問い合わせ対応の自動化や自己解決の促進のため、チャットボットやFAQシステムの導入を検討している方は多いのではないでしょうか。チャットボットとFAQシステムは、ユーザーの問題を解決するための回答を提供するシステムです。機能や特徴は異なりますが、顧客対応の効率化やコールセンターの負担軽減など共通する点も多くあります。

本記事では、チャットボットとFAQシステムの違いや共通点、それぞれが適している活用ケースについて紹介します。

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チャットボットとFAQシステムとは?

チャットボット

チャットボットは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、チャットを用いてテキストで自動応答する仕組みです。Webサイトの問い合わせフォームやLINEなど、ユーザーの問い合わせツールに設置して活用します。チャットボットは大きく分けて、シナリオ型チャットボットとAI型チャットボットがあります。

シナリオ型チャットボット

シナリオ型チャットボットとは、事前に作成したシナリオをもとに、ユーザーの質問に自動で回答するチャットボットです。質問の内容がある程度決まっている商品の説明や、定型的な手続き対応などに適しています。事前に作成したシナリオに沿った回答しかできないため、解決できない場合は有人オペレーターの対応が必要となることがあります。

AI型チャットボット

AIチャットボットとは、自然言語処理により顧客の質問に柔軟に返答できるチャットボットです。AIが過去の質問から学習を重ねることで、抽象的な質問に対しても回答できるなど、回答精度の向上が期待できます。シナリオ型チャットボットでは対応できないような、複雑な問い合わせにも対応できます。

FAQシステム

FAQシステムは、よくある質問と回答をまとめた「FAQサイト」を構築するためのシステムです。FAQサイトを構築することで、顧客の自己解決を促進し、オペレーターへ問い合わせをせずとも解決できる機会を増やすことができます。

FAQシステムで作成したサイトには、各FAQページの閲覧数やクリック数を集計できる仕組みが備わっており、顧客要望の把握だけではなく、ユーザーに適したコンテンツづくりを効率的に行えます。


チャットボットとFAQシステムの違いとは?

次に、チャットボットとFAQシステムの違いを見ていきましょう。主な違いは「回答にたどり着くまでのスピード」「配信できる情報・コンテンツ量」「得意領域」の3つです。一つずつ解説します。

回答にたどり着くまでのスピード

一般的にFAQシステムよりもチャットボットの方が、より短時間で回答までたどり着きやすい傾向にあります。シナリオ型チャットボットであれば、あらかじめ想定される質問の選択肢が用意されていたり、AI型チャットボットであればユーザーとの会話内容から求めている情報を予測して回答が絞り込まれたりと、チャットボットの質問に答えていくことで効率よく解決まで導かれるため、ユーザーの負担が少ないと言えます。

一方FAQシステムでは、自身が求めている回答を示してあるFAQを探し出すまでに時間がかかる傾向があります。そもそも自身の疑問に該当する「適切なキーワード」がわからないと、効果的な検索ができません。FAQの数が膨大だと初めから探すのを諦め、コールセンターに電話した方が早いと思われるかもしれません。そのため、トラブルの種類ごとにQ&Aを分類するなど、検索しやすくなる工夫が必要です。

配信できる情報・コンテンツ量

FAQシステムでは、専用のFAQページの画面全体を使って、回答や解説ができます。単に文章だけではなく図や写真、表、グラフなどを使うことで、わかりやすく伝えることが可能です。

チャットボットでは、提示できる情報量が少なくなりがちです。チャットボットはWEBサイトの画面端に設置されることが多く、表示面が小さいため、大量の情報を提示するのには向いていません。チャットボット単体では、複雑な質問に対して回答しきれないこともあるため、有人オペレーターとの連携など工夫が必要です。

得意領域

ユーザーとのコミュニケーションが取れるかどうかは、チャットボットとFAQシステムの大きな違いです。チャットボットではボットと会話をする中でユーザーを回答まで導くことができるため、解決したい問題はあるけど、どのように質問したら良いか分からない場合など疑問や課題が不明瞭であるケースが得意です。

一方、FAQシステムは、「住所変更のやり方を知りたい」といったように、ユーザーが解決したい課題が顕在化しており、具体的なイメージやキーワードが浮かんでいる場合、情報に素早くアクセスできる機会を提供することが得意です。


チャットボットとFAQシステムの共通点とは?

機能や特徴が異なるチャットボットとFAQシステムですが、「顧客満足度の向上」「問い合わせ対応の工数削減」「メンテナンス工数がかかる」といった共通点があります。一つずつ見ていきましょう。

顧客満足度の向上

チャットボットやFAQシステムは、企業が顧客に迅速なサポートを提供することで、顧客満足度を向上させる効果が期待できます。特に、ユーザーが疑問や問題に直面した際、即座に対応できる環境を整えることで、信頼感が高まります。

チャットボットやFAQを活用することで、ユーザーはリアルタイムで解決策にアクセスできるのです。これにより、営業時間内にしか電話できないことや、長時間待たされることがなく、スムーズな問題解決の顧客体験を提供できることになります。コールセンターが混み合う忙しい時間帯や即時対応が求められる場合にも、大きな効果を発揮します。

電話やメールによる問い合わせは待ち時間が発生しますが、チャットボットやFAQシステムなら、ユーザーが自ら解決に向かうことができるため、待ち時間がありません。この手軽さがユーザーのストレスを軽減し、より多くの人にとって使いやすいツールとなり得るのです。

電話での会話が苦手な人や、文章で情報を確認したいユーザーにとって、チャットボットやFAQシステムは理想的と言えます。選択肢をクリックするか、簡単なテキストを入力するだけで使えるため、複雑な操作もなく誰でも簡単にサポートを受けられます。

問い合わせ対応の工数削減

チャットボットやFAQシステムを導入すれば、問い合わせ対応をするスタッフの負担を減らすことができます。よくある問い合わせの中には、わざわざ人が電話などで対応しなくても、必要な情報を見せるだけで解決するものも少なくありません。例えば、商品やサービスについての基本情報や、パスワードの変更方法などです。

上記のような決まりきった回答をチャットボットやFAQシステムに任せれば、オペレーターは人が対応しなければいけない問い合わせだけに集中でき、問い合わせ対応の工数削減を期待できます。

メンテナンス工数がかかる

チャットボットとFAQシステムはどちらも、運用開始前の準備だけでなく、運用開始後も継続的かつ定期的なメンテナンスが必要です。

具体的にはQ&Aを新たに追加したり、すでにある回答の内容を充実させたりする作業が出てきます。AI型チャットボットの場合も、回答精度を上げるためには、AIに過去のやり取りを学習させることが必要です。

回答を表示したあとに、「疑問は解決しましたか?」などと簡単なアンケートを取ると、改善点の収集に役立ちます。解決できなかった場合のチャットボットとのやり取りや、FAQシステムに入力されたキーワードを特定して、次の機会には満足を得られるように改善を重ねていかないと、使えない・使われないチャットボットやFAQサイトになってしまうのでメンテナンスは欠かせません。


チャットボットとFAQシステムが向いているケースとは?

チャットボットとFAQシステムの違いと共通点を踏まえて、最後に最適な活用ケースを紹介します。

チャットボットが向いているケース

ユーザーが「漠然と質問したいことはあるが、具体的には分からない」といった場合、チャットボットが効果的です。チャットでのやり取りを繰り返す中で、ユーザーの質問が次第に明確になり、回答に導きやすくなります。

ユーザーの興味を引き出したい場合にも、チャットボットは有効です。企業や商品、サービスに触れたばかりのユーザーは積極的に行動しづらいので、気軽に質問できコミュニケーションがとれるチャットボットでのアプローチが適しています。多言語対応のシステムもあるため、外国人ユーザーや外国人従業員が多い企業にもチャットボットが活用できます。

FAQシステムが向いているケース

FAQシステムは、あらかじめ回答を用意しておくため、ユーザーの疑問が明確な場合に向いています。1ページを広く使ったり、特定の質問の回答を別ページへ飛ばしたりすることができるため、扱うQ&Aの量が多い場合や、質問に対して詳しい説明をしたい場合に適しています。

チャットボットよりも多くの情報を掲載できるため、長文のテキストや図表を使った回答を提供する場合に効果的です。

まとめ

チャットボットとFAQシステムの違いや共通点、それぞれが向いているケースについて紹介しました。ユーザーの問題を解決するための回答を自動で提示する点は同じですが、チャットボットは会話を通して回答を得られるため解決スピードは早い反面、表示する情報量は限りがあります。FAQシステムは、ユーザーが検索して自力で質問と回答を探すため、手間はかかりますが表示できる情報量は多いです。

チャットボットとFAQシステム、両者の違いや特徴を理解した上で、問い合わせ業務の効率化や顧客満足度の向上といった課題解決に役立つ、自社に適したシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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