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コミュニケーションの変化

人間と人間のコミュニケーションは、時代とともに変化してきました。

フェイス・トゥ・フェイスの会話から、遠く離れていても音声で会話ができる電話へ。インターネットによりテキストで交流する掲示板、メールへ。さらにスマートフォンが普及して、いつでもどこでも通話やメッセージのやり取りが可能になりました。

現在、ZoomやSkype、LINE通話などを使えば、映像によるコミュニケーションが可能です。SNSやチャットでは、テキスト・写真・動画で知人や旧友の現状を知ることもできます。

しかし「会って話をするのがいちばん」と考える方もいらっしゃるでしょう。

あらゆる場合に当てはまるとはいえませんが、対面で好意や反感の印象を決めるのは、表情55%、声38%、話の内容7%という心理学者アルバート・メラビアンの実験がよく知られています。つまり、対面では話の内容より、93%を占めるノンバーバル(非言語)の情報が印象を左右します。

とはいえサポート業務を考えると、小さなお店や支店のある企業は別として、ひとりひとりのお客様と窓口で話をすることは非現実的です。

大勢のお客様と対応しなければならないBtoCのサービスを展開する大企業には不可能でしょう。したがって、コンタクトセンターでは、電話、FAX、メール、チャットという方法が用いられてきました。

ところが、若い世代を中心に、コミュニケーション方法の主流が変わりつつあります。

電話やメールから離れていく若者たち

かつて電話はダイヤル式でした。数字に対応した円盤の穴に指を入れて、回転させて電話をかけていました。ところが現在は、キーを押したり画面にタッチしたり、電話をかける方法はまったく異なります。

デジタルネイティブの子供がダイヤル式の黒電話に接したとき数字を押してしまった、という笑い話があります。スマートフォンが普及して、公衆電話も激減しました。電話ボックスを知らない若者もいます。

総務省の「令和2年通信利用動向調査」によると、固定電話の保有状況(世帯別)は年々低下し、令和2年には68.1%です。

一方、スマートフォンの保有率は右肩上がりで上昇を続け、86.8%に到達しました。パソコン保有率の70.1%を追い越しています。個人のインターネット利用機器は、スマートフォンがパソコンを上回り、20~39歳の各年齢階層で9割以上が利用しています。
(※ 参照:総務省「令和2年の通信利用動向調査」

LINEやメッセンジャーの利用拡大によって、メールを使えない若者も増えました。スマートフォンがあればSNSはもちろん、あらゆる情報の検索に困りません。パソコン自体を持たない若者も多いようです。

電話あるいはメールによるサポートは、若者には必ずしも有効ではないかもしれません。

カスタマーサポートで電話が嫌われる理由とは

固定電話の減少、スマートフォンの増加に加えて「若者は電話自体を嫌っている」というマイクロトレンドがあります。会社にかかってきた電話を取ることができない、有給休暇を取得するとき上司にLINEで連絡する、そんな新入社員の話を耳にします。

しかし、サポート業務について考えると、電話サポートが嫌われる理由は別にありそうです。たとえば、次のような理由です。

  • 混み合っていて、いつかけてもつながらない。
  • 待ち時間に流れるBGMのリピートにうんざりする。
  • 自動音声で分岐させた誘導が面倒。
  • 「サービス向上のために録音しています」という言葉に不安を感じる。
  • 新人オペレーターの場合、回答が要領を得ない。たらい回しにされる。
  • 身元確認のために電話番号を聞かれても覚えていない。
  • オペレーターと話をすると緊張する など

一方、テキストやチャットであれば、自由な時間に質問を送付可能です。待ち時間がないため、ストレスになりません。

電話では、重要な内容はメモを取らなければ残りませんが、事前に準備をせずに電話をして、急に「これから言うことをメモしてください」と告げられて慌ててしまうこともあります。メールやチャットではメッセージ内容がはっきりと確認でき、問い合わせ後にも手元に残るので誤解や間違いも少なくなります。

もちろん、電話ならではのメリットもあります。お客様の話を「傾聴」することで顧客満足度を高めたり、信頼を得られたりすることです。お客様の状況や声のトーンから、相手を慮って絶妙のニュアンスで話をすることは電話の得意とするところです。テキストによる対応では、そこまでのニュアンスは出せません。

チャット、メール、電話、お客様の特性に合わせたコミュニケーションを

高齢者の特長は、若い世代より固定電話の保有率が高いことです。高齢者のみなさんは問題解決だけでなく「自分の話を聞いてほしい」要望があります。したがって高齢者向けのサポートであれば、電話の優位性は高いと考えられます。

ポイントは、サポートする製品やサービスの特長やお客様の年齢層や属性を配慮し、コミュニケーションの特性を把握した上で、サポートをカスタマイズすることです。高齢者向けのサービスは電話サポートの要員を増やすなど、コミュニケーション・チャネルの配分を最適化します。

一方で、若者世代に対しては、新しいコミュニケーションツールによるサポートに対応していく必要があります。例えば、LINEやFacebook対応や、チャットボットの自動応答など、さまざまなチャネルや技術を活用したコンタクトセンター/顧客サポートを実現することができます。

もちろん、流行りの技術だからといって、いたずらに導入しても顧客満足度を向上できるとは限りません。顧客特性やニーズを把握した上で、お客様に満足いただけるチャネルを選択し、強化していくことが求められています。

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