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チャットボットには、大きく分けて「一問一答型」と「シナリオ型」があります。

「一問一答型」は、対話型AIを活用し、人が話すような言葉(自然言語)からユーザーの意図を解釈して質問に答えます。一方で「シナリオ型」は、予め人が決めたシナリオに沿ってユーザーの質問や意図を分岐し、回答を導くしくみです。

ここでご紹介する「AIエンジン」の多くは、最先端の機械学習モデルを活用した自然言語処理を得意としています。「一問一答」と「シナリオ」のどちらにも対応しているものが増えてきています。

各社が提供しているAIエンジンには、それぞれ特長があります。

どのAIエンジンでチャットボットを作成するのがよいという正解はありません。AIの機能、強み、価格(予算)、管理画面の使いやすさ、セキュリティやパフォーマンスなど、お客さまのニーズにあった最適なAIを選択することが必要です。

ではいよいよ、国内外で提供されているAIエンジンの特長を並べてみましょう。

海外製のAIエンジン

IBM Watson

まずは、AIとしては最も有名なIBM社のWatsonです。

IBM社は、WatsonをAIではなく、コグニティブ・コンピューティング・システムと呼んでいます。

現在、自然言語処理・照会応答、画像認識、音声認識・音声合成、感情・性格分析、文書検索など様々な機能を開発し、世界中の企業が自由に使えるAPIとして公開しています。

チャットボットに使われるAPIとしては、「Watson Assistant」「Natural Language Classifier」の2つがあります。

① Watson Assistant

https://www.ibm.com/watson/jp-ja/developercloud/conversation.html

Watson Assistantは、顧客サポートで自然言語(普段、私たちがコミュニケーションで使っている言葉)による対話を可能にするしくみです。

機械学習によって、顧客・ユーザーからの自然言語での質問や問い合わせの意図を解釈し、適切な応答を返します。以前は、ConversationというAPIで公開されていましたが、機能向上を図ってWatson Asssitantとして生まれ変わりました。

Watson Assistantには、予め顧客サポートでの様々な利用シーンを想定したサンプルデータがプリセットされており、シナリオ応答や一問一答を行うチャットボットをつくることができます。

また、以下のように足りない情報をユーザーに聞き返すことで、ユーザーの意図を正しく理解し、適切な回答を返す高度な自動応答を実現することもできます。

A「明日の天気は?」
B「どこの天気が知りたいですか?」
A「東京。」
B「東京の天気はこちらです。」

Natural Language Classifier(NLC)

https://www.ibm.com/watson/jp-ja/developercloud/nl-classifier.html

Natural Language Classifier(NLC)は、その名の通り、自然言語を分類するしくみです。

チャットボットでは、ユーザーからの質問内容を解析して回答を返します。

ここでは、ユーザーからのメッセージが「あいさつ」なのか、「質問」なのか、さらに「製品A」についての質問なのか「製品B」についての質問なのか、その上で「機能」について聞きたいのか「料金」の質問なのか、といった分類をしていくことになります。

予め、あいさつや雑談、製品やサービス、会社や店舗その他のデータを十分に学習させると、「製品Bの料金」についての質問だと解釈することができるわけです。

さきにご紹介したWatson Assistantの「意図解釈」を担うのがNatural Language Classifier(NLC)です。

ユーザーからの質問に一問一答で回答するチャットボットであれば、NLCの自然言語分類によって実現することができます。

Dialogflow(ダイアログフロー)

https://dialogflow.com/Dialogflow

Dialogflowは旧称「api.ai」だったところ、2016年9月にGoogleに買収され、Dialogflowと名前を変更した自然言語解析によるチャットボット・対話ボットの作成プラットフォームです。

ユーザーからの想定質問にあたるインテント(intent)、ユーザーから聞き出したい項目(レストラン予約なら日時や人数など)にあたるエンティティ(entity)など、つくりはIBM Waston Assistantとよく似ています。

Dialogflowの特長としては、Google HomeやGoogle Assistantとの連携があります。Google Homeを通じて、音声対話を行うチャットボット(ボイスボット)を構築することもできます。また、天気や周辺情報の検索といったGoogle Assistantのサービスを活用することで、幅広い活用が可能なチャットボットを簡単に実現できます。

一番の特長は、Google傘下であるということです。今後は、Googleが検索エンジンやYouTubeで培った技術と膨大な言語・対話データを活用して、自然言語解析の精度向上が図られる可能性があります。

Microsoft – Language Understanding Intelligent Service (LUIS)

https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/cognitive-services/language-understanding-intelligent-service/

Microsoftが開発する自然言語解析のサービスが「Language Understanding Intelligent Service(LUIS)」です。LUISから「ルイス」と呼ばれています。

LUISの特長としては、Microsoftの検索エンジン「Bing」との連携があります。「Bing」をベースとして、予め学習した豊富な語彙を活用し、ユーザーからの質問・問い合わせに対して適切な応答ができます。

LUISを活用した事例として有名なのは「高校生AIりんな」です。

すでに高校は卒業した設定になっていますが、現在でもLINE公式アカウント「りんな」と友だちになると、まるで本当に女子高校生と話しているようなチャットを楽しめます。

「りんな」でおもしろいのは、言葉のキャッチボールに加えて、画像やスタンプに対しても「りんな」が答えてくれることです。

例えば、ハリウッド女優のエマ・ワトソンの写真を「りんな」に送ると、「エマ・ワトソンの写真」「名前は知ってるけど、それ以外知らないの」と返してきます。これは、チャットの対話にMicrosoftの画像認識機能が組み込まれているためです。

また、「しりとりしよう」と言えば、「通常モードとガチモード、どっちやる?」と質問され、実際にしりとりで遊べます。

このように自然言語処理以外のAI技術によって、より多彩な対話を実現することができます。

コールセンターのBCP対策

国内のAIエンジン

続いて国内のAIエンジンを見てみましょう。

OKBIZ AI Knowledge(オウケイビズ アイナレッジ)

https://www.okwave.co.jp/business/service/okbiz-ai-knowledge/

OKBIZ. AI Knowledgeは、株式会社オウケイウェイヴが提供するAIエンジンです。

その最大の特長は、同社が所有するQ&Aサイト「OKWAVE」の3,500万件以上あるQ&Aデータを、言語データとして学習済みのAIが利用できる点です。様々な単語の関連性や言い回しを学習しているAIといえます。

また、「聞き返すAI」という特長があります。例えばユーザーからの質問に不備があって意味が分からない、回答が絞り込めない場合に、独自の聞き返しエンジンが追加情報の入力を促します。これにより回答を絞り込むことが可能です。

「あい」というキャラクターがソニーのデジタル一眼カメラのFAQの相談に答えており、ここでAI Knowledgeが機能しています。

https://alpha-ai.okwave.jp/

BEDORE(べドア)

https://www.bedore.jp/

株式会社BEDOREは、自然言語処理、言語の自動応答に強みを持つ株式会社 PKSHA Technology(パークシャ テクノロジー)からスピンアウトして生まれた企業です。

BEDOREは、独自に保有する業界固有表現辞書(日本語)により、高い日本語の解析制度を誇ります。AIが言葉のゆらぎを理解することに強みを持ちます。

※ゆらぎ:同じ意味を指している言葉の言い回しの違いのことを指します。例「お腹が痛い」と「腹痛がする」など。

また、BEDOREの特長としては、極めて使いやすい管理画面が挙げられます。AIの比較では、AIの賢さに目を囚われがちですが、実際には対話のシナリオや分析がより役に立つチャットボットを実現する上で重要になってきます。

BEDOREでは、シナリオ作成や学習、対話ログの分析に欠かせない統計情報など、チャットボットの回答精度を高めるためのしくみが備わっています。

ジャパンネット銀行サポートのLINE公式アカウントなどで使用されています。

CAIWA(カイワ)

http://www.exiis-lab.com/

続いてのAIは、イクシーズラボさんが提供するCAIWAです。

一番の特色は、その開発の歴史にあります。20年以上前に開発を始めており、日本で最も歴史のある対話AIといえます。独自の意味認識エンジン、知識データベースをもち、言葉の揺らぎを含めた日本語理解に強みを持ちます。

通常、「Q)イタリア料理のお店を教えて」という質問の解釈をAIに学習させる場合、「イタリア料理:イタリアン、イタ飯」「お店:レストラン、トラットリア、ビストロ」といった類義語を機械学習させる必要があります。

CAIWAでは、ある程度の類義語・言葉の揺らぎをエンジンが事前に学習しているため、一般的な用語については少ない学習でより精度の高い回答を返すことができます。

また、「東京から大阪まで」といった言葉では、単に「東京」「大阪」というキーワードだけではなく、「東京→大阪」というニュアンスも重要です。これは「東京から大阪まで」と「大阪から東京まで」は、言葉を分解するとすべて同じですが、意味としては真逆であり、その違いこそが重要だからです。

CAIWAでは、このような意味の違いにも焦点を当てて開発を進めています。

実際にCAIWAが使われたチャットボットを試したいという方は、イクシーズラボさんのウェブサイトの「ゆういちゃん」と会話をしてみてください。

AI SQUARED(エーアイスクエア)

https://www.ai2-jp.com/

エーアイスクエアさんが開発・提供するAIエンジンです。主に、AIによるコールセンターの応対支援を行っています。

その中でテキスト、または音声の問い合わせに対して自動で応答する仕組みも提供しています。

また、株式会社ブロードバンドタワーが運営するアンパカ.TVのイメージキャラクター「アンディ―」のコミュニケーションロボットを開発しています。

「言葉・会話」の人工知能に強みを持っているエーアイスクエアならではのロボットとなりました。

QA ENGINE(キューエーエンジン)

http://www.qaengine.ai/

Studio Ousia(スタジオウーシア)さんが提供するAIエンジンです。

自然言語処理や機械学習はもちろんのこと、こちらのQA ENGINEは、著名な国際会議で開催された人工知能のクイズコンペティションで2年連続優勝するなど、世界的にも高い評価を得ているエンジンです。

そのシステムを使用し、ユーザからの自然文で書かれた質問を解析し、即座に回答を返すことができます。

有名な採用事例としては、クラウド会計ソフトを提供する企業として有名なfreee株式会社が、カスタマーサポートとしてのチャットボットにQA ENGINEのAIを導入しました。

2017年1月に公開し、今や4割近くの問い合わせに対応できているそうです。

まだまだ国内AIエンジンはあります。

AMY(エイミー)

http://www.amy-ai.com/

提供会社:Automagi株式会社

AmiAgent(アミエージェント)

https://www.advanced-media.co.jp/products

提供会社:株式会社アドバンスト・メディア

Corproid(コープロイド)

https://corproid.jp/

提供会社:株式会社Sync Thought 

Qlofune(クロフネ)

https://www.ifocus-network.com/

提供会社:アイフォーカス・ネットワーク株式会社

Qlofuneは楽天カード株式会社様のチャットサポート「楽天カード自動応答チャットサポート」に採用されるなど、これらのAIエンジンも様々に活躍しています。

まだまだ加速するAIエンジンの進化

ここまで既存の「AIエンジン」を見てきました。AIはGAFA、BATをはじめとして、世界中で開発競争が行われており、今回こちらには掲載できなかったAIエンジンも多くあります。

Webサイトからだけではなかなか情報を読み取り、理解するのが難しいAIエンジンですが、以下のようなポイントで比較することができます。

・自然言語処理、自然言語解析のアルゴリズム
・AI学習ツール、データ管理ツールの機能、使いやすさ
・学習済みのデータの有無(オリジナルの辞書、Googole、Bing等)
・アルゴリズム、機械学習モデルの改善に必要な対話データの保有量
・シナリオや聞き返し機能など、一問一答以外の機能や性能

そうはいっても、AI業界の進化スピードには目覚ましいものがあります。

ディープラーニングで画像認識の精度が一気に上がったように、今後自然言語解析の分野でも、AIの飛躍的な発展・イノベーションが起こるかもしれません。

各社のAI開発の最前線に目を離さず、注目していく必要があります。

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細川
モビルスでは、IBM Watson、Dialogflow、BEDORE、CAIWA、AI SQUARED、QA ENGINE、LINE BRAINなど様々なAIエンジンと連携したチャットボットの開発実績があります。AIチャットボットをお考えでしたら、モビルスまでご相談ください。