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<2021年1月18日⇒2023年3月27日更新>

企業のお客さま窓口やコンタクトセンターにユーザーが問い合わせをする時、そもそも彼らが求め期待しているのは何でしょう?それは「問題が解決されること」です。つまり電話やチャットをすることが目的ではなく、解決率を高めることこそがユーザーの満足度向上に直結すると言えます。

そして「電話がつながらない」「時間や場所を気にせず解決したい」など顧客ニーズへの対策として、問い合わせ自体をせずともユーザーが自分で解決できる「自己解決率」を高めることも必要になっています。自己解決するのであれば、問合せ対応を対応するオペレータは必要ありません。この自己解決のための問合せチャネルには、過去の記事でご紹介したように、FAQ、フォーム(メール)、会員専用サイト、チャットボット…などの様々な手段がありますが、これらをお問合せの種類(コンタクトリーズン)に合わせて適切に配置する「マルチチャネル化」が求められています。

過去のMobilus SupportTech Labの調査でも、企業の問い合わせ窓口への意見として、「電話以外の手段を充実させて欲しい」「テキストだとわかりやすい」など、新たな手段(チャネル)を求める声が20代から50代まで幅広い層から寄せられていました。また、サイト上のQ&A充実など、「問い合わせなくても自己解決できる環境」を求める声も目立っていました。

コンタクトセンターを運営する側にとっても、自己解決率を上げることは、オペレータの負荷軽減、呼量の抑制、運営コスト削減、NPSなどの顧客満足度に関わる重要なテーマだと言えるでしょう。

問い合わせ内容(コンタクトリーズン)に応じた最適なチャネルを案内する

この自己解決率を上げるために、FAQの整備やチャットボットの導入など、自己解決の促進につながる様々な取り組みをされている企業も多いのではないでしょうか?

ただ、せっかく自己解決促進の施策をしても、FAQやチャットボットを探して使用すれば自己解決できるはずなのに「どこにFAQやチャットボットがあるのか分からない」「すぐに見つからない」という場合が多々あります。

自己解決手段を活用するためには、問い合わせ内容に応じた解決方法がユーザーにとって、見つけやすく(分かりやすく)提示されていることが必要なのです。

導線設計(ビジュアルIVR)の活用の可能性

問い合わせ内容に応じて、最適なチャネルを分かりやすく案内するために導線設計のために活用したいのが「ビジュアルIVR」です。これは、電話で音声アナウンスに従って番号をプッシュして選択する IVR (Interactive Voice Response)をWEB上でもビジュアル化して、手で選択することで進行させるイメージのツールです。

これまで、世の中によくあるビジュアルIVRの形式では、電話をかけると音声ガイダンスでIVRが開始し「ビジュアルIVRをご希望の方は一番を押してください」と流れることが多くありました。

希望するとSMSでビジュアルIVRを表示するためのURLが送付されて起動する流れです。ただ、この間は「電話がつながっている状態」のため、通話料金もかかります。 コストがかさむだけでなく、わざわざ電話をかけているのに、テキストへ誘導されるのは面倒だと思う顧客もいるかもしれません。

この間は通話コストがかかっており、電話→テキストに誘導されるフローに

あえてWEBだけで完結させる、ビジュアルIVRの活用方法

そんな中、ビジュアルIVRの活用方法として広まってきているのがWeb上だけで完結させる使い方です。以下のイメージでは、よくサポートサイトやお問い合わせ内容を記載しているWebページ上で「お電話はこちら」の番号表示をなくし、「お問合せはこちら」のボタンを設置しています。この「お問合せはこちら」ボタンをクリックすると、ビジュアルIVRが立ち上がるイメージです。

ボタンを押すと、「FAQ」、「チャットボット」、「LINEチャット」、「電話」など問い合わせ窓口を優先順位に従って一覧で表示していきます。

(例) 顧客から最も多い問い合わせのFAQを最上部へ

(例) 呼量の多い手続きがあれば、専用のシナリオ型チャットボット

(例) 有人チャット対応を望む方はLINEチャットへ

などと、必要なメニューを集約して複数ある問い合わせメニューを一覧表示することで、目的や状況に応じて最適な窓口へ誘導していきます。

適切な「導線設計」のために必要なこととは?

ビジュアルIVRを活用する上で大事な点は、「顧客を最善のチャネルへ誘導すること」「その時々の状況に応じてスピーディーに対応できること」です。つまり、顧客が迷わない「わかりやすさ」と、急増した問い合わせのFAQを目立たせるなど「即時反映できる」ことが必要になります。

ビジュアルIVRの表示イメージ

また、作成してWEBに掲示したらそれでお終いにするのではなく、顧客にとって「現状のデザインや選択肢は本当に使いやすいのか?」と定期的に分析し、改善していくことも大事です。そのためには、ユーザー導線や離脱タイミングなどを分析ができることも欠かせません。

ビジュアルIVRによる分析のイメージ

このように、ビジュアルIVRを活用して、よくある質問や急増している問い合わせ内容のFAQやチャットボットへわかりやすく誘導することは、自己解決の促進につながります。

自己解決を促進することで、電話対応や有人チャット対応が本当に必要な場合に待たせることが少なくなり、対応率の向上、顧客満足度の向上にも効果的です。マルチチャネル化の促進と、せっかく準備した自己解決チャネルが最大限に活用されるためにも、ビジュアルIVRの価値に再注目してみることをおすすめします。

 Visual IVR|問い合わせを、最適なサポートチャネルに誘導