<2021年1月31日⇒2023年6月27日更新>

企業のコンタクトセンター(コールセンター)など「顧客サポート」の現場では、「いつも電話で待たされる」「FAQや説明書を見てもよくわからない」といった問い合わせる側の不満や悩み、「スタッフがすぐ辞めてしまう」「電話対応でほかの業務が滞る」など対応する側の悩みなど、日々様々な課題に直面しています。

こうした課題に対して、電話を中心とした対応をAIやチャットボットによって自動化する動きが進んでいます。しかし、自己解決促進のために、電話での問い合わせをチャットボットへ誘導するのは限界があります。いくらチャットの活用が進んでも、電話がなくなることはありません。

チャット対応などノンボイスシフトと並行して、「電話のDX」「デジタルシフトの新しい一手」とも言われ、期待されているのが「ボイスボット(AI電話自動応答)」です。

顧客サポートにボイスボットを導入し、様々なシーンで活用する企業が増えています。本記事では、金融・生損保における、ボイスボットの活用事例を紹介します。

金融・生損保のボイスボット活用事例

<case1>銀行
融資・外国送金の問い合わせ対応自動化で、顧客利便性の向上と業務効率化を両立

インターネットバンキングの利用者増や新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化など、昨今の銀行を取り巻く環境は変わり続けています。

こうした環境下で、横浜銀行では、より店頭運営の効率化を推進する中、顧客の利便性向上や店頭窓口業務の効率化のため、2023年2月より、これまで店頭窓口および電話受付で取り扱っていた「融資・外国送金のお問い合わせ」業務にボイスボット(AI電話自動応答)を導入しました。現在、一部店舗にて運用を開始しています。

横浜銀行、「融資・外国送金のお問い合わせ」の「MOBI VOICE」活用イメージ図
横浜銀行、「融資・外国送金お問い合わせ」のボイスボット活用イメージ
参考:https://mobilus.co.jp/lab/client-case/yokohamabank-mbv/

横浜銀行では「融資課のすべての業務を本部に集約すること」がもともとの計画としてあり、店舗に融資の電話がかかってこないことが目標でした。ボイスボット導入後、運用を開始した4店舗では、1日に合計で40件~60件の受電があります。導入前と受電数は変わらず、何も吹き込まれていない場合も一定数ありますが、クレームには至っていません。

ボイスボットで受電対応ができるため、融資に関する電話が4店舗合計でほぼ0となり、導入効果が出ています。導入前は、電話で内容を聞き調べて折り返し連絡をする流れでした。ボイスボットで一次対応を自動化できたことで、電話対応を1回にできたことで効率化を実現できました。

横浜銀行では、今後2~3年を目途に、融資課があるほかの30店舗へもボイスボット導入を進めていく予定です。

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<case2>少額短期・損害保険
あふれ呼・営業時間外の自動対応により機会ロスの減少

SBIいきいき少額短期保険では、
「コンタクトセンターの営業時間外の夜間にCMが放送されるため、CMを見て電話をかけてきた電話に対応できず、機会損失になっている」
「営業時間内のあふれ呼に対応できていない」
といった課題解決のため、ボイスボットを活用しています。

新規申込や検討の資料請求に対しては、オペレータから折り返し対応する流れを作り、あふれ呼・時間外の取り逃しを防ぎ、機会損失を削減。

住所変更など契約者情報の変更は、聞き取りをボイスボットを使って自動で完結させることで、人による応答コストの削減、24時間電話受付により顧客の利便性向上につながっています。

SBIいきいき少額短期保険、ボイスボット活用イメージ
SBIいきいき少額短期保険、ボイスボット活用イメージ
参考:https://mobilus.co.jp/press-release/27996 

<case3>生命保険
定型手続き業務をRPA連携で電話受付から発送まで自動化  

SBI生命では、生命保険料控除証明書の再発行受付にボイスボットが活用されています。これまで営業時間内のみの電話受付でしたが、ボイスボットで必要な項目を自動でヒアリングし、24時間365日いつでも生命保険料控除証明書の再発行受付が可能となりました。

さらに、SBI生命では以前よりRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を導入しており、ボイスボットを使って自動でヒアリング・書き起こした内容をRPAと連携し、生命保険料控除証明書の再発行といった定型手続き業務を、受付から後処理まで完全に自動化しました。

SBI生命、生命保険料控除証明書の再発行受付でのボイスボット活用イメージ
SBI生命、生命保険料控除証明書の再発行受付でのボイスボット活用イメージ
参考:https://mobilus.co.jp/press-release/28856

<case4>共済保険
書類請求受付の自動化受付による効率化

「電話での書類請求が多く、電話が取り切れない」という課題に対し、書類請求の電話問い合わせをボイスボットで一次受付を実施しています。

ボイスボットで「組合員番号」「本人情報」「請求したい書類」を自動でヒアリングし、自動で書き起こしたデータを元に、書類の発送手続きを行う流れです。

顧客サポートのボイスボット活用

金融・損保のボイスボット活用例を紹介しました。活用例を見ると、「全ての問い合わせに何でも答えます」ではなく、「書類の請求受付」や「道路情報の案内」など対応内容を絞っていることがわかります。

緊急度の高い問い合わせや複雑な問い合わせは、人が対応したほうがよいですが、「わざわざ人が対応しなくてもよい定型的な手続き」や、「人が対応できない時間の一次応答」などでボイスボットは力を発揮できるのです。

RPA連携による受付から後処理まで完全自動化や、ボイスボットで基本情報のヒアリングをして人に引き継ぐハイブリッド活用など、顧客サポートにおけるボイスボットの活用は、今後さらに可能性を広げていくでしょう。

ボイスボット活用事例集はこちら

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