グローバル化していくビジネス
IoTやAIなどの革新的なデジタル技術の発展や新型コロナウイルスの感染拡大などの時代の変化に伴って、ビジネスの形態も大きく変化し、多くの業界でオンラインビジネスが展開されています。オンラインビジネスは、利用時間や場所の制限がないため、今まで以上に幅広い顧客の獲得が可能になり、日本のみならず世界中の人を対象に行うことができます。
以下の図はオンラインビジネスの代表であるECサイトの中でも、海外への販売も行う越境ECサイト市場の推移予測です。2027年には、2020年の約五倍である500兆円まで成長すると予測されています。このように今後海外も対象とするオンラインビジネスは成長していくため、外国の顧客の利用を想定したサービス設計が重要となっていきます。
また、在留外国人や訪日外国人も今後増えていくことが予想されます。在留外国人、訪日外国人ともに、新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいますが、どちらもそれ以前は年々増加していました。今後新型コロナウイルスが収束していくにつれ、在留外国人や訪日外国人も想定に入れたサービス設計が必要となります。
WEBサイトの多言語対応をするには?
サービスのグローバル化に伴って、外国人利用客向けのWEBサイト構築が必要となります。WEBサイトの多言語対応の方法として、大きく二つの方法があります。
多言語対応の方法①
一つ目の方法が、対応したい言語数分だけHTMLファイルを作成する方法です。日本語版を翻訳し複数HTMLファイルを作成する必要があるため、すべてのページで行うとなると相当な手間とコストが必要となります。
多言語対応の方法②
二つ目の方法が、WEBサイト多言語化ツールを用いる方法です。多言語化ツールに翻訳したいサイトのURLを登録し、翻訳したい言語の設定を行うだけで、サイトの多言語化が可能となります。ただし、Googleなどの機械翻訳を用いているため、翻訳精度が不十分となり、人力での修正が必要となる場合もあります。
以上のようにWEBサイトの多言語化を十分に行うことは多くの手間とコストがかかります。そこで最近では、WEBサイトの多言語対応の補助として、多言語対応のチャットボットを用いるという選択肢が選ばれています。
多言語対応のチャットボットとは
そもそもチャットボットとは、「Chat(会話)」と「Bot(ロボット)」を結合させたもので、チャット上で送信された質問に自動で回答するプログラムのことをさします。チャットボットにも様々種類がありますが、現在では対話型AIを用いた自然な会話形式でのチャットボットも多く開発されています。 多言語対応のチャットボットを導入することで、WEBサイトだけでは伝えきれない情報も伝えることができ、対応しきれなかった外国人利用客の需要にも対応することができます。
多言語対応のチャットボットが特におすすめな業界・業種は?
多言語対応のチャットボットは、様々な業界・業種でニーズが高まっています。その中でも、グローバル展開によるメリットの大きさや、コミュニケーションの重要度といった観点から、特におすすめな業界・業種を三つ挙げています。
小売業
小売業の業務形態として、主に実店舗での販売とECサイトを用いたオンライン販売があります。その中でもECサイトによる販売は、インターネットの普及や新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により拡大しています。これは世界的に共通した流れであるため、ECサイトのグローバル化は今後重要になっていくと考えられ、その方法として多言語対応のチャットボットは有効です。特に中国やアメリカは伸びも市場規模も大きく、英語や中国語に対応したチャットボットを導入することで、大幅な売上増が期待できます。
観光地、ホテル・旅館
観光地やホテル・旅館などの外国人観光客の利用が予想される施設やサービスについても、多言語対応のチャットボットはおすすめです。これらの施設・サービスはWEBサイトの情報から訪れることが多く、その際に十分に情報を伝えきれないことは大きな機会損失となります。チャットボットを用いて魅力を十分に伝え、安心して利用してもらうためには、コミュニケーション形式のチャットボットは向いているでしょう。
外国人観光客の数は新型コロナウイルスの影響で減少しているものの、それ以前は年20%程のペースで増加していました。今後新型コロナウイルスの収束に近づくにつれ、外国人観光客数は増加していくことが予想されるため、その客層の獲得は重要になるでしょう。
行政
行政では様々な手続きへの対応が必要となります。税金や保険、転入転出など、日常的に必要なものから、新型コロナウイルスのワクチンや給付金などに関するものなど、非常に幅広い手続きが行われています。これらの手続きは外国の方にとっては非常に複雑であり、ネットや書類などの情報だけではよく理解できないことが多々あります。そこでチャットボットを用いて手続きのサポートを行うことで、外国の方のみならず行政の負担軽減にもつながります。
多言語対応のチャットボット導入事例
ユニクロ 「UNIQLO IQ」
UNIQLO IQは、ユニクロのECサイトから利用することができ、日本語・英語・中国語・韓国語に対応しているチャットボットです。このチャットボットは、商品の注文・キャンセルなどの困りごとの解決だけでなく、フリーワードによる商品の検索や購入した商品を用いたコーディネートの提案なども行うことができます。
千葉県公式観光情報サイト 「Visit Chiba」
千葉県の観光情報サイト「Visit Chiba」には日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語に対応したチャットボットが導入されています。AIがシナリオに沿った自動対応を開始し、観光スポットから飲食店、医療機関など様々なことを質問することができます。手入力による質問だけでなく、音声による質問も可能です。
事業の持続的成長のためには…
デジタル技術の著しい発展や在留・訪日外国人の増加などの流れの中で、今後も成長を続けていくためには、グローバルにビジネス展開していくことが重要になります。グローバル展開には、外国人利用客の利便性向上や不安の解消だけでなく、対応するスタッフの負担軽減が必要となります。多言語対応のチャットボットの導入は、それらの十分なサポートとなるでしょう。