻度の検討も含めて、よりお客さまのストレスにならないような運用方法を考えていく必要はあると思っています。

筒井氏:

中には「先進的なことをやっていて良いね」とお褒めの言葉をくださるお客さまもいます。隠れた心情や機微は聞き取れないですが、用事を淡々と対応するには優れていると思うので、適切な用途で使うとお客さまにもご理解いただけると考えています。

mobiVoice

アウトバンド機能でCS調査や、ロードサービスのあふれ呼対策、データの活用とステップを踏み、活用範囲を広げていきたい

―「mobiVoice」でよく使う機能やおすすめポイントがあれば教えてください。

長田氏:

入電時に届くメールに、着信番号と管理画面のURLが表示されるようになったのは、非常に便利です。

どの番号か検索する手間がなくなり、メールから直接確認できるので確認作業が進めやすくなりました。使いながら出てくる要望を伝えると、機能追加や改善など対応してもらえるので大変助かっています。

筒井氏:

シナリオ作成・編集の簡単さは良いですよね。シナリオの内容や分岐、声を男性から女性に変えるなど変更が即座に反映されるので、すぐに確認が可能です。こんなに簡単に早く、イントネーションもそれほど違和感なく話すので、お客さまにも驚かれます。

日本ロードサービスインタビューの模様
営業担当と製品責任者がお客さまの声を直接ヒアリングし、製品のアップデートを行っています(※撮影用にマスクを外しています)

―今後の展望を教えてください。

長田氏:

今後はアウトバンド機能も使っていきたいと考えています。例えば、顧客満足度調査(CS調査)を「mobiVoice」のアウトバンド機能を使い、自動でヒアリングできないか、などです。スクリーニング調査として、オペレーターが電話する前に自動で「顧客満足度調査の電話をして良いか」確認を入れる。了承してくれた方にのみオペレーターが電話をする、というのも良さそうだなと思っています。

筒井氏:

予約のリマインドなども、自動対応に適していると思います。CS調査は、ロボットの方が正直に答えやすく、忌憚のないご意見を聞ける可能性が高いかもしれませんね。

長田氏:

また、データの活用も今後やりたいことです。「mobiVoice」の履歴、その後の二次対応の有無や内容含め、全てログとして蓄積しています。このデータを元に、FAQの整備や、AIやチャットボットと連携していけたらと考えています。どんな質問がきてどんな回答をしたか、ナレッジを貯めているのです。4,000件ほど蓄積されてきています。一万件くらい蓄積されたら、傾向値も出せるかと思っています。

筒井氏:

自動車業界はいまだにFAXが主流です。まず緊急度の高くない代表電話やカード事務局・物販関連から一次対応自動化から始め、次のステップとして、ロードサービスのコールセンターの繁忙“日”のあふれ呼対応に使えないかと考えています。ロードサービスのコールセンターは、大雪が降った日など、超繁忙“日”が発生します。普段は応答率95%でしたが、その日はどうしても下がってしまうのです。対応としては、 社内リソースをフル活用して一次対応をし、折返しの対応をするフローにしています。繋がらず何度もかけてくる方もいるので、そこを「mobiVoice」で一次対応できるようにしたいと考えています。

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