モビルスは、2024年11月21日(木)・22日(金)の2日間に渡り開催された「コンタクトセンター/CRM デモ&コンファレンス in 東京」に出展しました。当イベントは、AI、チャットボット、ボイスボット、RPAなど注目技術を活用した最新ソリューションの展示、センター運用事例、有識者によるセミナー、パネルディスカッション、研修講座など、多数のプログラムで構成されています。当記事では、「生成AI」を中心に会場での様子をレポートします。

目次

▲モビルスの展示ブースの様子。開催期間中、多くの方にご来場いただきました。


コンタクトセンターにおける生成AI活用の最新動向

「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス」は、コンタクトセンター・カスタマーサポート業界向けの国内最大規模のイベントです。

今回のイベントは、昨年に引き続き「生成AI」が注目を集めており、「生成AI」をテーマにした展示ブースやセミナーが数多く見られました。コンタクトセンター(コールセンター)業界では、生成AIの活用が急速に進んでいます。当イベントの出展内容から、生成AIの活用を中心にコンタクトセンターにおける生成AIの最新動向をご紹介します。

ナレッジベースの高度化

多くの企業がナレッジベースの拡充と高度化に力を入れている様子が見受けられました。GPT-4などの先進的な言語モデルと独自のAIを組み合わせ、高精度のFAQを自動生成する機能を提供するケースもあります。また、言語理解エンジンによる検索品質の向上や、問い合わせ内容の意図理解によるFAQとのヒット率向上の取り組みも見られました。ナレッジベースの充実と、それを的確に提示する仕組みが差別化のポイントとなっているようです。

音声認識の活用

高精度な音声認識技術を活用する企業が増えているようでした。独自のモデルにより名前や住所、数字の認識に強みを持つ企業や、話者分離のテキストと音声波形を同時表示するなど、音声データの可視化に取り組む企業もあります。音声をテキスト化することで、分析や可視化、リアルタイムでのフィードバックなどが可能となります。

生成AIによる要約

生成AIを活用した要約機能を提供する企業も複数見られました。対応ログから要約やFAQを自動生成したり、個社に合わせて要約のプロンプトをチューニングしたりと、さまざまな工夫が行われています。中には自社環境内で利用可能な生成AIを提供し、通話データを外部に出さずにローカルで要約などが可能なソリューションもありました。要約により、FAQの拡充やVOC(Voice of Customer)の抽出など、音声データのさらなる活用が進んでいます。

既存システムとの連携

CRMをはじめとする既存システムとのスムーズな連携を実現している企業が目立ちました。蓄積された顧客データを活かした分析や、応対履歴の自動保存による業務効率化などが期待できます。各社のシステム環境に合わせた柔軟な連携が求められているようです。

個社に合わせたチューニング

要約プロンプトの最適化や個別機能の開発、ノーコードによるカスタマイズ性の高さなど、企業特有のニーズに合わせた対応も重要なポイントです。業界や商材による言葉の違い、社内用語など、企業ごとにきめ細かなチューニングを施すことで、認識精度や分析品質を高めることができます。また、オンプレミス対応でセキュリティ面を強化するなど、個社の事情に寄り添った提案力も問われています。

オペレーター支援の強化

感情分析や通話品質評価など、オペレーターの応対品質向上や効率化につながる機能も充実してきています。優先度の高い顧客の自動識別、回答サジェスト、応対中のリアルタイムアドバイスなどにより、オペレーターの負荷軽減と顧客体験向上の両立が期待できます。人とAIの協働によるサービス品質の強化が加速していくのではないでしょうか。

生成AIの活用により、コールセンターの業務効率化と応対品質向上が大きく前進しつつある様子が見られました。同時に、ナレッジベースの拡充や分析精度の向上などにより、より戦略的な顧客対応も可能となってきています。併せて、個社のニーズに合わせたカスタマイズ性の高さも重要です。今後はさらに各社の強みを生かした差別化と、人材育成を含めた運用面の工夫が求められます。

▲展示ブースで行ったミニセミナーの様子。


モビルスはオペレーション支援AI「MooA」をデモでご紹介

モビルスの展示ブースでは、「現場志向で顧客サポートを極める」をテーマに、オペレーション支援AI「MooA」をはじめとするCXソリューションを中心に紹介しました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

ブース内では「MooA」のデモゾーンを広く設置し、RAG式ナレッジシステムによる企業内ナレッジ検索機能や、オペレーター向け回答支援ダッシュボード、生成AIとボット連携による手続き処理など、オペレーション支援の最先端を多くの来場者に体験いただきました。

▲「MooA」のデモも体験いただきました。

また、展示会内でのセミナーでは、代表取締役社長 石井 智宏、執行役員 パートナー&テクニカルセールスディビジョン長 新谷 宜彦が登壇し、「実効果のある生成AI利用の必須条件!ー今スグにすべきことはナレッジマネジメント」(石井)、「生成AIがついに真価を発揮!ー企業内ナレッジを活かしたCX向上と企業収益への貢献」(新谷)をテーマに講演しました。

展示ブースでは、2024年11月14日より順次提供開始した「MooA」の新機能、AIが文字起こしや通話内容を分析するオペレーター向け回答支援ダッシュボード「MooA CommNavi(ムーア コミュナビ)」と、生成AIを活用し、企業内ナレッジを組み込んだナレッジ検索機能「MooA KnowledgeBase(ムーア ナレッジベース)」(ベータ版)についても紹介しました。

新機能2種は、生成AIを活用しており、終話後の後処理(応対記録作成等)といった「ACW(平均後処理時間)」等の業務の効率化や、オペレーターの経験に左右されない応対品質の向上・安定化を実現します。

またコンタクトセンターを中心に蓄積される顧客データ、FAQや顧客の声(VOC)の収集・利活用も可能となっており、サービスや製品へ反映することで顧客体験(CX)や企業価値の向上支援や企業の収益改善にも貢献するものです。

▲「MooA CommNavi」と「MooA KnowledgeBase」の全体イメージ。

■機能詳細

(1)オペレーターダッシュボード「MooA CommNavi」

「MooA CommNavi」は、通話開始と同時に音声認識による文字起こしやAIが話者特定と文脈理解を行い、オペレーターの回答を支援するダッシュボードです。

「MooA KnowledgeBase」と連動し、RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成※)と生成AIで適切な回答を生成します。オペレーターは確認手順に従って電話対応ができるため、経験が浅いオペレーターでも品質の高い応対が可能です。また、型番や証券番号なども正確に音声認識ができるため、業務特化型のプロンプトを選択できる点も特徴です。

通話終了後は文字起こしされた通話内容を基に、生成AIが通話内容を意図抽出・要約、さらにQAドラフト作成、オペレーター評価、顧客満足度評価、VOC抽出などCX評価を文字化してノウハウとして抽出します。要約結果は「セールスフォース」や「FastHelp5」などのCRMシステムと連携することで対応履歴の記録が大幅に効率化できます。

従来提供している「MooA」の応対要約(概要要約、結論、分類、引継ぎメモ)に加えて、「MooA CommNavi」の要約メニュー「 MooA Prompt10(プロンプトテン)」を利用することで、応対業務の効率化やオペレーターの経験に依存しない応対品質の均一化を実現します。

※ RAG(Retrieval-Augmented Generation):大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術

▲「MooA CommNavi」での操作画面イメージ。
(通話中文字起こし、応対要約、QAドラフト生成など)

(2)RAG方式企業内ナレッジ検索機能「MooA KnowledgeBase」

「MooA KnowledgeBase」は、RAG方式(検索拡張生成)で企業内ナレッジを基にオペレーターの質問に回答する生成AIを活用し、ナレッジデータベースを構築・検索できる機能です。これにより効率的なナレッジの蓄積・活用を実現します。

具体的には、AIが通話中に抽出した質問に、企業内ナレッジから回答を生成しその根拠を提示します。さらに、オペレーターが入力した質問(プロンプト)に対し、生成AIがマニュアル等の企業内ナレッジを参照し回答することも可能です。回答文は、登録された情報からのみ生成し、事実に基づかない情報の生成(ハルシネーション)は抑制されます。また、曖昧な質問に対しては、類似のキーワードや内容を特定し回答するため柔軟に利用することができ、現場で使いやすい仕様になっています。

▲「MooA CommNavi」での「MooA KnowledgeBase」操作画面イメージ。
(通話中の文字起こし、絞り込み、追加指示、質問の意味検索、回答トーク支援、回答根拠の提示)


「CXセンター」へ進化を遂げるコンタクトセンター

当イベントでは、従来は属人的な記録に頼っていた「顧客体験の可視化」が、AI技術により自動化できるようになった事例が紹介されていました。特に「音声認識」や「要約・意図抽出」といった技術要素が、AIの実装により飛躍的に精度が向上しており、音声認識精度の高さが要約や意図抽出の精度に直結することが伺えます。

また、辞書のメンテナンス負担を大幅に削減する新しい音声認識技術の進化は、これまで録音データを埋もれさせていた企業にとって大きな価値創出の可能性を秘めています。さらに、生成AIによる要約技術も進化し、「対話要約」から「業務ノウハウに沿った意図抽出」の段階に到達してきました。

こうした取り組みから、コンタクトセンターは、効率化や応対品質向上に留まらず、VOCや顧客ニーズを全社に発信する「CXセンター」へと進化していく可能性を感じたイベントでした。

モビルスでは、コールセンター(コンタクトセンター)の顧客体験(CX)向上を通じて企業の競争力を高め、収益を最大化するための総合的な支援を提供しております。AIボイスボット、オペレーション支援AI、自己解決を促すビジュアルIVRなど、顧客満足度につながる幅広いニーズに対応できるソリューションを開発提供しています。ぜひご相談ください。

オペレーション支援AI「MooA」紹介資料

MooA®(ムーア)は生成AIや独自のAI技術を取り入れた、オペレーターの応対業務の負担を軽減し、応対業務全体の短縮化とVOCの活用を促進するオペレーション支援AIです。チャットボットやボイスボットと連携しながら、応対中のオペレーターの回答業務を支援します。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。

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製品紹介ページは下記です。

顧客体験を最大化するCX戦略支援 CX Consulting

モビルスでは、クライアントの顧客体験を最大化するため、カスタマージャーニーマップ作成や定量的調査を通じたCX戦略立案・策定を支援しています。解決するお悩みや、CXコンサルティングの流れ等の詳細は、以下からご覧ください。

CX向上に導くモビルスのカスタマーサクセスメニュー

モビルスでは、プロアクティブなサポートで企業を成功に導くため、CXを向上させる伴走型のサポート体制(カスタマーサクセスメニュー)を整えており、導入前から導入後までの全フェーズを支援するサービス提供をしています。

下記の記事で詳しく紹介しております。ぜひご覧ください。

CX向上に必要とされるカスタマーサクセス支援とは