コンタクトセンター(コールセンター)は、”コスト部門”として位置づけられることが多く、営業やマーケティングなどと比べて、積極的な投資が行われにくい傾向にあります。

コンタクトセンターは、本当にコスト部門なのでしょうか。本記事では、カスタマージャーニー(購買までの道のり)や顧客体験の調査データを元に、コンタクトセンターが顧客体験や売上へ与える影響力を分析し、コンタクトセンターの在り方について考えていきます。また、後半では売上アップ・CX向上につながるコンタクトセンター設計の考え方について解説します。

コンタクトセンターは本当にコスト部門なのか

コンタクトセンターは、ユーザーの購入後のアフターサポートという位置づけで考えられることが多いですが、カスタマージャーニーに照らし合わせてみると、実は購買の意思決定そのものに大きく関わっていることが分かります。

例えば、検索・比較の段階で「機能を知りたい」、検討を進めて行く上で「優位性を知りたい」といった問い合わせなど、購買前の段階でコンタクトセンターが影響を与える機会は多々あります。コンタクトセンターの在り方を考える上で、”コスト部門”ではなく、”プロフィット部門”(利益の最大化に貢献する部門)として捉えることが必要です。

4人に1人が、電話サポートでの対応を購入の参考にしている

「購入前の情報収集・検討時に、電話での対応を参考にするか」(「カスタマーサポートにおけるCX調査2022」(モビルス株式会社))の調査結果では、4人に1人(25.5%)が参考にすると回答しています。「やや参考にする(35.2%)」と合わせると、6割以上(60.7%)に上ります。「WEBチャットでの対応」の場合も同様です。

購入後の行動への影響はさらに大きい

購入後の行動への影響はさらに大きいことも調査結果から分かりました。「購入した商品・サービスを継続購入・利用しない場合、カスタマーサポートが期待していたものと違ったことはどのくらい影響しますか?」の質問に対し、約3人に1人が「影響する(33.5%)」、半数近くの人が「やや影響する(41.7%)」と回答しています。

「購入した商品・サービスに満足した場合、カスタマーサポートの良さはどのくらい影響しますか?」に対しても、同様の結果です。

調査結果からも、購入前・購入後、両方でカスタマーサポートが果たす役割が大きいと言えます。

NPSをあげることは売上アップに繋がる

コンタクトセンターのKPIは「応答率」を最重要とすることが多いですが、プロフィット部門として位置づけることで、重要視するKPIが少しずつ変わってきています。
その一つとして、NPS(ネットプロモータースコア)調査を重要視する企業が増えてきています。NPS調査とは、「商品・サービスを友人や同僚にすすめる可能性はどれくらいですか?」と尋ねる方法です。

すすめる可能性が高い「推奨者」の割合から、すすめる可能性は低いと答えた「批判者」の割合を引いた数がNPSの値となります。NPSを上げることは推奨者が増えること、さらには売上向上につながるという考え方です。

顧客ロイヤルティ調査によるCXの改善サイクル

さらに踏み込んだ調査として、顧客ロイヤリティ調査があります。顧客ロイヤリティ調査の種類は、カスタマージャーニー全体を俯瞰して、ブランド全体への推奨意向を測定する「リレーショナル調査」と、カスタマージャーニーのある一点で、どのような満足度か測定する「タッチポイント調査」の2つです。

「ロイヤリティを上げている、または下げているタッチポイントはどこか?」「比較・検討」、「購入・申込」、「アフターサポート」、「コールセンターへの問い合わせ」、どこの顧客体験(タッチポイント)の影響が大きいか調査し、「タッチポイントの満足度を上げている、または下げている要素」を測定します。

データ収集、改善要素の特定・施策の立案、施策の実行・モニタリング、顧客へのフィードバックまで踏み込んで、顧客体験(CX)の向上を図っていくことが益々重要になってきます。

目指すべきコンタクトセンターの在り方とは

昨今のコンタクトセンターでは、人材の採用と育成の困難さが相まって、在宅シフトによる人材確保、ITソリューションによる業務効率・生産性向上の機運が高まっています

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ITソシューションへの投資効果を最大化するためにも、コンタクトセンターをコスト部門からプロフィット部門と捉え直し、売り上げアップのための顧客体験(CX)の向上を図ることが重要です。

売り上げアップ・CX向上の土台は、センター業務の設計

目指すべきコンタクトセンターの在り方として、売上アップやCX向上を挙げましたが、これら上位目的を支える「コンタクトセンター業務の設計」はとても重要です。

要素として「応答率の改善」「対応品質の向上」「業務効率化」「生産性の向上」があります。

コンタクトセンター設計の順序

コンタクトセンターを設計する上で最も重要なのが「目的を定義する」ことです。そのためにプロセスを段階的に踏みます。現状を整理して、事象を把握し、事象の本当の課題を深堀して把握した上で目的にたどり着くことが重要だと考えます。

よくある失敗例として、単一の事象(課題ではない)に対して、その都度、応急処置を叩いてもぐらたたきになっている状態です。例えば、「問い合わせが多いからチャットボットを入れて対応しよう、と全体を見ず部分的にITの導入を図る」「応答率が低いからそこだけの打ち手として、一時的に人を増やして対応する」といったことがあります。全体のフローと設計を俯瞰してみた上で打ち手をとることが必要です。

効率的・生産的なコンタクトセンターをつくるには

コンタクトセンターの設計には、「問い合わせ前段階の設計」「高効率な対応」「解決率・満足度の向上」の3つの要素が挙げられます。部分的な対処ではなく、3つの要素を横断的にコンタクトセンター全体を設計することで、効果を最大化できます。

もう一つ重要な視点として、ITソリューションやAI、ツールを中心ではなく、ユーザー視点やオペレータ視点など「人を中心に考える」ことです

応答率の改善がCX向上にとって最も大事なのか?

デロイトトーマツコンサルティングの調査結果によると、コンタクトセンター戦略において「顧客体験(CX)の向上」を最重要と位置づける企業は、グローバル全体で49%(日本45%、海外54%)と最も高くなっています。しかし、実現に向けては日本と海外では差が出ているのが実情です。

最も重視するKPIを見ると、日本企業は「応答率」が40%と多くの企業が重要視しているのに対し、海外企業は6%だけです。「顧客ロイヤリティ指標」を重要視すると挙げているのは、日本企業は4%のみで、海外企業は42%と大きく差が出ています。

応答率の向上・改善を行うことが、CX向上にイコールになるかという点は、考える必要があるのではないでしょうか。

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自社のコンタクトセンター業務の全体設計を考える際に

コスト部門といわれることが多いコンタクトセンターですが、CX向上の重要な部門として売上アップにつながるプロフィット部門として捉え直すことが必要です。コンタクトセンターの業務設計の際に、「問い合わせ前段階の設計」「高効率な対応」「解決率・満足度の向上」3つの要素を横断的に考えること、また、人を中心に全体設計から考えることで、売上アップ・CX向上を実現するコンタクトセンターを可能にしていきます。

モビルスでは、コンタクトセンターの全体設計に役立つ資料、チャットサポート導入で実現する顧客満足度の向上と業務効率化についての「EBook」を公開しています。下記より無料でダウンロードできますので、ぜひご覧になってみてください。

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