ボイスボットとは?活用事例、導入時比較ポイントから設計運用術まで
投稿日:2024年7月31日 | 更新日:2026年3月31日
コールセンター(コンタクトセンター)の運営において、呼量の削減や業務効率化と顧客満足度の向上は常に背中合わせの課題です。チャットボットや有人チャット、FAQシステムの導入といった「ノンボイス化」が進む一方で、問い合わせチャネルとして「電話」のニーズも無くなっていません。
こうした中、電話応対の自動化を推進するツールとして導入が増えているのが「ボイスボット(AI電話自動応答システム)」です。
本記事では、ボイスボットの基本的な仕組みから、IVRやチャットボットとの違い、具体的な活用事例、そして導入を成功に導くための比較ポイントや設計・運用の秘訣まで網羅的に解説します。人手不足の解消や24時間対応、応対品質の平準化など、電話窓口のデジタルシフトにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- ボイスボットとは?
- ボイスボットの仕組み
- ボイスボットが求められる背景と可能性
- ボイスボットと他のコミュニケーションツールとの違い
- ボイスボットを導入するメリットとは?
- ボイスボットの活用が期待されるシーンとは?
- ボイスボット導入前に押さえておきたいポイントとは?
- ボイスボットの設計・運用のポイントとは?
- ボイスボット製品検討時の比較ポイントとは?
- ボイスボット活用・導入事例
ボイスボットとRPA連携事例 SBI生命株式会社さま
AIエージェント型ボイスボット事例 SBIいきいき少額短期保険株式会社さま
AIエージェント型ボイスボット事例 株式会社横浜銀行さま
コールセンターをご担当のSV・マネージャーの方必見!
有人電話オペレーションをAIで効率化する、 AI電話自動応答システム「MOBI VOICE」
ボイスボットとは?
ボイスボットとは、音声認識や自然言語処理、対話型AIなどの技術を組み合わせ、顧客の音声を解析して自動で返答をするAI電話自動応答システムです。
コールセンターに顧客から入電があると、設定したガイダンスが流れます。ガイダンスに応じて顧客が用件を話すと、AIが内容を認識し自動音声で返答する、というのが基本的な流れです。
ボイスボットが用件をヒアリングし、後から有人オペレーターが折り返しで連絡をする一次受付の自動化としての使い方もあります。また、その場で有人オペレーターへ転送することもできます。電話対応が必要な業務にボイスボットを導入すると、自動で問い合わせ対応ができるようになり、人手不足の解消や顧客満足度の向上に寄与します。
ボイスボットの仕組み
次に、ボイスボットの仕組みを見ていきましょう。具体的な流れは以下の通りです。
①入電(利用者が発話)
↓
②音声認識AIが発話内容をテキストデータに変換
↓
③テキスト化されたデータを自然言語処理システムが処理
・言葉の意味や利用者の意図を解析する
・過去の対話履歴を考慮に入れ、利用者の意図や要望に対してもっとも適切な応答を生成するための戦略を立てる
・決定された応答内容を、利用者に伝わりやすい自然な言葉に変換する
↓
④音声合成技術でテキストデータを音声データに変換し、ボイスボットが利用者に話しかける形で応答を提供
ボイスボットが求められる背景と可能性
未だ電話は問い合わせチャネルのシェア上位
モビルスが実施した「お客さま窓口の利用実態調査2025-2026」で、「お客さま窓口へ問い合わせを行う際に、最もよく使う手段」を聞いたところ、「電話(27.1%)」「問い合わせフォーム(23.9%)」「メール(20.8%)」「チャット(13.1%)」「SNSからDM(5.2%)」の順でした。6割を超える人が電話以外のノンボイスを利用している結果でしたが、「電話」を挙げた人が最多の3割弱で、問い合わせチャネルとして電話のニーズはなくならないことが伺えます。

最もよく使う手段を年代別にみると、若年層・中年層は多様な問い合わせ手段を使い、60代以上は電話が最多でした。

「解決するのであれば必ずしも人の応対でなくても良い」という声も
問い合わせ手段として未だ電話のニーズはなくなってはいませんが、問い合わせフローとしていきなり電話をかける人は、実は多くありません。調査でも9割以上の人がインターネットで検索、公式サポートサイトや説明書・SNS等で調べると回答しており、問い合わせをする前に自己解決を試みることが分かりました。

「WebサイトやFAQを見ても解決できないから電話をする」ケースが多いと推測できます。もしくは、そもそも「郵便物にお客さま窓口の電話番号が記載されているから、とりあえず電話をする」といったケースもあることでしょう。

「お客さま窓口に問い合わせをした際に、不満に思ったこと」を聞いた調査結果では、「つながらない・待たされる」が最多でした。

また、「問い合わせをする際に、企業に最も求めること」を聞いた調査結果では、「人による対応」「待ち時間がない」「問い合わせせずに解決する」がトップ3で、全体の5割を占めていました。

顧客が問い合わせをする際に望むことのつながりやすく・待たされず、簡単に解決することであり、必ずしも人の応対でなくても良いと言えます。
これらのことから、なかなか減らない電話対応の負荷軽減に、ボイスボット(AI電話自動応答システム)が活用できるのではないでしょうか。
また、最新の調査結果では、ボイスボットの利用経験が6割弱に上ることもわかっています。若年層では7割以上、60代以上も約5割がボイスボットの利用経験があると回答しており、問い合わせ対応にボイスボットを活用する企業が増えていることが伺えます。

ボイスボットと他のコミュニケーションツールとの違い
次に、有人対応・チャットボット・IVRとボイスボットの違いを見ていきましょう。
有人対応との違い
ボイスボットは、人(オペレーター)が電話口で対応する代わりに、音声認識と対話制御(シナリオ/AI)で会話を進める仕組みです。有人対応は状況に応じた柔軟な判断が得意ですが、応対品質が担当者の経験やコンディションに左右されやすい側面があります。
一方でボイスボットは、同じ設計・ルールで応対するため、一定の品質を保ちやすく、ピーク時の受電を「並ばせない」運用に向いています。ただし、例外処理や感情的なクレームなど「その場の判断」が必要なケースは、有人への切り替えが前提になります。
ボイスボットは「人の代替」というより、人が対応すべき電話を減らす・人の時間を高度な対応に集中させる役割としての位置付けです。
チャットボットとの違い
ボイスボットとチャットボットは、どちらもAIが対応するシステムです。
一番大きな違いは対応方法が音声かテキストかという点です。問い合わせのフローでは、顧客の要望によって利用チャネルが異なります。
パソコンやスマホを通してテキストで情報を求める顧客にとっては、チャットボットでのコミュニケーションが適していることが多いですが、「電話で急いで問い合わせをしたい」「パソコンやスマホでのテキスト入力が得意ではない」といった顧客にとっては、ボイスボットでの音声コミュニケーションが適していると言えます。
IVRとの違い
ボイスボットと似た自動応答システムとして「IVR(Interactive Voice Response)」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
IVRは、顧客が案内を聞いて該当するボタンをプッシュ操作することで、あらかじめ録音してある音声が自動再生される仕組みです。IVRでは企業が用意した限られた選択肢を顧客が選択するため、企業にとってはボイスボットよりもシナリオを把握・管理しやすいでしょう。
しかし顧客にとっては、必要あるかないかに関わらず流れる音声ガイダンスを最後まで聞かなければいけなかったり、操作を誤った場合は一から全て聞き直す必要があったりと、電話での問い合わせをする上でストレスがたまりやすく敬遠されがちです。
一方ボイスボットは、顧客の発話内容に合わせて会話を進めていくため、相対的にユーザーフレンドリーと言えます。
ボイスボットを導入するメリットとは?
ボイスボットを導入すると、どのようなメリットがあるでしょうか。「人件費の削減」「労働環境の改善」「あふれ呼の削減」「24時間対応が可能」「機械学習により精度の向上が可能」「応対品質の標準化」といった点が挙げられます。

人件費の削減
シナリオの組み合わせにより定型的なお問い合わせ内容であれば、有人オペレーターに接続せず、ボイスボットのみで対応を完了させることが可能です。そのため、ボイスボットを導入することで人件費の削減を実現できます。
ボイスボットでは対応しきれない複雑なケースはオペレーターへ転送、簡単な内容のお問い合わせはボイスボットで完了させるなどの仕組みを構築することで、少ないオペレーター数でもコールセンター運営ができるようになります。
ボイスボットの導入により業務の効率化を図ることで、オペレーターの負担軽減を促進し、早期離職の防止も期待できます。結果的に、採用コストの軽減や、人手不足の解消にも効果的です。
労働環境の改善
コールセンターの高い離職率の原因の一つに、ストレスが溜まりやすい業務内容が挙げられます。電話の初期対応をボイスボットが代行すれば、オペレーターが接する顧客の絶対数が減少し、業務負担の軽減が可能です。
オペレーターに分岐する場合も、大まかなお問い合わせの内容はボイスボットが聴取しており、オペレーターはお問い合わせの概要を把握し準備してから通話できるため、業務の負担と共にストレス軽減につながるでしょう。
あふれ呼の削減
あふれ呼とは、コールセンターにかけた電話がいつまでもつながらない状態のことを指します。先述した通り、コールセンターに対する不満で「電話がつながらないこと」が占める割合は大きいのです。
あふれ呼が発生する原因は主に二つです。
①オペレーター数を超えて着信があることで、電話をとりきれないため
②入電数が回線数を上回ったことで、話し中の状態が続いてしまうため
ボイスボットを導入することで、顧客は待たされることなく回答を得られます。また、一次対応をボイスボットが行い、オペレーターに転送する場合や折り返し電話をする場合でも、全くつながらずに待たされる状況を回避できるため、顧客の不満を減らすことができるでしょう。簡単な応対はボイスボットのみで対応完了するため、顧客満足度の向上が見込めます。
24時間対応が可能
ボイスボット導入により24時間365日受電対応が可能になり、顧客満足度の向上や機会損失の削減に大きく貢献できます。例えば、電話注文の受注業務をボイスボットで代替できれば、夜間や休日でも注文を取り逃す恐れがなくなります。
24時間問い合わせ可能なチャネルとしてはメールやチャットもありますが、コールセンターに電話する顧客の心理は無視できません。一方で、仮に24時間対応可能なコールセンターを外注した場合のコストは高額になってしまいます。コストを最小限に抑えながら顧客の多様なニーズに対応できるツールとして、ボイスボットは有効です。
機械学習により精度の向上が可能
ボイスボットは、機械学習により電話対応の精度が向上します。IVRは決められたシナリオに従うシステムですが、ボイスボットは顧客の発話を理解できる点が大きく異なります。
電話のデータから学習させるべきフレーズをピックアップし、AIに再学習を繰り返させることで、ボイスボットが顧客の問い合わせ内容を正しく理解し、より良い電話対応を行うことが可能になるのです。
応対品質の平準化
コールセンターで起きがちな課題の一つが、担当者による案内のばらつき(言い回し・確認漏れ・案内順の違い)です。ボイスボットは、同じ質問に対して同じフロー・同じ表現で返すため、応対品質を一定に保ちやすいのが大きなメリットと言えます。
たとえば本人確認、契約内容の確認、手続き案内など、正確性が重視される領域ほど平準化の効果が出やすいです。また、案内内容を更新すれば全ユーザーに即時反映できるため、最新ルールへの統一も行いやすくなります。
結果として、応対品質の底上げだけでなく、教育コストの削減やクレームの予防(言った言わないの減少)にもつながります。
ボイスボットの活用が期待されるシーンとは?
ボイスボットは、突然の呼量増加への対応や、常時ボリュームの多い定型電話業務の対応に最適です。ボイスボットが活用できる主なシーンを紹介します。
定型手続き
一つ目は、質問が固定化されやすい定型手続きです。定型手続きは、ボイスボットが最も効果を発揮しやすい活用方法です。例として、営業時間案内、住所変更、予約受付、申込状況確認、資料請求、解約手続きの一次受付などが挙げられます。これらは分岐パターンが比較的少なく、必要情報(氏名・生年月日・予約番号など)を順に聞けば処理が成立します。
定型手続きの強みは、ボイスボット側で「要件を満たした時点で完了」まで持っていける点で、受電削減に直結します。逆に、条件が複雑で例外が多い手続きは、完了率が下がりやすいので、まずは定型からスモールスタートするのが定石です。
ピーク時間の取りこぼし阻止
二つ目は、「電話が多いピーク時間に待たせてしまう」「取り切れない」といったピーク時間の取りこぼし阻止への活用です。ボイスボットが用件の自動ヒアリングを行い、聞き取りした内容を自動でテキスト化します。担当部門へメールなどで通知し、必要に応じて折り返し対応するため、「電話が全くつながらない」不満を解消できます。
業務時間外の自動対応
三つ目は、早朝や夜間など業務時間外の対応です。高度な自動応答シナリオで、24時間・365日稼働を実現できます。
よくある質問への対応
四つ目は、オペレーターが対応しなくても良い標準的な質問への対応です。よくある問い合わせや質問は、AIやシナリオで自動回答します。
ボイスボット導入前に押さえておきたいポイントとは?
実際にボイスボットを導入する際、「コールリーズンの分析」と「問い合わせ導線の整理」「有人対応との連携設計」を行うことで効果的なボイスボットの活用を実現できます。
コールリーズンの分析
ボイスボットを導入する際、どのコールリーズン(問い合わせの内容)をボイスボットで対応するかを考えます。これまでチャットボットやボイスボットを始めるとき、「問い合わせ全体の10%をボットで自動化しよう」「導入しやすい対応をボットにする」など、担当者の肌感覚で適用範囲を検討していた方も少なくないのではないでしょうか。
「問い合わせ全体のXX%をボットで対応」という考え方で始めると、効果が出たかどうかの測定も難しく「導入したけど使えない」失敗パターンに陥りやすくなります。
コールリーズン分析から、最適なサポートチャネルを導き出すことが必要です。

問い合わせ全体をコールリーズンで分解・分析し、コールリーズン別に最適なチャネルを検討し、ソリューションの適用範囲を検討していきます。
コールリーズンごとに、「有人対応の電話」「ボイスボット」「有人対応のチャット」「チャットボット」など、それぞれ最適なチャネルが異なります。
「ボイスボット導入」のプロジェクトを進める上でも、有人で対応すべきコールリーズンがあることを忘れてはいけません。
問い合わせ対応導線の整理
特定のコールリーズンまたは、複数のコールリーズンをグループ化し、「ボイスの自動化はできるか?」「チャット対応すべきか?」「チャット対応すべき場合は有人チャット対応できるか?」「対話ボットで対応できるか?」「システム連携すべきか?」の順番で考えていきます。
ボイスボットで対応ができるコールリーズンを選定したあとは、オペレーションの順番に沿って、導線を整理していきましょう。
「ボイスの自動化ができる」コールリーズンは、対応内容によってその後の導線が異なります。例えば、「コールバック予約の受付」や「問い合わせ内容のヒアリング(要件特定)」をボイスボットで対応した場合は、その後オペレーターへ連携します。
「商品データや顧客データなどの照会」や「住所変更や注文などの手続き」をボイスボットで対応する場合は、システム連携が必要です。

有人対応との連携設計
ボイスボットは単体での利用ではなく、従来の電話との連携がとても重要です。ボイスボットによる事前ヒアリング後にオペレーターへ転送や、営業時間外やピーク時にオペレーターが電話をとれないときにボイスボットへ転送するなど、従来の電話対応とボイスボットを柔軟に行き来して使います。
緊急の用件やクレームの受付といった、最初から電話でオペレーターが対応する必要がある場合は、ボイスボットを介さずオペレーターの電話窓口への誘導が必要です。ボイスボットのほか、チャットボットや有人チャットなど複数のチャネルがある場合、ビジュアルIVRで顧客に最適なチャネルを案内します。

ボイスボットの設計・運用のポイントとは?
ボイスボットを活用する際の設計や運用のポイントは、「対応範囲を明確にする」「聞き返しと確認を設計する」「よく出る言い回しを辞書に入れる」「更新担当と更新頻度を決める」の四つです。

対応範囲を明確にする
ボイスボット導入で重要なのは「どこまで自動化し、どこから有人へ渡すか」を先に決めることです。有人連携が不十分だと、ユーザーが同じ説明を繰り返すことになり、顧客体験(CX)が悪化します。理想は、ボイスボットが用件・本人確認・必要情報を収集し、要点を要約してオペレーターへ引き継ぐ形です。
また、切り替え条件(怒りの兆候、複数回の聞き返し、特定ワード、手続き失敗など)を設計しておくと、離脱を抑えられます。CTI(電話機能とコンピュータシステムを連携させる技術)やCRM(顧客管理システム)と連携して、通話ログ・入力情報・意図分類が画面に出るようにすると、有人側の処理時間も短縮できます。
聞き返しと確認を設計する
音声対話では、聞き間違い・言い淀み・周囲の雑音が前提になるため、聞き返し設計が重要です。たとえば「お電話番号をもう一度お願いします」「〇〇でお間違いないですか?」のように、確認の手順を明示します。
確認の回数が多すぎるとストレスになり、少なすぎると誤処理(誤予約・誤登録)につながるため注意が必要です。数字・固有名詞・住所などは、復唱や桁区切り、言い換え(“ゼロ”と“オー”など)を組み込むと精度が上がります。さらに「二回失敗したら有人へ」などの逃げ道を用意すると、離脱率とクレームを同時に下げられます。
AIエージェント型ボイスボット
生成AIを活用したAIエージェント型ボイスボットでは、従来のボイスボットでは対応できなかった「聞き返し」や「柔軟な応対」が可能となり、住所や氏名の聞き取り精度も向上しています。そのため、ボイスボットで最後まで手続きなど問い合わせ対応が完了する割合の向上や活用範囲を広げることに効果的です。
よく出る言い回しを辞書に入れる
同じ意味で話していても、人によって表現は異なります(例:「解約」「退会」「やめたい」「キャンセル」など)。こうした揺れを吸収するために、頻出の言い回し、同義語、業界用語、略語、言い間違いなどを辞書(または学習データ)に登録しておくと良いでしょう。
特に商品名・サービス名・店舗名・地名・部署名などは、辞書整備の効果が出やすい領域です。また、年齢層が高いユーザーが多い場合は、ゆっくり話す・言い換える・短い文章で聞くなどの設計も併用します。運用開始後のログから「認識できなかった語」を抽出して辞書へ反映するサイクルを回すと、継続的に完了率が伸びていきます。
更新担当と更新頻度を決める
ボイスボットは「作って終わり」ではなく、運用で品質が決まります。そのため、誰が更新するのか(業務側/CS(Customer Success)側/情報システム/ベンダー、など)と、承認フローを事前に決めておくことが必要です。
更新対象は、案内文言、分岐条件、FAQ、手続きルール、外部連携の仕様変更など多岐にわたります。更新頻度は、最初は短いスパン(週次など)で改善し、安定してきたら月次・四半期で見直す形が現実的です。KPI(完了率、途中離脱率、有人転送率、再入電率)をモニタリングして、数字に基づいて更新する体制が理想です。
ボイスボット製品検討時の比較ポイントとは?
ボイスボットソリューション(AI電話自動応答システム)を選ぶ際には、音声認識の精度だけでなく、会話設計と改善のやりやすさ、有人連携や外部システムのしやすさ、運営とサポート体制、セキュリティ面について比較することがおすすめです。それぞれ詳しく解説します。

音声認識の精度はどれくらいか
「認識精度」は実運用では条件次第で変動します。話者の滑舌、方言、周囲の雑音、回線品質、専門用語の有無、数字入力の多さなどで、体感精度は大きく上下します。そのため、デモや営業資料の精度だけで判断せず、自社の問い合わせ音声(匿名化)でPoC(実証実験)し、完了率で評価するのが確実です。
また、精度そのものだけでなく「認識できなかった時にどう挽回するか(聞き返し・候補提示・有人転送)」もセットで見ていきましょう。精度が高い=成功ではなく、誤認識しても事故にならない設計になっているかが重要なチェックポイントです。
「MOBI VOICE(モビボイス®)」は、株式会社ゼンリンデータコム(ゼンリングループ)が提供する「ZENRIN Maps API」と連携することで、手間がかかっていた住所の復唱確認や修正作業を自動化。聞き間違いがなくなり、お客様とのスムーズなコミュニケーションを実現します。また、電話対応後の確認作業も大幅に削減し、オペレーターの負担を軽減しながら、業務効率と顧客満足度の両方を大きく向上させることができます。
モビルス株式会社
会話設計と改善がやりやすいか
ボイスボットは、会話の流れ(シナリオ設計)と改善のしやすさが成果に直結します。管理画面で分岐を編集できるのか、ABテストができるのか、ログがどの粒度で取れるのかを確認しましょう。改善が難しい製品だと、ちょっとした文言修正でもベンダー依存になり、スピードが落ちてしまいます。
理想は、運用側が「どこで詰まっているか」をログで特定し、すぐに文言・順序・確認手順を変えられる状態です。また、有人オペレーターのトークスクリプトやFAQ(よくある質問)と整合するように設計すると、顧客の混乱を避けられます。
有人連携がスムーズか
ボイスボットが途中で有人に切り替わる場面は必ず発生するため、連携品質は最重要項目です。具体的には、転送時に「何を話していたか」「何を聞き取れたか」「本人確認の結果」がオペレーターに渡るかを確認します。この引き継ぎが弱いと、顧客は同じ説明を繰り返すことになり、ストレスが急増してしまいます。
CTI連携でポップアップ表示、CRMへの自動記録、通話録音との紐付けができると、有人側の処理も速くなります。さらに、転送先の振り分け(用件別・スキル別ルーティング)ができると、解決率の向上にも効果的です。
外部システム連携がしやすいか
ボイスボットの価値は「会話できる」だけでなく、「処理が完了する」ことにあります。そのため、予約システム、顧客データベース、配送状況、会員情報、CRM、チケット管理など外部システムとの連携可否はぜひ確認したいポイントです。
API連携が標準で可能か、RPA※1で代替できるか、Webhook※2やSFTP※3など選択肢があるかで導入難易度が変わります。
外部システムとの連携が弱いと、結局ボイスボットは受付だけ行い有人が後処理をすることとなり、自動化効果は薄くなります。自社の運用フロー(何を参照し、何を更新し、誰が最終確定するか)を棚卸ししてから製品比較すると判断しやすいです。
※1 RPA(Robotics Process Automation):ロボットによる反復作業の自動化
※2 Webhook:あるWebサービスで特定のイベント(データ更新、注文、投稿など)が起きた際、自動的に別のサービスへリアルタイムに通知・データ送信する仕組み
※3 SFTP(SSH File Transfer Protocol):SSH(Secure Shell)通信上で暗号化された安全な通信経路を用いて、サーバー間でファイル転送・管理を行う仕組み
運用体制とサポートは手厚いか
ボイスボットは運用改善が前提のため、サポート体制の違いが成果の差になります。導入時の要件定義支援、会話設計の伴走、ログ分析、改善提案まで含まれるかを確認しましょう。
問い合わせ対応だけのサポートだと、運用が回らず「精度が悪いから使われない」状態に陥りやすくなります。また、障害時の連絡窓口、SLA※4、復旧までのプロセス、緊急時に有人に自動迂回する仕組みも重要です。
導入する企業側も、KPIの監視・辞書更新・シナリオ改修を担う担当を置けるかが、長期運用の分かれ目になります。
※4 SLA(Service Level Agreement):通信事業者やクラウドサービス提供者が、顧客に対して提供するサービス品質(稼働率、応答速度など)を保証する「サービス品質保証書」のこと
セキュリティと個人情報対応は万全か
電話応対では、氏名・住所・契約情報など個人情報を扱うため、セキュリティ要件は必須確認事項です。データの保存場所(国内外)、暗号化、アクセス権限、監査ログ、保管期間、削除ポリシーをチェックしましょう。
また、録音データやテキスト化データを学習に使うのか、使う場合の同意・匿名化・オプトアウト※5がどうなっているかも重要です。業界によってはISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)※6、SOC2※7、プライバシーマーク等の運用実態が判断材料になります。
さらに、誤認識による誤処理が個人情報事故につながらないよう、本人確認や確認フローの設計もセットで考える必要があります。
※5 オプトアウト(Opt-out):ユーザーが企業からの情報配信(メール等)や個人データの第三者提供に対し、後から不参加・拒否(脱退)の意思を示す仕組み
※6 ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム):「企業情報全般の情報セキュリティ体制」および「マネジメントシステム」を示す認証制度
※7 SOC 2(Service Organization Control 2):米国公認会計士協会(AICPA)が定めた、クラウドサービスやITベンダー等のデータ管理・セキュリティ体制を保証する報告書規格
ボイスボット活用・導入事例
最後に、ボイスボットを活用した事例を紹介します。
SBI生命株式会社|書類請求手続きをボイスボットとRPAで完全自動化、約300時間を削減、苦情もゼロに
SBI生命保険株式会社は、2021年10月よりボイスボットを導入しRPAと連携することで、生命保険料控除証明書の再発行手続きにおいて、受付から処理完了まで完全自動化を実現しています。
・24時間365日生命保険料控除証明書の再発行受付が可能になり、オペレーターの負荷軽減、繁忙期の増員人数や研修時間の削減を実現。
・受付から発送までの時間が短縮され、再発行に関する苦情や不満がゼロになった。
・再発行手続き対応の処理時間を約70%、年間約300時間(2人月)削減。
・顧客満足度と従業員満足度の好循環につながる。
といった効果が出ています。
▽導入事例インタビュー記事
SBIいきいき少額短期保険株式会社|生成AIエージェント型のボイスボットで受付完結率70%超を実現
SBIいきいき少額短期保険株式会社は、2025年6月、ワークフロー型の生成AIを活用した新機能「AIエージェント型ボイスボット」の実証実験(POC)を行い、受付完結率70%超やコールバック件数・音声確認件数の大幅削減を達成しました。2025年8月28日より、本機能を活用した受付対応を自動応答専用ダイヤル窓口にて開始しています。
▽導入事例インタビュー記事
SBIいきいき少額短期保険株式会社|生成AIエージェント型のボイスボットで受付完結率70%超を実現
▽プレスリリース
生成AI活用の新機能「AIエージェント型ボイスボット」を提供開始、SBIいきいき少短に本導入決定 電話口で顧客一人ひとりに寄り添い、人が応対しているような自然な対話で用件を特定し受付完結
株式会社横浜銀行|「AIエージェント型ボイスボット」導入”つながらない”課題を解消 繁忙期は月1,600件に上る証明書発行の電話受付を自動化、応対時間5割減へ
株式会社横浜銀行は、ローンに関する5つの証明書の発行申請を電話で自動受付するサービスを新設し、その受付業務にモビルスの生成AIを活用した「AIエージェント型ボイスボット」を導入しました。繁忙期には月1,600件に上る証明書発行申請の電話受付を自動化することで、応対時間を5割削減し、顧客利便性と業務効率の向上をめざしています。
▽プレスリリース
地銀初※、横浜銀行が「AIエージェント型ボイスボット」導入”つながらない”課題を解消 繁忙期は月1,600件に上る証明書発行の電話受付を自動化、応対時間5割減へ
まとめ
ボイスボットの導入は、単なるコスト削減の手段にとどまりません。定型的な対応をボイスボットが担い、オペレーターは高度な対応や感情的な配慮を要する業務に集中することができます。また、生成AIを活用した「AIエージェント型ボイスボット」の登場により、従来のボイスボットでは難しかった柔軟な対話も可能になりつつあります。
実際にボイスボットを導入する際には、「コールリーズンの分析」と「問い合わせ導線の整理」「有人対応との連携設計」を行うことが重要です。設計・運用の際には、「対応範囲を明確にする」「聞き返しと確認を設計する」「よく出る言い回しを辞書に入れる」「更新担当と更新頻度を決める」といったポイントを抑えることで効果的な活用につながります。電話応対のデジタルシフト・ボイスボット導入を検討する際には、本記事で紹介した導入を成功に導くための比較ポイントや設計・運用の要点を参考にしていただけますと幸いです。
本記事を執筆するモビルスでは、CRMシステムや有人チャット・生成AIとの連携が可能なAIボイスボットや、コールセンター運用の肝ともなる、ナレッジベースの構築による回答サジェストやマニュアル検索を可能にするオペレーション支援AI「MooA」をはじめ、コールセンター(コンタクトセンター)のCX(顧客体験)向上を通じて企業の競争力を高め、収益を最大化するための総合的な支援を提供しております。
AIボイスボットやAIチャットボット、自己解決を促すビジュアルIVRなど、顧客満足度につながる幅広いニーズに対応できるソリューションを開発提供しています。ぜひご相談ください。
AI電話自動応答システム(ボイスボット)「MOBI VOICE」紹介資料
モビルスの「MOBI VOICE(モビボイス®)」は、企業や自治体の電話自動応答に必要なすべての機能をカバーしたボイスボットソリューションです。注文や手続きの一次受付、自由自在に追加・分岐できるシナリオ作成、IVRでの自動音声対応、アウトバウンドコールなど必要な電話業務をもれなく実現できます。機能、解決できることや導入事例などを紹介資料にて掲載しています。
下記より、ダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。
オペレーション支援AI「MooA」紹介資料
MooA®(ムーア)は生成AIや独自のAI技術を取り入れた、オペレーターの応対業務の負担を軽減し、応対業務全体の短縮化とVOCの活用を促進するオペレーション支援AIです。チャットボットやボイスボットと連携しながら、応対中のオペレーターの回答業務を支援します。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。
下記より、ダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。










