コールセンターのマニュアル作成方法(記載内容)と運用のポイント
投稿日:2024年10月31日 | 更新日:2024年10月31日

コールセンター(コンタクトセンター)は顧客と企業をつなぐ重要な窓口であり、企業の信頼を築く大きな役割を担っています。そのため、オペレーターが質の高い対応を行うことができる、適切なマニュアルが不可欠です。しかし、ただマニュアルを用意するだけでは十分ではありません。
当記事では、マニュアルの内容や構成、作成プロセス、さらには運用のポイントを詳しくご紹介します。効率的で質の高いオペレーションを実現するためにぜひお役立てください。
<目次>
- コールセンターのマニュアルとは?
- コールセンターのマニュアルに記載すべき内容とは?
- コールセンターのマニュアル作成における5ステップとは?
- コールセンターのマニュアル作成のポイントとは?
- コールセンターのマニュアル運用のポイントとは?
コールセンターのマニュアルとは?
コールセンターのマニュアルは、オペレーターが業務を円滑に遂行するための基本的なガイドラインをまとめた重要な文書です。マニュアルには、オペレーターが正確で一貫した対応を行うために必要な具体的な対応方法や、使用するツールの操作手順が詳細に記載されています。また、顧客対応時に求められるトーンや言葉遣いについても明確に示されています。
特に、オペレーターが初めて業務に従事する際には、マニュアルは教育資料として非常に役立ちます。新しいスタッフが業務の流れや重要なポイントを理解するための手助けとなり、スムーズな研修を実現します。さらに、マニュアルは効率的な研修だけでなく、オペレーターが現場で迅速に業務に移行できるようサポートする役割も果たしています。

マニュアルの目的
マニュアルは、オペレーターが業務をミスなく遂行することを目的として設計されています。正確な対応を促進することで、顧客満足度の向上に寄与し、結果として企業の信頼性を高めることができます。
マニュアルは業務の標準化を促進し、サービスの質を安定させる役割も果たします。標準化された手順に従うことで、オペレーターは一貫した対応が可能となり、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。
新人オペレーターにとっては、業務を素早く習得するための強力なツールとなります。明確なガイドラインが提供されることで、迅速にスキルを習得し、組織全体の生産性を向上させる効果が期待できます。
マニュアルの種類
では、マニュアルにはどのような種類があるのでしょうか。当記事では、「インバウンド」と「アウトバウンド」の2種類についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
インバウンド
コールセンターでは、顧客からの問い合わせやサポートリクエストを受け付けるインバウンド業務の役割が求められます。そのため、オペレーターは製品やサービスの詳細、よくある質問(FAQ)、クレーム対応方法など、幅広い知識を持つ必要があります。これらの情報を効果的に活用するためには、詳細なマニュアルが不可欠です。
迅速かつ的確な対応を行うためには、明確な指針が必要です。マニュアルには、具体的な対応手順や、顧客のニーズに応じた適切なコミュニケーション方法が含まれており、オペレーターが状況に応じた対応をスムーズに行えるようサポートします。
このように、充実したマニュアルがあることで、顧客満足度の向上や業務の効率化が実現され、コールセンターの全体的なパフォーマンス向上につながります。
アウトバウンド
また、企業から顧客に電話をかけるアウトバウンド業務も、コールセンターでは行われています。この業務の主な目的は、販売促進、顧客調査、そしてリテンション活動です。これらの活動を効果的に実施するためには、トークスクリプトや営業トーク、フォローアップ方法などが詳細に記載されたマニュアルが必要です。
トークスクリプトは、オペレーターが顧客とスムーズにコミュニケーションを行うための道筋を提供しますが、顧客の反応に応じた柔軟な対応を促す内容も非常に重要です。顧客のニーズや状況に応じて臨機応変に対応できるスキルが求められます。このため、マニュアルには、予期しない質問や異なる反応に対する対処法も盛り込まれています。
こうしたガイドラインを持つことで、オペレーターは効果的に顧客と関わり、企業の目標達成に貢献することができます。アウトバウンド業務の成功は、顧客との関係構築や信頼の獲得に直結し、企業の成長を後押しする重要な要素となります。
コールセンターのマニュアルに記載すべき内容とは?
コールセンター業務をスムーズに行うためには、オペレーターが必要な情報を迅速かつ正確に把握し、適切に対応できる体制が重要です。マニュアルはそのための重要なツールとなり、オペレーターの業務をサポートするために、必要な情報を網羅している必要があります。では、具体的にどのような内容がマニュアルに記載されるべきかを見ていきましょう。

自社の基本情報
オペレーターは、会社の基本情報について把握しておくことが重要です。顧客からの問い合わせの際に、正確な情報を提供できるよう、マニュアルには以下の内容を記載しましょう。
・会社名
正式な会社名と、略称やブランド名があればそれらも含め、顧客に対して明確に伝えられるようにします。
・設立年
会社の設立年を記載し、会社の歴史や信頼性を説明する際に役立ちます。
・所在地
会社の本社や主要な事業拠点の所在地も、顧客からの問い合わせで尋ねられることがあるため、マニュアルに明記しておきます。
・事業内容
会社がどのような製品やサービスを提供しているか、どの業界で活動しているかについての基本的な情報を掲載します。製品やサービスを説明する際、この情報が役立ちます。
自社の製品やサービスの内容
会社が提供する製品やサービスについての詳細な説明を記載します。ここで特に重要なのは、オペレーターが製品やサービスの特徴をしっかりと理解し、顧客からの質問に正確に答えられるようにすることです。
例えば、製品のスペックや価格帯、サービスの契約条件、オプションプランの内容など、顧客が知りたい情報は多岐にわたります。オペレーターがこれらを正確に伝えることで、顧客の信頼感が高まり、顧客満足度向上に寄与します。
会社が提供する製品やサービスが多岐にわたる場合、すべてを細かく説明するのは難しい場合があります。そのため、簡潔でポイントを押さえた説明が求められます。マニュアルには、製品ごとに押さえておくべき重要なポイントや、顧客にとって価値のある要素を簡潔にまとめたセクションを設けましょう。詳細な説明が必要な際は、参照できる情報源も記載しておくことで、効率的な対応が可能になります。
言葉遣いやビジネスマナー
顧客対応の際には、丁寧かつ正確な言葉遣いが重要です。敬語やビジネスマナーに基づいた適切なトーンで対応する方法をマニュアルに記載し、顧客とのやり取りが一貫して良好なものであるようにします。特に、問題が発生した際の対応方針も明確にすることで、迅速で冷静な対応が可能になります。
トークスクリプト
特にアウトバウンド業務では、オペレーターが会話を円滑に進め、顧客のニーズに応じた質問や提案ができるようにトークスクリプトを用意することが重要です。トークスクリプトは、会話の流れをガイドしつつも、顧客ごとの状況に応じて柔軟な対応を促す要素を含めるようにしましょう。新人のオペレーターでもスムーズに会話を進められるようなフレームワークとして機能し、顧客とのコミュニケーションを効果的にするための道具として活用します。
オペレーターが使用するツールの操作方法
コールセンターでは、CRMシステムや顧客データベース、チャットツールなどの操作が求められます。これらのツールを正確に使いこなせるよう、マニュアルにはツールの操作方法を詳細に記載する必要があります。図解やステップごとの説明を含めることで、オペレーターが迷わずに操作できるようにサポートします。新人オペレーターが早期に業務を理解し、スムーズに業務を開始できるような配慮も不可欠です。
電話対応のフローに関する説明
オペレーターが統一された対応を進められるように、顧客対応時の一連の流れを明確に記載することが必要です。
・電話の取り方
初めの挨拶から顧客とのやり取りを明確に始める方法を示します。
・問題解決の手順
顧客の抱える問題に対して、どのようにヒアリングし、どのような手順で解決に導くかを段階的に示します。
・通話終了時のフォローアップ
問題が解決した後の対応や、次のステップについての案内、フォローアップ方法も明示します。
こうした内容を記載することで、オペレーターは一貫したサービスを提供でき、顧客満足度を高めることができます。
コールセンターのマニュアル作成における5ステップとは?
高品質なコールセンターマニュアルを作成するためには、体系的なプロセスが必要です。ここでは、マニュアル作成の5つのステップをご紹介します。
- ステップ1:記載する情報を収集する
- ステップ2:運用方法を策定する
- ステップ3:レイアウトを決める
- ステップ4:マニュアルを記入する
- ステップ5:実運用を想定してテストをする

ステップ1:記載する情報を収集する
マニュアルを作成するための最初のステップは、コールセンター業務に必要なすべての情報を収集することです。
情報収集する際のポイントは2つあります。1点目は、実際に業務を行っているオペレーターの声や関係部署からのフィードバックを取り入れることです。より実用的なマニュアルを作成するため、現場での課題やニーズを理解し、それをマニュアルに反映させることが重要です。
2点目は、よくある質問やトラブル事例を網羅することです。よくあるお問い合わせ内容(FAQ)や、過去に発生した問題の解決方法を示すことにより、オペレーターが迅速に対応できるようになります。
ステップ2:運用方法を策定する
次に、マニュアルがどのように使われるか、日常業務での参照タイミングを想定し、運用方法を策定します。
例えば新人研修用の場合は、基本的な業務の流れや製品知識を習得するために使います。クレーム対応用であれば、クレームやトラブルが発生した際、迅速かつ適切な対応を行うためのガイドとして、特定のシチュエーションに特価したセクションを設けると良いでしょう。
このように用途に応じた運用計画を立てることでマニュアルの実用性を高めます。
ステップ3:レイアウトを決める
マニュアルは、情報をすぐに見つけることができるようなレイアウト設計が重要です。インデックスや目次、リンクを活用し、直感的にアクセスできるようにします。重要な項目にすぐにアクセスできるように、明確な目次やインデックスを設定するなど、工夫が求められます。
ステップ4:マニュアルを記入する
マニュアルの記述においては、簡潔で正確な表現を心がけるとともに、専門用語をできるだけ避け、誰にでも理解しやすい内容にします。
図や表、スクリーンショットといった画像を活用して、複雑な情報を視覚的に整理することで、内容が理解しやすくなります。また、実際の業務に即した内容を具体的に記載し、オペレーターが現場ですぐに応用できるようにすることも大事です。
ステップ5:実運用を想定してテストをする
マニュアル作成後は、実際の運用を想定して現場のオペレーターにテスト使用してもらいましょう。テストを行うことで、現場での適用性や問題点を明らかにします。
オペレーターからのフィードバックを取り入れ、運用上の課題や不足点、改善点を修正することで、より効果的で実践的な内容へと精度を高め、オペレーターが現場でスムーズに業務を遂行できる実用的なマニュアルを作成できます。
コールセンターのマニュアル作成のポイントとは?
コールセンターのオペレーターが効率的に業務を行い、顧客に高品質な対応を提供するためには、使いやすく実践的なマニュアルが欠かせません。ここでは、効果的なコールセンターのマニュアルを作成するために押さえるべきポイントをご紹介します。

必要な情報をすぐに探せるような構成にする
コールセンターのオペレーターは、限られた時間の中で迅速に正確な情報を顧客に伝える必要があります。
重要な情報がすぐに見つかるように、インデックスや目次をしっかりと設けましょう。特に、業務ごとのセクションや製品・サービスごとの目次を設置することで、オペレーターが直感的かつ迅速に情報へとアクセスできるようになります。
また、デジタルマニュアルであれば、検索機能を活用することで、オペレーターが必要なキーワードを瞬時に検索できるようにします。これにより、特定の業務や製品に関する情報に素早くアクセスができ、顧客対応のスピードと精度を向上させることが可能です。
図や表を取り入れる
業務手順やシステム操作といった複雑な情報は、テキストだけでなく、図や表を使って視覚的に説明します。
特に、システムの操作手順や業務フローを説明する際は、スクリーンショットやフローチャートを活用して視覚的に表現しましょう。これにより、オペレーターは手順を容易に理解でき、スムーズに実践へと移すことが可能になります。また、表やグラフを使用して、複雑なデータや手順を整理することで、複数の選択肢がある場合や異なるシナリオに応じた対応を示す際、理解しやすくなります。
専門用語を多用しない
マニュアルは、新人オペレーターをはじめ、すべてのオペレーターが理解できるように作成される必要があります。
業界固有の専門用語は、理解の妨げになり、混乱を招く可能性があります。特に新人オペレーターにとってマニュアルは「指針」となるため、初めてのオペレーターでもすぐに理解し、実践できる内容であることが重要です。
必要な専門用語が出てくる場合は、可能な限り避け、簡単な説明を加えるなど、なるべく簡潔で平易な言葉を使うようにしましょう。
実際の対応音声も組み入れる
顧客対応をより実践的に理解するために、実際の顧客対応の音声サンプルをマニュアルに組み込むことも重要です。
実際の顧客対応の音声を聞くことで、オペレーターはどのようなトーンや言葉遣いが適切かをより直感的に学ぶことができます。例えば、クレーム対応や複雑な問い合わせに対する例を音声で確認することで、対応のポイントがより明確になります。
また、音声サンプルを複数のシチュエーションに合わせて提供することで、オペレーターはさまざまな場面に対応するスキルを身につけることができます。音声サンプルを活用することで、対応の雰囲気や言葉遣いを具体的にイメージしやすくなります。
コールセンターのマニュアル運用のポイントとは?
マニュアルの効果を最大限に引き出すためには、適切な運用が必要です。ここでは、マニュアルを効果的に運用するためのポイントを詳しく見ていきましょう。

定期的な更新により情報を最新に保つ
コールセンターで扱う製品やサービスは、時折、変更やアップデートが行われます。そのため、マニュアルの内容もこれに応じて常に最新の状態に保つことが重要です。新しい製品のリリースやサービス条件の変更があった場合は、マニュアルをすぐに更新し、現場のオペレーターに通知します。
また、マニュアルは単に変更があったときだけでなく、定期的に全体を見直す必要があります。特に、業務フローや顧客ニーズの変化に伴い、古くなった情報を整理し、最新のベストプラクティスを反映させることが求められます。定期的な更新を行うことで、オペレーターは常に正確で最新の情報をもとに業務を遂行でき、業務の精度を保つことができます。
マニュアルだけに頼らない
マニュアルをガイドラインとして活用しながらも、オペレーターがどんな状況でも柔軟かつ臨機応変に対応できるようにすることも同様に重要です。
マニュアルに載っていないケースや予期せぬトラブルが発生した場合、オペレーターは自分自身の判断で最適な対応を取るスキルが求められます。状況に応じて適切な判断を下せるよう、オペレーターには柔軟性を持たせるトレーニングも不可欠です。マニュアルを補完する形で、OJTやロールプレイングを通じて対応力を育むことが効果的です。
あくまでマニュアルはガイドラインとしての役割とし、オペレーターはマニュアルの内容を基本として対応しますが、依存しすぎず、オペレーター自身の判断力や対応力を伸ばす運用が理想です。
まとめ
コールセンター(コンタクトセンター)のマニュアルは、オペレーターが一貫した品質で顧客対応を進めるために重要なツールです。効果的なマニュアルを作成するためには、事前準備から5つのステップを踏まえた作成、運用時の改善まで、計画的に進めることが鍵となります。正しいマニュアルの整備と運用で、顧客満足度の向上と業務効率化を実現しましょう。
また、マニュアルの作成・整備とあわせて、コールセンター(コンタクトセンター)向けのシステムを導入し、問い合わせの導線設計をすることも有効な手段です。
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