カスタマーサポートを行うコールセンターはお客さまと直接対話する重要な役割を担っていますが、お客さま応対の業務において、さまざまな課題が生じています。たとえば、「人員不足からくる応対品質のバラつき」、「電話が繋がりにくい状態での放棄呼」などが挙げられます。2023年3月時点では、かつてない人員不足によって求人倍率が上がっており、これは今後もしばらく続いていくものと予想されます。

このような状況において、コールセンターの早急なDX化が求められているのです。例えばAIによる自動応答やチャットボットの導入により、お客さまからの問い合わせに迅速に対応することが可能となります。さらに、AIによるデータ分析により、顧客ニーズや傾向を把握することができます。

コールセンターのDX化は、人手不足や技術面の課題に対して、効果的な解決策となります。

今回の記事では、カスタマーサポートのDX化によるビジネス成長の可能性について整理していきたいと思います。

AI技術を用いた解決方法

コールセンターには、多くのお客様からの問い合わせが寄せられます。そのため、コールセンターで働くスタッフは、様々なコールリーズン、時には専門的で難解な問い合わせ内容への対応、あるいはクレーム対応など、限られたリソースの中で、後処理作業などと合わせて、臨機応変に対応しなければいけません。

しかし、AI技術を活用することで、カスタマーサポートのDX化を実現することが可能になり、課題解決も見えてくるようになるのです。

ビジネスの未来を変える!DXとは

そもそもDXとは、情報技術の進歩により、ビジネスプロセスやサービス、組織の形態などをデジタル技術を活用して変革し、競争力を強化する取り組みを指します。単純にITツールを導入すればOKという事ではありません。

企業がビジネスプロセス改善やCX向上などを行う際、AI技術を活用することで、よりスピーディーで効率的な業務を実現できるのです。また、DXにより蓄積された大量のデータを分析することで、より高度なビジネス判断や戦略の方向性が定められます。

チャットボットによる問い合わせ対応

2022年のチャットボット市場予想は130億円以上といわれています。2017年度のチャットボット市場は11億円だったので、およそ12倍以上の市場予測です。今後もチャットボット市場は、さらなる進化が期待され、技術面での機能も進化しています。

たとえば、AIによるチャットボットを導入することで、定型質問に対して迅速かつ正確な回答を提供できるようになりました。これにより、コールセンターのスタッフは、大量の作業を自動化できるようになり、作業スピードが向上するだけではなく、リソースを有効活用してお客さまへの対応品質を上げることもできます。

さらに、AI技術を活用することで、コールセンターの業務効率を向上することも可能です。チャットボットは、お客さまとのテキストによる対話記録を蓄積し、深層学習により、自然な会話ができるようになります。また、コールセンターでの分析機能も、たとえば、お客さまからの質問をカテゴリーごとに分類、お客さまが抱える問題の発生数を解析、データとして数字で知ることができます。この数字を参考にして、チャットボットのシナリオやQとAの整備・見直しなどを行い、同様の問題が生じないように予防措置を講じることができ、業務改善を行えるのです。

電話自動応答による問い合わせ

電話自動応答に関する技術は、お客さまが選択した番号に合わせて自動で専門のオペレータに繋ぐことができるため、コールセンターの業務効率を大幅に向上させました。

従来のコールセンターでは、お客さまからの問い合わせがオペレータに直接届き、オペレータが問い合わせ内容を聞いてから、担当者へ振り分ける、電話を取り次ぐ、といった業務を行っていました。そのため、作業効率が悪くなる場合もありました。

しかし、電話自動応答システムを導入することで、この業務を自動化することが可能になります。

具体的には、まず、お客さまが選択した番号に合わせて自動的に専門のオペレータに繋ぐことができます。また、音声認識技術を活用することで、お客さまが電話を使って音声で問い合わせをすると、AIがその内容を文字起こしして解析し、コールセンターの担当者に情報連携することで、適切な回答を送ることも可能です。

このような音声認識を用いたボイスボットの活用によって、IVRのように番号をプッシュするという手間も省いてお客さま体験を向上させることができるのです。

あるいはその結果として、オペレータの負荷も軽減し、よりスピーディな対応が可能になります。

音声認識技術を活用した対話履歴作成による業務改善

AIによる音声認識技術を利用した「対話履歴の作成」により、お客さまの問い合わせ内容を自動で把握し、適切な対応を行うことができます。また、お客さまが選択した番号に合わせて自動で専門のオペレータにつなぐことも可能です。このようにAIを活用することで、オペレータの業務を自動化し、問い合わせに対する迅速な対応が可能になります。最近では、対話履歴をGPTの技術で要約して長い対話ログを分かりやすくシンプルにしたり、お客さまの伝えたい本当の「意図」を抽出したり、AIの貢献度も上がってきています。※1

AIを活用した解決方法は、今後ますます需要が高まることが予想されます。特に、自動応答や自動音声案内によるお客さま対応の効率化が求められており、AI技術を取り入れることでお客さま満足度の向上に繋がると考えられています。コールセンターのDX化に取り組む企業は、AIを活用した解決方法を取り入れることで、業務の効率化とお客さま満足度の向上を実現できます。

※1 GPT技術を応用した対話ログからの「意図抽出」の例(モビルス株式会社)

AI技術を導入!カスタマーサポート紹介 

これまでお伝えしたように、カスタマーサポートではAI技術を活用することで、サービスの向上とコスト削減を実現できます。ここでは、その具体例をご紹介します。

小林製薬株式会社 

小林製薬株式会社は、モビルスが提供する「MOBI BOT」を導入しました。チャットボット構築にあたって大きな課題は、元からあったFAQサイトの管理更新工数にチャットボットFAQ管理更新が追加されると、2重管理となり管理工数が増大する点でした。

この課題解消のため、FAQ管理システムとチャットボットシステムを連携させることで、FAQデータの一元化とチャットボットシナリオ管理更新の自動化を実現し、チャットボットの管理・更新にかかる工数削減を行いました。またお客さまにとっては、チャットボットの導入によりチャット対応時間が拡大し、自己解決率の向上が見込めます。

損害保険ジャパン株式会社

モビルスの「MOBI AGENT」が損害保険ジャパン株式会社に導入され、電話連絡によるお客さま対応における課題が解決されました。

代理店からお客さまへの連絡は電話連絡が中心であったため、お客さまにとって都合の良いタイミングでご連絡することが難しいという課題がありました。また一部のお客さまからの要望により、代理店が個人アカウントLINEで対応する際にセキュリティ観点から個人情報のやり取りに懸念がある、という点も課題でした。しかし、「MOBI AGENT」を活用したチャットシステムの導入により、セキュリティを確保しながら、よりスムーズな連絡方法を実現しました。これにより、お客さま満足度の向上が期待されます。

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まとめ

AI技術を活用したカスタマーサポートDXの事例と働き方について解説してきました。AIによる自動応対や自動書き起こし、FAQの作成サービスなど、多数のサービスを提供する企業が存在します。

これらのサービスを活用することで、コスト削減や業務効率化が実現でき、お客さま満足度の向上にも繋がります。また、AI技術の導入により、コールセンターの働き方が変わりつつあります。自動化された作業に代わり、より高度な対話や解決力が人のオペレータには求められるようになっています。

たとえば、商品に関する複雑な問い合わせや、感情に寄り添う必要のあるクレーム対応など、お客さまの多様なニーズや感情に寄り添い、人間力を活かした「寄り添った」対応が必要です。

AI技術を活用したカスタマーサポートDXは、今後ますます重要性が高まっていくことが予想されます。是非、今後のビジネス戦略に取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。

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