<2020年12月14日→2024年5月31日更新>
コスト削減は、コールセンター(コンタクトセンター)の代表的な課題の1つです。中でも大きな割合を占めるオペレーターの人件費削減に目が行きがちですが、その他の方法でもコスト削減を実現した成功事例は数多くあります。
当記事では、コールセンター(コンタクトセンター)にあるコストの内訳や注意点を見ながら、コストを削減する方法を9つご紹介します。具体的にコスト削減を実現した事例も、ぜひご覧ください。
目次
- コールセンター(コンタクトセンター)のコストの内訳
- コールセンター(コンタクトセンター)のコストを削減する方法
- コールセンター(コンタクトセンター)のコストを削減する際の注意点
- コールセンター(コンタクトセンター)のコスト削減を実現した事例
コールセンター(コンタクトセンター)のコストの内訳
まずは、コールセンターに、どのようなコストがあるのか、内訳を見ていきましょう。
人件費
代表的なコストの1つは、オペレーターの給与や手当といった人件費です。コールセンターの運営において、全体のおよそ3分の2は人件費が占めていると言われています。
人件費のコストは、以下のような要素に応じて変動します。
・変動する休日出勤の要否や夜間勤務などの稼働時間帯
・資格や経験、スキルの要否
・運営場所(有効求人倍率による給与差)
電話応対をするオペレーターだけでなく、SV(スーパーバイザー)、品質管理担当、管理者とさまざまな役職の人が働いており、そのスキルや経験によって人件費に差が出ます。また、業務の効率化や品質向上などの要因に影響されるといえるでしょう。
設備・システム費
コールセンターのコストには、設備やシステムの運用導入費用も含まれます。例えば、コンピューターや電話システム、ヘッドセットなどのハードウェア、CRM(顧客関係管理)システムなどのソフトウェアがこうした設備費にあたります。
また、通信コスト(インターネット接続や電話回線)、オフィススペースの賃貸料、机や椅子の設置費用、電気や水道などの公共料金も費用に含まれるでしょう。
その他、顧客情報のセキュリティを確保するためのセキュリティ対策、データ保護対策なども重要なコスト要素です。入退室管理システム、監視カメラ、ネットワークシステムなどセキュリティ要件によって必要となる設備などが、コストに大きく影響します。
教育費
コールセンターの要であるオペレーターのスキル向上など人材育成に費やされる教育費も、コストの1つです。
定期的な研修や新人研修に加えて、トレーニングプログラムにかかる費用も含まれます。トレーニングは、オペレーターのパフォーマンスや応対品質の向上に直結します。長期的な運営の効率化や顧客満足度の向上、職場環境の悪化など、数多くの問題へつながる恐れがあるため、欠かせない要素といえるでしょう。
コールセンター(コンタクトセンター)のコストを削減する方法
では、コスト削減するには、どのような方法があるのでしょうか。9つの方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
システム導入による業務の自動化
システムを導入することによって、コストを削減する方法を3つご紹介します。
1. IVR(自動音声応答システム)
IVRは、自動音声による問い合わせ対応システムを指します。事前に録音されたメッセージや音声認識技術を利用して、顧客に質問を投げかけ、電話のボタン操作や音声入力によって回答をしてもらうことで、システムが問い合わせ内容を把握します。
IVRによくある質問と回答のデータを設定することにより、数多くの問い合わせをシステムのみで完結できるようにすることが可能です。
オペレーターは、イレギュラーな問い合わせ対応のみで良くなるため、受電数や人件費の削減につながります。
2. チャットボット
Webサイト上にチャットボットを設置すると、顧客は問い合わせたい内容の回答を選択式で見つけることが可能になり、悩みをスムーズに自己解決できるようになります。
一方、オペレーターは、チャットボットで対応できない問い合わせへの対応に限られるため、工数の軽減が可能です。AIが搭載されたチャットボットの場合は、顧客は記述式で質問でき、人とチャットをしているような感覚で問い合わせに対応できます。自然な会話形式で対応できるため、顧客満足語の向上も期待できるでしょう。
3. コールセンター(コンタクトセンター)システム
コールセンターシステムは、顧客からの電話やメッセージ、メールなどのコミュニケーションを管理し、オペレーターの業務をサポートするシステムです。主に、以下のような機能が搭載されています。
・顧客情報の管理、検索機能
・マニュアルの検索機能
・問い合わせ内容のデータ管理機能
こうした機能によって、オペレーターは問い合わせ対応に必要な顧客情報やマニュアルをすぐに確認できるようになり、1件あたりの対応時間を短縮できます。
マニュアルの内容をすべて完全に把握していなくても、高品質な対応が可能となり、新人オペレーターを即戦力として活用できるなど、教育コストの削減につながります。
オペレーターの離職率低下の仕組みを整える
オペレーターの離職率低下も、コスト削減につながります。3つの方法をそれぞれ見ていきましょう。
4. 評価制度の見直し
オペレーターが納得できるよう、評価制度を見直して導入することで、モチベーションを向上させ、離職率の低下を実現することができます。
モチベーションの向上は組織のエンゲージメントや生産性の向上にも直結します。評価制度を導入する際には、オペレーター全員が公平な評価を受けられるよう、業務内容に適した評価方法や報酬制度を設定する必要があります。
5. 研修内容の充実
研修期間が短く、学習時間が限られていることから、新人オペレーターは不安感が増大します。加えて、未経験の慣れない対応によってクレームを受ける可能性もあり、離職への気持ちが高まってしまうことがあります。
オペレーターを担当する前に、実務経験に近い研修を実施することで、業務にある程度慣れてから実務に参加することができます。これにより、本番での失敗が減り、オペレーターは自信を持って業務に取り組むことができるようになります。
6. 定期的な面談の実施
面談を通じてオペレーターの率直な意見をくみ取ることで、コールセンターの課題を把握し、より良い社内環境を整備できるようになります。
面談ではオペレーターが素直な考えを話しやすい雰囲気を作り、傾聴を意識して実施することが必要です。
7. 電話以外の問い合わせチャネルを増やす
電話での問い合わせだけでなく、以下のような方法で問い合わせ対応できるようにすることもコスト削減に効果的です。
・メール
・チャット
・お問い合わせフォーム
・SNS
対応チャネルが複数あることで、問い合わせを分散できるため、電話での対応数を減らすことが可能です。電話では1対1での対応が必要ですが、メールやチャットなどは複数人と同時に対応ができるため、効率的に問い合わせ対応ができるようになります。
8. 通話料金プランの見直し
電話の通話プランを見直すことで、通話料を削減することが可能です。通話料は通信会社によってさまざまなプランが提供されており、価格も大きく異なります。
自社に適した通話プランを選択するためには、自社の通話時間や回線種類などを見直し、複数の会社の見積もりを取って比較のうえ選択することが重要です。
9. 外注の検討
自社でコスト削減の施策を実施することが難しい場合は、外注を検討するのも一つの手段です。外注することで人件費を削減できるだけでなく、自社の要望に適した料金プランを採用することでコストを最適化することが可能です。
コールセンターの代行会社では、プロのオペレーターが問い合わせを担当するため、応対品質が向上し、顧客満足度の向上も期待できます。ただし、代行会社によって対応できる業務や料金プランが異なるため、自社に合った会社を選ぶことが重要です。
コールセンター(コンタクトセンター)のコストを削減する際の注意点
コールセンターでコスト削減を進める際には、注意しなければいけない事項があります。ここでは、気を付けたほうが良い点を3つご紹介します。
顧客満足度への配慮
コールセンターは顧客との直接的な接点を持つ重要な部門です。そのため、コスト削減を優先する際には、顧客対応やサービス品質に影響が及ばないように注意が必要です。コスト削減策を実施する際にも、顧客のニーズを理解し、高品質な対応を提供することが重要になるでしょう。
スタッフへの配慮
オペレーターは日々、顧客の問い合わせやニーズに迅速かつ的確に対処するために努力しています。コスト削減を優先する際には、こうしたスタッフのモチベーション低下につながってしまわないように、十分な配慮をすることが大切です。適切な報酬制度やキャリアパスの提供、働きやすい環境の整備などは、スタッフのモチベーション向上に役立ちます。
新規リスクのモニタリングと対応
コスト削減によって新たなリスクが発生する可能性も頭に入れておく必要があるでしょう。
例えば、新しいシステムの導入や自動化によってシステム障害が発生した場合の対応策や、リモートワークにおけるセキュリティリスク、といった可能性が考えられます。こうしたリスクの評価と対策を事前に実施し、予期せぬトラブルに備えることが重要です。どんなツールを導入した場合でも、リスクはつきものと思っておいた方がいいかもしれません。
コールセンター(コンタクトセンター)のコスト削減を実現した事例
保険金請求の自動化で2週間かかっていた手続きを3分に短縮
ペット保険シェアNo.1のアニコム損害保険株式会社では、保険金請求手続きをチャットボットで自動化しています。
LINE上でチャットボットの質問に答えていくことで、保険金請求の手続きを完了できる仕組みです。
アニコム損害保険株式会社|LINEで保険金請求の利用は6割超、友だち数約60万人を魅了する施策とは
従来は用紙をプリントアウトして記入して郵送して、届いた用紙を人力で確認、内容を入力し……というステップが必要だったため、保険金請求手続きの完了まで2週間近くの時間がかかっていました。
チャットボットの導入で、約3分で手続きを完了できるようになったのです。
チャットボットで保険金請求の手続きを自動化
アニコム損害保険株式会社の保険金請求の手続きは、シナリオ型チャットボットを活用しています。AIによる一問一答型チャットボットは使っていません。
ユーザーは自動応答シナリオの設問に答えていくだけで、保険金請求の手続きを完了できます。
選択するだけで回答できるなど、なるべくユーザーの入力の手間を少なくする工夫がされています。
顧客とオペレーター、両方の労力を下げることに成功
2024年2月には直接請求の60%近くをLINE請求(保険金請求ボット)が占め、月間2.5万人が利用するに至っています。ペット保険の保険金請求は人の場合と比較すると、額は少ないですが回数は多いです。
そのため、手続きが簡単に短時間でできることは、顧客の労力を下げ満足度の向上にもつながります。
請求書の内容確認は人が対応しているため、手続き業務の完全な自動化ではありません。しかし、チャットボットで必要項目入力が自動化できたことで、オペレーターの対応コストを大幅に下げることに成功した事例です。
チャットボットとRPA連携で住所変更手続きをチャット上で完結
続いては、株式会社セブン銀行が行った、住所変更手続きをチャット上で完結可能する取り組みです。(※実証実験)
セブン銀行の住所変更手続き無人化実証実験に参画AIチャットボットとRPAを連携、本人確認と住所変更手続きを自動化
AIチャットボットとRPAを連携し、チャットボットがユーザーと対話をし、RPAが口座情報を管理している基幹システムで内容の確認を行い、本人確認から住所変更手続きまですべて自動化しています。
複数回に渡る折り返し対応業務に、LINEを活用した有人チャット対応
事故受付後の手続きに、有人チャットを活用する事例もあります。
緊急性を要する事故直後の対応は、電話でオペレーターが行います。
その後の事後処理の手続きは、書類の提出や確認など数か月に渡るやりとりが発生します。従来は、電話とメールでコミュニケーションをとるため、メールに気づかず顧客からの返信がこない、日中に顧客への電話が繋がらないためかけ直しが必要になるなど、時間がかかっていました。
事後処理の手続きに、LINE公式アカウント上での有人チャット対応を併用することで、通知に気づきやすく顧客からの返信がスムーズになる・電話のかけ直しが必要なくなるなど、コミュニケーションの時間ロスを削減できます。
LINEチャットの特性である非同期コミュニケーションが成立することで、互いの時間に拘束されない対応が可能になります。
顧客管理システムとの連携で対応状況の自動管理や、オペレーターチャット対応の履歴をもとに、よくある対応パターンを見つけてチャットボットで自動化することで、さらなる運用コストの削減も見込めます。
以上のように負荷の重い手続き業務を見出し、DX化をしていくことで恒常的な呼量の削減を行うことが出来ます。
全体呼量を削減することで急な呼量の増減にも対応できるだけでなく、お客様にとっても時間制約の無い自動手続きが可能となります。
まとめ
コールセンター(コンタクトセンター)では、クレーム対応などストレスの高い仕事内容を背景に、オペレーターの採用難や高い離職率、人件費や運営コストの上昇など、日々課題に直面しています。
コールセンター(コンタクトセンター)のコスト削減を進める方法の1つとして、自動化とノンボイス対応による手続きDX化に取り組んでみてはいかがでしょうか。ご紹介した注意事項に気を付けながら、ぜひ自社に合った方法で取り組んでいきましょう。
また、当記事を執筆するモビルスでは、コールセンター(コンタクトセンター)のコスト削減はもちろん、サポート業務の効率化や顧客満足度の向上まで実現するソリューションを開発提供しています。導入前の課題の明確化から導入後も収益を最大化するための支援まで総合的に提供しています。ぜひご相談ください。
コスト削減に成功した事例資料(アニコム損害保険株式会社)
コスト削減に成功した、アニコム損害保険さまの事例紹介をまとめた
導入事例PDFは、こちらからダウンロードいただけます。
チャットボット「MOBI BOT」紹介資料
モビルスの「MOBI BOT(モビボット)」は、サポートはもちろん顧客体験までつくるチャットボットです。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。
下記より、ダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。
チャットボット「MOBI BOT」製品紹介ページ
「MOBI BOT(モビボット)」 の特長や機能をご紹介している製品紹介ページは以下URLからご覧いただけます。
https://mobilus.co.jp/solution/bot
問い合わせ導線設計「Visual IVR」紹介資料
モビルスの「Visual IVR(ビジュアルIVR)」は、ボタンかQRコードを配置するだけで、電話に集中しがちな問い合わせを、FAQやチャットボットなどの適切な対応窓口に誘導できます。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。
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