コンタクトセンターやカスタマーサポートの現場で、利用者からのお問い合わせに対して、最適な回答をするための社内マニュアルやドキュメント探しに時間を要したり、苦労して検索した回答の正当性に悩んだりと、検索について悩まれている方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。

RAG方式で生成AIを活用した「MooA KnowledgeBase(ムーア ナレッジベース)」は、入力した質問に関連する情報を意味検索し、企業内マニュアル等のナレッジから回答に必要な情報を高い精度で取得できます。そのため、効率化や回答品質の均一化を図りたいと考えている企業やコンタクトセンターにおすすめのソリューションです。

今回はモビルスのカスタマーサクセス部門のテクニカルサポート担当者が活用しているRAG方式ナレッジ検索機能「MooA KnowledgeBase」についてご紹介します。業務効率化や他職種での活用シーンなど、テクニカルサポート担当者ならではの説明もみどころです。

<目次>


テクニカルサポート担当者の「MooA KnowledgeBase」活用術

ー「MooA KnowledgeBase」を使い始めた背景と使用方法を教えてください。

Customer Success Division, Customer Success Unitに所属している金 度均と申します。私は、モビルスのサポートセンターで製品をご利用されているお客さまからのお問合せ対応、トラブルシューティング、周知対応などのテクニカルサポートを担当しています。

お問い合わせは月に40〜80件あり、平均すると1日あたり5件です。お問い合わせ受付から検証などを終えて案件がクローズするまで、1件あたり20分で済むときもあれば6日かかるときもあります。何かしらでお困りになっているお客さまからのお問い合わせのため、解決までに比較的時間を要することが多いです。

私の場合、「MooA KnowledgeBase」は社内での試験導入をきっかけに2024年8月頃から使用しています。具体的には、お客さまからの仕様に関する質問に対して、膨大な製品マニュアル等を手動で探すのではなく、簡単な検索で出力された結果を参照して最適な回答案や対処方法を提示・回答するために活用しています。

初めて「MooA KnowledgeBase」を使用した際に、その回答内容の正確さに驚きました(図1)。使い慣れた今では、マニュアルやドキュメント検索の時間と労力のコスト削減につながっており、率直に「非常に助かっている」と感じています。UIがシンプルなので直感的に使えるところもよいですね。一般的な生成AIエンジンよりも回答精度が高く、約80%あると感じますし、簡単な仕様に対する問い合わせであれば回答精度は100%と言ってよいほどで、私のカスタマーサポート業務では「なくてはならない存在」です※1。

(図1-1)回答提案画面イメージ_1 画面左で質問に対して回答提案を提示し、画面右で複数の回答根拠(V-59(MOBI VOICE 製品マニュアル内ドキュメント))を提示

(図1-2)回答提案画面イメージ_2 画面左で質問に対して回答提案を提示し、画面右で複数の回答根拠(V-11(MOBI VOICE 製品マニュアル内ドキュメント))を提示している

※1 Customer Success Unitで使用している「MooA KnowledgeBase」は研究開発用のもので、現在提供中の「MooA KnowledgeBase」とは機能や画面構成に差異があります。回答提示画面イメージは現在お客さまへ提供中のものを引用しています。


RAG方式ナレッジ検索機能「MooA KnowledgeBase」とは?

「MooA KnowledgeBase」は、RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成、以下RAG※2)方式(検索拡張生成)で企業内ナレッジを基にオペレーターの質問に回答する生成AIを活用し、ナレッジデータベースを構築・検索できる機能です。これにより効率的なナレッジの蓄積・活用を実現します。

具体的には、AIが通話中に抽出した質問に、社内のマニュアルやドキュメントといった企業内ナレッジから回答を生成しその根拠を提示します。さらに、オペレーターが入力した質問(プロンプト)に対し、生成AIがマニュアル等の企業内ナレッジを参照し回答することも可能です。

回答文は登録された情報からのみ生成されるため、事実に基づかない情報の生成(ハルシネーション)は抑制されます。また、曖昧な質問に対しては、類似したキーワードや内容を特定し回答するため、柔軟に利用することができ、現場で使いやすい仕様になっています。

※2 RAG(Retrieval-Augmented Generation):大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術

「MooA KnowledgeBase」の詳細は以下URLからご覧いただけます。
https://mobilus.co.jp/press-release/41272

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生成AIを活用した「MooA KnowledgeBase」はオペレーター回答支援の心強い味方になる

ー「MooA KnowledgeBase」はどういった点で役に立つツールでしょうか?

テクニカルサポートの分野でのオペレーターがお客さまに対応する情報や素材を探して集約してくれる強力なサポートツールです。

特徴をまとめると、以下の五つがあります。

  • 社内情報を手動検索する手間が省けるので、時間の節約になる
  • 自己解決率が上がるため、同僚や上司へ質問する時間を削減できる
  • 課題解決に対する回避策や設定方法まで案内されるので、それをベースにした検証ができる
  • 新しいアイデアを提示してくれる
  • 社内公式マニュアルなどを基にした回答ができるので、自信を持ってお客さま対応ができる

「MooA KnowledgeBase」が社内マニュアルやドキュメントを参照して回答を出してくれるので、社内情報を手動検索する手間が省け、時間の節約になります。案件にもより一概には言えませんが、一案件あたり約20分、月にすると最低でも13時間以上は節約につながっていると思います。社内マニュアルを参照しているため回答精度が非常に高く自己解決できるケースが増え、最近は他の方に聞くよりも先に「MooA KnowledgeBase」で調べるようになりました。

皆さん自分で調べて分からなかったり、問題が解決できなかったりする場合は、同僚や上司など他の方に質問をしますよね。これがコンタクトセンターであれば、オペレーターがスーパーバイザー(SV)へエスカレーションする機会も減らせますし、SV側も対応時間削減にもつながるのではないでしょうか。

また、生成AIを組み込んでいる「MooA KnowledgeBase」は、色々な角度や可能性から解析をして回答を出してくれるイメージなので「自分の知らないアイデアを貰っている」そんな印象を受けます。

ただ、私がオペレーターの立場で最も伝えたいのは作業時間の短縮よりも、「回答するときに、正しい回答なのか不安な気持ちを解消できる」という点がとても重要なポイント、ということです。

私のようなオペレーターがお客さま対応で回答を返す際に、自分が確認した結果が本当に正しい結果かどうかといった不安があるんです。仕様や検証方法について分からないことがあれば、同僚や上司へ質問しないといけません。自分で検証した内容について「MooA KnowledgeBase」に検索をかけると、正式なマニュアルを参照して回答を出してくれるので、それがすごく助かるんです。自信を持ってお客さまに回答できるということが強みだと思います。

コンタクトセンターで経験が長いベテランの方は「MooA KnowledgeBase」を必要とする機会は少ないと思いますが、世間のオペレーターは経験の浅い方が多数だと思うんです。コンタクトセンターはオペレーターの離職率の高さもあり、ベテラン以外はなかかなかマニュアルを使いこなすことが難しいのが現状です。「MooA KnowledgeBase」は正確な情報を基に回答を支援してくれるので、オペレーター歴が短い人ほど安心して使える回答支援ツールだと言えます。経験の浅いオペレーターほど、自分の回答について不安を払拭して自信を持ってお答えしたいと思っていますから。

マニュアルはどの企業にもありますし、お客さま対応も欠かせないですよね。オペレーター歴が長い方にとっても「MooA KnowledgeBase」は確認材料として使えますから、経験によらないカスタマーサポートやコンタクトセンターの運営をめざす企業さまにとって、非常に役立つツールになると言えるのではないでしょうか。

回答検索で配慮することがあれば教えてください。

ポイントとしては以下の二つです。

高精度の回答を希望するなら「MooA KnowledgeBase」への指示(プロンプト)は明確に

単語でも検索は可能です。ただし、より高精度の回答を希望するならば、他のAIエンジンを利用されるときと同様に「機能名とやりたいこと」など詳細を明確に伝えることが重要です。

回答についてはオペレーター自身でも確認をすること

「MooA KnowledgeBase」の回答精度は非常に高いものの現時点では100%の精度にすることは、いかなる生成AIエンジンであっても難しいのが現状です。提示された回答案をオペレーターが自分で確認する作業が必要だと考えます。

ー「オペレーター自身での確認」について詳しく教えていただけますか。

現状、「MooA KnowledgeBase」は消費者に提供するツールというより、私のようなお客さま対応や社内対応のオペレーターに向いているツールだと思います。それは、現在の生成AI自体が完全ではないため、生成AIが提示した回答を消費者が「正解だ」と誤解する可能性があるからです。

「MooA KnowledgeBase」のマニュアルを参照した回答精度は非常に高いことは事実です。一方で、利用者が参照元データにヒットしない質問をした場合、「MooA KnowledgeBase」は該当キーワードに関連するすべてのドキュメントを基に新たな回答を生成します。そのため、一部の回答にはAIエンジンの仮定が入ることがあり、正確でない回答も一定数含まれます。これは「MooA KnowledgeBase」に限ったことではなく、現状どの生成AIエンジンでも避けられない事象です。出された回答について検証できる人材・仕組みが必要だと考えています。そういった事実を踏まえて、テクニカルサポート担当として生成AIエンジンが提示したものに関しては、動作確認も含め私自身が確認をして問題なく実証できてから、お客さまにご案内しています。

とはいえ、約80%の精度であっても検証方法や設定方法の詳細についてアイデアとして色々な可能性や方向性を提示してくれるので参考になる情報・手段が増えるわけです。疑問がある部分はオペレーターが自分で考えて回答案を出せばよいですし。「アイデアをもらって、自分の環境で手を動かしながら確認できる」、これは助かりますね。実際、私が知らなかった設定方法を「MooA KnowledgeBase」が提示してくれて、実際検証してみたらできると初めて分かったことも何件かありました。


「MooA KnowledgeBase」が活用できる職種やシーンとは?

ー「MooA KnowledgeBase」はどのような職種やシーンで活用できるでしょうか?

「色々な職種やシーンで役に立てるツール」と考えています。例えば次のような職種やシーンで有効利用できるのではないでしょうか。

「マニュアルが多い、マニュアルの内容が複雑」といった悩みを持つコンタクトセンターや企業でのインフラツールとして

マニュアルが多い、マニュアルが複雑、人手が足りない、オペレーターの採用はしたものの知識が足りてない、教育が追いついていない、そのようなコンタクトセンターや企業は多々あると思います。そのようなマニュアル検索に課題を感じているコンタクトセンターや企業ほど、高精度の回答支援機能が活きてくるので、より一層利便性が高くなると思います。

会社独自のナレッジを構築するツールとして

最近は、GoogleではなくChat-GPTなどの生成AIで検索する機会も増えました。ただし、生成AIは世間一般についての検索に対しては回答できますが、企業固有の問題には対応はできません。マニュアルやドキュメントといった社内ナレッジに勝手にアクセスできませんから。「MooA KnowledgeBase」はその会社内固有の生成AIを作るイメージに近く、自社ナレッジを構築・検索できる機能です。企業のオフィシャルなナレッジから回答を得るので精度が高く、オペレーターの回答検索業務の削減につながると考えます。

開発部門と営業部門での情報共有ツールに

社内利用として、開発部門と営業部門の方にも役立つツールだと思います。社内のお客さま対応で営業担当者が「こういうものはできますか」と開発部門へ質問をすると、開発部門からは「マニュアルのこの部分を読んでください」という回答が返ってくる、ということを何回か見ています。他社さまでも同じようなことがあると思います。ここで「MooA KnowledgeBase」を活用すると、営業担当者自身で検索してマニュアルを参照すればすぐに分かるので、営業部門と開発部門とのやり取りも節約できますし、まさにWin-Winの関係だと考えています。

最後に、「MooA KnowledgeBase」を検討されている方にお伝えしたいことは、まずは使ってみてほしいということです。使えるようになればなるほど、手放せないですから。

貴重なお時間をありがとうございました。これからも正確かつ丁寧なカスタマーサポート対応を応援しています。

オペレーション支援AI「MooA」製品案内資料

「MooA®(ムーア)」製品案内資料はこちらからダウンロードいただけます。

コンタクトセンター運用の応対品質と業務効率を飛躍的に改善する
オペレーション支援AI「MooA」製品紹介ページ

「MooA®(ムーア)」 の特長や機能をご紹介している製品紹介ページは以下URLからご覧いただけます。

https://mobilus.co.jp/service/mooa