fbpx

コールセンター(コンタクトセンター)におけるCXの重要性とは?課題・KPI・改善策まで

投稿日:2026年4月30日 | 更新日:2026年4月29日

Webinar cover about preventing customer churn and improving CX metrics, with two support agents beside a framed book-shaped title in Japanese.

コールセンター(コンタクトセンター)は、今や単なる「問い合わせ窓口」ではなく、企業のブランド価値を左右する「顧客体験(CX)の最前線」へと変化しています。商品やサービスの機能・価格で差別化が難しくなっている現代において、顧客が困ったときの対応品質は、その後の継続利用やロイヤルティを決定づける重要な要因です。

本記事では、コールセンターにおけるCXの定義や重要視される背景から、CS(顧客満足度)との違い、具体的な評価指標(KPI)、CXが低い現場で起こりやすい課題、そしてCXを向上させるための改善ポイントまで網羅的に解説します。顧客に選ばれ続けるコールセンター運営を実現するためのヒントとして、ぜひご活用ください。

<目次>


コールセンターにおけるCXとは?

コールセンターにおけるCX(顧客体験)の定義から、CS(顧客満足度)との違いやEX(従業員満足度)との関係、コールセンターの設計や運営が企業全体のCXに大きな影響を与える背景について解説します。

CX(顧客体験)の定義

CXとはCustomer Experienceの略で、日本語では「顧客体験」と訳され、顧客が企業やブランドと接点を持つ中で感じる一連の体験全体を指します。

Webサイトを見たときの印象、商品を購入するときの使いやすさ、問い合わせ時の対応、問題解決後の安心感など、個々の接点の積み重ねがCXを形づくります。

コールセンターの文脈でいうCXは、単に問い合わせに回答できたかどうかだけではありません。電話がつながるまでに長く待たされた、担当者の説明がわかりにくかった、別窓口へ何度も転送された、といった体験があれば、たとえ最終的に問題が解決しても顧客の印象は悪化しやすくなります。逆に、スムーズにつながり、事情をくみ取りながらわかりやすく案内してもらえれば、満足度は大きく高まります。

つまりCXとは、結果だけではなく、その過程で顧客がどう感じたかまで含めて評価する考え方です。コールセンター運営では、応対件数や処理効率だけでなく、顧客の体験価値そのものを改善対象として捉えることが重要です。

あわせて読みたい関連記事
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?向上・改善方法と成功事例

CXとCSとの違い

CXと混同されやすい言葉にCSがあります。CSはCustomer Satisfaction、つまり顧客満足度を意味します。一般的には「今回の対応に満足したか」「商品やサービスに満足しているか」といった、ある時点の評価を示す指標として使われる言葉です。

一方でCXは、個別の満足度だけでなく、企業との接点全体を通じた体験の総和を指します。たとえば、問い合わせの結果には満足していても、電話がつながるまでに長く待たされたり、本人確認を何度も求められたりすれば、体験全体としては良いとは言えません。

CSはその瞬間の評価、CXはその前後も含めた全体設計に近い考え方です。コールセンターでは、CSだけを見ていると「応対後アンケートの点数は高いから問題ない」と判断してしまいがちですが、離脱率や再問い合わせ率、SNS上の不満の増加などを見れば、体験全体には課題が潜んでいることもあります。

CXを重視することで、顧客が本当に負担なく問題を解決できているかを、より立体的に把握できるようになります。

あわせて読みたい関連記事
顧客満足度(CS)とは?計測方法から向上・改善術、トレンドまで

EX(従業員体験)との関係

コールセンターのCXを語る上で欠かせないのが、EX、つまりEmployee Experienceです。EXは従業員体験を意味し、オペレーターやスーパーバイザー(SV)が日々どのような環境で働いているか、業務を進めやすいか、適切な支援を受けられているかを表します。

顧客に良い体験を提供するには、まず現場で対応する従業員が無理なく働ける状態であることが重要です。たとえば、ナレッジが整理されておらず調べ物に時間がかかる、システムが分断されていて顧客情報を毎回探し回る、厳しいKPIに追われて丁寧な応対がしにくい、といった環境では、オペレーターの負担が高まり、結果として応対品質が不安定になります。

反対に、必要な情報にすぐアクセスできる、教育体制が整っている、適切にエスカレーションできる、評価制度が効率一辺倒ではない、といった環境が整っていれば、オペレーターは落ち着いて顧客対応ができるようになります。その結果、説明のわかりやすさや共感的なコミュニケーションが生まれやすくなり、CXも向上する好循環が生まれるのです。

なぜコールセンターがCXを左右するのか

コールセンターがCXを大きく左右する理由は、顧客の感情が最も動きやすい接点だからです。問い合わせをする顧客は、疑問や不安、不満を抱えていることが多く、平常時よりも企業に対する期待値や敏感さが高まっています。そうしたタイミングでの対応は、通常時の接客以上に印象へ強く残るものです。

たとえば、トラブル時に迅速かつ丁寧なサポートを受けられれば、「この会社は信頼できる」と感じやすくなります。一方で、つながらない、たらい回しにされる、説明が不十分といった体験があると、商品自体への満足度まで下がることがあります。

つまりコールセンターは、顧客の不満を解消してロイヤリティを高める場にもなれば、不信感を決定づける場にもなり得るのです。

また、近年は電話だけでなく、メール、チャット、LINE、FAQ(よくある質問)など複数チャネルをまたいで顧客対応が行われています。こうした環境では、コールセンターが単独で存在するのではなく、顧客接点全体のハブとして機能することが求められます。だからこそ、コールセンターの設計や運営は、企業全体のCX戦略の中核として捉えることが必要なのです。

あわせて読みたい関連記事
CXはなぜ企業のブランディングと収益につながるのか?CX支援の先駆者、ラーニングイット・畑中伸介氏の解説と、モビルスとのトップ対談から学ぶ【前編】
あわせて読みたい関連記事
CXブランディングを企業が追求する未来はすぐそこに。CX支援の先駆者、ラーニングイット・畑中伸介氏の解説と、モビルスとのトップ対談から学ぶ【後編】


コールセンターでCXが重要視される理由とは?

コールセンターでCXが重要視される主な理由は、以下の四つです。

・商品や価格だけでは差別化しにくくなっているため
・問い合わせ対応が企業全体の印象を左右するため
・解約防止・LTV向上に直結しやすいため
・口コミや評判に影響しやすいため

次にそれぞれ解説していきます。

商品や価格だけでは差別化しにくくなっているため

多くの市場では、商品やサービスそのものの機能差が縮まりつつあります。価格も比較しやすくなっており、顧客は複数社を横並びで検討しやすい環境にいます。そのため、単純に「良い商品だから選ばれる」という時代ではなくなっているのです。

こうした中で差別化要因として注目されているのが、利用中の体験です。「購入前後を通じてストレスが少ないか」「困ったときにすぐ相談できるか」「対応に安心感があるか」といった要素は、競合との違いとして認識されやすくなっています。特にコールセンターは、顧客が「この会社を今後も使いたいかどうか」を判断する決定的な場面になりやすい接点です。

つまり、商品や価格で大きな差をつくりにくいからこそ、コールセンターを含むCX全体の設計が競争力に直結するのです。

あわせて読みたい関連記事
2026年のコンタクトセンター(コールセンター)はどう変わる?生成AIの活用は「点」から「線」へ、労働力不足やカスハラ対策への戦略的活用とは

問い合わせ対応が企業全体の印象を左右するため

顧客にとって、コールセンターの担当者はその企業そのものです。組織の裏側や部門構成を意識することはほとんどなく、窓口対応の印象が企業全体の評価へ直結します。たとえば、対応が不親切だったり、説明が曖昧だったりすると、「この会社は信用できない」と感じられかねません。

逆に、困っている状況をきちんと理解し、必要な情報をわかりやすく案内してくれる対応は、それだけで企業への信頼を高めます。問い合わせ内容そのものよりも、「どう対応されたか」が強く記憶に残るケースも少なくないのです。

特に、契約・解約・請求・障害対応など、重要な場面でのやり取りは印象を左右しやすい領域です。こうした接点で顧客体験を損なうと、広告やブランド施策で積み上げた評価を一気に失う恐れもあります。

そのため、コールセンターは単なる運用部門ではなく、企業イメージを左右する重要なフロントと考えるべきです。

あわせて読みたい関連記事
【2025-2026年版 お客さま窓口の利用実態調査】5分未満の回答がカスハラ抑止につながるか 約4割が5分未満の回答希望、不満トップは「つながらない」約7割は窓口対応が購買行動に影響、うち約5割が購入中止

解約防止・LTV向上に直結しやすいため

コールセンターのCXは、売上への影響が見えにくいと思われがちですが、実際には解約防止やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)向上と強く結びついています。なぜなら、顧客が解約や離反を考えるタイミングの多くで、問い合わせ窓口との接触が発生するためです。

たとえば、サービスに不満を感じた顧客がサポートへ問い合わせた際、適切な対応がなされれば不満が解消し、継続利用につながる可能性があります。一方で、対応が遅い、説明不足、何度も同じ話をさせられる、といった体験があると、「もうこの会社は使いたくない」という判断を後押ししてしまうでしょう。また、顧客が安心して利用を続けられる状態をつくれれば、アップセルやクロスセルの余地も広がります。

つまり、コールセンターのCX改善は、単なる満足度向上ではなく、解約率低下や顧客生涯価値の最大化という経営的な成果にもつながる施策なのです。

口コミや評判に影響しやすいため

問い合わせ対応の良し悪しは、口コミやレビュー、SNS投稿にも反映されやすい要素です。特に不満のある体験は発信されやすく、「電話が全然つながらない」「毎回言うことが違う」「サポートが不親切」といった声は、これから利用を検討する見込み顧客に大きな影響を与えます。

近年は、商品スペックだけでなく、サポート体制や問い合わせ対応に関する口コミを事前に確認する人も増えています。そのため、コールセンターのCXは既存顧客の維持だけでなく、新規顧客獲得にも関係するようになっているのです。

反対に、問い合わせ時の対応が丁寧で、問題解決までがスムーズであれば、ネガティブな状況でも企業への評価が上がることがあります。トラブル時の対応が良かったことでファン化するケースもあるため、コールセンターは評判形成の観点から見ても軽視できません。


コールセンターのCXを構成する主な要素とは?

コールセンターのCXは「つながりやすさ」「問題解決のしやすさ」「応対品質」「自己解決のしやすさ」「チャネルをまたいだ一貫性」によって構成されています。ここではコールセンターのCXを構成する主な要素について、それぞれ解説していきます。

つながりやすさ

コールセンターにおける体験の入口となるのが、つながりやすさです。問い合わせをしたいのに長時間待たされる、何度かけても話し中で入れない、といった状況は、それだけで大きなストレスになります。

顧客は問題を早く解決したいから連絡しているため、入口でつまずくと不満が強まりやすいです。つながりやすさを測る上では、待ち時間や応答率※1、放棄呼率※2などが代表的な指標になります。

特に放棄呼率が高い場合は、「顧客が解決を諦めて離脱している」可能性が高く、CX上の重大な課題と言えます。見かけ上は入電数が減っていても、実際には不満の蓄積や解約リスクが高まっていることがあるためです。顧客体験の観点では、ただ電話を受けられているかではなく、「顧客がストレスなく問い合わせを開始できているか」を見ることが重要です。

※1 応答率:コールセンターへの入電数(着信数)に対して、オペレーターが応答できたコール数の割合。

※2 放棄呼率:コールセンターでオペレーターに接続される前に顧客が切断したコールや、システムがコールの集中により自動的に切断した「放棄呼」の割合。

あわせて読みたい関連記事
コールセンターの応答率とは?目安・計算方法から低下原因と対策まで
あわせて読みたい関連記事
放棄呼とは?計算方法・目安から発生原因と改善方法5選

問題解決のしやすさ

つながった後に重要になるのが、問題解決のしやすさです。顧客にとって理想なのは、一度の問い合わせで、「できるだけ早く」「納得感を持って問題が解決する」ことです。反対に、担当部署をたらい回しにされたり、折り返しが何度も発生したりすると、解決までの負担が大きくなります。

この観点で重要なのがFCR、つまり一次解決率です。一次解決率が高いコールセンターは、顧客が追加の連絡や再説明をしなくて済むため、体験価値が高まりやすくなります。もちろん、無理にその場で完結させることよりも、正確かつ納得感のある回答をすることが前提です。

また、たらい回しを防ぐには、オペレーターの権限設計、一次対応できない電話をSVや責任者に交代して対応する際のエスカレーションルール、システム連携など、業務設計全体の見直しが必要です。

顧客は社内事情を知らないからこそ、企業側の都合で対応が分断されない状態をつくることが、CX向上につながります。

あわせて読みたい関連記事
カスタマーサポートにおける「解決率」とは?計算方法・改善術まで

応対品質

コールセンターでは、同じ内容を案内していても、伝え方や接し方によって顧客体験は大きく変わります。事務的で冷たい印象を与える対応は不満を生みやすく、逆に顧客の状況を理解しながら丁寧に案内する対応は安心感につながります。

応対品質には、敬語やマナーだけでなく、共感の示し方、説明のわかりやすさ、顧客に合わせた言い換え、結論までの導き方などが含まれます。特に不安や怒りを抱えている顧客に対しては、単に正しい回答を返すだけでなく、「この会社はきちんと向き合ってくれている」と感じてもらえる応対が重要です。

CXの観点では、問題が解決したかどうかだけでなく、その過程で顧客が安心できたか、尊重されたと感じたかも大切なのです。

あわせて読みたい関連記事
コールセンター(コンタクトセンター)における応対品質とは?評価指標・低下の原因と改善法

自己解決のしやすさ

すべての問い合わせを有人対応で受けることが、必ずしも最良のCXとは限りません。顧客によっては、電話をかけずに自分で素早く解決したいと考えるケースも多くあります。そのため、FAQやチャットボット、ボイスボットなどを活用し、自己解決しやすい環境を整えることも重要です。

自己解決導線が機能していれば、顧客は待ち時間なく必要な情報にたどり着け、企業側も入電数を抑えられます。ただし、「情報が探しにくい」「質問への回答精度が低い」「結局有人窓口での対応が必要になるがつながりにくい」といった設計では、かえって不満を強めてしまいます。

そのため、自己解決チャネルは単に設置するだけでは不十分です。顧客が何に困り、どの表現で情報を探すのかを踏まえて設計し、必要に応じて有人対応へスムーズに接続できることが、良いCXにつながります。

あわせて読みたい関連記事
「自己解決率の向上」「電話応対の呼量削減」「新しいチャネルの導入」を考えたとき、ツール選びで失敗しない方法とは

チャネルをまたいだ一貫性

現在の顧客対応は、電話だけで完結するとは限りません。WebサイトでFAQを見た後にチャットで質問し、解決しなければ電話をかける、といったように、顧客は複数チャネルを行き来しながら問題解決を図ることが多いです。そのため、チャネルごとに案内内容や対応品質がばらつくと、顧客体験は大きく損なわれてしまいます。

たとえば、「チャットでは可能と案内されたのに電話では不可と言われる」「メールで伝えた内容がコールセンターに共有されていない」といった状態では、顧客は企業内の分断をそのまま負担として受けることになります。

何度も同じ説明を求められる状況も、CXを悪化させる典型例です。理想は、どのチャネルから入っても一定の品質で対応でき、必要な情報が適切に引き継がれる状態です。チャネルをまたいだ一貫性を実現することが、現代のコールセンターCXでは不可欠と言えます。

あわせて読みたい関連記事
ユーザーの自己解決率を上げる最適な導線設計の方法とは(ビジュアルIVR・マルチチャネル)


CXが低いコールセンターで起こりがちな課題とは?

CXが低いコールセンターでは次のような課題が起こることが多いです。

・電話がつながらず不満が蓄積する
・担当者ごとに回答がぶれる
・顧客情報が分断され何度も説明が必要になる
・オペレーターの負荷増大で品質が下がる

それぞれ見ていきましょう。

電話がつながらず不満が蓄積する

CXが低いコールセンターで最も起こりやすいのが、電話のつながりにくさです。問い合わせをしたいのに長時間待たされる、何度かけ直してもつながらない、営業時間内なのに受付終了してしまうといった状態は、顧客にとって大きなストレスになります。

この問題の厄介な点は、問い合わせ前の段階で既に企業への印象を悪化させてしまうことです。実際に会話が始まる前から不満が高まっているため、その後の対応品質が良くても、マイナスを完全に取り戻せないことがあります。

また、つながらないことで顧客が自己解決できず、問題が放置されるケースも起こり得ます。特に、解約や障害、請求関連など緊急性の高い問い合わせでつながりにくさが発生すると、顧客ロイヤルティの低下に直結します。そのため、つながりやすさは単なる運用効率ではなく、CXの土台として捉えることが必要です。

担当者ごとに回答がぶれる

コールセンターのCXを下げる典型的な要因が、担当者による回答のばらつきです。「問い合わせるたびに案内内容が異なる」「前回と言っていることが違う」「対応の丁寧さに差がある」といった状態では、顧客は企業に対する不信感を強めていきます。

回答のぶれは、オペレーター個人の能力差だけで起こるわけではありません。「ナレッジが整備されていない」「ルールが曖昧」「教育内容が属人的」「例外対応の判断基準が統一されていない」など、組織的な要因が背景にあることが多いです。

つまり、現場の問題に見えて、実際には運営設計の問題であるケースが少なくありません。顧客から見れば、誰が出ても同じ品質で、同じ基準で案内してくれることが理想です。ばらつきを放置すると、再問い合わせやクレームの増加にもつながるため、CX向上には回答品質の平準化が欠かせません。

あわせて読みたい関連記事
ナレッジマネジメントとは?導入メリット・手順・実践プロセスまで

顧客情報が分断され何度も説明が必要になる

CXが低いコールセンターでは、顧客情報や対応履歴が十分に共有されておらず、問い合わせのたびに同じ説明を求められることが起き得ます。これは顧客にとって非常に大きな負担です。特に、すでに不満や不安を抱えている状況で何度も経緯を説明し直すことは、感情的なストレスを増幅させます。

この課題は、電話・メール・チャットなどチャネルごとにシステムが分かれている場合や、部門間で情報連携が不十分な場合に起こりやすくなります。企業側では「別システムだから仕方ない」と思っていても、顧客にとっては企業都合でしかないです。情報分断は、たらい回しや対応遅延、案内ミスの原因にもなります。顧客情報や履歴を一元的に把握し、必要な情報が次の担当者へ適切に引き継がれる状態をつくることが、CX改善の前提です。

オペレーターの負荷増大で品質が下がる

CXが低いコールセンターでは、顧客だけでなくオペレーター側にも大きな負荷がかかっています。「電話が集中して常に追われている」「クレームが多い」「必要な情報がすぐ見つからない」「複雑な問い合わせに対して支援が不足している」といった状態では、現場は疲弊しやすくなります。

オペレーターの負荷が高まると、応対品質の低下、離職率の上昇、教育コストの増加など、さまざまな問題が発生します。さらに、経験者が辞めることで現場の知見が失われ、残ったメンバーの負担が増すという悪循環に陥ることもあり得ます。CX改善を考える際に見落とされがちなのが、この現場負荷との関係です。

顧客体験を高めるには、現場が高品質な応対を継続できる状態をつくる必要があります。つまり、オペレーター負荷の軽減は、単なる労務課題ではなく、CX改善の重要テーマでもあるのです。


コールセンターのCX向上に重要な指標とは?

コールセンターのCX向上のために重要な指標は、以下の六つです。

・CSAT(顧客満足度)
・NPS(顧客ロイヤリティ指標)
・CES(顧客努力指標)
・FCR(一次解決率)
・AHT(平均処理時間)
・応答率・放棄呼率

それぞれ詳しく解説します。

あわせて読みたい関連記事
カスタマーサクセスのKPIとは?指標10選と計測・設定・活用術

CSAT(顧客満足度)

CSATはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足度を表す代表的な指標です。一般的には、問い合わせ対応後のアンケートで「今回の対応に満足しましたか」といった形で収集されます。

コールセンターでは最も導入しやすく、現場でもなじみのある指標の一つです。CSATの良さは、個別の応対に対する顧客の評価を直接把握しやすい点にあります。応対品質の改善や、特定施策の効果検証にも活用しやすく、「どの対応が顧客満足につながったのか」を見つけるうえで有効です。

一方で、その場の印象や感情に左右されやすく、企業全体への評価までは捉えきれないことがあります。そのため、CSATは重要な指標ではあるものの、これだけでCX全体を判断するのは危険です。応対後の満足度を確認する指標として活用しつつ、他の指標と組み合わせて解釈することが大切です。

NPS(顧客ロイヤリティ指標)

NPSはNet Promoter Scoreの略で、「この企業やサービスを他人に勧めたいと思うか」をもとに顧客ロイヤルティを測る指標です。単なるその場の満足度ではなく、中長期的な信頼や推奨意向を把握しやすい点が特徴です。

コールセンターにおいてNPSが重要なのは、問い合わせ対応が企業全体への評価に波及するためです。サポート体験が良ければ「この会社は信頼できる」と感じてもらいやすくなり、逆に不快な対応が続くと、商品自体に問題がなくても推奨意向が下がることがあります。

つまりNPSは、コールセンターのCXがブランド価値にどう影響しているかを捉える材料になるのです。ただし、NPSはコールセンターだけの影響を純粋に切り出しにくい指標でもあります。商品の品質や価格、営業対応など他の接点の影響も受けるため、問い合わせ体験との関連を分析する際は、VOC(Voice of Customer:顧客の声)や他指標とあわせて見ることが重要です。

CES(顧客努力指標)

CESはCustomer Effort Scoreの略で、顧客が問題を解決するまでにどれくらい手間や労力を感じたかを測る指標です。スコアが高いほど、顧客が努力を要したということを意味します。たとえば、「今回の問い合わせは簡単に解決できましたか」「問題解決までに手間がかかりませんでしたか」といった質問で把握できます。

コールセンターのCXを考えるうえで、CESは非常に重要です。なぜなら、顧客は必ずしも感動的な体験を求めているわけではなく、まずはストレスなく解決できることを強く望んでいるからです。

「電話がつながりにくい」「何度も説明が必要」「別窓口に回される」といった状況はすべて顧客努力を増大させます。CX改善では、満足度を上げること以上に、まず顧客の負担を減らす視点が重要になるケースが少なくありません。その意味でCESは、コールセンターの構造的な課題を把握するうえで非常に有効な指標です。

FCR(一次解決率)

FCRはFirst Call Resolutionの略で、一次解決率を意味します。顧客の問い合わせが初回対応で解決した割合を示す指標で、コールセンターCXにおいて特に重要視されます。

顧客の立場からすれば、一度の問い合わせで問題が解決することが最も負担の少ない状態です。「何度も連絡しなければならない」「折り返しを待つ必要がある」「別チャネルに誘導される」といった状況は、体験を大きく損ねます。そのため、FCRが高いほど、顧客の負担は少なく、CXも良好である可能性が高いと言えます。

また、FCRは顧客体験だけでなく、運営効率にも関わる指標です。一次解決率が低いと再問い合わせが増え、結果として呼量も現場負荷も高まります。つまりFCRの改善は、CXと業務効率の両方に効果を持つ重要テーマなのです。

AHT(平均処理時間)

AHTはAverage Handling Timeの略で、平均処理時間を表します。通話時間だけでなく、後処理時間などを含めた1件あたりの対応時間を測る指標として使われます。コールセンター運営では広く使われており、オペレーターの要員計画や生産性管理の基礎となる指標です。

ただし、AHTは扱い方を間違えるとCXを損ねやすい指標でもあります。短縮ばかりを求めると、オペレーターは丁寧なヒアリングや説明を省略しやすくなり、顧客の納得感を損なう恐れがあるためです。その結果、再問い合わせが増え、全体としては非効率になることも否めません。

そのためAHTは、「短いほど良い」と単純に考えるのではなく、FCRやCSATとセットで見るべき指標です。適切な長さで、無駄なく、必要な説明は十分に行えているかという観点で評価することが重要です。

あわせて読みたい関連記事
AHT(平均処理時間)とは?コールセンターの指標改善・効率化4策

応答率・放棄呼率

応答率は入電に対して実際に対応できた割合、放棄呼率は顧客がつながる前に電話を切ってしまった割合を示します。どちらも、つながりやすさを把握するうえで基本となる指標です。

CXの観点では、放棄呼率の高さは特に注意すべきサインです。なぜなら、顧客が問題解決を諦めた可能性が高いからです。つながらない状態が続けば、顧客は不満を蓄積させ、他社へ乗り換えたり、SNSや口コミでネガティブな発信をしたりすることもあり得ます。

応答率や放棄呼率は、現場では運営指標として扱われがちですが、実際には顧客体験の入口を示す重要なCX指標です。特に繁忙時間帯や特定窓口ごとの傾向まで細かく見ることで、改善余地を把握しやすくなります。


コールセンターでCXを向上させるための改善ポイントとは?

コールセンターでCXを向上させる改善策として以下の五つが挙げられます。

・問い合わせ導線を見直す
・呼量と要員配置を最適化する
・FAQやIVRを改善して自己解決率を高める
・ナレッジ整備による回答品質を平準化
・顧客情報を統合して対応の引き継ぎをスムーズにする

それぞれ詳しく解説します。

問い合わせ導線を見直す

CX改善の出発点として重要なのが、顧客がどのような流れで問い合わせに至るのかを見直すことです。多くの企業では、問い合わせ窓口の設計が社内都合になっており、顧客からすると「どこに連絡すればよいかわからない」「FAQを見ても解決しない」「やっと見つけた窓口が使いにくい」といった問題が起こりがちです。

顧客視点で導線を見直す際は、Webサイト、マイページ、FAQ、チャット、電話番号表示位置などを横断して確認する必要があります。問い合わせ前の段階で迷わせないことは、CX向上だけでなく、不要な入電の抑制にもつながります。

また、問い合わせ理由ごとに最適な導線を設計することも重要です。緊急性が高い内容はすぐ人につながれるようにし、定型的な質問は自己解決しやすくするなど、顧客の状況に応じた導線設計が求められます。

問い合わせ内容に応じて、最適なチャネルを分かりやすく案内するために導線設計のために活用したいのが「ビジュアルIVR」です。これは、電話で音声アナウンスに従って番号をプッシュして選択する IVR (Interactive Voice Response)をWeb上でもビジュアル化して、手で選択することで進行させるイメージのツールです。

お客さまが自己解決しやすい問い合わせ導線を実現するモビルスの「Visual IVR」

▽導入事例インタビュー記事

呼量と要員配置を最適化する

つながりやすさはコールセンターCXの土台です。そのため、待ち時間の削減は優先度の高い改善テーマと言えます。

単純に人員を増やせばよいわけではなく、呼量の予測精度を高め、時間帯別・曜日別・問い合わせ種別ごとに適切な要員配置を行うことが重要です。

特に、特定の時間帯やキャンペーン実施後、障害発生時などに呼量が急増する場合、その波を前提にした運営設計が必要です。予測が甘いと待ち時間が長くなり、放棄呼率や不満が一気に高まります。逆に、需要に応じた配置ができれば、応答率改善と現場負荷軽減の両方につながります。

また、折り返し対応やコールバック予約、混雑予測の表示なども有効です。単に待ち時間を短くするだけでなく、「待たされる不満」を減らす工夫もCX改善では重要になります。

急な呼量増加や繁閑差による要因配置を補うことや、待ち時間を短くする施策として、ボイスボットによる自動応答の導入も効果的です。ボイスボットが用件をヒアリングし、後から有人オペレーターが折り返しで連絡をする一次受付や定型的な手続き対応の自動化のほか、その場で有人オペレーターへ転送することもできます。

生成AIを活用したAIエージェント型ボイスボットでは、従来のボイスボットでは対応できなかった「聞き返し」や「柔軟な応対」が可能となり、住所や氏名の聞き取り精度も向上しています。そのため、本人確認や問い合わせ内容の用件分類をボイスボットが自動で行い、その上でオペレーターへ引き継ぐことができます。また、ボイスボットで問い合わせ対応が完了する割合の向上や活用範囲を広げることも可能です。

このように電話対応が必要な業務にボイスボットを導入すると、人手不足の解消や顧客満足度の向上に寄与します。

MOBI VOICE |AI電話自動応答、ボイスボット
MOBI VOICE(モビボイス®)は、電話の問い合わせ対応をAIで自動化するシステム連携に優れたボイスボットシステムです。AI連携による高度な自動応答と、PBXやCRM、個別DB連携など、拡張性に富んだ運用によって、CX向上が実現できます。
あわせて読みたい関連記事
ボイスボットとは?活用事例、導入時比較ポイントから設計運用術まで

▽導入事例インタビュー記事

SBIいきいき少額短期保険株式会社|生成AIエージェント型のボイスボットで受付完結率70%超を実現

FAQやIVRを改善して自己解決率を高める

自己解決のしやすさを高めることは、顧客にとっても企業にとってもメリットが大きい改善です。顧客は待たずに解決でき、企業は入電数を抑えられるため、有人対応が本当に必要な問い合わせへリソースを集中しやすくなります。

ただし、FAQやIVRは設置しているだけでは意味がありません。実際には「知りたい答えにたどり着けないFAQ」や「選択肢がわかりにくいIVR」が多く、かえって顧客体験を悪化させることがあるためです。

そのため、検索キーワード、離脱箇所、有人への流入理由などを分析しながら継続的に改善することが必要です。また、FAQ・チャットボット・IVR・有人窓口が分断されていると、自己解決に失敗した後のストレスが大きくなります。自己解決できない場合は、スムーズに有人対応へ接続できる設計にすることが重要です。

あわせて読みたい関連記事
「自己解決率の向上」「電話応対の呼量削減」「新しいチャネルの導入」を考えたとき、ツール選びで失敗しない方法とは
あわせて読みたい関連記事
有人チャットとは?種類やメリット・デメリットと導入のポイントまで

ナレッジ整備による回答品質を平準化

担当者ごとの回答ぶれを防ぐには、ナレッジ整備が欠かせません。ルールや手順が属人的なままだと、経験の差がそのまま応対品質の差になってしまい、顧客から見た一貫性が失われてしまいます。

ナレッジ整備で重要なのは、単に情報を蓄積することではなく、「現場で使いやすい形で管理すること」です。必要な情報にすぐアクセスできる、更新履歴がわかる、例外対応の判断基準が明確、といった状態でなければ実運用では活用されません。検索性やメンテナンス性を意識した設計が必要です。

また、ナレッジは一度作って終わりではなく、VOCや問い合わせログをもとに更新し続ける必要があります。よくあるつまずきや説明しにくいポイントを反映し続けることで、回答品質の平準化とCX向上が進みます。

あわせて読みたい関連記事
ナレッジマネジメントとは?導入メリット・手順・実践プロセスまで

AIナレッジシステム 「MooA KnowledgeBase®(ムーア ナレッジベース)」は、対話ログからAIがQA(質問と回答)ドラフトを自動生成するため、現場の暗黙知を抽出しながら、蓄積ナレッジの属人性も排除します。さらに、既存のFAQと突合することで、更新や追加が必要なナレッジを自動で検出し提示。ナレッジのメンテナンス作業を大幅に効率化できます。こうして蓄積されたナレッジをもとに、ベクトル検索やLLM生成で「文脈に沿った最適解」を瞬時に見つけ出すことが可能になります。これらの機能により、ナレッジ管理プロセスの実装を通じたナレッジ品質の継続的な改善を実現します。

あわせて読みたい関連記事
カスタマーサポート担当者必見!生成AIを活用した「MooA KnowledgeBase」でマニュアル・ドキュメント検索を効率化

顧客情報を統合して対応の引き継ぎをスムーズにする

チャネルをまたいだ一貫した対応を実現するには、顧客情報の統合が欠かせません。電話、メール、チャット、LINEなどで接点が分かれていても、顧客から見れば同じ企業とのやり取りです。そのため、前回の問い合わせ内容や対応履歴が共有されていない状態は、大きなCX低下につながります。

顧客情報を統合できれば、オペレーターは過去のやり取りを踏まえて対応でき、顧客に何度も説明させる必要がなくなります。これにより、ストレス軽減だけでなく、対応時間短縮や案内精度向上にも効果的です。

すべてを一気に刷新しなくても、まずは履歴参照の仕組みや引き継ぎルールを整えるだけでも効果はあります。CX向上の観点では、「顧客に社内の分断を感じさせないこと」が重要です。

まとめ

コールセンターにおけるCXの向上は、単なる「感じの良い対応」を目指すことではありません。顧客が抱える問題を「いかにストレスなく、確実に解決できるか」というプロセスの全体最適化そのものです。

コールセンターにおけるCXの向上は、単なる応対品質の改善にとどまらず、企業全体の価値や競争力を左右する極めて重要な経営課題です。顧客が抱える悩みや不安に対して、いかにストレスなく、そして確実に納得感のある解決を提供できるかという一連のプロセス全体を最適化することが求められます。

その土台となるのは電話のつながりやすさや自己解決チャネルの整備であり、さらにはチャネルをまたいだ一貫性のある対応や情報の統合が顧客の負担を軽減する鍵となります。また、顧客に感動を与えること以上に、まずは解決までの手間を最小化する「顧客努力の削減」が信頼構築には不可欠です。さらに、オペレーターが無理なく高品質な応対を継続できるよう、システム面での支援や負荷軽減をセットで考えることが、CX向上の近道となります。

本記事を執筆するモビルスでは、CRM(顧客管理)システムや有人チャット・生成AIとの連携が可能なAIボイスボットや、コールセンター運用の肝ともなる、ナレッジベースの構築による回答サジェストやマニュアル検索を可能にするオペレーション支援AI「MooA®(ムーア)」をはじめ、コールセンター(コンタクトセンター)のCX(顧客体験)向上を通じて企業の競争力を高め、収益を最大化するための総合的な支援を提供しております。

AIボイスボットやAIチャットボット、自己解決を促すビジュアルIVRなど、顧客満足度につながる幅広いニーズに対応できるソリューションを開発提供しています。ぜひご相談ください。

AI電話自動応答システム(ボイスボット)「MOBI VOICE」紹介資料

モビルスの「MOBI VOICE(モビボイス®)」は、企業や自治体の電話自動応答に必要なすべての機能をカバーしたボイスボットソリューションです。注文や手続きの一次受付、自由自在に追加・分岐できるシナリオ作成、IVRでの自動音声対応、アウトバウンドコールなど必要な電話業務をもれなく実現できます。機能、解決できることや導入事例などを紹介資料にて掲載しています。

下記より、ダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。

MOBI VOICE |AI電話自動応答、ボイスボット
MOBI VOICE(モビボイス®)は、電話の問い合わせ対応をAIで自動化するシステム連携に優れたボイスボットシステムです。AI連携による高度な自動応答と、PBXやCRM、個別DB連携など、拡張性に富んだ運用によって、CX向上が実現できます。

オペレーション支援AI「MooA」紹介資料

MooA®(ムーア)は生成AIや独自のAI技術を取り入れた、オペレーターの応対業務の負担を軽減し、応対業務全体の短縮化とVOCの活用を促進するオペレーション支援AIです。チャットボットやボイスボットと連携しながら、応対中のオペレーターの回答業務を支援します。機能、解決できることなどを紹介資料にて掲載しています。

下記より、ダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。

お役立ち資料

CONTACT お問い合わせ

掲載コンテンツやモビルスのサービスについては
お気軽にお問い合わせください。
資料は無料でダウンロードしていただけます。

ページTOP