プレディクティブコールについて、前編ではその概要な注意点を中心にみてきました。
後編では、主な機能や活用事例についてさっそくご紹介していきます。
プレディクティブコールの主な機能
プレディクティブコールには「通話分配」「スケジュール管理」「絞り込み」「自動録音」「発信禁止」など、さまざまな機能があります。これらの機能は、日々のコール業務をスムーズに、かつ効果的に進めるためにあります。これらの機能について詳しく解説します。
通話分配機能
通話分配機能は、待機時間が最も長いオペレータに優先的に通話を接続する機能です。自動的にオペレータのステータス(通話中、待機中など)を判断し、適切に通話を分配することで、特定のオペレータに通話が集中するのを防ぎます。これにより、オペレータ間の業務量を均一に保ちながら、顧客への迅速な対応が実現できます。
スケジュール管理機能
スケジュール管理機能は、再コールが必要な顧客への架電スケジュールを設定することができます。
従来の方法では、架電スケジュールをオペレータが個々に管理する必要があり、架電漏れが発生することがあります。
プレグディブコールのスケジュール管理機能を使えば、センター内で情報を共有・管理できるため、シフト変更やタスク管理ミスによる架電の漏れを防ぐことができます。
絞り込み機能
絞り込み機能は、顧客リストを「見込み客」や「再コール対象」などのセグメントに分け、成約率が高いと期待されるセグメントから優先的に架電を行うことができる機能です。
アウトバウンドの成果は、リストの精度に直結します。督促後の支払成功率や成約率が高いセグメントを優先することで、成果を最大化することが期待できます。アウトバウンド業務では成果が報酬と連動することもあるため、成果が期待できるセグメントからの架電はオペレータのモチベーション維持にも寄与します。
自動録音機能
自動録音機能は、オペレータと顧客間の通話内容を確実に記録するための機能です。この録音データは、単にアーカイブとして保存されるだけではありません。応対品質のチェック、新人オペレータの研修、トークスクリプトの作成など、多岐にわたって活用が可能です。
また、これらの大量の通話録音データから音声認識システムを使ってテキスト化し、AIによって顧客の傾向や効果的なトークを分析する活用例なども進んでいます。このように、録音データは企業にとって価値ある情報源となります。
発信禁止機能
発信禁止機能は、特定の顧客を一斉架電の対象外に設定することができる機能です。
例えば、過去に苦情を持っていた顧客や、営業電話を明確に断った顧客をこのリストに登録することで、それ以上のトラブルや企業のイメージ損失を未然に防ぐことができます。また、クレームや苦情の可能性が高い顧客との接触を回避し、オペレータのストレスや負担を大きく軽減させる役割も果たしています。
プレディクティブダイヤル導入のポイント
プレディクティブコールを導入する際は、導入体制の確立やサポート体制の確認は、スムーズな運用と成果向上への鍵となります。導入の成功に向けた主要なポイントを簡潔に解説します。
導入体制を整える
プレディクティブコールを導入するには、組織内の体制作りが不可欠です。まず、ツールの選定からオペレータへの研修まで、多岐にわたる作業を推進する担当者を明確に定めることが大切です。この担当者が導入全体のスケジュールや業務フローの策定を行い、関連部署との連携を取りながら進めていくことで、導入がスムーズに進行します。
また、導入に際しては、稟議を取りまとめる等の業務も想定されるため、導入の目的や、導入後に期待される効果を明確にしておくことが重要です。これにより、組織全体が共通の目標に向かって取り組むことができ、導入の成功率を高めることが可能となります。
サポート体制を確認する
プレディクティブコールに限らず、何らかのシステムを導入する際は、システムを提供している会社のサポート体制の確認も重要です。長期的にシステムを活用して業務効率を向上させるためには、使用中のトラブルや疑問点に迅速に対応してくれるサポートが不可欠です。
特に初めての導入であれば使い方の疑問や、設定に関する問題など、さまざまな状況が考えられます。充実したサポート体制が整っている会社を選ぶことで、安心してツールを使い続けることができ、その結果、業務の質や生産性も高まるでしょう。
プレディクティブコールを活用した事例
具体的な活用事例を通じて、その効果や適用範囲を理解することで、業務改善のヒントを得ることができます。ここでは、BPO、人材派遣、不動産業界での事例を中心に、プレディクティブコールの実際の利用シーンを詳しくご紹介します。
株式会社soraプロジェクト(BPO)
株式会社soraプロジェクトは、インサイドセールス代行を中心とするBPO企業です。
BPOは複数の企業から業務委託を受けて、コールセンターにて業務を遂行していきます。特に、アウトバウンドが中心のインサイドセールスでは架電効率が重要です。同社ではプレディクティブコールを導入する前は自社専用システムのみで運用していましたが、まさにその架電効率に課題がありました。
そこで、プレディクティブコールの活用を検討し、ベンダー選定を実施しました。現行の運用フローを変えずに早期稼働ができることを軸にベンダーの選定を進め、導入の結果、導入前と比較して、架電数が30%向上し、架電効率を高めることに成功しています。
(参考:Scene Live事例より)
株式会社キャスティングロード(人材派遣)
株式会社キャスティングロードは、人材派遣事業を営む会社です。
人材派遣では過去に登録のあった休眠会員へ現在の求職ステータスの確認や、求職中の方へ条件のヒアリングをする業務があります。そのため、多くの架電が必要になりますが、プレディクティブコールを導入する前はビジネスフォン(固定電話)で架電を行っていました。ビジネスフォンでの効率的な架電に限界を感じ、プレディクティブコールの導入を決定。
導入後の成果として、1時間あたりのコール数が約270%向上、休眠会員への接続数が約470%向上し、飛躍的に成果を高めることができています。
(参考:フレンディット事例より)
株式会社いえらぶパートナーズ(不動産)
株式会社いえらぶパートナーズは、家賃保証・賃貸保証を行う会社です。
賃貸保証会社では業務の一環として「家賃督促の連絡」があり、月の一定期間に大量のアウトバウンドが必要です。滞納者全員に繋がるまで架電する必要があり、クリックコールで対応するのは非常に負担になります。加えて、業務の性質上、数日間のみに架電業務が集中するため、リソースの確保が大変で、確保しても業務に波があり効率化ができていませんでした。
そこで、プレディクティブコールを運営する会社から提案があったことをきっかけに、トライアルを実施しました。トライアルの結果、元々の半分程度のリソース、かつ1/4の時間での対応が実現できています。
(参考:フレンディット事例より)
まとめ
本記事では、「プレディクティブコール」の概要からメリット、活用事例、そして注意点まで幅広く解説してきました。
プレディクティブコールはアウトバウンドの業務を大きく効率化し成果を高める一方で、適切に活用しないとリスクも伴います。特に、オペレータの稼働状況や心理的負担への配慮が必要であり、導入前には目的や体制をしっかりと整え、十分な準備を行うことが求められます。もし、内部だけで十分に議論ができない場合は、ベンダーやコンサルタントのような専門家に相談してみるのも一つの手段です。良い準備を行い、プレディクティブコールで成果を高めていきましょう。