<2024年1月30日更新>
「機械学習」や「ディープラーニング」といった既存技術に加え、ChatGPTの登場で、AIチャットボット(自動会話プログラム)を目にする機会が多くなったのではないでしょうか。近年、「自然言語処理」などのテクノロジーの進歩によって、チャットボットは大きく進化しています。
当記事では、AIチャットボットとは何かといった基本知識から、AIエンジンの最新動向として国内、海外のチャットボットエンジンの特徴まで、AIチャットボットを導入する際のポイントとなる情報をご紹介します。
<目次>
AIチャットボットとは
AIチャットボットとは、ユーザーが入力したチャットの質問に対して、AIを活用することで、自然言語でのコミュニケーションができるプログラムです。ユーザーが入力した内容に対し、自然言語処理技術によって、その質問内容や意図を解釈して返答を生成します。
まずは、AIチャットボットを含むチャットボットの種類から、見ていきましょう。
チャットボットは大きく分けて2種類
チャットボットには、「シナリオ型のチャットボット」と「一問一答型のAIチャットボット」の2種類があります。
シナリオ型チャットボット
「シナリオ型のチャットボット」とは、予め設定したスクリプトやシナリオに基づいてユーザーの質問や意図を分岐し、回答を導いて返答する仕組みです。柔軟性が低く、予め設定されたフローに制約される一方で、確実性や一貫性が高く、特定のシナリオに対しては高い精度を発揮します。機能の説明や取り扱い説明といった特に答えが決まっているような単純な質問に適しています。
AIチャットボット
「一問一答型のAIチャットボット」は、人が話すような言語(自然言語)の中で会話の流れやキーワードから、ユーザーの意図を解釈して返答内容を類推し、質問に答えます。シナリオ型チャットボットは想定されていない質問に対して決まった返答パターンを返すことしかできません。しかし、AIチャットボットであれば、膨大なデータをもとに返答内容を自分で考えて生み出すため、より広範囲な質問に対応することが可能です。多数の商品を扱う通販サイトのお問い合わせなど、質問内容が多岐にわたるケースや相談を受け付けるサイトに適しています。
AIチャットボットの仕組みと構成技術
AIチャットボットは、ユーザーが質問や要望などをテキストや音声で入力された後、下記のような流れで回答を導き出します。
【AIチャットボットが回答を導くまでの流れ】
- ユーザーが入力した内容を「自然言語処理」で分析し、意味や意図を理解する
- 膨大なデータの「機械学習」により、最適な回答や提案を生成する
- テキストや音声で回答を出力する
こうした流れを繰り返すことで、AIチャットボットは継続的に学習を進め、回答精度を高めていきます。
次は、AIチャットボットの仕組みである、「自然言語処理(NLP)」と「機械学習」について、見ていきましょう。
自然言語処理
自然言語処理とは、人間が日常的に話したり書いたりしている言葉(自然言語)をAIによってプログラミング言語に変換する処理を指します。NLP(Natural Language Processing)とも呼ばれ、具体例として、以下のようなケースがあります。
●例1)文を単語へ分割する
文章テキストを単語や語句など意味のある単位に分割する処理
●例2)文の構造や関係を解析する
主語と述語の関係といった、文の構造や文法的な関係を解析する処理
●例3)文の意味や会話の流れを分析する
文脈を理解し、分析する処理
こうした自然言語処理によって、AIチャットボットは、ユーザーの入力内容を正しく理解し、適切な返答をすることができます。自然言語処理の進化には、機械学習の発展が大きく寄与しており、自然言語の理解や生成の性能が向上しています。
機械学習
機械学習とは、大量のデータを自動的に学習し、データに隠されたルールやパターンを分析、発見する技術のことを言います。ML(Machine Learning)とも呼ばれ、具体的には以下4つに分類されます。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
- 深層学習(ディープラーニング)
正解があるデータについて正解データをもとに学習するものです。例えばメールが届いた時の迷惑メールの判別など、正解や最適解が明確な課題に対して使われている技術です。
正解となるデータがない場合の分析方法です。データ同士の距離や類似度などを計算したり、データをいくつかに分類してデータ間の繋がりを予測したりします。大量のメールをもとに、内容が似たメールをグループ分けする場面などで使われます。
機械そのものが試行錯誤しながら、報酬を最大化するための最適な行動は何かを学習し、調整する分析手法です。コンピューター囲碁プログラムといったゲーム開発や金融取引などに活用されています。
入力に対して重みをつけて出力を返す「ニューロン」という層によってデータを処理させ、機械が特徴を見つけて学習する分析手法となります。「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つすべてに応用することが可能です。自動車の自動運転や画像処理技術などに活用されています。
こうした機械学習による大量の学習データをもとに、AIチャットボットは、最適な回答や提案を生成しています。
AIチャットボットの導入目的
チャットサポートの強みの一つは、チャットボットを活用して、チャット問い合わせへ自動応答できることです。人工知能(AI)を活用して、よくある質問に24時間自動で回答するチャットボットや予めよく聞かれる質問やカテゴリーを作成し、シナリオベースで自動応答するチャットボットも有効です。
ある大手ECサイトでは、問い合わせの60~70%をチャットボットが対応している例もあります。その他、チャットボットがサポート担当15人分の働きを実現しているECサイトもあります。
ここでは、AIチャットボットの導入目的を見ていきましょう。
自己解決を促し、顧客満足度向上
チャットボットを導入すると、24時間365日、時間を選ばずに問い合わせの対応をすることができます。また、リアルタイムでのやりとりができるため、回答までの待ち時間もありません。
AIチャットボットであれは、シナリオ型で対応できないような抽象的で複雑な問い合わせにも対応することができ、お客さまとの膨大なやりとりに関するデータをもとに学習していきます。運用すればするほど、問い合わせ内容に合わせた最適な案内が可能な状態となり、円滑なコミュニケーションを享受できます。
お客さまご自身で問題を迅速に解決することができ、快適にサービスを利用できるといったエフォートレスな体験が、顧客満足度向上につながります。
問い合わせ窓口の人件費削減・業務効率化
よくある質問や決まった回答があるような問い合わせへの対応を、AIチャットボットが代わりに対応するように自動化することで、問い合わせ窓口のコスト削減や業務効率化を図ることができます。
AIチャットボットを活用すると、オペレーターを介することなく、どのユーザーに対しても事前に用意した返答ができるため、対応内容がオペレーターそれぞれのスキルに依存することがありません。また、サービス内容に変更があった場合も、データやシナリオの変更をするだけで運用ができます。引き継ぎや業務研修といったオペレーターの教育コストを削減することが可能です。
さらに、オペレーターが同じような質問に対応していた時間もなくなるため、本来、人でないと対応できないような問い合わせや電話対応に対して丁寧に対応することができるとともに、人員を集中させるなど注力することができます。
マーケティング活用
AIチャットボットとの会話で得た内容はデータとして蓄積することができます。蓄積した問い合わせ内容などのデータは、マーケティング戦略へ効果的に活用することが可能です。
例えば、ユーザーの行動履歴や好みを学習し、自社サービスのターゲット層を把握できます。それぞれの特性に合わせた提案や情報を提供することもできるでしょう。
また、AIチャットボットによって収集したやりとりを、リードの生成獲得や購買促進、サービス品質の改善といった目的に活用することで、売上のアップにつながります。
AIチャットボットのメリット・デメリット
さまざまな機能をもつAIチャットボットですが、解決したい課題や活用シーンによって、AIチャットボットのメリットやデメリットがあります。それぞれを理解して、導入および導入後の運用体制についても検討していきましょう。
AIチャットボットのメリット
まず、AIチャットボットのメリットをご紹介します。
1つ目は、事前に想定されていない複雑な問い合わせに対応しやすいことです。シナリオ型チャットボットでは、登録されていない内容に対しては返答ができません。
AIチャットボットであれば、蓄積されたデータをもとに、最適と考えられる返答をAIの自動学習によって導き出すことができるため、シナリオ型チャットボットと比べて、より柔軟に問い合わせの対応ができます。
2つ目は、問い合わせのやり取りを学習することで回答の精度が上がることです。データやログをもとに自己学習したAIが質問へ回答するプログラムのため、運用時間が長ければ長いほど、さらに的確な返答が可能になったり、人間と対話しているかのような自然な対話ができたりするようになります。
運用時間に比例して回答精度が向上していくため、問い合わせ業務の効率化や顧客満足度の向上を図ることができます。
3つ目は、オペレーターの負担軽減につながりやすいことです。チャットボットを実装しても、回答できる内容に限りがあります。対応しきれない場合は、結局、オペレーターが対応せざるを得ません。
AIチャットボットは、蓄積データに基づいた最適な返答が可能なため、AIチャットボットのみで問い合わせ対応を完結できるカバー範囲が広くなります。人が対応することなく、AIの自己学習によってAIチャットボットで完結できる問い合わせが増えていくため、継続的なオペレーターの負担軽減につながります。
AIチャットボットのデメリット
一方、AIチャットボットにもデメリットはあります。導入や活用を考える際に留意すべき点をご紹介します。
1つ目は、導入コストがシナリオ型に比べて高くなる傾向があり、運用開始後も学習や調整が必要になることです。質問に対して的確な回答ができるようにするには、適切なデータをできる限り多く学習させ、受け答え状況を確認しながら精度強化のために調整をしていくことが不可欠です。そのため、シナリオ型のチャットボットと比べると、運用を開始するために長い準備時間を要します。
また、運用開始後も精度が低い箇所を放置すると、顧客満足度低下につながりかねません。シナリオ型よりも仕組みが複雑なため、導入するAIチャットボット製品に運用開始後のサポートが充実しているかといった点は検討ポイントの一つとなるでしょう。
2つ目は、セキュリティとプライバシー面での懸念です。AIチャットボットが取り扱う情報が機密性の高い場合、データのセキュリティやプライバシーに関するリスクが生じる場合があります。
最後に、AIエンジンによって精度にばらつきが発生することです。AIチャットボット製品に搭載されているAIエンジンは製品によって異なります。解決したい課題や導入目的に合ったAIエンジンを選択しましょう。
続いては、AIエンジンの特徴と製品をご紹介していきます。「AIエンジンの最新動向」として、国内製、海外製のAIエンジン12製品を厳選しました。
国内製のAIチャットボットエンジン
まずは、国内製のAIチャットボットエンジン、製品を9つご紹介します。
PKSHA(パークシャ)Chatbot/(運営会社:PKSHA Communication(※元:BEDORE Conversation))
株式会社PKSHA Communication(パークシャ コミュニケーション)が提供するAIチャットボットが「PKSHA Chatbot(パークシャチャットボット」です。
親会社である「株式会社 PKSHA Technology」で培った、自然言語処理、画像認識、機械学習/深層学習技術に関わるアルゴリズムソリューションや知能化技術の研究成果を、PKSHA CommunicationがAI SaaS製品としてパッケージ化して、販売しています。
主な特徴や実績、強み等は以下です。
- 圧倒的な日本語回答精度を実現するAI対話エンジン
- カスタマーサポートや社内問い合わせの自動化を支援
- 金融系を中心に導入企業数100社以上、自動応答による対応数300%アップを実現
- ローコードで導入可能(数行のタグをWebサイトに埋め込むだけで簡単にチャット型対話エンジンを導入可能)
- ビッグデータを活用した辞書データを搭載。予め会話の土台がある状態で運用を開始できるため、少ない学習データで高い精度を実現
- CRMや基幹システム、RPA等などと連携可能
- TeamsやSlack、LINEなど、通常業務で利用しているビジネスチャット上からの利用も可能
尚、元々オウケイウェイブが提供していた「OKBIZ. AI Knowledge(「OKBIZ. for FAQ」の後継サービス)」は、現在『PKSHA FAQ』へリブランドされています。
※オウケイウェイブは2021年5月にPKSHA Technologyによって買収されています。
プレスリリース:株式会社オウケイウェイヴの新設分割会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
(PKSHA Chatbotのサービスサイトはこちら)
QuickQA(クイックキューエー)/(運営企業:株式会社エーアイスクエア)
2015年設立のAI開発企業「エーアイスクエア」が提供するのが「QuickQA」です。
日本語を得意とするAIシステムを採用した、純国産の自動応答システムです。少ない学習データでも言葉のゆらぎを吸収し、適切な回答を提示することが可能です。誰でも簡単に学習管理ができるよう、直感的に操作ができるような管理ツールとなっております。
エーアイスクエアでは、自動応答AIシステムである「QuickQA」に加え、自動要約・分類システムAIである「QuickSummary」の2つを「コアシステム」として擁しています。この2つのシステムをコアとし、その周辺サービスとして、音声認識や感情分析等の提供も行います。
お客さまへの問い合わせ対応だけでなく、従業員からの問い合わせに自動回答するといった、社内業務効率化の用途での導入事例が多いのも特徴のひとつです。純国産AIとして、下記のような利用シーンを想定しています。
- コールセンター向けサービス
- 顧客サポートチャットボット QuickQA
- 社内サポートチャットボット QuickQA人事総務
- 文書解析サービス
なお、「QuickSummary」については、2023年6月にChatGPTを搭載し「QuickSummary2.0」として、新たにバージョンアップ版がリリースされています。
(QuickQAのサービスサイトはこちら)
LINE CLOVA(ライン・クローバ)/(運営企業:LINE)
LINEが開発しているAIプラットフォームが「LINE CLOVA」です。
2017年に発表されて以降、主に個人向けに、スマートスピーカーのサービスを提供してきましたが、2022年10月末にもって、まずスマートスピーカー端末の販売を終了、その後2023年3月末には、音声操作で各種機能を実行する「CLOVA Assistant」のサービス終了も発表しました。
今後はLINE CLOVAのAI技術を組み合わせ、「法人向けサービス」にリソースを投下していく狙いです。
以下、法人向け製品ラインナップの一例です。
- LINE AiCall(電話応対AIサービス)
- LINE eKYC(オンライン本人確認サービス)
- CLOVA Chatbot(LINE公式アカウントとも連携可能なFAQや接客用Bot)
- CLOVA OCR(文書のデータ化)
- CLOVA Speech(音声認識、テキスト起こし)
- CLOVA Vision(クラウド型映像録画サービス)※映像解析にAIを活用
また、LINE CLOBAの進化版と見られる「HyperCLOVA」というAIエンジンも開発が進んでいます。
「HyperCLOVA」は、LINE株式会社とNAVER株式会社が共同で独自開発した、日本語に特化した基盤モデルです。
各業務の要件に合わせた領域特化型のAIではなく、「Foundation Model for Japanese Text」を標榜し、共通のインテリジェンスを持ったモデル構築を目指して開発されています。
故に、下記のような幅広い業務に活用することが可能です。
- デジタルマーケティングでの広告文/キャッチコピー生成
- デジタルマーケティングでのメール文言/SNS文言/LP文言の生成
- カスタマーセンターでのお問い合わせ要約/FAQ自動検索/自動応答分析
なお、データ学習量は、日本語テキストだけでも「新聞縮刷の約2,700年分に相当」し、なめらかで自然な日本語文章を生成することを可能としています。
LINEユーザーは、日本国内のMAU(Monthly Active User)が9,500万人(人口カバー率75%)と圧倒的シェアを誇っていることに加え、法人利用も広がっているので、今後メインAIエンジンとして台頭してくる可能性は十分にありそうです。
(LINE CLOVAのサービスサイトはこちら)
KARAKURI(カラクリ)/(運営企業:カラクリ株式会社)
カラクリ株式会社が提供するAIチャットボットは、「KARAKURI(カラクリ)」です。
搭載されているAIには優れた文脈理解が特徴のBERTが使われており、精度の高い回答を効率よく導き出せます。カスタマーサポート領域に特化していることから、高い正答率をコミットしています。また、シンプルかつ分かりやすいUIを兼ね揃えており、有人チャットやCRMツールとの連携でシームレスな顧客対応を実現することができます。
(KARAKURIのサービスサイトはこちら)
AI Messenger Chatbot (エーアイメッセンジャーチャットボット)/(運営企業:株式会社AI Shift)
株式会社AI Shift(エーアイシフト)が提供するAIチャットボットが「AI Messenger Chatbot(エーアイメッセンジャーチャットボット)」です。
チャットボットの精度や運用向上のためにエンジニアが独自でAI研究開発を実施しており、回答精度の向上を実現する『AI Compass』といった独自テクノロジーを保有していることが特徴の一つです。
ユーザビリティを意識した初期設計から、チューニング、フィードバックの取得やレポーティングといった機能もあります。また、お客さまのご要望に応じて、専任チームによるFAQページ構築や運用の実施、沖縄にある有人チャット対応専門のチャットセンターで24時間365日対応といったオプションサービスも提供しています。
(AI Messenger Chatbotのサービスサイトはこちら)
サポートチャットボット/(運営企業:株式会社ユーザーローカル)
株式会社ユーザーローカルでは、「サポートチャットボット」というAIソリューションを提供しています。
同社が提供するSNS分析ツール「Social Insight」で蓄積された60億件以上のテキスト解析ノウハウを活かしてAIを独自開発しており、自然言語に特化したAIで平均95%という回答率を実現しています。
Webサイトやグループウェアへの設置はもちろん、チャットツールのAPIを利用して連携することができるため、お馴染みのツールで使い始めることができるでしょう。
- Webサイト
- Share Point
- Googleサイト
- Kintone/Garoon
- デスクネッツ ネオ
- Microsoft Teams
- Google Chat
- Slack
- LINE WORKS
- Chatwork
- LINE
- Facebook Messenger
(サポートチャットボットのサービスサイトはこちら)
チャットプラス/(運営企業:チャットプラス株式会社)
チャットプラス株式会社が提供するのは「チャットプラス」です。
海外でも、個人のお客さまでも変わらずご利用いただけるように、初期費用0円、月額1500円から利用できる、ホームページ運営者向けのAI塔載型チャットツールです。導入までの期間は、即日~30日と、安価かつ手軽に始めることが可能となっております。
お客さまの用途に合わせて複数の料金プランから選ぶことができ、AIによる自動応答の会話機能など、幅広い機能を取り揃えています。
(チャットプラスのサービスサイトはこちら)
MOBI BOT(モビボット)/(運営企業:モビルス株式会社)
モビルス株式会社が開発提供するのは、「MOBI BOT(モビボット)」です。
7年連続チャットボット売上シェアNo.1 ※1 のAIチャットボットで、大手企業を中心に、金融、メーカー、EC、自治体まで、幅広い業種のお客さまに利用されています。継続率も99% ※2 と、多くのお客さまが、業務効率化やコスト削減、売上アップと、大きな成果を上げています。
AIやその他のシステムと柔軟に連携でき、問い合わせ対応から手続き処理を自動化します。よくある質問の自動回答、システム連携による手続き・申請の自動受付など、高度な自動応答も可能です。独自のアルゴリズムを組み込んだAIコンソールによって継続的な正答率の改善を支援します。
MOBI BOTを導入するにあたっての強みは、機能や関連製品の幅広さと導入前・後のサポートが充実していることです。AIチャットボットだけでなく、ボイスボットや有人チャット、生成AIによるオペレーター支援や、本人認証などのセキュアなコミュニケーションの機能など、コールセンター業界がもつ課題やお悩みに対して、総合的に応えることができます。
また、製品を導入して効果をあげるところまでを目指しています。設計から構築、導入、および導入後の分析といった運用まで、適切なツールのご提供と人的サポートによって、お客さまと併走して成果のために継続的な支援を提供しています。
実際のお客さまからたくさんのフィードバックやご要望をいただきながら、新規機能開発やセキュリティ、安定稼働のための改善を日々進めています。
※1 「7年連続チャットボット売上シェアNo.1」 出典:ITR「ITR Market View:対話型AI・機械学習プラットフォーム市場2024」
※2 「チャットボット 利用継続率 99%」 2024年6月末時点
(MOBI BOTのサービスサイトはこちら)
海外製のAIチャットボットエンジン
次に海外製AIチャットボットエンジン、製品を見ていきましょう。ここでは、IT界の巨人「IBM」「Google」「Microsoft」がそれぞれ提供する3つのAIエンジンをご紹介します。
Watson(ワトソン)/(運営企業:IBM)
グローバルでAIとして最も有名なのは、IBM社の「Watson」でしょう。
Watosonは、ディープラーニング、機械学習、自然言語処理(NLP/Natural Language Processing)モデルに基づいて構築された、ビジネス向けの会話型AIプラットフォームです。
何百万ものビジネス関連の単語やフレーズを含む膨大なデータでトレーニングされていることが特徴で、ビジネス文書からきめ細かい洞察を提供することにも長けており、主にカスタマーサービスや人事、マーケティング領域など、「ビジネスシーン」に最適化されているAIです。
API連携も可能で、さまざまな外部ソフトウェアやツールとの連携が可能です。
チャットボットに使われるAPIとしては「Watson Assistant」がありますが、2023年7月にローンチされた「watosonx」という新プロダクトもあります。
それぞれ解説します。
① Watson Assistant
Watson Assistantは、一言でいうと「会話型AIプラットフォーム」です。
Watosonは、以下の3つのテクノロジーに基づいて構築されていますが、これらにより、私たちが普段使用している平易な表現(自然言語)による質問を、違和感なく理解することを可能にしています。
- 自然言語理解(NLU)
- 自然言語処理(NLP)
- 機械学習(ML)
さらに、クライアントが保有するユーザーデータに接続することで、そのユーザーが誰であるかを判別し、パーソナライズされた最適なサービス提供を可能にします。
Watson Assistantには、予め顧客サポートでの様々な利用シーンを想定したサンプルデータがプリセットされているので、シナリオ応答や一問一答を行うチャットボットを容易に構築することができます。
(Watson Assistantのサービスサイトはこちら)
② watsonx
IBMが直近でリリースした新プロダクト「次世代エンタープライズ対応AI および データ・プラットフォーム」です(2023年7月一般公開)。
下記3つのプロダクトのリリースが公表されています。
- watsonx.ai(2023年7月一般公開):基礎モデルと機械学習モデルを簡単にトレーニング、検証、調整、デプロイ(実行ファイルを実際のWebサーバー上に配置して、利用できる状態にすること)。
- watsonx.data(2023年7月一般公開):あらゆるデータを対象に、あらゆる場所でAIワークロードを拡張する。
- watsonx.governance(2023年12月一般公開):信頼のおける、透明性が高く説明可能なデータとAIのワークフローを実現する。
「ビジネス全体に渡る、AIのインパクトを倍増させるために設計された」、「新たなレベルの生産性を実現する」と標榜するIBMの意欲作です。
従来(現在)のAIが、単一ドメインに対する特定タスクの処理に長けていたのに対して、これからのAIは、一つの基盤モデルでより幅広いタスク処理に対応することを目指して開発されています。
以下、Watosonが展望する「今後のAI」について言及した内容の抜粋です。
今日の AI 環境は、専用タスクのためにデプロイされた専用モデルによって支配されています。しかし、企業はこれらのモデルをトレーニングして維持するために、ラベル付きデータの大規模なコーパス、重要なリソース、熟練したデータ サイエンティストのチームを必要とします。基盤モデルは、企業にとって世代を超えた機会を表します。これらは、幅広いタスクを実行するために微調整できる汎用の事前トレーニング済みモデルです。”
AIモデルはどんどん進化しています。
(watosonxのサービスサイトはこちら)
Dialogflow(ダイアログフロー)/(運営企業:Google)
Dialogflowは元々「api.ai」という名称でしたが、2016年にGoogleに買収され、「Dialogflow」に名前が変わりました。Google社が提供している技術を用いて、自然言語解析によるチャットボットを構築できるプラットフォームです。
Dialogflowは、低コストかつプログラミング知識不要で導入・運用ができるため、比較的導入のハードルは低いといえます。
現在は以下2つのエディションがリリースされていますが、「ES(Standard)」のTrial Editionであれば、機能制限はあるものの最低限の機能を無料で利用可能です。一度AIチャットボットを試してみたいという方には、おすすめの選択肢です。
- Dialogflow CX(Advanced):大規模向けプラン
- Dialogflow ES(Standard):小中規模向けプラン
尚、Dialogflowの最大の特徴は「Google傘下(Google保有サービス)である」ということです。
Google関連のサービス(Googleカレンダー、Googleドライブ、Gmail等)を利用されている方は多いと思いますが、それらGoogle関連サービスとの連携が容易です。
もちろん外部サービスとのAPI連携も可能ですので、自社サイトやECサイト、LINE、slack、Facebookメッセンジャーなどのメッセージングツールや、Googleアシスタントなど、幅広く連携ができます。
チャットボットの可能性をさらに広げることができるでしょう。
また、検索エンジンやYouTubeで蓄積されているユーザーの膨大な言語・対話データを活用できるため、自然言語理解(NLU)、自然言語処理(NLP)の精度向上が今後も期待できることに加え、機械学習機能により、対話精度も継続的に上がっていくことが期待できます。
これはやはり、検索エンジンの市場シェアにおいて、国内75%、グローバルでは90%を誇るGoogle、引いてはDialogflowの強みです。
(Dialogflowのサービスサイトはこちら)
会話言語理解 ※LUISの進化版/(運営会社:Microsoft)
Microsoftが提供する自然言語解析サービスとして、「LUIS(Language Understanding/ルイス)」がありますが、2023年4月1日からは、新しい LUIS リソースは作成できなくなっています。
以下、公式サイト内に「重要」として記載されている内容です。
ここでは移行先として挙げられている「会話言語理解」について、説明します。
「会話言語理解(CLU/Conversational Language Understanding)」とは、Microsoftが提供するAzure Cognitive Service for Languageの機能の一つであり、会話文の理解に特化した、主にチャットボットのような対話システムをより高性能にするための機能を指します。
「次世代のLUIS」と位置付けられており、LUISが備えていた多くの機能に加えて、下記のような機能強化も図られています。つまり、LUISよりも「会話文の理解能力」が向上しています。
- 最先端の機械学習モデルを使用した AI 品質の強化
- 1 つの言語でトレーニングし、他の言語で予測できる多言語機能
- オーケストレーション ワークフローを使用した会話言語理解とカスタムの質問応答プロジェクト間の組み込みルーティング
- Azure Cognitive Services for Language で利用できる一連の機能へのアクセス
公式サイトより、会話言語理解とLUISの比較表を抜粋しておきます。
なお、少し技術寄りの話になりますが、「会話言語理解」の機能を使うにあたっては、「Intent」と「Entity」という2つの概念を押さえておく必要があります。
ざっくりいうと、会話の中から抽出される「何を、どうする」という情報のうち、「何」に対応するものが「Entity」で、「どうする」に対応するものが「Intent」になります。会話言語理解では、これらの情報を認識・抽出しながら、次のアクションに繋げていきます。
例えば、「明日の新宿の天気は?」という質問があった場合、会話言語理解は「何を→明日の新宿の天気」を、「どうする→(天気を)知りたい」をそれぞれ認識し、抽出結果を(この場合は)天気予報APIに渡し、知りたい情報を得る、という処理を通して、回答文を作成します。
小難しい話になりましたが、いずれにせよ「Entitiy」と「Intent」は、会話言語理解を利用してチャットボットを構築する際には頻出ワードですので、認識しておきましょう。
(会話言語理解のサービスサイトはこちら)
まとめ
AIの進化は日進月歩です。この数年の間に、既存のAIエンジンは当然進化しており、新たに有望なAIエンジンも登場しています。
導入目的を明確にし、利用シーンを定義づけたうえで、AIチャットボットの特性を活かして、効果的に導入、運用していきましょう。
関連外部サイト
トランス・コスモスが運営する情報サイト「Cotra」
AIチャットボットとは?導入目的や3つのメリットを解説
失敗事例から考えるコールセンターにおけるチャットボット導入の方法