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コンタクトセンターでは、クレーム対応などストレスの高い仕事内容を背景に、オペレーターの採用難や高い離職率、人件費や運営コストの上昇など、日々課題に直面しています。

さらに、最近では、新型コロナウイルス対応でオペレーションの見直しや、センター運営の再構築まで求められるようになりました。

このような背景から、運用コスト削減のため、対応負荷の高い業務を自動化する「手続きのDX(デジタルトランスフォーメーション)化」へのニーズが高まっています。

本記事では、自動化とノンボイス対応による手続きDX化の実現方法と、活用事例を紹介します。

手続きのDXは、全自動だけではない

手続きのDXとは、すべて自動化することではありません。

手続きの自動化と全自動化

対応する内容によって、チャットボットによる自動対応のほか、オペレーターによるチャット対応や、チャットボットとオペレーターチャットによるハイブリッド対応を使い分けることが効果的です。

チャットボットによる自動対応が向いている内容

チャットボットによる自動対応が適している手続き内容は、下記の3つです。

・手続きボリュームが多い
・イレギュラーケースが少ない
・ステップが多い

有人チャット対応が向いている内容

オペレーターによる有人チャット対応は、

・個々のボリュームが少ない
・イレギュラーケースが多い
・説明や確認事項が多い

このような手続きに適しています。

ボットと人によるハイブリッド対応

さらに、チャットボットとオペレーターが連携しあう、ハイブリッド対応を行うと効果的です。

例えば、王道パターンの手続きはチャットボットが自動対応。イレギュラーケースはオペレーターチャット対応するなど、いつでも人によるバックアップが可能な体制を作っておくことで、対応業務の幅を確保できます。

全て自動化せずとも、自動化と有人チャットなどノンボイス対応との組み合わせで、手続きのDX化によるコンタクトセンターのコスト削減は実現できるのです。

保険金請求の自動化で2週間かかっていた手続きを4分に短縮

ペット保険シェアNo.1のアニコム損害保険株式会社では、保険金請求手続きをチャットボットで自動化しています。

2週間かかっていた手続きを4分に短縮

LINE上でチャットボットの質問に答えていくことで、保険金請求の手続きを完了できる仕組みです。

アニコム損害保険株式会社|飼い主に寄り添う有人チャット、煩雑な手続きを楽しいUXのチャットボットで顧客満足度の向上を実現

従来は用紙をプリントアウトして記入して郵送して、届いた用紙を人力で確認、内容を入力し……というステップが必要だったため、保険金請求手続きの完了まで2週間近くの時間がかかっていました。

チャットボットの導入で、約4分で手続きを完了できるようになったのです。

チャットボットで保険金請求の手続きを自動化

アニコム損害保険株式会社の保険金請求の手続きは、シナリオ型チャットボットを活用しています。AIによる一問一答型チャットボットは使っていません。

保険金請求ボットの流れ

ユーザーは自動応答シナリオの設問に答えていくだけで、保険金請求の手続きを完了できます。

保険金請求ボットの流れ

選択するだけで回答できるなど、なるべくユーザーの入力の手間を少なくする工夫がされています。

顧客とオペレーター、両方の労力を下げることに成功

保険金請求ボットの利用率の推移
アニコム損害保険株式会社、保険金請求ボットの利用率の推移

導入から3年を経て、「保険金請求ボット」は40%を超える利用率に成長しています。ペット保険の保険金請求は人の場合と比較すると、額は少ないですが回数は多いです。

そのため、手続きが簡単に短時間でできることは、顧客の労力を下げ満足度の向上にもつながります。

請求書の内容確認は人が対応しているため、手続き業務の完全な自動化ではありません。しかし、チャットボットで必要項目入力が自動化できたことで、オペレーターの対応コストを大幅に下げることに成功した事例です。

チャットボットとRPA連携で住所変更手続きをチャット上で完結

続いては、株式会社セブン銀行が行った、住所変更手続きをチャット上で完結可能する取り組みです。(※実証実験)

住所変更手続きをチャット上で完結可能に

セブン銀行の住所変更手続き無人化実証実験に参画AIチャットボットとRPAを連携、本人確認と住所変更手続きを自動化

AIチャットボットとRPAを連携し、チャットボットがユーザーと対話をし、RPAが口座情報を管理している基幹システムで内容の確認を行い、本人確認から住所変更手続きまですべて自動化しています。

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複数回に渡る折り返し対応業務に、LINEを活用した有人チャット対応

事故受け付け後の手続きに、有人チャットを活用する事例もあります。

緊急性を要せる事故直後の対応は、電話でオペレーターが行います。

その後の事後処理の手続きは、書類の提出や確認など数か月に渡るやりとりが発生します。従来は、電話とメールでコミュニケーションをとるため、メールに気づかず顧客からの返信がこない、日中に顧客への電話が繋がらないためかけ直しが必要になるなど、時間がかかっていました。

事後処理の手続きに、LINE公式アカウント上での有人チャット対応を併用することで、通知に気づきやすく顧客からの返信がスムーズになる・電話のかけ直しが必要なくなるなど、コミュニケーションの時間ロスを削減できます。

LINEチャットの特性である非同期コミュニケーションが成立することで、互いの時間に拘束されない対応が可能になります。

顧客管理システムとの連携で対応状況の自動管理や、オペレーターチャット対応の履歴をもとに、よくある対応パターンを見つけてチャットボットで自動化することで、さらなる運用コストの削減も見込めます。

以上のように負荷の重い手続き業務を見出し、DX化をしていくことで恒常的な呼量の削減を行うことが出来ます。

全体呼量を削減することで急な呼量の増減にも対応できるだけでなく、お客様にとっても時間制約の無い自動手続きが可能となります。

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