顧客体験(CX)は、デジタル化の進展や競争環境の激化、消費者の価値観の変化、グローバル化と文化の多様性を背景に、企業の経営戦略として重要視されています。CXの向上は企業の発展において欠かせない取り組みです。当記事では、CXの基礎知識から、重要な理由や構成要素、CXを向上・改善する方法や成功事例、さらに実践時の課題と解決策まで詳しく紹介します。
見出し
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?
始めに、CXとは何か、定義から求められるようになった背景、意味が似ている言葉との違いについて紹介します。
定義
CX(Customer Experience)とは、顧客が企業やブランドと接するすべての場面で得る体験や感情の総体を指します。製品やサービスの購入時だけでなく、情報収集、購買プロセス、アフターサービス、ブランドの社会的なイメージ、さらには企業の価値観や文化まで、あらゆる要素を含みます。CXは、顧客が企業とどのように関わり、その関係をどのように感じるかを総合的に評価するものです。
求められるようになった背景
CXが求められるようになった背景には、「デジタル化の進展」「競争環境の激化」「消費者の価値観の変化」「グローバル化と文化の多様性」の影響があります。
デジタル化の進展
インターネットやスマートフォンの普及により、顧客は多様なチャネルを通じて情報を得られるようになりました。SNSや口コミサイトの台頭により、顧客は他の消費者の意見や評価を簡単に参照できるなど企業との接点が増加したことで、CXの重要性が一層高まっています。
競争環境の激化
市場には多くの競合他社が存在し、製品・サービスの機能や価格だけで差別化を図ることが難しくなっている状況です。そのため、CXを通じて他社との差別化を図る企業が増えています。
消費者の価値観の変化
現代の消費者は、単に製品やサービスの品質や価格だけでなく、企業の社会的責任(CSR)や環境への取り組み、倫理観など、価値観や理念にも関心を持つようになっています。こうした消費者の価値観の変化もCXの関心の高さにつながっています。
グローバル化と文化の多様性
グローバルな市場展開により、異なる文化や価値観を持つ顧客に対しても、適切なCXを提供する必要が生じています。多様な背景を持つ顧客に適切なCXを提供するためには、考え抜かれたCXの取り組みが求められています。
意味が似ている言葉との違い
CXと意味が似ている言葉に「CS」「UX」があります。それぞれ違いを見ていきましょう。
CS(カスタマーサティスファクション)
CS(Customer Satisfaction)は、顧客満足度を指し、主に商品やサービスが顧客の期待にどれだけ応えたかを評価するものです。具体的には、製品の性能、価格、品質、サービス対応などが評価対象となります。
CSは、企業が提供する価値と顧客の期待値とのギャップを測定する指標です。一方、CXは顧客が企業との全ての接点で得る体験全体を指し、感情的な側面やブランドへの信頼感、企業の社会的責任なども含まれます。つまり、CSはCXの一部であり、CXはより広範で包括的な概念ということです。CXは、顧客のライフサイクル全体を通じての体験を重視し、長期的な関係構築を目指します。詳しくは下記の記事で紹介しています。
顧客満足度(CS)とは?計測方法から向上・改善術、トレンドまで
UX(ユーザーエクスペリエンス)
UX(User Experience)は、ユーザーが特定の製品やサービスを利用する際の使い勝手や満足度に焦点を当てているものです。主にWebサイトやアプリケーションのデザイン、インターフェース、操作性などを対象としています。
UXは、ユーザーが特定のタッチポイントでどのように感じるかを重視します。CXはUXを包含し、さらに企業とのすべての接点、例えば広告、店舗、カスタマーサポート、ブランドイメージ、社会的責任なども含めた総合的な体験を指します。つまり、UXはCXの一部であり、特定の製品やサービスにおける体験に焦点を当てているということです。
CX(カスタマーエクスペリエンス)が重要な理由とは?
CXは、なぜ重要とされるのでしょうか。CXは、「競争優位性の確立」「顧客ロイヤリティの向上」「口コミ・評価の拡散」「財務上のメリット」といった経営に直結する役割を担っています。次に、一つずつ詳しく紹介します。
競争優位性の確立
他社との差別化
現代の市場では、製品やサービスの機能や価格だけで差別化を図ることが難しくなっています。そのため、優れたCXを提供することが、顧客に選ばれる企業になる上で欠かせない条件と言えます。具体的には、以下の点が挙げられます。
【一貫したブランド体験】
全てのチャネルで一貫したメッセージと体験を提供することで、顧客の信頼感と安心感を醸成する。
【高品質なカスタマーサービス】
迅速かつ丁寧な対応により、顧客満足度を向上させる。
【独自の顧客体験】
他社にはない独自のサービスや体験を提供することで、差別化を図る。
ブランドロイヤリティの向上
優れたCXは、顧客のブランドに対する忠誠心を高めることに効果的です。顧客は満足した体験を繰り返したいと思い、再購入や他のサービスの利用につながります。これにより、長期的な収益の安定化が期待できます。
【顧客の感情的なつながり】
ブランドに対する愛着や共感が生まれ、競合他社への乗り換えを防ぐ。
【継続的なコミュニケーション】
定期的な情報提供やフォローアップにより、顧客との関係を強化する。
顧客ロイヤリティの向上
リピート購入の促進
良好なCXは、顧客のリピート購入を促進します。顧客は信頼できる企業から再度購入したいと考えるものです。さらに、顧客生涯価値(LTV)の向上も期待できます。
【クロスセルとアップセルの機会】
顧客のニーズを深く理解することで、関連商品や上位商品を提案できる。
【ロイヤリティプログラムの活用】
ポイントや特典を提供し、継続的な利用を促す。
顧客維持コストの削減
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストよりも高いとされています。CXの向上により、既存顧客の満足度とロイヤリティを高めることで、マーケティングコストを削減できます。
【顧客離れの防止】
満足度の高い顧客は他社へ乗り換える可能性が低くなる。
【カスタマーサポートの効率化】
顧客理解が深まることで、問い合わせやクレームの対応が迅速化する。
口コミ・評判の拡散
ポジティブな口コミ効果
満足した顧客は、自発的にその体験を家族や友人、SNSで共有する傾向にあります。これにより、新たな顧客獲得につながるポジティブな口コミ効果が期待できます。
【口コミマーケティングの活用】
顧客の声をマーケティング活動に取り入れ、信頼性を高める。
【インフルエンサーマーケティング】
影響力のある人物を通じて、ブランドの魅力を拡散する。
ネガティブな評判のリスク軽減
一方で、悪い体験は瞬時に拡散され、ブランドイメージに悪影響を及ぼす恐れがあります。優れたCXを提供することは、ネガティブな評判の発生を抑制することにも有効です。
【迅速なクレーム対応】
問題が発生した際に迅速かつ適切な対応を行うことで、信頼を回復する。
【リスクマネジメント】
ネガティブな情報が拡散しないよう、事前の対策を講じる。
財務上のメリット
売上の増加
顧客満足度が高い企業は、売上や利益率が高くなる傾向があります。これは、顧客が価格よりも体験価値を重視するためです。
【プレミアム価格の設定】
高品質な体験に対して、顧客は高い価格を受け入れる。
【市場シェアの拡大】
満足度の高い顧客基盤により、新規顧客の獲得が容易になる。
コスト削減
クレームや返品が減少することで、カスタマーサポートや物流にかかるコストの削減が可能です。また、効率的な業務プロセスにより、全体的な運営コストも低減できます。
【業務効率の向上】
プロセスの最適化により、無駄なコストを削減する。
【人材育成の効果】
従業員のスキル向上により、生産性が向上する。
CX(カスタマーエクスペリエンス)の構成要素とは?
CXは、「感情的要素」「体験価値の創造」「機能的要素」「ブランドイメージ」「パーソナライゼーション」によって構成されています。次に、一つずつ詳しく紹介します。
感情的要素
エモーショナル・コネクション
顧客がブランドに対して感じる共感や信頼、愛着などの感情的なつながりのことです。これは、企業の価値観や理念、社会的な取り組みなどから形成されます。感情的要素を高めるためる方法は以下です。
【ブランドストーリーの共有】
企業の歴史や理念を伝えることで、顧客の共感を得る。
【社会的責任の履行】
環境保護や社会貢献活動に取り組むことで、信頼性を高める。
体験価値の創造
製品やサービスの利用を通じて、顧客に驚きや感動を与えることが重要です。これにより、他社では得られない独自の価値を提供できます。体験価値を創造する主な方法は以下です。
【サプライズ要素の提供】
予期せぬ特典やサービスで顧客を喜ばせる。
【カスタマイズの提案】
顧客の好みに合わせたサービスを提供する。
機能的要素
機能的要素には、「製品・サービスの品質」だけでなく「利便性とアクセスビリティ」が含まれます。
製品・サービスの品質
高品質な製品やサービスは、顧客満足度の基本となります。信頼性、耐久性、使いやすさなどが評価される基準です。製品・サービスの品質向上の主な方法は以下です。
【品質管理の徹底】
製品の品質を維持・向上させるためのプロセスを確立する。
【継続的な改善】
顧客のフィードバックを基に、製品やサービスを改善する。
利便性とアクセシビリティ
顧客が製品やサービスを簡単かつスムーズに利用できることが重要です。Webサイトの使いやすさ、店舗の立地、配送の迅速さなどが含まれます。利便性とアクセシビリティ(使いやすさ)を高めるための主な方法は以下です。
【UI/UXの最適化】
デジタルチャネルの使いやすさを向上させる。
【多様な支払い方法の提供】
顧客のニーズに合わせた支払いオプションを用意する。
ブランドイメージ
ブランドイメージに影響を与える取り組みは、「企業の価値観と社会的責任」「一貫性のあるコミュニケーション」が挙げられます。
企業の価値観と社会的責任
企業がどのような価値観を持ち、社会にどのような影響を与えているかは、顧客のブランドイメージに大きく影響します。環境への取り組みや社会貢献活動などが評価され、ブランドイメージの向上につながります。ブランドイメージの向上に役立つ、企業の価値観や社会的責任への主な取り組み方法は以下です。
【サステナビリティの推進】
環境に優しい製品やプロセスを導入する。
【コミュニティへの貢献】
地域社会への支援やボランティア活動を行う。
一貫性のあるコミュニケーション
広告やマーケティング、顧客対応など、全てのチャネルで一貫したメッセージを発信することが重要です。これにより、顧客のブランド認識を強化できます。一貫性のあるコミュニケーションを実現する上で必要な取り組みは以下です。
【ブランドガイドラインの策定】
デザインやメッセージの統一性を保つ。
【クロスチャネルマーケティング】
様々なチャネルで統一されたキャンペーンを展開する。
パーソナライゼーション
パーソナライゼーションは、「個別最適化された提案」や「顧客参加型のサービス」を指します。
個別最適化された提案
顧客の購買履歴や行動データを活用し、個々のニーズに合わせた製品やサービスを提案します。これにより、顧客は自分が大切に扱われていると感じることができるのです。個別最適化された提案の主な方法は以下です。
【レコメンデーション】
AIを活用し、適切な商品を提案する。
【パーソナライズドマーケティング】
顧客の属性に合わせたコンテンツを配信する。
顧客参加型のサービス
顧客がサービスや製品の開発に直接参加できる仕組みを提供することで、顧客のエンゲージメントを高めることができます。具体例は以下です。
【クラウドソーシング】
アイデアやデザインを顧客から募集する。
【共同開発プログラム】
顧客と共同で新製品を開発する。
CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上・改善させる方法とは?
CXを向上・改善させる方法は以下の5つです。次に、詳しく解説します。
・顧客視点の徹底
・従業員の満足度の向上
・システム・ツールの活用
・フィードバックの活用
・オムニチャネル戦略の推進
顧客視点の徹底
「ペルソナ設定」「カスタマージャーニーマップの作成」「顧客アンケートとインタビュー」を行うことで、顧客視点を徹底していきます。
ペルソナ設定
具体的なターゲット顧客像を詳細に設定します。設定する内容は、年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観、購買動機、行動パターンなどです。ペルソナを明確にすることで、顧客ニーズに合致したマーケティング戦略やサービス設計をすることができます。設定・活用の主な方法は下記です。
【データ収集】
市場調査や顧客データを活用してペルソナを構築する。
【ペルソナの活用】
商品開発やマーケティング施策の企画にペルソナを活用する。
カスタマージャーニーマップの作成
顧客が商品やサービスを認知し、購入し、利用するまでの一連のプロセスを視覚的にマッピングします。これにより、各接点での顧客の行動、感情、ニーズの把握、改善点の特定が可能になります。カスタマージャーニーマップを作成する主な方法は下記です。
【現状の把握】
現在の顧客体験を詳細に分析する。
【痛点の特定】
顧客が不満を感じるポイントを明確にする。
【改善策の策定】
痛点を解消するための具体的な施策を立案する。
顧客アンケートとインタビュー
定期的に顧客満足度調査やインタビューを実施し、直接的なフィードバックを収集します。これにより、潜在的な課題や新たなニーズを早期に発見できます。顧客アンケートとインタビューの主な方法は下記です。
【オンライン調査】
Webアンケートやメールを活用して広範囲のデータを収集する。
【フォーカスグループ】
特定の顧客層を対象にディスカッションを行い、深い洞察を得る。
【インタビュー】
個別に詳細な意見を聞き出す。
従業員満足度の向上
「社内文化の醸成」「教育・研修プログラムの強化」「モチベーションアップのための施策」を通して、従業員満足度を向上していきます。
社内文化の醸成
顧客中心主義の文化を社内に浸透させ、社内文化の醸成を行います。これには、経営層から現場まで一貫したメッセージと行動が求められます。社内文化を醸成する主な方法は下記です。
【ミッション・ビジョンの共有】
企業の方向性を全従業員に明確に伝える。
【社内コミュニケーションの強化】
定期的なミーティングや情報共有の場を設ける。
教育・研修プログラムの強化
従業員に対して、顧客対応スキルや製品知識、コミュニケーション能力などを高めるための研修を実施します。教育・研修プログラムを強化する主な方法は下記です。
【オンボーディングプログラム】
新入社員向けに企業文化や業務内容を教育する。
【継続的なトレーニング】
定期的な研修やワークショップを開催する。
【eラーニングの活用】
オンラインで学習できる環境を整備する。
モチベーションアップのための施策
インセンティブ制度や評価制度を見直し、従業員の成果や努力を正当に評価します。これにより、従業員のモチベーションと満足度が向上します。モチベーションアップ施策の主な方法は下記です。
【パフォーマンス評価の明確化】
目標設定と達成度合いを透明性のある形で評価する。
【報酬と昇進の連動】
成果に応じた報酬やキャリアパスを提供する。
【従業員満足度調査】
定期的に従業員の意見を収集し、職場環境を改善する。
システム・ツールの活用
「データ分析とAIの導入」「CRMシステムの活用」「チャットボット・ボイスボットの導入」「業務プロセスの自動化」といったシステム・ツールの活用を行います。
データ分析とAIの導入
顧客データを収集・分析し、顧客の行動パターンやニーズを予測します。AIを活用することで、リアルタイムなパーソナライゼーションが可能になります。データ分析とAI導入の主な方法は下記です。
【ビッグデータの活用】
大量のデータを分析し、洞察を得る。
【機械学習モデルの構築】
予測分析やレコメンデーションエンジンを開発する。
【リアルタイム分析】
即時性のあるデータ処理で顧客対応を最適化する。
CRMシステムの活用
顧客情報を一元管理することで、部門間の情報共有がスムーズになり、一貫したサービス提供が可能となります。CRMシステムの主な活用方法は下記です。
【統合プラットフォームの導入】
営業、マーケティング、サポートなどのデータを統合する。
【カスタマイズ可能なダッシュボード】
重要なKPIをリアルタイムで監視する。
チャットボット・ボイスボットの導入
チャットボットやボイスボットを導入し、よくある質問や定型的な手続きの対応などを自動化することで、24時間365日のサポート体制や迅速な回答を実現します。別の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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チャットボット導入のメリット9選とデメリット4選。活用術の紹介も
ボイスボットとは?活用事例、導入時比較ポイントから設計運用術まで
業務プロセスの自動化
業務プロセスの自動化により、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。業務プロセス自動化の主な方法は下記です。
【RPA(Robotic Process Automation)】
定型業務を自動化し、ミスを削減する。
フィードバックの活用
「VOCの収集」「NPSの活用」「フィードバックループの構築」を通して、顧客からのフィードバックを活用します。
VOC(Voice of Customer)の収集
SNS、口コミサイト、アンケートなど、様々なチャネルから顧客の声(VOC)を収集します。ポジティブな声だけでなくネガティブな声も貴重な改善材料です。VOCの主な収集方法は下記です。
【ソーシャルリスニングツール】
SNS上のブランド言及をモニタリングする。
【オンラインレビューの分析】
口コミサイトの評価を定期的にチェックする。
【フィードバックフォームの設置】
Webサイトやアプリ内に簡単に意見を送れる仕組みを用意する。
NPS(Net Promoter Score)の活用
顧客が他者に企業のブランドや製品・サービスをどの程度推薦するかを測定するNPSを活用し、顧客ロイヤリティを定量的に評価します。NPS活用の主な方法は下記です。
【NPS調査の実施】
定期的に顧客にアンケートを送り、スコアを集計する。
【プロモーターの活用】
高評価の顧客をロイヤルカスタマーとして優遇する。
【デトラクター(批判者・非難者)への対応】
低評価の顧客の不満点を特定し、改善策を講じる。
フィードバックループの構築
収集したフィードバックを分析し、迅速に改善策を実行します。その結果を再度顧客にフィードバックし、信頼関係を構築していく流れを作ることが重要です。フィードバックループを構築する主な方法は下記です。
【課題の優先順位付け】
影響度の高い問題から対処する。
【改善策のモニタリング】
施策の効果を継続的に評価する。
【顧客への報告】
改善した点を顧客に知らせ、信頼を築く。
オムニチャネル戦略の推進
「シームレスな顧客体験」「マルチデバイス対応」「カスタマーサポートの強化」を通してオムニチャネル戦略を推進していきます。
シームレスな顧客体験
オンラインとオフラインのチャネルを統合し、顧客がどのチャネルを利用しても一貫した体験ができるようにします。例えば、オンラインで購入した商品を店舗で受け取るといったことです。シームレスな顧客体験を実現する主な方法は下記です。
【統合プラットフォームの構築】
データとシステムを統合し、チャネル間の壁をなくす。
【クロスチャネルプロモーション】
オンラインとオフラインで連携したキャンペーンを展開する。
【顧客履歴の共有】
どのチャネルでも顧客の過去の行動を把握できるようにする。
マルチデバイス対応
Webサイトやアプリケーションをスマートフォン、タブレット、パソコンなど様々なデバイスに最適化します。これにより、顧客はいつでもどこでもサービスにアクセスできるようになります。マルチデバイス対応の主な方法は下記です。
【レスポンシブデザイン】
画面サイズに応じてレイアウトが最適化される。
【モバイルアプリの開発】
専用アプリで高いユーザー体験を提供する。
【プッシュ通知の活用】
タイムリーな情報を直接顧客に届ける。
カスタマーサポートの強化
電話、メール、チャット、SNSなど、顧客が希望するチャネルでのサポートの提供や、問い合わせ内容を一元管理し、過去のやり取りを参照できるようにするなど、カスタマーサポートを強化していきます。主な方法は下記です。
【マルチチャネルサポートシステム】
全ての問い合わせを一つのシステムで管理する。
【ナレッジの蓄積】
FAQやガイドを充実させ、自己解決を促す。
【サービスレベルの定義】
対応時間や品質基準を明確にし、顧客に約束する。
CX(カスタマーエクスペリエンス)の成功事例とは?
次に、CXの成功事例として「スターバックス」「アマゾン」の例を紹介します。
事例①:スターバックス
顧客の好みに応じたサービスの提供
スターバックスは、豊富なオプションやバリスタとの対話を通して、顧客一人ひとりの好みに合わせたカスタマイズ可能なドリンクメニューを提供しています。これにより、顧客は自分だけの一杯を楽しむことができます。
【豊富なオプション】
ミルクの種類、シロップ、トッピングなど多様な選択肢を提供する。
【バリスタとの対話】
顧客の要望を細かくヒアリングし、最適な提案を行う。
デジタルエンゲージメント
スターバックスのモバイルアプリは、事前注文機能、リワードプログラム、カスタマイズ機能などを搭載しています。これにより、顧客はスムーズな注文体験と特典を享受できるのです。
【モバイルオーダー】
待ち時間を削減し、店舗での体験を向上させる。
【リワードプログラム】
購入ごとにポイントが貯まり、特典と交換可能。
【パーソナライズドオファー】
顧客の嗜好に合わせたクーポンやプロモーションを提供する。
事例②:アマゾン
ミッションの徹底
アマゾンは「地球上で最も顧客中心の企業になる」というビジョンを掲げ、顧客満足度の向上に全力を注いでいる企業です。具体的には「24時間体制のサポート」「顧客の声を商品開発に反映」などの取り組みを行っています。
【24時間体制のサポート】
いつでも問い合わせや問題解決が可能。
【顧客の声を商品開発に反映】
レビューやフィードバックを基に新商品を開発。
迅速かつ信頼性の高い配送
プライム会員向けに当日・翌日配送を提供し、顧客の利便性を高めています。配送状況をリアルタイムで確認できるトラッキング機能の充実や、独自の物流ネットワーク、ロッカー受け取りサービスなど、迅速で信頼性の高い配送を実現しています。
【独自の物流ネットワーク】
効率的な配送システムを構築する。
【ロッカー受け取りサービス】
自宅以外でも商品を受け取れる柔軟性を提供する。
パーソナライズドレコメンデーション
過去の購買履歴や閲覧履歴を基に、顧客の興味に合わせた商品を提案するパーソナライズドレコメンデーションを行っています。強調フィルタリングやパーソナライズドメールなど、AIを活用した精度の高いレコメンデーションにより、クロスセルやアップセルを促進します。
【協調フィルタリング】
他の顧客の行動パターンを活用し、関連性の高い商品を提案する。
【パーソナライズドメール】
興味関心に合わせた情報を直接送信する。
CX(カスタマーエクスペリエンス)実践時の課題と解決策とは?
CXを実践する際に出てくる主な課題は下記です。
・部門間での目標や評価基準が異なる
・社内で顧客データが分散しており活用が難しい
・ツールやシステムの導入の遅れ
・社内リソースが不足している
次に、それぞれ解決策を紹介します。
課題①:部門間での目標や評価基準が異なる
【課題】
部門間での目標や評価基準が異なるため、CX改善の取り組みが一貫しない。
【解決策】
・経営層からのリーダーシップ:CXの重要性を明確に示し、組織全体で共有する。
・部署横断チームの編成::部門横断的なチームを作り、共同でCX戦略を策定・実行する。
・共通のKPI設定::全社的なCXに関するKPIを設定し、各部門で共有する。
課題②:社内で顧客データが分散しており活用が難しい
【課題】
部門ごとにデータが分散し、顧客の全体像を把握できない。
【解決策】
・データ統合プラットフォームの導入: 顧客データを一元管理し、リアルタイムでの情報共有を可能にする。
・ポリシーの強化:データの収集・管理・利用に関するポリシーを策定し、全社的に遵守する。
・データ分析チームの強化: 専門のデータサイエンティストを配置し、データの有効活用を推進する。
課題③:ツールやシステムの導入の遅れ
【課題】
最新のテクノロジーを導入していないため、競合他社に遅れをとっている。
【解決策】
・ロードマップの策定: 中長期的な視点で導入すべき技術を明確にする
・段階的なプロジェクトの実施:小規模なプロジェクトからテクノロジー導入を始め、成功事例を積み重ねる。
・外部パートナーとの連携:テクノロジー企業やスタートアップとの協業を検討する。
課題④:社内リソースが不足している
【課題】
CX改善のための人材や資金が不足している。
【解決策】
・ROIの明確化: CX改善による具体的なビジネス効果を示し、投資の正当性を経営層に訴求する。
・優先順位の設定: 影響度の高い領域から順次取り組むことで、限られたリソースを有効活用する。
・人材育成:社内の人材を育成し、CXに関するスキルセットを拡充する。
まとめ
デジタル化の進展や競争環境の激化、消費者の価値観の変化、グローバル化と文化の多様性を背景に、顧客が企業やブランドと接する際に得る体験や感情「CX」の向上が、企業の経営戦略として重要視されています。当記事では、CXの基本的な概念からCXを向上・改善する方法、成功事例や実践時の課題と解決策までを解説しました。
CXは、競争優位性の確立、顧客ロイヤリティの向上、口コミ・評判の拡散、財政上のメリットなど経営に直結する役割を担います。そのため、CX向上は企業の発展において欠かせない取り組みです。「顧客視点の徹底」「従業員満足度の向上」「システム・ツールの活用」「フィードバックの活用」「オムニチャネル戦略の推進」などを行うことで、CXを向上・改善していくことができます。
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