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細川
全国にATMを設置し、インターネットバンキング、海外送金など先進的な幅広い金融サービスを提供する株式会社セブン銀行様(以下、セブン銀行)では、AIチャットボットやオペレーターによる有人チャットサポートの導入により、電話の待ち時間解消およびサポートの利便性向上、業務効率化に取り組んでいます。今回は日本語専用のテレホンセンターへのインタビューです!

セブン銀行ロゴ
業種銀行業
導入ツールモビエージェント
・日本語対応AIチャットボットは、「モビエージェント」と株式会社Studio Ousiaのディープラーニングによる質問応答プロダクト「QA ENGINE」を連携。AIによる自動応答を行う(2018年4月開始)。
(参考:https://mobilus.co.jp/press-release/4138
・日本語対応のオペレーターによる有人チャットサポートを、2019年7月より試験的に開始。
チャネルWebサイト
用途セブン銀行口座に関する問い合わせ
課題・口座数増加で潜在問合せ顧客が増えるが、顧客の利便性を向上しながら、運用側も効率化につながる問合せチャネルを作りたい。
・FAQやサイト内検索では、検索するためのキーワードが重要となり上手く検索できないことがある。気軽に知りたいことを解決できる手段を作りたい。
効果・AIチャットボット導入により、口座数増加に比例せず入電数は減少。人を増やさず、顧客の利便性、満足度を損なわない体制を構築。

日本語専用のテレホンセンターでは、2018年4月に、AIエンジンと連携した、個人向けサービスに関するお問い合わせチャットボットを開始しました。

日本語対応のAIチャットボットと、試験的に開始している有人チャットサポートの導入目的、これまでの課題や効果、今後の展望について、また「モビエージェント」導入の経緯や実際の使用感などについて、運営管理の全体統括を行う、お客さまサービス部 テレホンセンター 所長 羯磨 晋一氏、コンタクトセンターの現場と関係部署の調整や交渉を担当する、調査役 鄙里 麻理氏、技術面・システム面を支援する、サービス企画担当 主任調査役 菊池 孝志氏にお話を伺いました。

多言語対応カスタマーセンターのインタビューはこちらから!
https://mobilus.co.jp/lab/client-case/sevenbank-maluti/

FAQ、サイト内キーワード検索に課題。AIチャットボット導入で自然な問合せを実現したい

ーAIチャットボットを導入した目的と、当時課題に感じていたことを教えてください。

羯磨 一番の目的は、お客さまに電話以外のサポートツールを提供し、利便性を向上することです。チャットボット導入前のサポートツールは、お電話もしくはWebサイトからFAQやサイト内検索で必要な情報を検索いただくだけでした。

FAQやサイト内検索ですと検索するキーワードでしか検索にかからないので、お客さまが上手く検索できない課題があり、別のサポートツールを提供したいと考えている中でAIチャットボットをやってみようと検討を始めたのです。

また主たる目的ではないですが、AIチャットボット導入で運用側の効率化・コスト削減といった効果も得られるという期待もありました。電話を他のチャネルに誘導できると、入電数を減らすことにも繋がります。

お客さま自身で解決できることで、お客さまも電話で問合せるより早く快適に解決できる利便性と、運用側にとっても効率化につながるようなチャネルを作りたいと思っていました。

正答率、回答率が目標と乖離。
質問と回答データの見直しと紐づけ作業を徹底して行い、正式運用を開始

―導入する際、大変だったことはありましたか?

羯磨 AIチャットボットの導入は社内で前例がなく、銀行という性質上、AIが回答することで間違った回答をしないかリスク関係を管理する部署などから心配の声はありました。

その点は「QA ENGINE」のロジックやモビルス様に協力いただき、当社にとって最適な仕様になるよう何度も調整をしていただきました。最適化するまで苦労はしましたが、結果良かったと思っています。

―運用が始まってから予期せぬ想定外の出来事や、印象的なエピソードがあれば教えてください。

鄙里 正答率85%の維持・向上を目指してリリースしましたが、直後から機械学習を繰り返しても正答率が向上せず、一方で回答率が100%近いというあり得ない数値が出てしまいました。

そこで、当時の担当者が学習データおよび集計項目を再精査する必要があると判断し、数か月かけて社内で集中的に対策を行い、改めて9月にデータの入れ替えを行いました。具体的には、問合せ履歴の正誤判定をやり直し、約1万件の質問データをもとに回答データをすべて見直し、改めて紐づけをして検証、という作業を繰り返した結果、正常値に戻すことができました。その再精査を実施する中で、正誤判定や紐づけの精度の標準化を図るためルールの策定も行いました。

インタビューの様子

▲(左から)鄙里氏、羯磨氏

口座数増加もオペレーターを増やさず利便性は損なわない。人手不足の課題解決にも貢献。

―AIチャットボット導入後の効果はいかがですか?

羯磨 AIチャットボットを含め様々な対策を講じた結果ではありますが、導入前に比べて約10%入電数は減少しています。

ありがたいことに口座開設は増えているので潜在的に問合せをされるお客さまも増えますが、口座開設数の増加に比例せず入電数をコントロールできているのはAIチャットボットを始めとした取組みの成果だと考えております。

菊池 入電数増加の流れを止めることができました。口座開設数が増えるに比例して問合せも増え、その度に対応するオペレーターを増やし続けるとなると難しい。コールセンター業界全体として人材不足が課題になっているので。マンパワーで解決するという考えではいかなくなっています。  

羯磨 人手不足の対策としても問合せ窓口を電話に限らず別チャネルに分散させることで、オペレーターの数を増やさずともお客さまの利便性を損なわない、という意味でもAIチャットボットを導入した意味があったと考えています。

問合せの内訳は、口座開設をしているお客さまと新規のお客さまの割合的に、6対4くらいです。口座数が増え続けていることからも、現状に満足せずこれまで以上に満足度の高いサポートを提供し続けていかなければならないと気を引き締めております。

チャットボットの起動画面

▲Webサイトを立ち上げるとAIチャットボットが起動。質問を入力すると自動で回答される。

AIチャットボットと有人チャットの連携で、これまで解決できなかった問合せも解決まで導けるようになった

―オペレーターによる有人チャット対応との連携を開始した経緯を教えてください。

鄙里 有人チャットとの連携は当初からの目標でした。AIチャットボットで回答できるのは定型的な範囲なので、そこで全て解決せず「自分の場合はどうなのか?」と次の質問へ繋げてくることが非常に多くありました。それに対してきちんと回答したいという思いがあり、AIチャットボットが答えて満足いただけない場合、オペレーターによる有人チャットへエスカレーションする仕組みを試験的に導入しました。
(※2020年1月27日現在 有人チャットは試験導入期間を終了し一時休止中)

―有人チャットとの連携開始後、変化を感じていますか?

鄙里 今は試験的に導入しているので、具体的な指標は立てていませんが、AIチャットボットで解決できなかった問合せに対してオペレーターによる有人チャットへエスカレーションした方の履歴を見ると、最後は解決でき「ありががとうございます」と締められているので、今までは最後まで解決できなかった問合せに対しても、解決まで導けていると実感しています。

―運用体制について教えてください。

鄙里 電話とチャット対応で担当は分かれています。チャット対応はまだ試行段階なので1席のみです。後々は全てのオペレーターが電話とチャットのマルチスキルで対応できるようにしていきたいですが、有人チャットが初めなので、どういったお問合せがどのくらいの件数入るか、KPIはどう設定するか・・など段階的に落とし込むため検証を兼ねて現時点では管理者が担当しています。

羯磨 こちらの体制が整っていない段階で有人チャット開始と告知し、問合せが殺到するなど対応できなくなることがお客さまにとって最もよくないことです。順序を踏みながら運用していきたいと考えているので、Webサイト等でいきなり有人チャットの窓口を掲示せず、AIチャットボットで問合せをし、解決しない場合のみ、有人チャットへ繋ぐように今は運用しています。チャットボットへの問合せは、一日平均150~300件ほどです。

インタビューの様子

▲(左から)鄙里氏、羯磨氏、菊池氏。インタビュー中も終始和やかな雰囲気で、チームワークの良さを感じました。

柔軟にカスタマイズ対応できる点が導入の決め手

―「モビエージェント」を知ったきっかけと、導入の決め手を教えてください。

羯磨 最初はAIエンジンを探している中で「QA ENGINE」を見つけ、Studio Ousiaさんに「モビエージェント」を紹介していただいたことです。「QA ENGINE」と「モビエージェント」の連携のトータルした運用費用が安かったことが決め手の一つでした。

もう一つ大きな理由は、当社に合わせたカスタマイズができたところです。モビルスさんに「こういうことできますか?」と聞いたときにNoと言われたことがほぼありませんでした。柔軟に対応してもらえたことが、とても有難かったです。

また、当初から有人チャット対応も視野に入れていたので、「モビエージェント」は有人連携もできる点も良かったところです。

―「モビエージェント」でよく使う機能は何ですか?

羯磨 ログインすると比較的簡単な操作で、今稼働している有人チャットの状況が一目でわかる点や、欲しい期間のログを取得することが、普段操作することが少ない私でも直感的に分かる管理画面には助かっています。

鄙里 管理画面は様々な機能が搭載されているので、まだすべては使いこなせていませんが、操作のしやすさは実感しています。有人チャットの操作画面も、ゼロからスキルを習得するには何時間も練習が必要だと見積もっていましたが、実際はそれほど時間がかからずにできたのです。直感的に操作でき、必要な機能がパッケージされている点が使いやすいと感じました。

個別具体的な問合せにも、チャットで対応できる体制を創りたい

―今後の展望を教えてください。

羯磨 まずは有人チャットを正式にサービスとして展開できるとこまで進めたいです。その次に乗り越えたいことは、個人情報を扱うお問合せにチャットで対応できるようにすることです。セキュリティが確保されていることが当然の前提ですが、「残高いくら入っていますか?」「いつキャッシュカードを発送しましたか?」「定期預金の満期はいつですか?」というような個別具体的なお客さまからのお問合せにも、応えられるチャットサービスにしていきたいです。

※本文内は敬称略、所属・役職は取材当時のものです。

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細川
セブン銀行では、8ヶ国語対応のオペレーターチャットサポートも行っています。

AIチャットボットとオペレーターチャットは、それぞれの特長を活かし連携することで、相乗効果が見込めます。チャットボットの構築や運用方法、オペレーターチャットとの連携については、モビルスまでご相談ください。