コールセンターにおけるオペレーターの人手不足は、業界全体の長年の課題となっています。
対応業務とスキルセットが合わずなかなか採用が進まない。実際に対応を頂くまでの研修期間が長い。折角採用しても直ぐに辞めてしまい離職率が高い。結果として目標としているサービスレベルの維持が出来ない……どこのセンターでも聞こえてくる共通の悩みです。
高い離職率の二つの理由
多くのコールセンターは高い離職率に悩まされています。理由は大きく分けて二つあり、一つ目は、オペレーターに高いストレス負荷がかかる点です。コールセンターでは問い合わせだけでなく、クレームも日々受けつけています。乱暴な言葉を浴びせられることもあり、精神的なストレスがオペレーターを離職に追いこむことがあります。
二つ目は、非正社員が多く、契約社員、パート、アルバイトなどで構成されているため、オペレーターが辞めやすい雇用形態であるという点です。より良い条件を求めて転籍を繰り返す方も多いと聞いています。
オペレーターの入れ替わりが多く定着率が下がると、スキルやノウハウが蓄積されず、サービスのレベルと質を維持するために、金銭的にも時間的にもコストがかかります。
コールセンターは、採用難と高い離職率による人材不足解決のために、
・オペレーターのストレス軽減(労働環境の改善)
・限られた人員でより多くの顧客問い合わせに対応する(業務の効率化)
この2点に取り組むことが急務とされています。
第3の問い合わせ窓口「チャット」の活用
そこで、コールセンターでも電話、メールに次ぐ第3の問い合わせ窓口として「チャット」の導入が始められています。
チャットの活用方法は大きく分けて2つ存在します。
一つ目は「人によるチャットサポート(オペレーターチャットサポート)。
二つ目は「チャットボットによる自動応答」です。
チャットボットによる自動応答に注目が集まってきましたが、オペレーターチャットサポートも人手不足の解消へ有効です。
今回は、チャットサポートによる、オペレーターの負荷軽減・業務効率化への活用方法について、事例を踏まえて解説していきます。
オペレーターの負荷を下げる様々な支援機能
オペレーターの負荷軽減・業務効率化のために、 オペレーターチャットサポートがどのように役立つのでしょうか。
よくある手続きや対応前のプリヒアリングは、チャットボットと連携で自動化
一つ目は、チャットボットとオペレーターのシームレスな連携です。

人がやらなくてもよい定型的な質問や手続きを、 シナリオ型チャットボットが対応することで、オペレーターが稼働する時間を削減できます。
例えば、事前にシナリオ型チャットボットで問い合わせ内容をヒアリングすることで、 オペレーターは事前に内容を把握した状態で対応できます。 。
また、オペレーターが対応する中で、資料請求や修理申込など定型的な手続きが必要となった場合は、チャットボットによる自動応答に切り替えが可能です。
AIによるリアルタイムなサジェスト
二つ目は、AIによるリアルタイムなオペレーターへのサジェスト支援です。

例えば、質問への回答候補、言葉遣い、さらには会話の内容を広げるような”エモ対応”などの提案をAIが提示することで、新人オペレーターでも対応品質を一定に保てます。
SVによるタイムリーな支援
三つめは、SV(スーパーバイザー)によるオペレーターへのタイムリーな支援です。

もちろん電話の場合でもSVによる支援は可能です(例えばオペレーターの表情を見て、ウィスパリング機能による側方支援)。
チャットの場合は、オペレーターが即答を求められないという特性があることから、難しい状況の場合は一緒に画面を見ながら声に出してアドバイスができるので、より早く適切なサポートがしやすいです。
また、クレームや禁止語などを検知する機能もあるため、早め早めに問題となりうる会話を検知することでが可能です。熱量が上がりそうな会話に早めにアドバイス出来ると共に、いざというときはお客様に気づかれることなく、SVが引き取ってしまうというオペレーションを組む事も可能です。

オペレーター同士での助け合い
四つ目は、オペレーター同士での助け合いがしやすいことです。

SVだけでなくオペレーター同士の助け合いも、負荷軽減・業務効率化のためには欠かせません。
例えば、対応した内容を共有し、ナレッジとして蓄積していくことはとても重要です。
チャットでやりとりした対応履歴を、ほかのオペレーターへ共有したり、特に有効な質問と回答はナレッジとして登録し、AIのサジェスト支援への追加も簡単にできる機能もあります。
また、オペレーター同士でのコミュニケーションがスムーズにできる機能があると、困ったことをすぐに質問でき安心です。
在宅勤務の導入も適しているチャット対応
BCP対策として在宅勤務の導入を検討する、コールセンターも増えています。
電話と比べてチャット対応の方が、周囲の音を気にしなくて良い点や、テキストだと回線負荷もかからないため、通信環境の点からも在宅勤務に適していると言えます。
対応支援を受けにくい在宅オペレーションは応対品質の維持が課題と言われますが、 チャットボットとの連携による自動化や、AIによるサジェスト支援、SVやオペレーター同士のサポートなど、チャット対応は在宅勤務導入のハードルを下げてくれます。

1対6の同時対応のオペレーション体制
電話対応は1対1の通話のみですが、有人チャットサポートは、1人のオペレーターが同時に複数対応が可能です。
LINE公式アカウント上でのチャットサポートを行う、株式会社バッファローでは、返答待ち時間を上手く活用し、1対6の同時対応のオペレーション体制を構築しています。

「モビエージェント」の管理画面。オペレーター1人が同時に6人の対応を行っている
株式会社バッファロー|LINEの有人チャット導入で入電数40%減少。 “1対6”のオペレーションで効率的な運用を実現。
入電数40%削減・応答率90%維持に貢献
チャットサポートの導入は、入電数40%削減、電話の待ち時間短縮と応答率90%以上維持にも貢献しています。
チャットは、電車の移動中など声を出せない場面でも使えます。また、製品の状態を写真で撮影しチャットで簡単に送って説明できるので、電話で説明するよりもスムーズです。
このようにユーザーの利便性が高いと、チャットでの問い合わせが増え、結果として入電数の削減にもつながります。
まとめ
有人チャットサポートは、様々な支援機能を活用することで、オペレーターの負担軽減・業務効率化に有効です。
チャットツールを検討する際は、搭載されている支援機能の内容や使いやすさを比較することをおすすめします。


チャット導入・ノンボイス対応をお考えでしたら、一度ご相談ください。