顧客の利便性向上を図るために「顧客接点を効率的に活かす」には顧客体験の領域へのDX拡張が求められます。 今回の記事では「カスタマージャーニー」に沿って、WEB接客ツールやFAQといった比較的新しい顧客接点を、チャットサポートとの連携を軸に整理してみたいと思います。
WEB接客ツールとチャットサポートの効果的な連携
WEB接客ツールとは、WEBサイトに訪れた1人1人のユーザーに対して、人が店舗で行うように個別に最適な接客を行えるツールです。ブラウザやアプリ上に小窓やバナーがポップアップして、個別のご案内や誘導を行いながらサイト上の購入や情報登録などのCV(コンバージョン)を促しますので、全ユーザーに同じ内容で表示されるページ情報にとどまらず、スムーズな顧客体験の向上につながります。
これはECや小売に見られるセールスアップのシーンのみならず、サイト上で「サポートを必要としている顧客」に対しても有効です。困っているユーザーを見つけて、課題に合ったプロアクティブな(積極的な)サポートのコミュニケーションを可能にできるからです。その際求められるのはポップアップからチャットへの転換です。
サイト内の行動データをもとに「チャットサポートを必要とするユーザー」を判定し、適切なタイミングで「お困りですか?」と声かけをします。そもそもチャットのアイコンがずっと同じ位置に表示されていると意外とユーザーの目に留まらずに利用率が伸び悩むというケースも、このように声かけをすることで、改めてチャットの存在に気付いてもらい、利用率向上とユーザーの課題解決につながるのです。
WEB接客では予めお客さまの「属性」「行動」に合わせて最適な接客を出し分けること、ポップアップを連続させ柔軟な接客をすることが大切ですが、チャットによって更に1人のユーザーに寄り添ったコミュニケーションが行えます。
ある外資系の生命保険会社様の例では、保険商品や手続きなどの問い合わせにおけるチャット利用率向上を目的に、Web接客ツールを導入されました。適切なタイミングでWeb接客ツールが持つサイト内の行動データをもとに「チャットサポートを必要とするユーザー」を判定し、「お困りですか?」と声かけを行うことで利用率向上と課題解決につながっています。
WEB接客ツールから有人チャットへの連携
FAQとチャットサポートの効果的な連携
FAQとは「Frequently Asked Questions(頻繁に尋ねられる質問=よくある質問)の略ですが、予めFAQを整理してWEB掲載することで電話やメール、チャットへの問合せを一定数減らすことができます。
またFAQ自体がチャットボットを育成する「教師データ」になるため、自動応答の応対品質を向上のためにも定期的にメンテナンスをすることが必要です。同時にFAQページ自体にはSEO対策の効果もあるため自社サイトへの流入増加にもつながります。
また、FAQもそれ単体ではなく「有人チャットサポートやチャットボットへの連携」によってさらに効果を上げられます。あるネット系証券会社様の例では、FAQの自動解決から有人チャットオペレータへのエスカレーション連携をされています。まずはAI搭載のFAQシステムで自己解決を図り、どうしても解決に至らない場合は有人チャットへエスカレーションしチャットオペレータが対応することで、応対品質を改善するだけでなく、引き継がれた情報を元にオペレータが対応できるというオペレーション負荷の軽減にもつながっています。
たとえば、検索クエリ/利用件数、解決/未解決率、主質問/主回答ログ、平均対応時間などの各種データをFAQを運用する中で蓄積し定期的に確認していきましょう。
それらのデータや運用オペレーションを元に、未収録のFAQ、要改善のFAQだけではなく、顧客の声(VOC)、顧客行動データ、またはオペレーション改善策、導線などWebサイト自体の改善ヒントが分かることもあります。
このように取得したデータを基に分析を行い、FAQページからチャットボット~有人対応のチャットサポートまでを一気通貫で改善サイクル構築することが、これからの顧客サポートでは求められるかもしれません。
FAQと有人チャットの連携
単体ツール導入ではなくチャネル間での連携や全体設計を
これまでの「Support Tech Lab」コラムでもご紹介してきたように、数あるサポートツールの「単体導入」だけではサポートの費用対効果を感じられる段階にたどり着けないケースもあります。
今回はWEB接客ツールやFAQの顧客接点チャネルについて、チャットサポートの効果的な連携を整理しました。ご紹介したような効果を実現するために、顧客接点のチャネル全体像や各チャネル間の連携を俯瞰した「顧客サポートのグランドデザイン」設計をしてみることをおすすめします。
モビルスでは事前に設定したKPI、期待ROIに沿って、実際の導入効果を検証しながらサポート現場の運用改善のPDCAをお手伝いしています。以下にてチャット運用の改善に役立つ各種資料も公開していますので、是非ご覧になってみてください。
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