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モビルスでは、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EY)と共催で「Withコロナ時代、顧客行動変容と求められるコンタクトセンター変革」をテーマとしたオンラインセミナーを、2020年7月30日に開催しました。セッション内容とパネルディスカッションの様子を抜粋してお届けします。

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細川
本記事は、EY 田宮氏のセッション内容です。消費行動変化や、コンタクトセンターのオペレーター・SVへのアンケート調査結果など、様々なデータをもとに「顧客視点によるチャネル最適化」「オペレーターの在宅対応」についてお話いただきました。ぜひご覧ください。
※セミナーレポート②はこちらです

目次

顧客視点によるチャネル最適化~コロナウィルスによる顧客の行動変容~
・サービス業は依然低迷、小売業は客足が戻りつつある

・顧客行動変容の真の要因は、「利便性」と「経済合理性」への意識変化

・日本企業の顧客体験(CX)への取り組みはまだ限定的

・日本で顧客体験(CX)への取り組みが進まない理由とは


コンタクトセンターの在宅対応の現状と課題

・導入は一部の企業に限られている現状

・個人情報の取り扱いは企業側、オペレーター側、双方が不安を抱えている

・在宅対応時は、チャット導入が増加傾向にある

・在宅対応の有無は、オペレーターの雇用・採用にも影響

顧客視点によるチャネル最適化
コロナウィルスによる顧客の行動変容

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社 
ディレクター 田宮 康一

国内大手IT企業にて製造・流通業のお客様を中心としたCRMや基幹システムのシステム構築を担当。
その後、大手コンサルティングファームにおいて、業界問わずCRM/CX領域におけるチャネル攻略策定からオペレーションの高度化、実行支援までを総合的に支援。

新型コロナウィルス感染症(以下、コロナウィルス)の拡大により、様々な業種業界で多大な影響を受けています。コンタクトセンターでも、社員の感染によるセンターの一時閉鎖や、3密回避のため出勤社員の数を減らし座席の間隔をあける、時間を短縮して営業するなどの対策により、運営に大きな影響を受け、顧客へのサービス品質の低下を招いています。

このような背景を踏まえ、withコロナ時代におけるコンタクトセンターの主要な対策として「顧客視点によるチャネル最適化」「オペレーターの在宅対応」の2点を中心に田宮氏よりお話いただきました。

サービス業は依然低迷、小売業は客足が戻りつつある

コロナウィルスにより顧客である消費者の行動がどのように変化したか―「JCB消費NOW」の公開情報を元にEYが作成したグラフによると、宿泊や外食などのサービス業は、緊急事態宣言中は今年の1月後半時点と比べマイナス40~50%と大幅に下がり、緊急宣言解除後の6月前半も消費の回復はされていません。

一方で小売業は、緊急宣言中もサービス業と比べて大幅な減少はせず、1月後半時点とほぼ変わらない消費行動が行われていることが分かります。田宮氏は小売業をさらに具体的に分析し、緊急事態宣言後に消費が回復傾向にある業態について「百貨店、アパレルは、一時的に下がったが、5月後半には1月後半に近いほど回復している」。また、「“ステイホーム”による特需があった、スーパーや酒屋は、1月後半と比べて20~40%消費が増えましたが、宣言後には落ち着いている」とのことです。

緊急事態宣言解除後も消費が維持・変わらない(消費が低下したまま)の業態は、コンビニエンスストアです。4月前半から消費が落ち込んだまま回復せず横ばい状態にあります。消費が高止まりしている業態は、機械器具業(家電量販店、ゲームや調理器具など)やECサイトで、宣言解除後もさほど消費が下がらず、高止まりしたままです。

顧客行動変容の真の要因は、「利便性」と「経済合理性」への意識変化

対面を避ける・在宅勤務になるといった生活形態の変化により、消費の行動変容が変わると予想されていました。しかし、スーパーや酒屋、アパレルは一時的な変化のみで解除後は元の状態に戻りつつあります。

一方で、家電量販店やECサイトは解除後も変わらず消費が増加。これらの結果を踏まえ田宮氏は「生活の行動変化が真の要因ではないのではないか」と仮説を立て、「生活形態の変化はあくまできっかけに過ぎず、消費者の意識変化、利便性・経済合理性が要因として行動変容に繋がっているのではないか」と説明します。

例えば、インターネットやスマートフォンは今や高齢者にも浸透しています。コロナウィルスを機に、高齢者層やこれまで使っていなかった層が、ECサイトを使って買い物をしたり、スマホから食事の宅配を頼むなど、便利さを知りコロナウィルスに関係なく継続して使うようになっているなどが考えられるとのことです。

「生活形態の変化はあくまできっかけで、真の要因である意識の変化を読み解くことが必要です。企業の持つ様々なチャネルを上手に活用し、そこから見えてくる消費者行動を捉えていくことが大事になってきます」(田宮氏)

日本企業のCXの取り組み状況と今後の対応について

日本企業の顧客体験(CX)への取り組みはまだ限定的

日本における顧客体験(CX)プロジェクトの状況について、Gartnerが行った情報システム部門のITマネージャーを対象にした調査結果を元にEYが作成したグラフによると、「必要だが未検討/進捗が遅い」「知らない/分からない」「自社には必要ない」と答えた人が全体の60%に上りました。この結果からもCXについて日本ではまだ社員の意識は低いと言えます。

日本で顧客体験(CX)への取り組みが進まない理由とは

日本企業でCXへの取り組みが進まない理由として、「イノベーションのサイロ化」「サイロ化されたDX推進」が課題だとし、「部分的なDXの取り組みになっている。例えばチャットボットを導入したが効果がない、という悩みも、部分最適の考え方で企業がサービスを提供していることが要因です。CX視点で考えられていない」と田宮氏は指摘します。

また、「日本におけるCXの推進者」の調査結果からも、部署横断で進める権限や責任を持っていない立場の人が約8割という状況が浮き彫りになっています。

現状の課題を踏まえ、顧客視点によるチャネルの最適化、日本企業のCXの取り組みにおける成功に向けたポイントについて、田宮氏は下記のように総括しました。

「コールリーズン、サイトアクセス、顧客属性などのデータを分析し変化を捉えること。その上で顧客のニーズをとらえたチャネルを構築する。そして、顧客視点のチャネル横断のKPIを設定し、常に改善できる仕組みを作る。最後に、顧客視点を重要視して組織横断した取り組みとすることが必要です」

コンタクトセンターの在宅対応の現状と課題

導入は一部の企業に限られている現状

コロナウィルス禍の対策の一つとして、オペレーターの在宅対応が検討されています。コロナウィルス以前から、コールセンターのBCP対策として在宅対応は話題に挙がっていましたが、なかなか導入が進んでいませんでした。

「コールセンタージャパン 2020年5月号」の調査によると、「新型コロナウィルス感染を受けてのオペレーター・SVの在宅対応の状況」は、「検討したが、現時点では不可能」「検討する必要がない」が約半数という状況です。在宅対応できない理由は、「個人情報保護の観点から」が一番多く、続いて「転送対応やヘルプ対応ができない」「IT投資ができない」が挙がっています。

オペレーターやSVの在宅勤務は難しく、対応できた企業は一部に限られていますが、田宮氏は「ステップごとに考えることで実現できるのでは」と話します。

EYが実施したコンタクトセンターで働く従業員視点でのアンケート調査によると、6月18日時点で在宅勤務を行っているオペレーター・SVは約3割。約7割が在宅勤務を行っていないという結果がでました。「在宅勤務制度はあるが出勤している」と答えた人が17%と、制度があっても整備されていない・出勤せざるを得ない状況の方も一定数いるようです。

在宅対応時の一番の懸念として挙げられる個人情報の取り扱いについては、約6割が「在宅対応時に個人情報を取り扱っている」と回答しました。「在宅対応時に個人情報を扱う運用をしないセンターもありますが、今回のアンケートでは意外と多い結果だった」(田宮氏)

個人情報の取り扱いは企業側、オペレーター側、双方が不安を抱えている

また、「個人情報の取り扱いに不安を感じているか」については「非常に不安を感じる」47%、「どちらかといえば不安を感じる」47%と、9割以上のオペレーター・SVが不安を感じている結果でした。企業側としては情報漏洩を懸念しており、オペレーター・SVも意図せずとも情報漏洩をしてしまわないか不安に感じているのです。

解決方法として、「在宅対応時は個人情報を取り扱わない運用にするよう、コールリーズンから切り分ける方法があります。また、Webカメラでのモニタリングも、第三者の覗き込み等の抑止効果にもなり、オペレーターにとってもあらぬ疑いを回避できるので、両者にとってポイントになるのでは」と田宮氏は提案します。

在宅対応時は、チャット導入が増加傾向にある

「通常時と在宅対応時のコミュニケーション手段の変化」の調査結果では、「電話」は通常時64%と最も多いですが、在宅時の使用では43%と減少しています。一方でノンボイス系の「Eメール」「ウェブ」「チャット・SNS」は、それぞれ在宅時の方が増加しています。「生活音が入り込む心配や、ネットワークが途切れる心配も電話より少ないため、メールやウェブのお問い合わせフォーム等に加えて、チャットを導入するコンタクトセンターが増えている印象」とのことです。

「在宅対応のメリット」は、「通勤時間の削減・有効活用」、「ワークライフバランスの改善」に続いて「集中力の向上による業務効率・生産性の改善」が上位に挙がっています。「デメリット」としては、「同僚・上司・部下とのコミュニケーション不足による心細さ、やりにくさ」「家庭音の混入など、自宅労働環境の不適切」「機材・資材・IT環境の不足」などです。「デメリット部分を担保することで、在宅対応への不安を解消できるのではないか」と問いかけました。

在宅対応の有無は、オペレーターの雇用・採用にも影響

「在宅制度がないことに対する会社への不安・不信感」については、約4割が、制度がないと不安と回答しています。また、コロナウィルス終息後も在宅勤務を希望する人は、5割近くです。コンタクトセンター業界は、コロナウィルスによるパンデミック以前もオペレーターの採用が難しい状態でした。コロナウィルス禍で3密環境などを不安視する意見も多く、今後はより人材確保が厳しくなると予想できます。「在宅制度を導入することで、雇用の確保に繋がる可能性もあり、さらに働き方の多様化で優秀なオペレーターの確保にも繋がるのでは」と田宮氏は言います。

最後に「以前からコンタクトセンターの在宅化は話題に上がり続けていますが、進まない理由の一つが個人情報の取り扱いです。これは、”見えないおばけ“を怖がっていることも意外と多いではないでしょうか。たくさんやることがあると思うかもしれませんが、まず何をする必要があるのか、やることを見える化し、手順を踏んで検討を進めることが重要です」とセッションを締めくくりました。

【セミナーレポート②もご覧ください!】
在宅オペレーションの実現に向けた、情報セキュリティ対応への解決策


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細川
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